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介護経営情報(2019年11月8日号)

◆通所・訪問リハのデータ収集システム「VISIT」の利用申請方法が追加 専用サイトからの申請が可能に 10月28日午前8時から受付開始

――厚生労働省
老健局
厚生労働省老健局は、10月17日に「介護保険最新情報Vol.742」を発出。通所・訪問リハビリテーションの質の評価データを収集するシステム「VISIT」の利用申請が、専用サイトからも可能になったことを通知した。受付開始は10月28日8時から。なお、サイト開設準備のためのメンテナンスを行うため、10月25日20時から28日7時までシステムのサーバを停止させる。厚労省は、この件に関する問い合わせを「VISITヘルプデスク」で受け付けるとしている。問い合わせはメールで(visit@toshiba-sol.co.jp)。専用サイトのURLは以下のとおり。
https://visit.mhlw.go.jp/visit/usage-registration/register

「VISIT」は、「monitoring & evaluation for rehabilitation services for long-term care」からの造語。evaluationのv、rehabilitationのi、servicesのsとI、long-termのtを並べてVISITとしている。リハビリテーションおよびリハビリテーションに関するマネジメントの質を評価するためのデータ収集システムとして、2016年度から運用が開始されている。2018年度の介護報酬改定では、「VISIT」へデータを提出することへの評価が新設された。通所リハで900~1,220単位/月、訪問リハで420単位/月が算定できるようになっている(3ヶ月に1回の算定まで)。

新たに加算が新設されたことも含め、「科学的介護」の実現をめざし、介護の効率化を図ろうとする政府・厚労省にとって「VISIT」の運用は非常に重要な部分を担っていることがわかる。一方で、事業所にとっては決して使い勝手のよいシステムではなかった。なぜならば、これまでは厚労省に申請内容を直接メールで連絡する方式だったからである。厚労省にとっても手間のかかる作業であり、届出を含む事務手続の簡素化・省力化をめざす方針とは逆の仕組みだったといえよう。遅まきながら、専用サイトを開設し事業所および厚労省の双方にとって簡便化が進んだことは評価できる。

今後、介護保険のレセプト情報や要介護認定情報を格納している「介護保険総合データベース」(介護DB)と「VISIT」を連携させ、これらを補完するデータベースとして「CHASE」(Care, Health Status & Events)を構築して2020年度中の本格運用をめざしているだけに、より洗練されたシステムへと生まれ変わる第一歩を踏みだしたといえるのではないか。

◆日本医師会、「市町村の相談窓口」を担当すると名乗りを上げる 「保健事業と介護予防の一体的な実施」にも定期的に連携すると提案

――厚生労働省
一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会
厚生労働省は、10月21日の「一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会」で、専門職の効果的・効率的な関与の具体的な方策を議論した。その中で、同検討会の構成員である日本医師会の常任理事である江澤和彦氏は、「医師会等の関係団体との緊密な連携による『協働体制』の構築」を提案。医師会が市町村の地域支援事業における「相談窓口」を担当する仕組みを構築すべきだと訴えた。

また、医療専門職が連携するうえでも、医師会と定期的な協議の場を設けるべきだとし、さらに「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施」を実現するためには、企画立案段階から医師会と定期的に連携することで、質の向上を図ることができると主張している。

一般介護予防事業は、市町村が運営する総合事業の一環として行われており、要支援認定者および要介護認定者を含む65歳以上のすべての住民が対象。多様化・複雑化している福祉ニーズに対応するため、従来の機能回復訓練だけでなく、住民主体で運営されている「通いの場」の活用を促進するのが現在の大きなテーマだ。そのためには多職種協働の仕組みを整えなければならないが、市区町村が主催して専門職が知恵を出し合う「地域ケア会議」は、うまく機能しているとは言い難いのが現状だ。つまり、多職種が関わっているにもかかわらず、リーダー役となる職種がいないため効率性が落ちているのが介護業界の状況でもあるといえる。

今回の日本医師会の提案は、そうした課題を一気に解決する可能性がある。各地域の医師会が市町村との間に立つことで、介護関係の各専門職のスムーズな連携を促すハブとなるからだ。必然的に「地域ケア会議」でも、現場と市町村をつなぐポジションで会議を有機的にファシリテートできることになるため、より効果的な場となる可能性があるだろう。

ただし、そうなれば日本医師会が一般介護予防事業において大きな存在感を発揮することは間違いない。「通いの場」の運営にも医療機関の関与が増すことになると考えられるため、ケアマネジャーや各介護事業所はそのことを想定した準備を進めていく必要が生じるのではないか。

◆高齢化への対応を主要テーマとした「G20保健大臣会合」が開催   大臣宣言では認知症への対応にも大きく項目が割かれる

――G20保健大臣会合
 10月19日、20日の2日間にわたり、岡山県岡山市で「G20保健大臣会合」(※)が開催された。2017年、2018年に続いて3回目の開催となる今回は、初めて高齢化への対応が主要テーマとして設定され、2030年までにユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成することを確認。大臣宣言では認知症への対応について大きく項目が割かれた。

 「G20保健大臣会合」は、2017年にドイツで初開催された分野別閣僚級会合。国際的な健康危機への対応など、国際保健に関する各種課題について議論されている。今回は、高齢化への対応や2030年までのUHC達成のほか、薬剤耐性(AMR)を含む健康リスクと健康安全保障の管理がテーマとなった。なお、UHCとは、「すべての人が、適切な健康増進、予防、治療、機能回復に関するサービスを、支払い可能な費用で受けられる」を意味しており、2015年9月の国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)にも掲げられている目標のひとつ。

 認知症は、日本でも対策に力を入れている分野のひとつ。現在約500万人が認知症であるとされ、2035年には約800万人まで増えると推計されている。これは、65歳以上の5人に1人の割合であり、政府が6月に取りまとめた「認知症施策推進大綱」では、「共生」と「予防」を両輪とした施策を推進するとした。

今回の大臣宣言も、基本的には日本と同じ方向性だ。12項目にのぼった「高齢化への対応」のうち5項目で言及し、「健康、生活の質、経済、社会全体に大きな影響を及ぼす共通の課題の1つ」と位置づけたうえで「偏見を予防・克服することにより、高齢者に優しく、認知症の人と共生する環境を促進する」としている。認知症のリスク低減や早期発見・診断・治療のための研究開発促進にも言及し、「各国の認知症のモニタリング、調査、イノベーションの強化を支援する WHO の世界認知症オブザバトリーの役割」に大きな期待を寄せた。その背景には、世界で認知症患者が約5,000万人に達している現状がある。WHOによれば毎年約1,000万人の新たな患者が生まれており、経済的コストは世界のGDPの1.1%に相当するという。

裏を返せば、今回の大臣宣言は、今後世界レベルで認知症関連ビジネスが活性化していくことを意味しているともいえる。介護現場の知見が今まで以上に必要とされることとなるため、従来はなかったビジネスモデルが生まれていく可能性は高いといえそうだ。

※G20は、G7(カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、米国)の7か国に、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、中国、インド、インドネシア、韓国、メキシコ、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、トルコ、欧州連合を加えた20か国・地域から構成されている。

◆台風19号被災者、要介護認定の有効期限を最大1年間延長  災害救助法が適用された14都県391市区町村が対象

――厚生労働省
老健局
 厚生労働省老健局は10月24日、「介護保険最新情報Vol.744」を発出。同日に「令和元年台風第十九号に伴う災害に対処するための要介護認定有効期間及び要支援認定有効期間の特例に関する省令」が公布・施行されたことを通知した。

 この省令が施行されたことで、台風19号被災者の要介護・要支援認定の有効期限は最大1年間延長できる。対象となるのは、災害救助法が適用された14都県391市区町村(10月19日時点)。14都県は岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、東京都、千葉県、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県、静岡県。東日本大震災を超えて過去最大の適用となった。

 要介護・要支援認定の有効期間は、初回が原則として6カ月、更新すると原則12カ月。有効期限を過ぎても要介護・要支援状態にあると見込まれる場合は、市区町村に対して更新の申請を行わなければならない。申請は有効期間満了日の60日前から満了日まで受け付けているが、できるだけ30日前までに行うようにと被保険証にも記載されている。

 しかし、被災地では自治体が復旧対応に力を注いでいるため、更新手続きに必要な人的リソースが用意できない可能性もある。それを考慮し、自治体の判断で有効期限を延長できるようにしたというわけだ。9月に発生した台風15号でも、介護報酬請求などさまざまな特例措置が行われており、今後、台風19号関連でも要介護・要支援認定手続き以外に特例措置が行われる可能性がある。

ちなみに台風19号は、台風としては初めて特定非常災害特別措置法が適用された。過去、同法が適用されたのは阪神・淡路大震災、平成十六年新潟県中越地震、東日本大震災、平成二十八年熊本地震、平成三十年七月豪雨。

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