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医療経営情報(2019年2月7日号)

◆ 10月の診療報酬改定、全体はプラス0.41%         薬価はマイナス0.51%、材料価格はプラス0.03%

――厚生労働省 中央社会保険医療協議会総会
根本匠厚生労働相は1月16日、今年10月に実施される臨時の診療報酬改定について、中央社会保険医療協議会(中医協)総会に諮問。診療報酬全体ではプラス0.41%、薬価はマイナス0.51%、材料価格はプラス0.03%とした。中医協は、細かい点数設定などを議論したうえで答申する。

10月に実施される臨時の診療報酬改定は、消費税の税率が8%から10%に引き上げられることを受けてのもの。通常改定は2年に1回だが、診療報酬は非課税のため医療機関や調剤薬局は仕入税額控除を受けることができない。しかし、実際の仕入れでは消費税を負担しているため、それに相当する額を補填するため、増税と同じタイミングで臨時改定を行うこととなっている。

改定率は、2019年度の予算編成に向けた昨年12月の大臣折衝で決定した。診療報酬本体のプラス0.41%は国費200億円程度に相当。内訳は、医科がプラス0.48%、歯科がプラス0.57%、調剤がプラス0.12%。薬価がマイナスとなっているのは、実勢価改定等でマイナス0.93%を見込んでいるからだ。消費税対応分ではプラス0.42%となっており、差し引きしてマイナス0.51%となった。材料価格も、実勢価改定はマイナス0.02%だが、消費税対応分がプラス0.06%であり、結果としてわずかながらプラス改定となっている。

2014年4月に消費税率が5%から8%に引き上げられた際も、同様に臨時改定が行われており、今回の改定はそのときと同様の手順で行われている。ただし、前回はとりわけ急性期病床での補填が十分でなかったとの声も多数上がっており、今回の改定でその懸念がクリアされるかは疑問が残る。そもそも、急性期病床では高額な医療機器も頻繁に導入せざるを得ないことから、消費税の負担も大きい。個人経営の診療所でも近年は最新鋭の機器を必要としているところが多く、結果として消費税増税が経営に悪影響を及ぼす可能性は否定しきれないといえよう。

なお、介護報酬改定はプラス0.39%で、別途国費7億円程度の補足給付引き上げを行う。また、介護人材の確保および離職防止のため処遇改善加算を見直し、公費1,000億円程度を投入する。

◆ 厚労省、健康保険法の改正法案を通常国会に提出へ
オンライン資格確認の導入や保健事業・介護予防の一体的な実施など

――厚生労働省 全国厚生労働関係部局長会議
厚生労働省は1月18日、全国厚生労働関係部局長会議を開催。健康保険法の改正法案を次の通常国会に提出する方針を明らかにした。オンライン資格確認の導入や、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施などを盛り込む。施行は2020年4月1日を目指す。

オンライン資格確認とは、保険医療機関での被保険者資格の確認を個人番号カードで行うもの。今までは、医療機関の窓口でいちいち二重加入や失効などの確認を行う必要があったが、手続きが電子化することで事務負担を大幅に軽減できる。ちなみに、個人番号カードは個人情報保護のため窓口で預からず、患者本人が専用のスキャナーで提示する仕組みになる。気になるのは関連設備の導入コストだが、「医療情報化支援基金」を創設する予定。2019年度予算として300億円を計上しており、オンライン資格確認関連機器のみならず、電子カルテシステム導入の支援にも用いられる。なお、これは義務化される取り組みではないため、医療機関側はオンライン資格確認を実施しないという選択肢もある。その場合、事務手続きの方法は現在と変わらない。

高齢者の保健事業と介護予防については、これまで医療保険と介護保険で別々に実施していた。しかし、保健事業で行われる健診や保健指導は、そもそも予防の意味合いが強いもの。医療分野と介護分野を連携させ、一体的に実施したほうが効率的なのは言うまでもない。とはいえ、保険の領域が異なることから、診療報酬や介護報酬のどちらでカバーするべきかわかりづらく、そのための報酬も明確化されていないことから、医療機関にとっても介護福祉施設にとっても取り組みにくい内容ではあった。

そこで厚労省は、介護予防および認知症予防の場として活用されている「通いの場」の機能を拡充して、「保健事業と介護予防を一体的に実施」する場所にする考えだ。「通いの場」は住民運営を基本として市町村が補助金を交付しているため、医療保険および介護保険から拠出する必要もない。要介護状態の前段階とされる「フレイル」(虚弱)の対策も行うことで、市町村がワンストップで介護までケアする体制にすることもできる。形のうえでは、都道府県とも連携する広域連合を立ち上げて市町村をサポートしていくことになるが、介護事業全体を市町村に移行する布石となる可能性もあるだろう。

そうした流れを踏まえると、NDB(レセプト情報・特定健診等情報データベース)と介護DBの連結解析を実施することの意義がわかる。これまで別々だった医療と介護のデータベースへ一度にアクセスできるようにすることで、的確かつ効率的なケアを実現するのが狙いであり、社会保障の仕組みを構造的に変革して社会保障費全体の抑制へつなげようというわけだ。少なくとも、医療機関にとっては「医療」だけを見るのではなく、介護や保健事業を含めた包括的な視野で経営戦略を立てる必要性が高まったといえるだろう。

◆ 厚労省、「10連休」の医療提供体制確保を都道府県に要請     2月中旬までに受け入れ体制の把握を求める 在宅医療にも注意呼びかけ

――厚生労働省
厚生労働省は1月15日、医政局長および医薬・生活衛生局長、社会・援護局傷害保健福祉部長名で「本年4月27日から5月6日までの10連休における医療提供体制の確保に関する対応について」と題した通知を各都道府県知事あてに発出。10連休でも必要な医療提供体制の確保に「万全を期す」ため、医療機関および医薬品、医療機器などの卸売販売業関係者の状況を把握するよう要請した。

これは、昨年12月に「天皇の即位の日及び即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律」が公布・施行され、5月1日に皇太子殿下が天皇に即位されることが決定したことによる措置。新たに休日となるのは5月1日のみだが、今年は4月27日が土曜日であり、祝日法によって祝日に挟まれた日が休日になるため、4月30日と5月2日が休日となることから10連休が実現する。

すでに国内・海外旅行の予約が例年の3倍となっているなどの影響が出ているほか、東証と大証は連休中の取引を停止するため市場リスクが発生することも指摘されているが、医療機関の休業は生命の危険に直結するため対応を急ぐ必要がある。3カ月以上前に厚労省が都道府県あてに体制の整備を要請したことは、危機感の表れといってもいい。

通知では、まず地域の実情に応じて必要な医療機関や薬局が対応できる体制を構築することを求めた。そして、二次救急、三次救急、精神科救急に対応する救急医療機関や在宅当番医制度および休日夜間急患センターといった初期救急提供体制、そして外来診療を実施する診療所に至るまで、二次医療圏ごとの協議会を開催して10連休中に対応可能な医療機関をピックアップすることを要請。地域の医師会、歯科医師会、薬剤師会などにも照会して2月中旬までに一覧表にするよう求めるほどの念の入れようだ。

さらに、病床が満床になった場合や処方箋に疑義が生じた場合の連絡体制を確保することや、必要な医薬品や医薬機器が医療機関の供給できるよう求めている。また、在宅医療を実施する医療機関に対しては、「自施設が休診する場合に往診等の対応ができる」他の医療機関を確保できるよう事前に調整し、とりわけ人工呼吸器や酸素供給装置を使用する在宅患者に対しては、当該機器の取扱事業者の連絡先も周知しておくよう指導するべきとしている。

休日のみの10連休というのは前例にないだけに、予想外の事態が起こる可能性は十分にある。医療機関および医薬品、医療機器などの業者にとっても緊張を強いられることになるが、見方を変えれば地域内の連携を強固にする好機ともいえる。外来診療や救急診療のみならず、介護福祉施設との連携も含め、地域包括ケアシステムを成熟させるきっかけにできる可能性もあるだけに、都道府県および市町村の手腕が問われることとなりそうだ。

◆ 2020年度診療報酬改定、調剤報酬の扱いが焦点か  病床再編の効果を踏まえた見直しも検討

――経済財政諮問会議
政府は1月18日に財政諮問会議を開催。2019年の「主なフォローアップ事項」として、2020年度の診療報酬改定に向けた検討では調剤報酬や病床再編の効果を踏まえた見直しを行う方針を明らかにした。

調剤報酬は、2018年度の改定で全体ではプラス0.19%とわずかに引き上げとなった。しかし、大型門前薬局の適正化を図るため外枠で約60億円(国費ベース)が引き下げられたほか、処方箋回数が月4万回超のグループに対しての減算措置が拡大(処方箋集中率が95%から85%に)。グループ全体で月40万回超の処方箋回数がある場合は、点数がさらに引き下げられた。さらに、基準調剤加算が廃止されて地域支援体制加算が新設されるなど、「対物業務から対人業務へ」の流れを加速させる改定となっており、とりわけチェーン薬局には厳しい内容となった。調剤回数よりも手間が評価されるようになったため、いわば効率的に稼げなくなったというわけだ。

ここまで調剤報酬への風当たりが強いのは、調剤医療費が年々増加していることが背景にある。画期的な新薬が登場するなど、高額な薬剤が増えたこともあって他の医療費と比べても伸びが大きく、2015年度の概算医療費ではその前年度に比べて6,800億円増加。そのため2014年度と2016年度の薬価改定で2期連続のマイナス改定を敢行している。

しかし、高齢者の増加に伴って社会保障費は自然増を余儀なくされており、それを5,000億円以内に抑えることがやっとという状態だ。伸び続けている調剤医療費がやり玉に挙がるのはやむを得ない側面もある。どの程度の引き下げになるのか、あるいは地域支援体制加算のように加算の取得が困難な設計を組み込むのかが焦点になってくるのではないか。

その他、病床再編の効果に関しては、人口減少社会に突入していることも考慮し、より大胆なダウンサイジング案が出てくる可能性がある。中長期的な観点に立てば、不要な建物や医療機器のリストラは生産性向上にもつながるだけに、積極的に推し進めるべきだろう。一方で、医療の地域格差がある現場も踏まえ、本当に必要な病床数を厳格に導き出すことも求められる。この点に関しては、都道府県および市町村の舵取りが重要になってくるといえよう。

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