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介護医療情報(2018年2月2日号)

◆介護報酬改定の単価が決定 ターミナルケアを厚く評価
医療ニーズへの対応を重視し、細分化された加算も

―厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会
 厚生労働省は、1月26日の社会保障審議会介護給付費分科会で、2018年度介護報酬改定の詳細案を提示。新たな単価も盛り込まれた。ターミナルケアを厚く評価するほか、医療ニーズへの対応を重視して細分化された加算も多数ある。

 まず居宅介護支援(ケアマネジメント)では、「ターミナルケアマネジメント加算」を新設(400単位/月)。末期がんの利用者に対して「通常よりも頻回な訪問」を行い、利用者の心身状況を記録して主治医や居宅サービス事業者にその情報を提供した場合に要件を満たすことができる。その代わりに従来実施していたサービス担当者会議の招集をなくし、ケアマネジメントプロセスを簡素化させる。

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム・特養)では「配置医師緊急時対応加算」が新設される。早朝・夜間の場合は1回650単位、深夜の場合は1回1,300単位。配置されている医師が早朝・夜間もしくは深夜に施設を訪問して診療を実施した場合に算定することが可能だ。また、看取り介護加算は細分化され、死亡日もしくは死亡日の前日・前々日に施設内で看取った場合に手厚く評価される設計となった。看取り看護加算(II)が新設され、死亡日の前日または前々日が780単位(従来は680単位)、死亡日が1,580単位(従来は1,280単位)となる。

 特定施設入居者生活介護では、「入居継続支援加算」(36単位/日)および「退院・退所時連携加算」(入居から30日以内、30単位/日)を新設。「入居継続支援加算」たん吸引などのケアに対する評価。「退院・退所時連携加算」は、医療機関を退院・退所して入居する際の連携に対する評価となる。

 訪問看護も、「看護体制強化加算」を細分化。ターミナルケアの実績が多い場合により厚く評価する設計に変更する。現在はターミナル加算の算定者が年1名以上の場合、月300単位が算定できるが、これを「看護体制強化加算(II)」に移行。「看護体制強化加算(I)」を新設し、ターミナル加算の算定者が年5名以上の場合は月600単位が算定できるようになる。

◆認知症へ対応強化 グループホーム「医療連携体制加算」に新区分
ショートステイや小多機、看多機にも加算を新設

――厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会
 1月26日の社会保障審議会介護給付費分科会で提示された2018年度介護報酬改定の詳細案には、認知症の利用者への対応を評価する内容も盛り込まれた。認知性対応型共同生活介護(グループホーム)では、常勤の看護職員を配置した事業所を評価。短期入所生活介護および短期入所療養介護(ショートステイ)や小規模多機能型居宅介護(小多機)や看護小規模多機能型居宅介護(看多機)、特定施設入居者生活介護にも新たに加算が設けられている。

 グループホームでは、従来の「医療連携体制加算」(39単位/日)を「医療連携体制加算(I)」とし、新たに「医療連携体制加算(II)」(49単位/日)と「医療連携体制加算(III)」(59単位/日)を追加。「医療連携体制加算(II)」「医療連携体制加算(III)」とも、グループホーム職員としてたん吸引などの医療的ケアの提供実績を持つ看護職員を常勤換算で1名以上配置することが要件となっている。なお、「医療連携体制加算(II)」は別途病院や訪問看護ステーションの看護師との連携体制があれば准看護師でも算定可能だ。

 認知症への専門的なケアを評価する加算が設けられたのがショートステイだ。「認知症専門ケア加算(I)」(3単位/日)および「認知症専門ケア加算(II)」(4単位/日)を新設。国や自治体が実施、もしくは指定する認知症ケアに関する専門研修の修了者が介護サービスを提供した場合に算定できる。小多機、看多機、特定施設入居者生活介護は、若年性認知症の人を受け入れ、介護サービスを提供したことに対する評価を新設。小多機、看多機は「若年性認知症利用者受入加算」として月に800単位が算定でき、特定施設入居者生活介護は「若年性認知症入居者受入加算」として1日120単位が算定できる。

 ショートステイ、小多機、看多機、特定施設入居者生活介護に新設された加算は、いずれもグループホームですでに設けられているものであり、単位数も同じ。認知症患者は増加傾向にあり、厚労省は2025年に700万人を突破すると推計しているため、その受け皿としてグループホームだけでは不十分と判断しての見直しであることは明らか。とりわけ受け入れに対する単位数は高いため、他サービスへの事業拡大を狙っている事業者にとっては注目に値するといえる。カギを握るのは認知症ケアに対応可能な看護職員の確保になるだけに、研修機会を増やすなどして小多機などにも参入可能な地ならしをしていく事業者が増えていくのではないか。

◆訪問介護、「身体介護中心型」を重視した報酬設計に
「生活援助中心型」は2単位引き下げと微減にとどまる

――厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会
 1月26日の社会保障審議会介護給付費分科会で提示された2018年度介護報酬改定の詳細案では、訪問介護の報酬単価も明らかとなった。「身体介護中心型」の設計となっており、「生活援助中心型」は2単位引き下げられている。

 訪問介護は、「生活援助中心型」への比重が高いことが問題視されている。介護報酬は1日に複数回の算定が可能なこともあり、必要以上のサービス提供を行うことで報酬上乗せを狙ったケースも指摘されてきた。月31回以上の利用者が2万5,000人以上いることもわかっており、今回の介護報酬改定では「生活援助中心型」の報酬がどの程度引き下げられるかも焦点のひとつとなっていた。

 厚労省は「身体介護・生活援助の報酬にメリハリをつける」としているが、提示された単価案はそれぞれ微増・微減にとどまった印象だ。「身体介護中心型」の20分未満は165単位で現行と変更なし。20分以上30分未満が3単位増の248単位、30分以上1時間未満が6単位増の394単位、1時間以上1時間30分未満は11単位増の575単位、以降30分を増すごとに算定される単位は3単位増の83単位となっている。長時間の身体介護ほど報酬が増える設計ではあるが、引き上げ幅はさして大きくはない。

 それに対し、「生活援助中心型」は20分以上45分未満が181単位、45分以上が223単位といずれも2単位減。生活援助の担い手を拡大するため、来年度から中高年層をターゲットに新たな入門資格を創設することもあり、ドラスティックな引き下げに踏み切れなかったのだと思われる。

実際、利用者数を見ると「生活援助中心型」は訪問介護サービスにとってなくてはならない存在だ。昨年度の受給者数を見ると、「身体介護中心型」のみの受給者が約51万1,000人であるのに対し、「生活援助中心型」のみの受給者は約50万3,000人。介護保険の本来のあり方からすれば「身体介護中心型」により比重を置くべきなのは間違いないが、知識やスキルを持つ人材が限られていることもあり、急激なシフトチェンジは現実的ではないだろう。ただし、今後は混合介護が導入される可能性が高いため、生活援助は介護保険サービスから徐々に切り離されていくようになる。事業所単位で考えれば、身体介護および生活援助の双方に対応できる人材を養成し、柔軟に対応できる組織にしていくことが重要となるだろう。

◆首相、施政方針演説で「介護の受け皿」整備に意欲を見せる
介護人材の処遇改善について、今年の賃上げには言及せず

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 1月22日に通常国会が開会し、安倍晋三首相が施政方針演説を行った。「全世代型」の社会保障制度への転換を訴え、2020年代初頭までに50万人分の介護の受け皿を用意すると意欲を見せた一方で、介護人材の処遇改善についてはトーンダウン。2019年秋にリーダークラスの人材を対象とした給与増を実施するとしたものの、今年の賃上げには言及しなかった。

 「介護の受け皿」整備については、4月に改定される介護報酬を引き上げたことを引き合いに出し、「ロボットなどを活用して現場で働く皆さんの負担軽減、労働環境の改善に」取り組むとした。ロボット活用については、26日の社会保障審議会介護給付費分科会で、見守り機器を導入した場合に「夜勤職員配置加算」の要件を緩和することが明らかとなっており、一定の効果が期待できる。

 ただし、喫緊の課題である介護人材の確保について、処遇改善の方針が先送りにされた感は否めない。2019年秋にリーダー層の給与を8万円相当アップするとしているが、これは消費税増税分が充当される予定。その可能性は低いが、増税が見送られた場合は実現しない策であり、そもそも来年秋以降と即効性がないのもインパクトに欠ける要因だ。

ちなみに今年度は、4月に月額平均1万円相当の賃上げを実施している。しかし、厚労省の2016年調査によれば介護職員の平均月給は22万8,300円で、1万円をプラスしても全産業平均の33万3,700円に比べれば約10万円の開きがある。昨年12月26日に厚労省が発表した「一般職業紹介状況」によれば、昨年11月分の介護業界の新規求人倍率は5.40倍と前年同月に比べて0.61ポイントも上昇しており、人手不足はますます深刻化している。

安倍首相は経済界に3%の賃上げを呼びかけているが、介護業界にまで波及させられるほどの影響力があるかは疑問だ。年初の施政方針演説はその年の政府方針が打ち出されることから考えても、今年は特段の処遇改善策を行わないことが明らかになったとも受け取れる。ただし、厚労省は1月18日に、特別養護老人ホームに対してハローワークと自治体が連携して求人支援を実施することを発表している。他の介護保険サービス事業者に対しても、同様に人材確保策を打ち出すことが求められるのではないか。

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