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介護経営情報(2017年7月14日号)

2017/7/21

◆日本看護協会、介護報酬改定について厚労省に要望書を提出
「訪問介護体制強化加算」など多岐にわたる評価の新設を提言

――公益社団法人日本看護協会
 7月10日、公益社団法人日本看護協会(日看協)は厚生労働省の蒲原基道老健局長あてに「平成30年度介護報酬改定に関する要望書」を提出。訪問看護サービスの安定的な供給と迅速な対応体制を整備するため、ICTを活用した死亡診断での看護師による情報提供を評価する「ターミナルケア情報提供料」の新設や、24時間体制の評価引き上げ、「訪問介護体制強化加算」の新設などを提言している。

 今回、日看協が要望書を提出した背景には、病院の在院日数短縮に伴って介護施設での医療ニーズが増している現状がある。今後、在宅や介護施設での「看取り」が増えていくことが確実視されるため、介護保険サービスの利用者が安全・安心な生活を継続できるよう、24時間365日対応可能な看護の体制を整えなければならない。

 そうした現状を踏まえ、日看協は訪問看護、看護小規模多機能型居宅介護(看多機)、特別養護老人ホームなど、介護施設の類型に応じた要望を行っている。まず、訪問看護サービスについては、今年度中に看護師による死亡診断書の交付が可能になることが検討されていることを前提に、訪問看護ターミナルケア加算に上乗せした「ターミナルケア情報提供料」の新設を要望。家族への声かけや説明のほか、ICTによる情報提供のための準備や記録・送信などの業務が必要になるため、適切な評価を求めた格好だ。

 また、24時間対応体制を維持・拡充するため、「緊急時訪問看護加算」の評価引き上げを要望。さらに、特別管理加算対象者への緊急訪問時における夜間・早朝加算と深夜加算については「1月以内の2回目以降」の要件を撤廃し、緊急訪問の都度算定できるよう見直しを求めた。

 2012年度改定で創設された看多機については、昨年10月時点で全国179市町村に330事業所しかないことを問題視。サービス拠点を増やすため、現在小規模多機能型居宅介護で認められているサテライト類型を、看多機でも新設するべきとした。そして、看多機事業所の整備を促すため、今年度末までの延長が決まっている「事業開始時支援加算」を次々回の改定が実施される2021年度まで再延長することも求めている。

さらに、看多機での緊急的な医療対応のため、宿泊時間帯だけでなく、通所時間帯でも医師の往診を認めてほしいとしたほか、訪問による生活支援を強化している看多機事業所に対しては、前回の2015年度改定で新設された「訪問体制強化加算」に加え、「訪問介護体制強化加算」を新設し、評価するように要望している。

 そのほか、特別養護老人ホームでの医療ニーズ対応機能を強化するため、看護職員の夜間配置強化を行った場合の評価引き上げや、特養スタッフに対して看護師が医療的ケアの助言・指導を行った場合を評価するため「医療ケア体制支援加算」を新設することも要望。適切なケアマネジメントを推進するため、医療ニーズへの対応を含めたケアマネジメントを実施する事業所に対する評価を引き上げるため、「医療的ケアマネジメント加算」の新設や、ケアマネジャーの業務負担に配慮した「特定事業所集中減算」の廃止も要望書に盛り込んでいる。多岐にわたる内容だが、いずれも現状に即した要望であることは明らかであるため、今後の介護給付費分科会でどのように検討されていくのか、注目していきたい。

◆介護福祉士、社会福祉士などの各国家試験受験料を引き上げ
次回実施の今年度試験から適用 介護福祉士は2,160円増

政府は7月14日の定例閣議で、「社会福祉士及び介護福祉士法施行令及び精神保健福祉士法施行令の一部を改正する政令」を閣議決定。介護福祉士など三福祉士の国家試験の受験手数料が引き上げられることになった。来年明けに実施される次回の今年度試験から適用される。

介護福祉士試験の受験手数料は現在13,140円だが、2,160円増の15,300円となる。社会福祉士試験の受験手数料は、現在の7,540円から倍増以上の7,940円増となる15,440円に、精神保健福祉士試験は現在の16,400円から1,190円増の17,610円となる。

なお、社会福祉士と精神保健福祉士を同時に受験する場合、社会福祉士試験は13,980円と現在の6,830円から7,150円増の13,980円に、精神保健福祉士試験は14,160円と現在の13,190円から1,030円増に。科目免除者の場合、社会福祉士試験は13,020円と現在の6,360円から6,660円増に、精神保健福祉士試験は14,080円と現在の13,120円から960円増になる。

厚生労働省は、今回の受験手数料引き上げの理由として、指定試験機関である社会福祉振興・試験センターが保有する積立金がなくなったことを挙げている。2010年に民主党(当時)政権となったとき、同センターの積立金が過剰であるとの指摘があり、当時の長妻昭厚労相は積立金解消のため受験手数料を引き下げる措置をとった。引き下げ措置を取りやめたのは、2015年度試験から。元の金額に戻って2年間試験を実施したが、今回の閣議決定によって、以前よりもさらに高額になってしまった形だ。

 介護福祉士国家試験は、「実務経験ルート」に最大450時間を要する実務者研修が新たに加わったことが要因で、今年の受験者数が前回に比べて半減。「2025年問題」を目前に控え、介護人材の確保が急務となっているだけに、大きな問題となっている。今回の受験手数料引き上げにより、さらにマイナスの影響を及ぼす可能性もありそうだ。

◆九州北部豪雨被災者、被保険者証なしでも介護サービスが利用可
要介護認定の申請前でも柔軟に対応

――厚生労働省
7月11日、厚生労働省老健局は各都道府県介護保険担当主管部(局)あてに事務連絡を発出。7月5日から起こった福岡県、大分県などの「九州北部豪雨」による被災者は、被保険証の提示をしなくても介護サービスを利用できるとした。

これは、避難する際に被保険証を携帯していないケースを想定してのもの。本来、介護施設に被保険証を提示しなければ介護サービスを受けることはできないが、「氏名・住所・生年月日・負担割合」を伝えることで、被保険者証を提示したときと同様の取り扱いとする。介護事業者にとっては「代理受領方式による現物給付化」ができることになる。

被災者が他の市町村に避難した場合にも配慮。本来は、その市町村長の同意および事業所指定が必要だが、手続きを「事後的に行う等柔軟に取り扱うこととしても差し支えない」とした。今回の「九州北部豪雨」の被災地域は広範囲におよぶため、避難先が近隣市町村のみとは限らない。要介護者が他の都道府県に避難するケースも考えられるため、地域を問わず介護事業者としては把握しておくべき事項だ。

なお、厚生労働省からの事務連絡では、要介護認定についても言及。新たに要介護認定を申請する前に介護サービスを受けた場合は、特例居宅介護サービス費などの受給対象となるほか、通常の要介護認定が行えない場合も、暫定ケアプランを用いたサービス提供を行える取り扱いとするほか、更新申請前だった場合も、申請したものとみなして引き続きサービス提供が受けられるようにする。

今回の「九州北部豪雨」は、7月14日時点で死者32名、行方不明者14名。発生から1週間以上経過しているが、避難者は未だに約1,100名にのぼる。安倍晋三首相は7月12日に現地視察を行ったのち、「一刻も早く激甚災害指定を行う」と表明している。

◆特養運営の社会福祉法人、業況が前回調査よりも上昇
新卒採用で効果があったのは「ハローワーク」「実習・インターン

――独立行政法人福祉医療機構
7月4日、独立行政法人福祉医療機構は「社会福祉法人経営動向調査」の結果を公表。特別養護老人ホームの業況は今年3月の前回調査よりも上昇していることが明らかになった。また、新卒採用で「効果が感じられる採用活動」は「ハローワーク」がもっとも多く、次いで「実習・インターンの受入れ」となった。

福祉医療機構は、四半期ごとに「社会福祉法人経営動向調査」を実施している。今回の調査は、特別養護老人ホームを運営する482の社会福祉法人を対象として6月に実施。業況、資金繰り、従事者数などのほか、3カ月後の先行き予測、新卒・中途者採用状況および翌年度の採用計画などの項目について回答を求めた。有効回答数は468、有効回答率は97.1%。

今年3月に実施された前回調査では、業況がマイナスに転じ、サービス活動収益およびサービス活動増減差額は2期連続で低下。当然、先行き予測もマイナスの見通しだったが、今回の調査では業況がプラスに転じ、サービス活動収益およびサービス活動増減差額は前回より上昇。資金繰りや従事者数も前回調査より上昇している。しかし、黒字・赤字は前回と比較して横ばいだったため、先行き予測に関しては変わらずマイナスの見通しとなった。

 新卒者の採用数は、全体平均で4.9人。昨年度の5.1人と比べて0.2人少なくなっている。規模別に見ていくと、大規模法人が10.6人、中規模法人が3.4人、小規模法人が1.0人。「採用で効果が感じられる採用活動」について、全体の回答でもっとも多かったのが「ハローワーク」で51.9%。次いで「実習・インターンの受入れ」が33.5%、「福祉分野を対象とした合同就職説明会」が31.0%、「ホームページ」が24.6%、「学校訪問」が23.7%となっている。

昨年度も、もっとも採用効果があったのは「ハローワーク」で変わらず、規模が小さくなればなるほど依存する傾向にある。今回調査では、大規模法人が43.0%と次点の「実習・インターンの受入れ」の36.9%に近かったが、中規模法人は56.5%、小規模法人は55.6%。とりわけ小規模法人は、「ハローワーク」以外に効果を感じられた採用活動で30%以上のものがほかになく、採用に苦戦している様子が窺える。介護業界に限らず、インターン生の確保は採用活動を優位に進める有効な方法のひとつとなっているため、中規模・小規模法人にとってはいかに学生の関心を集め、実習・インターンに呼び込むかがカギとなってくるだろう。

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