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介護経営情報(2017年3月31日号)

◆介護福祉士試験の合格率、過去最高の72.1%を記録
受験者のレベルがアップし、介護人材の資質底上げに貢献か

――厚生労働省
 3月28日、厚生労働省は今年実施された2016年度介護福祉士国家試験(第29回)の結果を発表。合格率は72.1%と過去最高を記録した。これまでの合格率の最高記録は2013年度の64.6%で、昨年は57.9%に留まっていたが、大幅に上回る結果となった。

 今回の介護福祉士試験は、受験者数が前回試験のほぼ半数となる7万6323人にとどまったことで物議を醸した。受験者数が激減した原因は、受験資格の変更にあるとされている。

 介護福祉士国家試験の受験資格を得るには、福祉系高校の卒業や養成施設の修了、そして経済連携協定(EPA)を締結している国から派遣されるなど、複数のルートが用意されている。その中でもっとも多いのが、「実務経験ルート」だ。今回も、受験者の94.7%がこれに該当している(前回試験では96.4%)。

 「実務経験ルート」を経て受験する場合、前回試験までは3年以上の実務経験があればよかった。しかし、今回試験からそれに加えて「実務者研修」を修了することが必要になったのである。介護系の資格を持っていない場合は450時間(6カ月間)、介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)の資格を持っていれば130時間免除され、期間も1カ月以上と短縮されるが、それでも320時間の研修を受けなければならない。

 もちろん、費用もかかる。業者によって差があるが、10万円以上は必要とされており、介護職員として仕事をしながら受講するには、時間的にも費用的にも負担になることは明らかで、介護福祉士試験の受験者数が激減したのもうなずける。

 ただし、「実務者研修」の内容は、介護職としてのスキルを高めるのに最適であることは確かだ。従来、医師や看護師以外は認められていなかった「たん吸引」や「経管栄養」といった医療行為も実践的に学べるため、介護現場でより幅広い活躍ができるようになる。現在、介護職員の処遇改善が課題となっているが、現場レベルを全体的に引き上げることで専門職としてのステータスを上げ、給与の底上げにつなげることも期待できよう。

今回、受験者数が激減し、それに伴って合格者数も減ったことは、深刻な人手不足に悩まされる介護業界にとって確かに痛手だ。一方で、格段に高い合格率となったのは、受験者のレベルが総体的に上がったことの証左でもある。今後、要介護者が増えるに従って、ニーズが多様化・高度化していくことを考慮すれば、良質な人材を増やしていくことが必要であり、受験資格が変わったばかりの今は、業界全体の質を上げていくための過渡期と見るべきだろう。

◆介護福祉士をリーダーに育成するため養成カリキュラム見直しへ
未経験者や中高年対象の入門資格も導入を本格的に検討

――厚生労働省
3月28日、厚生労働省の社会保障審議会「福祉部会福祉人材確保専門委員会」が開かれ、介護福祉士の養成カリキュラムが見直される方針が明らかにされた。また、介護人材のすそ野を拡大するため、介護職員初任者研修の下位資格と位置付けられる入門資格を新たに導入することも本格的に検討を開始した。入門資格は、早ければ2018年から制度をスタートさせる。

現在の介護現場では、介護職の上位資格者である介護福祉士と、その他の職員で明確な役割分担がなされていない場合が多い。地域包括ケアシステムを実現するには、多職種連携をスムーズに進めるとともに、チームケアでの介護が重要となってくる。そこで、現場で中核的な役割を果たせる存在として、介護福祉士をチームリーダーとして育成していきたいというのが厚労省の考えだ。

では、チームリーダーが担うべき役割とは何か。厚労省は3つ提示している。まずは「高度な技術を有する介護の実践者」であること。認知症や障害の特性、終末期など看取りを含め、利用者の状態に合わせた適切な対応を行う判断力や、さまざまな職種と連携して業務を遂行する能力も必要だ。

2つ目は、「介護技術の指導者」。チーム内の他の介護職員に対して、エビデンスに基づいた技術の指導・伝達を行うほか、一人ひとりの能力を引き出したり、さまざまな状況でフォローを行ったりすることも求められる。

3つ目は、「介護職チーム内のサービスのマネジメント」。チームのサービスの質を改善するのはもちろん、介護計画に沿ったケアができているかを管理するほか、連携する多職種との情報共有や情報収集も必要となる。

いずれも高度な内容であるため、必要な知識・技術を分野ごとに修得できる養成プログラムを検討しようというわけだ。検討にあたっては、既存のカリキュラムを見直し、内容の統廃合を行ったうえで、受講者の負担が増えないよう配慮する。具体的には、認知症に関する学習内容を充実させるほか、医師、看護師など多職種との連携を意識した実習を設けたいとしている。

また、この日の会合では、リーダーの養成だけでなく、介護人材を広く確保するための取り組みとして入門資格の導入についても考え方が提示された。介護業界未経験者が不安視するのは、得なければならない知識や技術の多さ。実際、現在の入門資格である「介護職員初任者研修」は130時間の研修を受けなければならず、ボランティアとして携わりたい人にとっては敷居の高さは否めない。

そこで、新たな入門資格の取得のための時間は、受講負担を考慮したものにする意向。昨年11月に開かれた同会合では、「介護職員初任者研修」の半分程度の時間にする案が提示されており、65時間程度になる可能性が高い。研修の内容も、介護保険制度の基礎知識や、移動や着脱などの基本的な介護の方法、認知症に関する基本的な理解、緊急時の対応方法などに絞り込み、必要最低限の知識・スキルが得られることを目標にする。中高年を含めた多様な人材の参入を促す施策として、人手不足解消の一助となる効果が期待される新資格となりそうだ。

◆特養の待機者、3年間で約15万8000人と大幅に減少
入所要件の変更およびサ高住の増加による影響か

――厚生労働省
3月27日、厚生労働省は2016年4月時点の「特別養護老人ホームの入所申込者の状況」を発表。特養は入居待ちの待機者の多さが問題となっているが、前回調査時の2014年よりも約15万8000人減少し、約36万6000人となったことが明らかとなった。

特別養護老人ホームは、建設時に公的支援が受けられることもあり、利用料が格安で入居一時金も不要。そのため入居希望者は非常に多く、厚労省が前回調査を実施した2014年3月時点で、入居待ちの待機者が約52万4000人にのぼった。この数字が深刻なのは、その前に厚労省が調査を実施した2009年から約10万人も増えていた点。高齢化が急速に進むことを考えれば、右肩上がりに待機者が増えていくことは容易に想像できた。

その状況に危機感を募らせた政府は、思い切った施策を打つ。特別養護老人ホームへの新規入所者を、原則として要介護3~5のみに限定したのだ。要介護3とは、「日常生活動作及び手段的日常生活動作の両方の観点からも著しく低下し、ほぼ全面的な介護が必要となる状態」。ちなみに、要介護1・2は「部分的な介護が必要となる状態」とされている。つまり、なんとか自分で日常生活ができるのであれば、特別養護老人ホームには入居できなくなったのである。

ただし、たとえ要介護度が低くても、認知症を発症して徘徊をしてしまうなど、自宅での生活が困難な「やむを得ない」場合は、特例で入所することが可能となっている。今回の調査では、要介護1・2で「やむを得ない」理由から入所申し込みを行い、待機している人の数は約7万1000人。これは、前述した36万6000人に含まれる数字のため、制度改正の効果は着実に表れていると言える。

また、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の増加も、待機者が減少した理由だろう。2009年の法改正によってスタートしたサ高住は、建設費の10分の1または改修費の3分の1が国から補助されることから急増。国は、地域包括ケアシステムの中核的存在としてサ高住の整備に力を入れており、今年2月末の時点で約21万5000戸が登録。3年後の2020年までに60万戸をつくる予定となっている。大幅に減少したとはいえ、まだ36万人以上が特養の入居を待っている状況は、決して望ましいものではない。しかし、あと3年間で約40万戸の増加を目指すサ高住が受け皿として機能すれば、待機者がさらに減ることも期待できるのではないだろうか。

◆職場環境の「見える化」から組織改善のサポートまで
ウェブで一元管理する人財活性化プログラム「CAP」が登場

――株式会社パイプドビッツ 株式会社IDO
3月21日、情報資産プラットフォーム事業を展開する株式会社パイプドビッツは、株式会社IDOに同社の情報資産管理プラットフォーム「スパイラル」を提供したと発表。医療・介護業界向け人財活性化プログラム「CAP (Care facility Assistance Program)」のシステム基盤に活用することで、ウェブでの一元管理を実現させた。

株式会社IDOは、介護・福祉総合相談事業を展開している。介護現場の職員育成や離職率改善に取り組む中で、介護現場の課題を早期に発見する必要性を痛感し、職員の意識調査・分析にウェブを活用するプログラム「CAP」を構築した。

「CAP」は、意識調査などの結果を「見える化」できるのが特長。介護職員だけでなくリーダーや管理職、経営者も含めて調査を行うことで、組織の課題が明確化できるというわけだ。ストレス簡易チェックや、取り組みに対する職員のリアクション確認も可能。さらに、介護業界に精通するプロのアドバイザーがカウンセリングを実施。介護職員のメンタルヘルスを改善し、職員の育成に悩むリーダー層に適切なアドバイスを行う仕組みとなっている。働きやすい職場環境を整えるには、適切なメンタルヘルスケアが欠かせないが、事業所内にメンタルヘルスの専門家がいることは少ないため、「CAP」を活用するメリットは大きい。

メンタルヘルス対策を怠らない効果は、安定した人材確保にもつながる。公益財団法人介護労働安定センターが実施した「平成27年度介護労働実態調査」によれば、介護関係の仕事をやめた理由でもっとも多いのは「職場の人間関係に問題があったため」で25.4%。次いで「法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不満があったため」が21.6%となっており、現場で適切なケアを行うことで離職を防ぎ、組織の活性化につながることが期待できると言えよう。とりわけ、職員数が増えてくるときめ細かいフォローが難しくなってくるため、「CAP」のようなシステムを有効活用するなどして組織改善を検討するのもひとつの方法だと言えよう。

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