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医療経営情報(2016年7月7日号)

2016/7/13

◆A項目・無菌治療室の治療は多床室でも一定条件で該当
厚労省、診療報酬疑義解釈第5弾 看護必要度ほか

――厚生労働省
厚生労働省は6月30日、2016年度診療報酬改定に関する「疑義解釈資料の送付(その5)」について事務連絡を行った。16年度改定では、一般病棟用の「重症度、医療・看護必要度」について、A項目・B項目の見直し、C項目の新設など、大きな見直しがあり、さらに具体的な評価対象や手法についての見直しも加えられた。
今回の連絡では、(1)一般病棟用の重症度、医療・看護必要度、(2)地域移行機能強化病棟入院料、(3)在宅時医学総合管理料――などに関するQ&Aが中心となっている。

(1)はA項目に関し、「重症度、医療・看護必要度」の評価項目の(A項目=モニタリング・処置)のうち、「7専門的な治療・処置」の「無菌治療室での治療」について新たな解釈を追加。
「無菌治療室での治療」の留意点に関し、「一般病棟用の重症度、医療・看護必要度に係る評価票評価の手引き」では、個室であることを求めている。厚労省はこの点で「個室ではなく多床室で実施した場合も、一定の条件(パーテーションなど)を満たすことで個室に準ずる状態を維持し、室内の空気清浄度等の基準を満たす場合には個室に該当する(2点)」として差し支えないと説明している。
施設基準の解釈通知(今年3月)では、「無菌治療室での治療」は、施設基準の解釈通知において「移植後、白血病、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、重症複合型免疫不全症などの患者に対して、無菌治療室での治療が必要であると医師が判断し、無菌治療室での治療を6時間以上行った場合」に2点と評価されるとある。

(2)について、2016年度診療報酬改定では、長期入院の精神疾患患者の地域移行を進めるため、精神保健福祉士などの職種を重点的に配置して、居住先の確保等の退院支援を重点的に行う精神病棟を評価する【地域移行機能強化病棟入院料】を新設した。
施設基準の「保険医療機関に1年以上入院していた患者のうち、病棟から自宅等に退院した患者」について、身体合併症の診療のために別の保険医療機関に短期間転院して再度、転院した患者のうち、入院期間が通算される再入院の場合に限り、入院期間を合算して1年以上の患者を含めることができると解説している。

(3)については、「胃瘻カテーテルは在宅医療における重症者には該当しない」との解釈が示された。これは特掲診療料の施設基準等の「在宅時医学総合管理料及び施設入居時等医学総合管理料に規定する別に厚生労働大臣が定める状態の患者」や、「頻回訪問加算に規定する状態等にある患者」には、胃瘻カテーテルを使用している患者は該当しないと説明している。

◆厚労省、認知症患者支援の地域資源活用状況を発表
「新オレンジプラン」で砂川市など全国4カ所調査

――厚生労働省
厚生労働省は6月28日、認知症患者支援のため地域資源活用を促す「新オレンジプラン」の活用状況について発表した。日本の認知症高齢者の数は、平成24年で約462万人、平成37年には約700万人に増加し、65歳以上の約5人に1人に達すると推計されている。
厚労省は昨年1月に、認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で暮らし続けることができる社会を実現するため、「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~」を策定した。
調査の目的は、認知症の人が自分らしく暮らし続けることができる地域づくりについて、自治体が地域資源を活用しながら主体的に進めている取組内容等を報告することで、他自治体、関係機関等の参考情報として活用されることを目的としている。
調査対象は、北海道砂川市・岩手県岩手郡岩手町・兵庫県川西市・熊本県山鹿市。

自治体における新オレンジプランの実施状況について(概要)
 認知症サポーターの養成と活動の支援ほか(熊本県山鹿市)
山鹿市では、認知症サポーターの養成と活動を支援している。認知症サポーター養成講座の受講対象者である民生委員・企業・学校等に応じた講座内容の工夫と、認知症に関する啓発活動を通じた認知症高齢者等にやさしい地域づくりの推進が実施されている。

認知症初期集中支援チームの設置(北海道砂川市)
砂川市では、認知症初期集中支援チームが設置された。認知症患者の緊急性等の判断に基づいて往診・訪問介護サービスなどを調整。支援対象者宅の訪問対応と医療機関等に引き継いだ後のフォローアップを行っている。

医療・介護関係者等の間の情報共有の推進(兵庫県川西市)
川西市では、医療・介護関係者等の間の情報共有を推進中。地域医師会等との協力による医療介護情報連携ツール導入・普及が行われており、家族介護者と医療・介護の専門職が円滑に意志疎通を図るためのツール内容の工夫がなされている。

地域での見守り体制の整備(岩手県岩手町)
岩手郡岩手町では地域での見守り体制が整備され、郵便・水道・ガス・新聞等、地域で訪問業務を行う事業所の参加による高齢者の見守り、地域ネットワークにおける同意に基づく個人情報の共有等による見守りを実施している。

このほか、各自治体における各種の取組みでは、「認知症の人が目標を持って取り組むことができる活動の推進」、「地域の交流サロン」、「介護予防拠点における認知症の人とその家族や地域住民の交流促進」などが活発におこなわれている

*新オレンジプラン(厚労省の「認知症施策推進総合戦略」の通称)。
「認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域の良い環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指す」ことを基本的考え方とする。
その柱は、1.普及啓発 2.医療介護 3.若年性認知症 4.介護者支援 5.認知症患者など高齢者に優しい地域づくり 6.研究開発 7.認知症の人や家族の視点の重視

◆65歳以上人口、4分の1超 全県で15歳未満上回る
5年ぶり2015年国勢調査 人口が初のマイナスへ

――総務省
総務省は6月29日、2015年国勢調査抽出速報集計結果を発表した。
人口速報値によると、総人口に占める65歳以上人口の割合は調査開始以来最高となる26.7%で、初めて総人口の4分の1を超えた。全都道府県で65歳以上人口の割合が15歳未満人口の割合を上回り、高齢化が進む現状が改めて浮き彫りとなった。65歳以上の人口は3342万人で、総人口に占める割合は05年、10年の調査に続き3回連続で世界最高となった。前回調査からは3.7ポイント上昇している。
総務省は「この5年間で『団塊の世代』が65歳以上となり、割合が大きくなった」(統計局)と分析している。一方、15歳未満の人口は1586万人で、総人口に占める割合は12.7%と、世界で最も低い水準となった。

15年10月1日時点で外国人を含む日本の総人口は1億2711万47人と、10年の前回調査に比べ94万7305人(0.7%)減少した。国勢調査で総人口が減るのは1920年の調査開始以来、初めて。男性は6182万9237人、女性は6528万810人。

大阪府が68年ぶりに0.3%減少しており、これは第2次世界大戦後の1947年の臨時国勢調査以来のこと。10年調査で人口が増加していた9都府県のなかでは唯一の減少となった。大阪市内は1%増だが、郊外の市町村で減少が目立つ。大阪府を含む39道府県で人口が減り、東京圏への一極集中が進んでいる。

日本全体の人口が減るなか、増加を維持したのが東京圏の1都3県(東京、埼玉、千葉、神奈川)と愛知、滋賀、福岡、沖縄の各県。東京都の人口は1351万人と2.7%増えた。東京圏の人口は3613万人。5年間で51万人増加。全国に占める割合は0.6ポイント高くなり、28.4%に達した。増加率が最も高かったのは沖縄県の3%。
全国の世帯数は5340万3226世帯で、前回に比べ2.8%増えた。単身世帯の増加で、世帯数は過去最多を更新。1世帯当たり人数は過去最低の2.38人だった。
今回の調査は、11年3月の東日本大震災後、初の国勢調査となる。被災県のうち、福島県の人口は5.7%減った。減少率は10年調査に比べ2.7ポイント拡大した。東京電力福島第1原子力発電所事故で全域が避難区域となった浪江、富岡、大熊、双葉4町の人口はゼロになった。岩手県の減少率は3.8%、宮城県は0.6%と前回並みだったが、津波の被害を受けた宮城県女川町で37%減となるなど、沿岸部では減少が目立った。
15年調査の人口を国連推計による各国の人口と比較すると、日本の順位は10年調査時と同じ10位。11位のメキシコとの差は10年時点で約900万人あったが、15年では10万人弱まで縮まった。

総務省は「出生から死亡を引いた人口の自然減が大きくなっており、人口減少局面にはっきり入ってきた」と説明している。同省が毎月発表している推計人口では08年に総人口のピークを迎えたが、10年の前回国勢調査では在留外国人の増加などの影響で、05年比0.2%増だった。加藤勝信一億総活躍相は国勢調査で初の人口減に関して「少子高齢化、人口減少に対応していくのが我々の問題意識だ」と語り、人口減少に対応した成長戦略を策定する考えを示した。
*国勢調査
日本の人口や国民の就業実態などを把握する5年に1度の統計調査。総務省が約70万人の調査員を動員し10月1日時点で全世帯を対象に実施する。日本に3カ月以上住む外国人も含む。調査結果は最も実態に近いとされ、福祉政策や災害対策、選挙制度などの基礎データにする。西暦の末尾が5の年は簡易調査で基本的な17項目を調べる。末尾が0の年の大規模調査は質問項目が増える。人口調査にはほかに、住民票の情報を集約した住民基本台帳に基づく人口動態調査もある。

◆レセプト・特定健診等情報の提供でGLの改正案を提示
厚労省 倫理指針見直しで「適用対象」内容の修正案

――厚生労働省
厚生労働省は6月29日、「レセプト情報等の提供に関する有識者会議」を開催し、「レセプト情報・特定健診等情報の提供に関するガイドライン(GL)の改正案」を議題とした。レセプト情報等の取扱いガイドラインは、有識者会議による審査等を行うことにより、レセプト情報・特定健診等情報DB(データベース)の情報を、高齢者医療確保法に基づく医療費適正化計画の作成のための調査、及び分析等の本来目的以外の利用で、医療サービスの質の向上等を目的に行う分析・研究に利用することを認めることを目的に策定されたものである。
この会議は、平成22年10月、厚労省が収集したレセプト情報等の第三者への提供を行うため、省内に有識者会議を設立し、第三者提供のためのガイドライン策定を重要課題としてスタートした。

一方で厚労省以外にも、自治体・医療機関・保険者は、それぞれ自らのレセプト情報等を保有しており、医療の効率化・医療の質の向上等を実現するため、当該情報を積極的に活用することが重要という認識で共通している。さらに、国民側に立って自治体、医療機関、保険者のレセプト情報等の活用を推進するため、利活用の方向性を具体的に示すことも重要であろう。電子化されたレセプト情報等は、厚生労働省や個々の医療機関、保険者内での蓄積が進んでおり、当該データを医療の効率的な提供の推進等にも活用することが求められている。
この日の会議で、1.第三者提供の現状について、2.社会医療診療行為別統計にかかるガイドラインの改正について、3.レセプト情報等の民間提供について、4.オンサイトリサーチセンターについて、の4点を今後の議題とすることで一致した。オンサイトリサーチセンターとはレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)のデータ閲覧施設。

厚労省は改正案を示し、レセプト情報等の提供依頼申出手続きの「あらかじめ明示しておく事項」に関し、レセプト情報等を用いた研究は原則として「疫学研究に関する倫理指針」の適用対象となることとしていたが、倫理指針が見直されたため、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の適用対象になることに修正すると提示した。また、「提供依頼申出者の範囲」に「市区町村」を追加している。

他方、「提供依頼申出者による研究成果物等の公表」に関しては、最小集計単位の原則(患者等の数が10未満になる集計単位が含まれないこと)について、市区町村の場合の公表基準の改正を提案した。
具体的には(1)人口2,000人未満の市区町村では患者等の数を表示しない、(2)人口2,000人以上25,000人未満の市区町村では患者らの数が20未満になる集計単位が含まれない、(3)人口25,000人以上の市区町村では患者等の数が10未満になる集計単位が含まれない――ことを求めている。
さらに、「社会医療診療行為別統計の取り扱い」に関し、集計が全てNDB(ナショナルデータベース)データを基にしたものとなるため、統計利用に同ガイドラインの適用を追加するとしている。

医療の効率化に資するレセプト情報等の利活用のあり方
医療機関の設備状況や治療行為等といった情報を客観的データで見える化し、医療資源の最適配分等を行うことで、医療の効率化に繋げることができる。さらに地域の病院の平均的パフォーマンスや診療プロセスと、自病院のそれを比較することにより、自病院の長所・短所を把握。結果として、病院経営の効率化・医療の質の向上に繋げることができる。

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