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医療経営情報(2016年4月21日号)

2016/4/25

◆厚労省、4月18日現在の熊本地震対応策を発表
医療救援DMAT265隊、心のケアにDPAT13隊派遣

――厚生労働省
厚生労働省は「熊本地震」(「熊本県熊本地方を震源とする地震」)に関する4月18日12時00分時点のまとめを発表した。特に医療施設(4/18 10:30)の被害状況について、熊本周辺の主要な医療機関の被災が想定され、厚労省が直接確認した65施設の概況は以下の通り。
○「建物損壊のリスクがある医療機関」6カ所、「ライフライン(電気・ガス・水道)の供給に問題のある医療機関」20カ所
○熊本県内の透析病院94施設の患者6,393人のうち、透析の対応ができない病院が21施設・患者約1,600人。理由の内訳は「建物・器機の破損」7施設、「透析機器の破損」1施設、「透析用の水の不足」13施設
○「連絡が取れない医療機関」4カ所、「問題がない医療機関」38カ所という状況

特に対応が必要となった医療機関における対応状況
○熊本県内で患者受け入れ困難に陥っていた主な医療機関の状況――基幹病院の診療機能は、DMAT(災害派遣医療チーム)の支援等により、徐々に改善傾向
①熊本赤十字病院(490床)――震災発生直後に停電により患者受け入れ不可となり、その後も患者の殺到により患者の受け入れ不可状態が続いていたが、ドクヘリ(医療ヘリコプター)搬送、近隣病院への患者分散等により状況は改善。透析患者の受け入れ開始。(4/17 1:00)
②済生会熊本病院(400床)――4/16未明以降、患者の過剰状態となっていたが、済生会グループからの医師派遣やドクヘリによる患者搬送により状況は改善。(4/17 1:00)

患者の大量搬送を要する医療機関における対応
③熊本市民病院(437床)――倒壊の危険から、入院患者の他院への搬送が必要となったため、県内外の病院等に、救急車、ヘリ等で323人全員の患者搬送を実施済み。(4/16 14:45)
④熊本セントラル病院(308床)――4/16 1:30頃スプリンクラーが作動し、建物7階(東館、西館)がほぼ水浸しの状態となり、入院患者約200人(車いす約170人、ストレッチャー約30人)の他院への搬送が必要となった。このため、自衛隊、消防の協力を得て、全ての患者について、16日中に県内外の他の医療機関に患者搬送を実施済み。(4/16 23:00)
⑤東熊本病院(308床)――病院のライフラインが途絶したため、入院患者43人を全て転院済み。(4/16)
⑥西村病院(192床)――病院損壊により、入院患者96人を系列施設に転院済み。(4/16 14:00)
⑦くまもと森都総合病院(199床)――病院損壊により、2病棟のうち1病棟使用不可。入院患者64人が転院または退院済み。(4/16 19:00)自力で動けない患者96人をDMATで搬送調整中。(4/17 10:30)自力で動けない患者13人をDMATにより搬送。残りの患者83名について、近隣の医療機関への転院を調整中。(4/18 9:00)
⑧精神科病院関係――病院のライフラインの途絶などのため、益城病院、希望ヶ丘病院において、転院等が必要となった全ての入院患者について、熊本県精神科病院協会と連携して転院が完了(4/17 12:00)。あおば病院、小柳病院、城南病院、その他1病院(対象患者数計約430名)からの転院依頼を受け、患者搬送について調整中。順次転院等を実施中。
⑨国立病院機構熊本医療センター及び熊本赤十字病院において、患者集中による、小児科医の疲弊が激しいことから、厚労省の仲介により、県が小児科学会へ派遣打診。今後、DMATが具体的な調整を実施。(4/17 17:00)県が小児科学会へ派遣要請済みであることを確認。(4/18 12:00)

○被災した医療機関に水、食料や看護師等の不足状況を毎日確認し、ニーズを聞き取って、担当部局や関係団体等に着実につなげ、早期の改善を図る。4月17日時点で、食品に関して要望がある19施設のうち、8施設に対応済、飲料水に関して要望がある18施設のうち、10施設で対応済み。また看護師に関しての要望については、国立病院機構2施設(熊本医療センター、熊本再春荘病院)に佐賀県の嬉野医療センター等から11名を派遣する方向で調整中。(4/18 12:00)

社会福祉施設等に関しては、熊本県の調べで県内の高齢者施設1,234施設のうち、連絡がついた施設は1,207施設で、27施設と連絡がつかない状況。連絡がついた施設の人的被害は13施設で23人が外傷・骨折など。なお、人命にかかる被害は連絡されていない。

救護活動に関しては、九州ブロックのDMAT(災害派遣医療チーム)に加え、最大限、機能的に活動するため、近畿以東の地域にも派遣要請を順次拡大。4月18日時点で165隊が任務にあたっている。厚労省はさらに100隊が熊本に移動中で、配備が進む見込み。
避難者の心のケアのため、DPAT(災害派遣精神医療チーム)調整本部を熊本県庁内に設置。13隊が活動し、精神科病院の約430人の患者の転院支援や避難所などでの被災者の心のケアにあたっている。

◆熊本地震に伴う保険診療などの取扱いを周知 厚労省
被災地における円滑な介護サービス提供を要請

――厚生労働省
厚生労働省は、4月18日付で「平成28年熊本地震の被災に伴う保険診療関係等及び診療報酬の取扱い」について事務連絡を急遽行った。その内容は、(1)保険医療機関等の建物が全半壊した場合の取り扱い、(2)保険調剤の取り扱い、(3)定数超過入院、(4)施設基準の取り扱い、(5)診療報酬の請求等の取り扱い、(6)訪問看護の取り扱いについて――などに関する連絡となっている。

(1)では、保険医療機関(薬局を含む)の建物が熊本地震によって被災し、仮設の建物などで診療や調剤を行う場合は、保険診療または保険調剤として取り扱って差し支えないとしている。

(2)では、被災地の保険薬局において、(ⅰ)被災により、被保険者証・健康手帳等を保険医療機関に提示できなかった場合、事業所名や住所を調剤録に記録する、(ⅱ)処方せんに保険医療機関の記載がない場合、処方せんの交付を受けた場所を患者に確認し、救護所、避難所救護センター、その他保険医療機関である――ことで保険調剤として取り扱って差し支えないとした。

(3)では、被災地での保険医療機関の状況を踏まえ、被災者を受け入れたことで超過入院となった保険診療機関は、「厚生労働大臣の定める入院患者数の基準並びに入院基本料の算定方法について」の規定にかかわらず、減額の対象にしないとしている。

(4)では、被災地の保険医療機関に職員を派遣したことにより、一時的に人員不足となり、入院基本料の施設基準を満たすことができなくなる保険医療機関については、当面、月平均夜勤時間や、看護要員数と入院患者数の比率に変動があっても変更の届出を行わなくてもよいと述べている。

他にも、4月17日付で「災害により被災した要介護(支援)高齢者の介護保険施設等の利用」に関する事務連絡が行われた。この事務連絡は、熊本地震で被災した介護を必要とする高齢者の状況や実態の把握、介護サービスの円滑な提供について柔軟な対応を市町村などに求めている。

介護保険施設などについて、定員超過利用となっても所定単位数の減算は行わず、所定の介護サービス費の対象とするほか、特定施設入居者生活介護についても同様とする。
また、居宅サービスについては、自宅以外の場所(避難所や避難先の家庭、旅館など)でも必要なサービスを受けられるよう、介護サービス事業者や居宅介護支援事業者に協力を求めるなどの対応を依頼している。さらに、被災によって居宅サービスや施設サービスに必要な利用者負担をすることが困難な場合は、介護保険法に基づき、市町村の判断により負担を減免できることを示した。

◆治験や先進医療など既存の評価療養との関係を整理
「患者申出療養」実施に向け評価会議始まる

――厚生労働省
厚生労働省の「患者申出療養評価会議」の第1回会議が4月14日に開催された。患者から申し出があった未承認の医療技術について、保険診療との併用を認めるかを検討する制度の詳細な運用方法について議論する初の会議。座長には、聖路加国際病院院長の福井次矢氏、座長代理には国立成育医療研究センター理事長の五十嵐隆氏がそれぞれ選任された。委員は、医学や薬学、生物統計、臨床研究などの専門家、患者代表など、計18人で構成。
評価会議は、患者から申出があった医療技術について、必要に応じて評価会議の下に主にがん等に関する技術評価を行う第1分科会と主に難病等に関する技術評価を行う第2分科会をそれぞれ設置して検討する体制で臨む。

患者申出療養は、安倍首相自らが創設を決めた保険外併用療養制度。患者が最先端の医療技術などを希望した場合に安全性・有効性等を確認したうえで、保険外の診療と保険診療との併用を認めるもので、2016年4月1日に施行された。社会的にも大きな関心を呼んだ患者申出療養だけあって、初会合の会議室の一般傍聴席はほぼ満員となるなど今後の行方に対して注目が高まっている。

この日は、制度の詳細な運用方法について議論し、治験や先進医療といった既存の評価療養との関係を整理した。会議の冒頭で厚労省は「国内未承認の医薬品などを迅速に保険外併用療養として使用したいという患者の思いに応えるための、患者からの申出を起点とする新たな保険外併用療養の仕組み」として創設したと説明した。このことは当制度の対象が、当初海外承認済・国内未承認薬と想定されたものの、結果的には、極めて広い範囲に及ぶことを示唆しているともいえる。
患者申出療養として、前例がある医療は原則2週間、前例がない初の医療は原則6週間の速さで実施される。また、国が安全性・有効性等を確認し、保険収載に向けた実施計画の作成などの報告を臨床研究中核病院に求める制度で、国民皆保険の堅持を前提とすると述べた。

今回、これらを踏まえ、厚労省は「申出が予想される技術等」に関して保険収載を目指さないものを除外した上で、考えられる分類を次のように提案した。
(1)未承認等の医薬品等の使用、医薬品等の適応外使用の、いずれも伴わない医療技術
(2)未承認等の医薬品・医療機器・再生医療等製品の使用または医薬品等の適応外使用を伴う医療技術
 ・海外未承認の医薬品等
 ・海外承認・国内未承認の医薬品等で、海外で承認されていない適応
 ・海外承認・国内未承認の医薬品等で、海外で承認されている適応
 ・国内承認の医薬品等で、承認されていない適応

患者申出療養実施に該当するか否かの判断
患者申出療養の運用の詳細に関して「申出が予想される技術」のほか、「実施可能な医療機関の追加」、「他制度との連携」などを議論した。

申出が予想される技術に関しては、厚生労働大臣に対する申出の際に必要となる臨床研究中核病院が作成する意見書を提出できない場合として、「科学的根拠等が不足している」、「専門的な対応が可能な他の臨床研究中核病院がある」、「医薬品等が入手不可能である」ことを想定していると述べている。
また、実施医療機関の追加に関して厚労省は、臨床研究中核病院間の連携を図るため、患者の申出を受けて意見書を作成した臨床研究中核病院以外の臨床研究中核病院も原則として実施医療機関とすることなどを提案している。

一方、患者に対して迅速に医療を提供する観点から、他の既存の評価療養を利用できる場合、十分に活用を考慮するべきと説明。さらに、患者申出療養は将来の保険導入を目指すものであり、保険診療で用いられる医薬品等は治験を通じて薬事承認を得ていることが原則になると述べた。
このため、患者申出療養に該当するか否かの確認の流れとして、(1)治験、(2)拡大治験(日本版コンパッショネートユース)、(3)先進医療――の順に参加可能性をそれぞれ判断し、いずれにも参加できない場合に、患者申出療養としての実施を検討することを想定していると説明した。

続いて、実施を検討する際は、流れとして、(ⅰ)欧米での承認など実施可能なエビデンスがあるか、(ⅱ)医薬品の入手が可能か、(ⅲ)実施体制などの観点で実施可能か――の順に確認し、いずれも満たす場合に実施するとしている。しかし今後検討しなければならない重要事項は残っている。例えば個別新薬の安全性、臨床中核病院や特定機能病院の体制、保険収載までの工程、メーカー是認の可能性、患者負担相場額などの細部の詰めが急がれる。

◆2015年度耐震化率、病院全体69.4%、災害拠点病院等84.8%
厚労省 病院の耐震改修状況の調査結果、公表

――厚生労働省
厚生労働省は4月13日、2015年の「病院の耐震改修状況調査の結果」を公表した。入院患者の安全確保などのため、2009年度から「医療施設耐震化臨時特例交付金」により病院の耐震整備に補助を行う基金を厚労省が都道府県に設置して以来、年々基金を積み増して耐震化が促進されてきた。
2015年度の病院(8,477施設)の耐震化率は、「全ての建物に耐震性がある」69.4%(2014年度は67.0%)、「一部の建物に耐震性がある」8.5%(同8.6%)、「全ての建物に耐震性がない」1.5%(同1.4%)、「耐震性が不明」20.6%(同23.0%)。
このうち、地震発生時の医療拠点となる災害拠点病院および救命救急センター(計712施設)の耐震化率は、「全ての建物に耐震性がある」84.8%(同82.2%)、「一部の建物に耐震性がある」12.4%(同12.9%)、「全ての建物に耐震性がない」0.1%(同0.7%)、「耐震性が不明」2.7%(同4.2%)。
この調査結果について厚労省は「耐震化率は年々、着実に進捗している」と順調さをアピールしているが、5年前の東日本大震災発生時から比較して「大幅」とまではいえない。理由には「工事の経費増」(予算オーバー)などが指摘されている。今回、熊本市内の病院では、地震被害で天井がはがれたケースや透析装置の不調がでている。
この際、もう一度地域特性の異なる神戸淡路(地震・火災)、東北三陸津波、今回の熊本地震(都会と山間部)の3か所の精査をすることが、南海トラフ発生など次への備えとなるはずである。

厚労省は「自然災害の『犠牲者ゼロ』を目指すための総合プラン」(平成20年4月23日中央防災会議決定)において、2010年度までに災害拠点病院及び救命救急センターの耐震化率を71.5%とする目標を定めている。病院の耐震化については、地震発生時の病院の倒壊・崩壊を防ぎ、入院患者等の安全を確保するとともに、被災者に適切な医療を提供していく観点から、重要な課題となっている。このため厚労省では、病院の耐震改修状況の調査を行うとともに、各種補助事業により病院の耐震化を促進してきている。

一方、内閣官房の国土強靱化推進本部が作成した「国土強靱化アクションプラン2015」(平成27年6月16日国土強靱化推進本部決定)では、平成30年度までに災害拠点病院及び救命救急センターの耐震化率を89.0%とする目標を定めている。(平成28年度には耐震化率87.8%となる見込み)」

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