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医療経営情報(2015年11月19日)

2015/11/24

◆医療事故の報告件数は20件 「報告は想定より少ない」
医療事故調査制度、開始1カ月状況 日本医療安全調査機構

――日本医療安全調査機構
今年10月にスタートした「医療事故調査制度」では、患者が死亡する医療事故が発生した場合、病院側は、第3者機関に報告し、院内調査を行うことが義務づけられている。その第3者機関である日本医療安全調査機構は11月13日、「医療事故調査制度1カ月の状況」を公表した。10月1日にスタートした医療事故調査制度の1カ月間の状況(10月31日現在)の初報告となる。

同機構に寄せられた医療事故の報告件数は、20件あった。内訳は、病床数が20床以上の病院からが15件で、20床未満の診療所・助産所が5件だった。この数字に同機構は「当初の予想数より少なかった」と意外な表情を浮かべているが、その理由として機構は「判断に時間がかかっている面もあり、制度が定着すればもう少し増えると思う」と説明している。

ただし機構側の指摘する「新制度の周知が行き届いていなかった」ことを根拠とするのか、一つには「医療機関が報告対象になるのか判断に迷っているのでは」と機構側ではみている。いずれにせよ同機構の新・医療事故調査制度スタートに際して、患者側代表からの不満が出ていたことも国民からの認知度深度に医療機間側にも心理的ブレーキをかける遠因となっているかどうか、今後、多角的な検証が必要だろう。
医療機関などから寄せられた相談は1カ月間に274件あったのは「迷い」の証左になるのかも。調査対象になるのかどうか判断を求める相談が約4分の1で、院内調査や報告の手続きに関する相談も多かったのは裏側の事情を浮き彫りしていそうだ。

同機構の発表概略は次の通り。
10月1日から10月31日までの医療事故報告受付件数は20例、相談件数は250件だった。なお、相談は医療機関からのものが多く、「医療事故報告の範囲やその判断」に関する相談が約25%、「院内調査」に関する相談(支援の求め方を含む)が24%、そのほか、相談や報告の「手続き」に関する内容は22%、「センター調査」に関する内容は5%となっている。診療科別では消化器外科が5件と最多で、産科が4件だった。

「日本医療安全調査機構」は一般社団法人で、日本内科学会、日本医学会、日本外科学会、日本病理学会、日本法医学会の5団体で立ち上げたが、その中核を担ってきたのが日本内科学会で、その役割を今、日本医療安全調査機構が引き継いだ形になる。
同制度は医療の安全と質の向上を目的とし、全国約18万カ所の病院や診療所などが対象。診療行為に関連した患者の予期せぬ死亡や死産があった場合、(1)第三者機関への報告(2)院内調査の実施(3)遺族への調査結果の説明、を義務付けている。遺族か医療機関は院内調査の結果に納得できない場合、機構に独自調査を依頼できる仕組み。

◆ジェネリック調剤を積極的に行う7薬局の取り組み方
「薬価負担軽減」「副作用」「納得まで」説明丁寧に

――厚生労働省
厚生労働省では11月16日、ジェネリック医薬品の調剤を積極的に行っている7薬局について、ヒアリング調査した結果(「薬局における患者対応等に関する調査」)を取りまとめ公表した。
調査先として、社団法人日本ジェネリック医薬品学会からジェネリック医薬品の調剤に積極的として「推奨マーク」を付与された薬局を対象候補とした。このうち首都圏周辺に在り、大規模チェーンを除く薬局について、ホームページ掲載内容等を参考に4薬局を選定した。
これに公益社団法人日本薬剤師会の過去3年の学術大会で、ジェネリック医薬品等に関する取組事例の発表実績を有する薬局の中から、その事例内容等を考慮の上3薬局を選定し7薬局を調査の対象とした。なお、地域特性の中で培われた独自の運営ノウハウ等を収集するため、いずれも立地環境の異なる個人経営の薬局を選定している。(調査発表資料で薬局名はローマ字頭文字で店名は伏せてある)

【ヒアリング調査結果のポイント】
今回の調査では、(1)ジェネリック医薬品の評価と採用、(2)調剤時における患者対応、(3)服用後のアフターフォローの3段階に分けてヒアリングを行った。
その結果、調査先の薬局では、(1)ジェネリック医薬品への切替えを円滑に進めるため、総合的な評価に基づき医薬品を採用し、(2)患者に対して資料などを用いた丁寧な説明を実施しており、(3)さらに、服用後の継続的な薬効・副作用の確認を行い、患者に体調変化などが生じた場合は医療機関へ情報提供するなど、患者や医療機関との信頼関係の構築に努めていることがわかった。
今回の報告書は、厚生労働省ホームページに掲載し、薬局などに周知している。

●薬局における患者対応等に関する調査(概要)…ジェネリック医薬品の調剤を中心とした調剤の各段階における薬局の取組み方

ジェネリック医薬品の調剤に積極的な7薬局について、調剤の各段階における取組をヒアリング調査し、薬局などがジェネリック医薬品への円滑な切替えや患者二ーズに的確に応えるための参考情報として全国の薬局等へ提供する。

①①ジェネリック医薬品の評価と採用…収集した医薬品情報に基づき品 質、有効性や安全性はもちろん、経済的効果や製剤上の工夫点等を総合的に評価し、採用する。
②調剤時における患者対応…ジェネリック医薬品への切替え調剤に当たっては、薬剤情報提供文書に加え、先発医薬品との比較資料や具体的な薬価負担軽減額を提示・説明し、患者が理解 ・納得した上で銘柄を選択できるようサポートする。
③服用後のアフターフォロー…患者が安心して服用できるように継続的に薬効と副作用を確認し、万一、患者に体調変化等が生じた場合は、同意を得た後、処方医へ情報提供する。

調査のまとめ
調査の結果…調査先の薬局では、ジェネリック医薬品への切替えを円滑に進めるため、商品の総合的な評価に基づく採用、資料や薬価軽減額の提示等による丁寧な患者説明を実施している。さらに、服用後の継続的な薬効・副作用の確認と医療機関への情報提供(フィードバック)により、患者や医療機関との信頼関係の構築に努めている。

「よろず相談」などの取組みも
調査先の薬局では、ジェネリック医薬品等の調剤業務のほかに、次のような3分野で 発展的な取組みを推進している。
(1)薬局における相談機能の拡充 地域住民からの「よろず相談」の受け皿としての役割を、より進化した形で担う準備 を始めている。例えば、地域の医療機関情報に基づく受診勧奨、栄養士による栄養・食 事療法指導など、より進化した多様な相談機能を備えた薬局としての体制づくりに乗り出している。
(2)地域に出向く薬剤師 薬剤師が薬局内で患者を待ち受けるのみではなく、地域に積極的に出向き、より広い活動領域においてより多くの患者や住民との事業の展開を目指している。中でも在宅 患者訪問薬剤管理指導等を通じ、医師にとどまらず、ケアマネージャーや訪問看護師等、地域包括ケアシステムの多職種との連携を進めている。
(3)(3)お薬手帳の活用による「かかりつけ」機能の発揮 患者が他科受診している場合などにお薬手帳を提示しなければ、薬局では 患者の服用状況を総合的に把握できず、薬の飲み合わせや残薬等の問題をもたらす要因となる。このため、調査先の薬局では患者へお薬手帳の「1人1冊」保有による適切な使用を啓発することで、相談業務や多職種との連携をより効果的に推し進めている。


◆在宅・施設サービス、2020年代初頭に40万人増 1億総活躍本部
国民会議有識者「特養整備、待遇改善、健康づくり」等を提言

――厚生労働省
厚生労働省は11月12日、2回目となる「1億総活躍社会実現本部」を開催し、「実現に向けた取り組み」を議題として、その前提となる「一億総活躍社会の実現に向けた国民の皆さまからのご意見募集結果」を報告した。

意見総数 395件(306人・団体)
主な意見
(1)全産業の生産性革命の実現について78件(19.7%)
・労働時間削減のために時間外労働の割増率を50%にする
・個人消費を伸ばし生活の質を向上させるため、最低賃金の大幅引上げや大幅賃上げが必要など

(2)希望出生率1.8の実現について 125件(31.6%)
・保育所の待機児童の解消、保育士確保のための処遇改善
・子育てにかかるコストが高すぎる(医療費助成や教育費無償化が必要)など

(3)介護離職ゼロや生涯現役社会の実現について 129件(32,7%)
・ 介護のためにフルタイムの仕事を辞めた経験から、介護施設・介護サービスの拡充が必要と感じた
・ 介護利用料の負担軽減・無料化が必要 など

この後、塩崎恭久厚生労働大臣は1億総活躍国民会議の席上で資料提出し「一億総活躍の考え方」を報告した。「1億総活躍社会」実現を目的とする新3本の矢は、(1)希望を生み出す強い経済、(2)夢を紡ぐ子育て支援、(3)安心につながる社会保障――の3つの施策である。国民会議は「新3本の矢」の実現を目的とする「1億総活躍社会」プランの策定などに関して審議するため設置されたものと説明があった。

(1)では、医療・介護分野等の生産性革命のため、介護ロボットなどの活用推進や、ICTを活用したペーパーレス化による文書量の半減を実施。国、地方自治体、労使など関係者による働き方改革に向けた取り組みを支援する。
また、1人ひとりの労働生産の向上のため、若者・女性・高齢者・障害者などの就労を促進。GDP増加を踏まえた適切な成果配分のため、生産性向上につながる最低賃金の引き上げを行う。

(3)では、65歳以上の高齢者数は今後も増加し、特に介護を受ける可能性の高い75歳以上の高齢者数が急速に上昇。特に都市部での伸びが大きい。このため、地域包括ケアシステムの構築に必要となる介護サービスの確保を図るため、働く環境改善・家族支援を行う。また、十分に働ける人が家族の介護のために離職せざるを得ない状況を防ぎ、希望する者が働き続けられる社会の実現を目指す。
具体的には、在宅・施設サービスの整備を前倒して、2020年代初頭までに40万人分拡大するほか、介護人材を追加確保を行う。介護者の負担軽減に資する生産性の向上と、介護サービス活用のための家族の柔軟な働き方の確保に向けて、介護休業の制度改革・働き方改革・介護サービスなどの情報提供など周知強化などに努める。

12日の「1億総活躍国民会議」では有識者側の構成員等が資料提出して意見交換を行った。この日は(1)社会福祉法人ノテ福祉会(2)日本商工会議所――など16人が意見交換を行った。
(1)社会福祉法人ノテ福祉会では、対馬徳昭理事長は「介護離職ゼロを目指す」として、特別養護老人ホームの整備の促進を提案し、国有地を活用しての整備を拡充により自己所有から賃貸物件でも可能にすると述べている。
また、国の大きな施策である地域包括ケアを推進し、障がい高齢者には「定期巡回・随時対応型訪問介護看護の提供」、また、認知症高齢者には「小規模多機能型居宅介護の提供」を推進すべきと述べた。
介護人材の確保に関しては、給料の大幅な改善のため、制度改正を検討すべきと述べ、事務仕事の省略化とICTの導入、介護福祉士養成校への修学資金の貸付の拡充を求めた。

(2)では日商の三村明夫会頭が、日本健康会議は国民の健康寿命の延伸と医療費適正化のため、行政と民間組織(経済団体・保険者・医療関係団体等)が枠を超えて連携している旨を説明。民間主導で勤労世代の健康増進や、高齢者の就労・社会参加を促進し、経済の活性化、持続可能な医療制度の実現につながる具体的な活動を行うと述べている。

会議の目的の一つには「健康なまち・職場づくり宣言2020」を掲げ、予防・健康づくりについて、一般住民を対象としたインセンティブを推進する自治体を800市町村以上を目指している。また、かかりつけ医などと連携して生活習慣病の重症化予防に取り組む自治体を800市町村、広域連合を24団体以上にする。さらに、糖尿病対策推進会議等の活用を図り、健保組合など保険者と連携して健康経営に取り組む企業を500社以上にすると提案。協会けんぽなど保険者のサポートを得て健康宣言等に取り組む企業を1万社以上にするとしている。

◆医療・福祉業の平均給与、25万844円 厚労省
毎月勤労統計調査結果 前年同月比0.2%増

――厚生労働省
厚生労働省は11月9日、「毎月勤労統計調査(2015年9月分)結果速報」を公表した。常用労働者5人以上の約3万3,000事業所を対象に、賃金や労働時間、雇用の変動を調査している。

全体を総括すると①所定内給与は、前年同月比0.4%増の240,538円となった。②所定外給与は1.4%増加し、きまって支給する給与は0.4%増の259,535円となった。③現金給与総額は、0.6%増の265,527円となった。④実質賃金は、0.5%増となった。総実労働時間は、前年同月比0.9%減の143.5時間となった。このうち、所定外労働時間は、1.8%減の10.7時間となった。

製造業の所定外労働時間は、1.2%増となった。なお、季節調整値では、前月比0.2%増となった。常用雇用は、前年同月比2.0%増となった。このうち、一般労働者は1.5%増となり、パートタイム労働者は3.3%増となった。
今年の6~8月の「特別に支払われた給与」のうち賞与として支給された給与を特別集計すると、平成27年夏季賞与は356,791円となり、平成26年夏季賞与に比べ2.8%減となった。

【調査結果のポイント】
(前年同月比でみて)・現金給与総額は0.6%増(一般労働者は0.8%増、パートタイム労働者は0.5%増)

・所定外労働時間は1.8%減・常用雇用は2.0%増
▼医療・福祉業は25万844円(前年比0.2%増)
月間の平均現金給与額では、医療・福祉業は25万844円(前年比0.2%増)。なお、産業全体では26万5,527円(同0.6%増)だった。医療・福祉業の現金給与総額の内訳をみると、定期給与は24万8,688円(同0.3%増)、特別給与(賞与、一時金等)は2,156円(同4.7%減)。産業全体では、定期給与は25万9,535円(同0.4%増)、特別給与は5,992円(同14.0%増)だった。
月間の総実労働時間は、医療・福祉業では134.1時間(同0.9%減)で、このうち、所定外労働(早出、残業など)は4.9時間(同5.3%減)。産業全体では143.5時間(同0.9%減)で、このうち、所定外労働は10.7時間(同1.8%減)だった。

次に、労働者総数は、医療・福祉業は、649.5万人(同3.0%増)、このうち、一般労働者451.4万人、パートタイム労働者198.1万人。さらに、入職率は1.38%(同0.05ポイント減)、離職率は1.64%(同0.14ポイント増)だった。なお、産業全体では労働者総数は4,801.3万人(同2.0%増)、このうち、一般労働者3,346.3万人、パートタイム労働者1,455.0万人。

また、2015年6月~8月の賞与として支給された給与を特別集計すると、医療・福祉業における2015年夏季賞与は、事業所規模5人以上で25万7,278円(前年比4.7%減)、支給割合は0.87カ月分。事業所規模30人以上では29万7,983円(同4.3%減)、支給割合は1.01カ月分だった。
なお、産業全体では、事業所規模5人以上で35万6,791円(同2.8%減)、支給割合は0.95カ月分で、事業所規模30人以上では41万1,565円(同3.2%減)、支給割合は1.04カ月分と、事業所規模が大きいほど高額だった。

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