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医療経営情報(2015年10月29日号)

2015/11/2

◆厚生労働省 「平成27年版厚生労働白書」を公表
今年の第1部のテーマは「人口減少社会を考える」

――厚生労働省
厚生労働省は10月27日、この日の閣議で「平成27年版厚生労働白書」(平成26年度厚生労働行政年次報告)を報告し公表した。「厚生労働白書」は、厚生労働行政の現状や今後の見通しなどについて、広く国民に伝えることを目的に毎年とりまとめており、平成27年版は平成13(2001)年の「厚生労働白書」発刊から数えて15冊目となる
厚生労働白書は2部構成で、第1部は毎年テーマを決めて執筆している。今年は「人口減少社会を考える~希望の実現と安心して暮らせる社会を目指して~」とした。
具体的には、人口動向や人口に関わる施策の変遷をたどるとともに、背景・意識の分析、諸外国との比較を行いつつ、人口減少克服のための国の取組や、自治体・企業などの取組事例を紹介している。

第2部「現下の政策課題への対応」では、子育て、雇用、医療・介護、年金など、厚生労働行政の各分野について、最近の施策の動きをまとめている。
厚労省では、「この白書が、急速な少子高齢化とともに人口減少が進む現状について、改めて国民の皆さまと危機認識を共有し、議論を深めていただくきっかけとなればと考えております」とコメントしている。
なお、「平成27年版厚生労働白書」は、厚生労働省ホームページの「統計情報・白書」のページからダウンロードできるほか、全国の政府刊行物センターなどで購入できる。

厚労省は平成27年版高齢社会白書を公表した。高齢社会白書は、高齢社会対策基本法に基づき、平成8年から毎年政府が国会に提出している年次報告書であり、高齢化の状況や政府が講じた高齢社会対策の実施の状況、また、高齢化の状況を考慮して講じようとする施策について明らかにしているもの。

平成27年版高齢社会白書の構成は、「平成26年度 高齢化の状況及び高齢社会対策の実施状況」、「平成27年度 高齢社会対策」という2つの部分から構成されている。「平成26年度 高齢化の状況及び高齢社会対策の実施状況」では、第1章において、基礎的な統計資料等を用いて高齢化の状況について報告し、第2章では、平成27年度に政府が講じた高齢社会対策の実施の状況について、高齢社会対策大綱の構成に沿って報告している。
また、平成27年度において講じようとする高齢社会対策について明らかにするとともに、平成25年度、平成26年度及び平成27年度の高齢社会対策関係予算の表を添付している。同書はネットや全国の政府刊行物センターなどで購入できる。

◆大病院周囲の「門前薬局」をすべて「かかりつけ医」に
厚労省ビジョン公表  2025年までに「患者本位」に

――厚生労働省
厚生労働省は10月23日、薬局の将来像を示す「薬局ビジョン」をまとめ発表した。これは2025年までに全ての薬局を患者に身近な「かかりつけ薬局」に再編することを目指した「患者のための薬局ビジョン」の発表の狙いと、合わせて大病院などの周囲にある、いわゆる「門前薬局」の地域と患者の目的に立脚した一元的な将来像を描いた表裏一体の構想である。

ビジョンは一貫して、地域包括ケアシステムの一翼を担い、薬に関して、いつでも気軽に相談できる「かかりつけ薬剤師」がいることが重要と指摘する。「かかりつけ薬剤師」が役割を発揮する「かかりつけ薬局」が組織体として業務管理(勤務体制、薬剤師育成、連携体制)し、相談スペースなど構造設備を確保する。また、「かかりつけ薬剤師・薬局」に必要な機能として、(1)服薬情報の一元的・継続的把握、(2)24時間対応・在宅対応、(3)医療機関等との連携――の3点を不可欠の機能的支柱としている。

3本柱は、薬局のこれからの在り方を「立地から機能へ」の深化と訴えている。すなわち薬局は「便利な場所にある」だけの存在から患者本位の「どんな機能を地域や患者に与えてくれるかが重要」ということにある。
全国に5万7000軒もの保険薬局が、患者が医師から処方された薬をまとめて管理し、必要な指導を行うなど、一元的にかかりつけ機能を発揮するようになれば、薬の過剰投与や飲み残しを防ぎ、医療費削減につながるとみている。再編が進むよう、来春の診療報酬改定で、かかりつけ薬局への報酬を引き上げたい考えだ。

この考え方は塩崎厚生労働大臣が今年5月26日の政府の経済財政諮問会議で「患者のための薬局ビジョン」を年内に策定することを明らかにしたことに端を発する。このビジョンは2025年をメドに全国の保険薬局を「かかりつけ薬局」に再編するというもので、薬局の数を減らすなどのことも検討課題として挙がっている。それには会議の構成員から「薬局数の多さ」も指摘されていたからだ。
塩崎厚労相はこの経済財政諮問会議で、プライマリケアを強化するため、2025年をメドに全国5万7000軒の保険薬局をかかりつけ薬局に再編することを目的とした「患者のための薬局ビジョン」を年内に策定し、公表することを明らかにしていた、「公約」でもあった。

「患者のための薬局ビジョン」は大病院の処方箋に依存する「門前薬局」を、複数の医療機関の処方箋を扱う「かかりつけ薬局」に変えることが柱だ。(1)患者の全ての服用薬を一元的に管理する(2)医師の過剰投薬や危険な飲み合わせを監視する(3)24時間対応や患者宅への在宅訪問に取り組む、という3つの役割を求める。一つの薬局でこれらの役割を果たすのが困難な過疎地などでは、複数の薬局が連携するよう求めている。
厚労省は2016年度以降の診療報酬改定で、大病院前に並ぶ門前薬局の収入を減らし、患者に身近な、かかりつけ薬局の収入を増やす方針。3つの役割が報酬増を認める要件のたたき台になる可能性が高い。大病院依存の経営から抜け出せば、医師の過剰投薬や重複投薬を監視しやすくなり、医療費の抑制にもつながるとしている。さらに長期的な課題としては門前薬局に対し、建て替えなどを機に大病院前からの移転を促す。来年度の調剤報酬については、経済財政運営と改革の基本方針2015(骨太方針)でも抜本的な見直しを行うとされており、現在、中央社会保険医療協議会で議論を煮詰めつつある。

◆社会保障制度給付費は前年度比1.4%増の114.1兆円
人口問題研 2013年度国民一人当たり89万6,600円

――国立社会保障・人口問題研究所
国立社会保障・人口問題研究所は10月23日、2013年度の「社会保障費用統計」の概況を取りまとめ公表した。高齢化で年金受給者数や医療・介護費が伸びた。社会支出の総額は114兆1,356億円(前年度比1.4%増)、国民1人当たりの給付費も1.7%増の86万9,300円で最高となった。社会保障給付費は、年金支給や医療などのサービスに対し、税金や社会保険料などから支払われた総額。国民の自己負担は含まない。1950年度の集計開始以来、一貫して増え続けている。
この統計は、年金や医療保険、介護保険、生活保護などの社会保障制度に関する1年間の支出を、OECD(経済協力開発機構)基準の「社会支出」と、ILO(国際労働機関)基準の「社会保障給付費」の2通りで集計するもの。社会支出は諸外国のデータ更新が定期的に行われるため、国際比較に向き、社会保障給付費は戦後からデータがあるため、過去との比較に向く。

2013年度の社会支出の総額は114兆1,356億円(前年度比1.4%増)で、集計開始の1980年度以降、過去最高。他方、社会保障給付費の総額は110兆6,566億円(同1.5%増)で、1950年度の集計開始以降、過去最高を更新した。国民1人あたりでは、社会支出が89万6,600円(同1.6%増)で、社会保障給付費が86万9,300円(同1.7%増)だった。

社会支出を政策分野別にみると、最も大きいのは「高齢(年金・介護等)」の54兆6,247億円(構成比47.9%、前年度比1.9%増)で、次に「保健(医療等)」の37兆7,190億円(同33.0%、同2.6%増)が続き、2分野で総額の約8割を占めた。また、国際比較(日本は2013年度値、他国は2011年度値)では、社会支出の対GDP比は、日本が23.63%で、アメリカの19.30%を大きく上回るものの、フランス30.81%、スウェーデン26.26%など欧州諸国に比べ低い割合だった。

社会保障給付費を部門別にみると、「医療」が35兆3,548億円(構成比32.0%、前年度比2.1%増)、「年金」が54兆6,085億円(同49.3%、同1.2%増)。「福祉その他」は20兆6,933億円(同18.7%、同1.5%増)で、このうち介護対策は8兆7,879億円(同7.9%、同4.7%増)だった。また、社会保障給付費に対応する「社会保障財源」の収入総額は127兆594億円で、前年度に比べ331億円の減少となっている。

◆厚労省 化血研のインフルワクチン出荷自粛解除
感染症部会で精査受け供給不足の懸念を回避

――厚生労働省
厚生労働省は10月21日、インフルエンザワクチンを製造する化学及血清療法研究所(化血研、熊本市)の季節性インフルエンザワクチン「インフルエンザHAワクチン< 化血研>」に対し、9月に出した出荷自粛要請を解除したと発表した。
同ワクチンについては、製造過程の延べ235カ所に国の承認書と異なる点があったことが判明し、9月に出荷自粛を要請されていた。
同日に開かれた厚生科学審議会感染症部会では、調査の結果、品質や安全性に重大な影響はないと判断しインフルエンザの発生の予防や流行を抑えるためには供給不足を避けるべきとの意見がまとめられた。厚労省も品質と安全性などに重大な影響はないと判断。21日付で出荷要請を解除することにした。

今年は国内メーカー4社が計約,3000万本を出荷し、化血研はこのうち3割弱に当たる約850万本を担う予定。東海や九州地方で化血研のシェアが高く、接種開始を延期した医療機関もあったという。厚労省は接種開始時期を前にワクチン不足が懸念されていたが、「必要な量を供給できる見通し」と説明している。
厚労省は報道発表に際し、精査の結果( 品質及び安全性等に重大な影響を及ぼす齟齬はないと判断していること)を報告するとともに、当該製剤の公衆衛生対策上の必要性について検討を行ったところ、当該製品については、インフルエンザの発生の予防及びまん延の防止を推進する観点から、出荷を認め、供給不足を避けるべきと考えられる、との意見がまとめられたとコメントした。

厚生労働省医薬・生活衛生局が21日の感染症部会に説明した「化血研のインフルエンザHAワクチンに係る品質及び安全性等の確認について」の精査結果内容は次の通り。

●化血研のインフルエンザHAワクチンに係る品質及び安全性等の確認について
1.報告された齟齬等に関する確認
現在報告されている全ての齟齬等について確認し、報告された齟齬等が製品の品質及び安全性等に重大な影響を及ぼす可能性は低いと判断している。

2.国家検定の項目及び結果
製品上重要な品質及び安全性等の評価項目については、国家検定を行い感染研にて実検体を用いた試験を実施している。化血研製品についても、既に国家検定に出検された製品があり、それらの製品については、感染研が実施した試験の結果、合格を受けている。
※インフルエンザHAワクチンの国家検定項目
・エーテル否定試験・たん白質含量試験・異常毒性否定試験・マウス白血球数減少試験・力価試験

3.価数の変更管理に関する妥当性の確認
季節性インフルエンザワクチンの価数が3価から4価に変更されたことに伴う変更管理について、適切な変更管理が行われていることを立入調査において実地に妥当性を確認した。
※インフルエンザワクチンについては、昨シーズンまではA型2株/B型1株の3価ワクチンであったが、今シーズンから各社A型2株/B型2株の4価ワクチンを製造することとなった。

4.これまでの副反応報告の確認
化血研の季節性インフルエンザワクチンが、上記3.の変更点を除き現在と同じ製法になった2012年以降の副反応報告を確認したところ、他社と比較して化血研製品に特異的に副反応が多いなどの有害事象は確認できなかった。
化血研の製造販売するインフルエンザHAワクチンに関しての承認書と製造実態の齟齬が報告されて以降、これまで厚生労働省が実施した品質及び安全性等の確認については、以下の通り。
これまでの確認作業の結果、報告された齟齬等や情報が当該ワクチンの品質及び安全性等に重大な影響を及ぼす可能性は低いと判断している。(以下略)

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