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医療経営情報(2015年8月27日号)

2015/8/28

◆特定健診実施率47.6%、政府目標の70%を大きく下回る
厚労省 平成25年度特定健診・特定保健指導の実施状況
――厚生労働省

厚生労働省は8月21日、平成25年度の「特定健康診査・特定保健指導の実施状況」を取りまとめ公表した。
特定健診・保健指導は、生活習慣病予防のため実施される、いわゆる「メタボ健診」。公的保険に加入する40歳以上75歳未満の被保険者・被扶養者が対象。平成20年度から、40歳から74歳までの被保険者と被扶養者を対象に、メタボリックシンドロームに着目した健康診査・保健指導を実施することが、医療保険者に対し義務付けられ、厚労省において、保険者からの実施状況に関する報告内容を精査し、取りまとめたもの。

特定健康診査・特定保健指導の実施率は、着実に向上しているものの、依然として低い状況にある。今回の特定健康診査の実施率をみると、全体の実施率(対象者数)は約5,327 万人、受診者数は約2,537 万人であり、特定健康診査の実施率は47.6%であった。平成24 年度と比較して、1.4 ポイント向上した。しかし政府目標70%を下回っているのが実情である。

その打開策の一つとして今年度から医療保険者において実施しているデータヘルスは、データ分析に基づき、特定健診・保健指導などの保健事業を効果的に実施していくものだ。このデータヘルスの取り組みをさらに推進していくことで、特定健診・保健指導の実施率の向上に努めてきた。厚労省は「被用者保険の被扶養者に対する受診促進の対策が引き続き必要」と述べている。

実施状況の概要は次の通り。
平成25年度の特定健診対象者は5,326万7,875人で受診者は2,537万4,874人、実施率は47.6%。前年度と比較して1.4ポイント上昇しているものの、政府目標70%を下回っている。性別では、男性が52.8%、女性が42.6%だった。
性・年齢別では、全体で50~54歳がもっとも高く53.6%、男女とも50~54歳が最高の実施率(男性61.6%、女性45.4%)。男性は60歳未満で実施率が高く、60歳以上で低くなる傾向があり、女性は年齢別で大きな差はなかった。

保険者の種類別の実施率では、共済組合(73.7%)や健康保険組合(71.8%)で高く、市町村国保(34.2%)や全国健康保険協会(42.6%)で低い二極構造が続いている。保険者種類別の性・年齢階級別の実施率では、被用者保険で男性より女性が低い
他方、特定保健指導は対象者が429万5,816人で割合は前年度から0.8ポイント減少の16.9%。このうち、実際に特定保健指導を終了した人は75万9,982人で、特定保健指導実施率は17.7%。前年度から1.3ポイント向上した。

また、メタボリックシンドロームの該当者および予備群(推定数)の減少率(20 年度比)は3.47%と微減。薬物を服用している人の割合は、高血圧症・糖尿病・脂質異常症の薬剤のうち、「いずれか1種類服用」が30.5%(前年度は30.2%)、「いずれか2種類」は14.9%(同14.4%)、「3種類とも」は3.3%(同3.0%)で毎年、増加の傾向だ。
メタボリックシンドローム該当者及び予備群の減少率は、特定健診受診者(40 歳~74歳)に占めるメタボリックシンドローム該当者及び予備群の割合について、20 年度比の増減を算出したものであり、国民全体のメタボリックシンドロームの状況を示している。
平成25 年度のメタボリックシンドローム該当者及び予備群の減少率は3.47%であり、メタボリックシンドローム該当者及び予備群はわずかに減少している。
非服薬者のうちのメタボリックシンドローム該当者及び予備群の減少率は、服薬をしていない特定健診受診者に占めるメタボリックシンドローム該当者及び予備群の割合について、20 年度比の増減を算出したものである。特定保健指導の対象者が、服薬をしていない特定健診受診者から選定されることから、当該減少率は特定健診・保健指導の制度の効果を一定程度示しているものと考えられる。
平成25 年度の非服薬者のうちのメタボリックシンドローム該当者及び予備群の減少率は12.67%であり、減少している。

また、他方で、服薬者のうちのメタボリックシンドローム該当者及び予備群の減少率は▲1.71%であり、わずかに増加している。なお、非服薬者及び服薬者のうちのメタボリックシンドローム該当者及び予備群の減少率は、性・年齢階級ごとの住民基本台帳人口を乗じることで得られるメタボリックシンドローム該当者及び予備群の推定数により算出しているが、非服薬者や服薬者の人構成の特徴が反映されていないことなど、指標の精度に課題を残している。
今後、これらの指標の精度を高めるため、「特定健診・保健指導の医療費適正化効果等の検証のためのワーキンググループ」における議論を踏まえ検討していくこととしている。

◆75%の事業所がヘルパー不足、採用率も減少傾向
介護労働安定センター 2014年度介護労働実態調査
――公益財団法人 介護労働安定センター

公益財団法人 介護労働安定センターは8月17日、2014年度介護労働実態調査結果を公表した。訪問介護員と施設などの介護職員全体の離職率は16・5%で前年度調査とほぼ同じだったが、採用率は減少傾向が止まらず20・6%に。人手不足感が高まり、特にヘルパーは75%の事業所が足りないと答え深刻な状況であることが分かった。

▽調査の概要と調査対象
「事業所における介護労働実態調査」は全国の介護保険サービスを実施する事業所から無作為抽出した17,065事業所を対象にアンケート調査を実施した。有効回答は7,808事業所であった。(有効回収率は45.8%)。
なお並行調査の「介護労働者の就業実態と就業意識調査」は上記の事業所の中で、1事業所あたり介護にかかわる労働者3人を上限に選出した51,195人に対し、調査票を配布してアンケート調査を実施した。有効回答のあったのは18,881人であった。(有効回収率36.9%) 。調査対象期日:原則として平成25年10月1日現在。調査実施期間:平成25年10月1日~10月31日。

【調査結果のポイント】()内は前年度数値。
1離職率・採用率
[平成25年10月1日から平成26年9月30日]まで1年間の離職率の状況は、16.5%(16.6%)であった。また、採用率の状況は全体では20.6%(21.7%)であった。

2従業員の過不足
(1)介護サービスに従事する従業員の過不足状況を見ると、不足感(「大いに不足」+「不足」+「やや不足」)は59.3%(56.5%)であった。「適当」が40.2%(43.0%)であった。
(2)不足している理由については、「採用が困難である」が72.2%(68.3%)、「事業拡大をしたいが人材が確保できない」が19.8%(19.3%)であった。
(3)採用が困難である原因は、「賃金が低い」が61.3%(55.4%)、「仕事がきつい(身体的・精神的)」が49.3%(48.6%)であった。

3介護サービスを運営する上での問題点
全体では「良質な人材の確保が難しい」が53.9%(54.0%)、「今の介護報酬では人材の確保・定着のために十分な賃金を払えない」が49.8%(46.9%)であった。

4賃金
労働者の所定内賃金[月給の者]は215,077円(212,972円)であった。
(注)労働者:事業所管理者(施設長)を除く

■介護労働者の就業実態と就業意識調査■
5仕事を選んだ理由
「働きがいのある仕事だと思ったから」が52.6%(54.0%)であった。

6労働条件等の不満
「人手が足りない」が48.3%(45.0%)、「仕事内容のわりに賃金が低い」が42.3%(43.6%)、「有給休暇が取りにくい」が34.9%(34.5%)であった。

7家族の介護(平成26年度新規設問)
(1)「現在、介護をしている」が11.1%、「ここ数年のうち、可能性がある」が31.1%、「当面ない」が55.5%であった。
(2)仕事と介護の両立については「両立できる」が34.2%、「両立できない」が63.3%であった。
(3)「両立できる」と回答した方は、「両立できない」と回答した方に比べて「休んだ時に自分の仕事を代わりに担当できる人がいる」などすべての項目で回答割合が高かった。

◆今後の難病対策の方向性を定める9項目 9月に告示
基本方針案の報告を難病対策委から受ける 疾病対策部会
――厚生労働省

厚生労働省は8月20日、厚生科学審議会の「疾病対策部会」を開催し、今後の難病対策の方向性を定める、「難病の患者に対する医療等の総合的な推進を図るための基本的な方針」案について、下部組織の「難病対策委員会」から報告を受けた。この基本方針案は、同日に開かれた同委員会が取りまとめたもの。9月中には告示される予定。
疾病対策部会は今後、 難病対策の改革に係る進捗状況について(報告)、基本方針の各項目について関係者からのヒアリング及び議論(4回)を重ねていく。

【基本方針に定める事項】
(1)難病に係る医療等の推進の基本的な方向
(2)難病に係る医療を提供する体制の確保に関する事項
(3)難病に係る医療に関する人材の養成に関する事項
(4)難病に関する調査研究に関する事項
(5)難病に係る医療のための医薬品及び医療機器に関する研究開発の推進に関する事項
(6)難病の患者の療養生活の環境整備に関する事項
(7)難病の患者に対する医療等と難病の患者に対する環境整備
(8)福祉サービスに関する施策、就労の支援に関する施策
(9)その他の関連する施策との連携に関する事

9項目の基本方針は、難病の患者に対する医療等に関する法律の第4条に、厚生労働大臣が定めることが規定されている。そのため同委員会では、2015年2月から5月にかけて4回にわたり、関係団体や専門家から難病対策に関する見解をヒアリングし、6月16日の前々回会合で骨子案を、7月10日の前回会合で案を示していた。

今回、示された基本方針案(9項目)の柱は次の通り(カッコ内は基本的な考えとされた主な事項)。
(1)医療などの推進の基本的な方向(難病の患者・家族を社会が支援するとの基本認識や法の基本理念にもとづく施策)。医療と福祉が連携した総合的なケア支援ネットワークが必要で難病の特性の一つとして、長期に渡り療養を必要とするという観点を基本認識にも入れるべきとの意見。
(2)医療費助成制度(医学の進歩などに合わせて運用を適宜見直す)。小児系の学会からも一定の意見を聞いて頂くことが必要ではないかとの意見。
(3)医療提供体制の確保(早期の正しい診断ができる体制・身近な医療機関で適切な医療を受けられる体制)。かかりつけ医、地域の基幹病院、などとの連携体制が重要との意見。
(4)人材の養成(正しい知識を持つ人材の養成を通じ、地域で適切な医療を提供する体制の整備)。患者の声を大事にする医師の育成が重要ではないか、との意見。
(5)調査・研究(患者・各疾病の実態や自然経過などの把握)。実用化研究事業と政策研究事業との連携を厚生労働省やAMEDと連携して進めるべきではないか、との意見。
(6)医薬品、医療機器、再生医療等製品の研究開発の推進(開発が進みにくい研究開発への支援)。薬剤を継続的に使用可能とするために企業への負担を減らすべきではないか、との意見。
(7)療養生活の環境整備(住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう、難病の患者を多方面から支えるネットワークの構築をはかる)。難病対策地域協議会の在り方について、当事者が参加しやすい環境を作ることは重要ではないか、との意見。
(8)福祉サービス・就労支援・関連施策との連携(難病であることを安心して開示し、治療と就労を両立できる環境整備)。医療と福祉が連携した総合的な支援ネットワークが必要ではないか、との意見多数。
(9)その他の重要事項(正しい知識の普及啓発、保健医療・福祉サービスの利用手続きの簡素化)。難病であることを隠さずに生きられる社会作りが必要なのではないか、との意見。

◆文科省構想審査会「全般的に適切な対応」と認める
東北薬科大学、医学部新設へ対応状況を提示
――文部科学省

文部科学省は8月20日、「東北地方における医学部設置に係る構想審査会」(座長:遠藤久夫・学習院大学経済学部長)を開催し、2016年度の医学部新設を目指す東北薬科大学の現状について議論、同大学の学長等、複数の幹部から対応状況をヒヤリング、検討を行った。
同審査会は、「東北地方における医学部設置認可に関する基本方針」(2013年12月17日復興庁・文部科学省・厚生労働省決定)にもとづき、震災からの復興などの要請をふまえ、特例として東北地方に認められた医学部新設について、2014年6月の初会合から検討を続けている(今回7回目の審査会となる)。
2014年8月の審査会では、候補となった3校の構想から東北医科薬科大学の構想が選定された。その際に、東北医学部教育運営協議会の開催、地域サテライトの整備、地域医療に支障をきたさない教員・医師・看護師等の確保などが「条件」(7つ)とされた。

2015年に入っての経緯を振り返ると、構想審査会は、今年3月に、東北薬科大学が大学設置審に設置認可申請することを承認。承認の中にはこの「協議会設置」も選定条件の一つであった。協議会の委員長には里見進東北大学総長が就いた。
今年8月12日、東北地方の大学医学部・医科大学や医師会、県の関係者などで構成する「東北医科薬科大学医学部教育運営協議会」(昨年10月設置)の有志委員12人が同大の7条件対応が十分ではないとして、構想審査会委員に、検証を求める「要望書」を出していた。
しかしこの日の構想審査会では、同大の準備状況について、遠藤座長は「全般的には適切な対応が行われている」と総括した。同大の医学部新設の可否は、近く開催予定の大学設置・学校法人審議会(大学設置審)で最終的に決定する。
3月末の設置認可申請を終えた時点で、医学部新設の可否論は文字通り、「構想審議会」の「条件論」で進んでいる。対して地域医療への影響などを懸念する東北地方の医療関係者の現場の問題意識とは別次元で行われている感が否めず“温度差”は残ったまま。ただし協議会には決定権はない。

今回の審査会では、東北薬科大学理事長・学長の高柳元明氏をはじめ、同大の幹部3名が出席、「今後の対応が必要な事項」について説明した。その「条件」のなかでも「今後の対応が必要な事項」6項目があげられ、同大学は対応状況を提示した。①医師偏在の解消方策、②地域医療の教育の充実、③教員等採用で地域医療の支障防ぐ、④卒業生の東北地方への定着、⑤将来定員調整の要請に適切に対応、⑥開学前と開学後も、教育運営協議会を開催。この日、③、④に多くの質問が寄せられた。
各県に地域サテライト(連携病院)を整備することに関しては、地域医療ネットワーク病院を宮城県内9病院と青森、岩手、山形、福島4県各2病院と交渉済みで、秋田県の2病院に設置認可後に正式依頼すると状況を報告。

また、教員や医師、看護師の確保については、採用地域や採用機関のバランスに配慮しながら、地域医療に支障をきたさないよう引き続き適切に対応するとしている。このため、採用予定者は特定機関から多数の異動がないように、赴任時期の調整・分散化を実施。さらに、教員採用の地域医療への影響を開学後の早い時期に検証し、懸念事例が生じた場合、広く全国に積極的に人材を求めるとしている。特に採用予定教員の7割が東北大学関係者が占めることによる地域医療への影響を重視している。
修学資金制度については、新たに宮城県以外の5県の修学生を選定することを決め、東北各県と調整を行い、奨学金を受ける学生にも魅力のある制度(修学資金制度を活用した卒業生の地域定着策)、医師の地域偏在解消に資する制度とすると報告した。採用予定教員は6月30日現在、174人。今年3月時点では170人で、その後、7人増え、3人が個人的事情で辞退し、差し引き4人増えた。2016年4月予定の医学部新設までは、新規に公募する計画はない。遠藤座長は、「まだ課題もあり、さまざまな意見も踏まえ引き続き、対応を進めてもらいたい」と述べこの日を総括した。

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