《厚労省・医療保険部会で方向性を提示》
後期高齢者対象の独立型医療保険制度を明記
社会保障審議会医療保険部会は28日、これまでの議論をまとめるとともに、秋口から始まる今後の方向性について確認した。
この日、事務局の厚生労働省は、「今後の検討の方向性」(事務局案)を提出し、基本的な考え方として「医療保険制度の改革にあたっては、社会保障制度の改革との整合性を確保することを前提に検討を進めるべき」と提示した。その中で高齢者医療のあり方については、生活の質(QOL)の向上を重視する観点と、若年層からの生活習慣病を中心とした疾病の予防などを重視すべきとの考えを示した。
新たな高齢者医療制度については、国民皆保険制度の維持を前提とした上で、75歳以上の後期高齢者に関して、QOLの確保や、医療費の適正化を図る観点から、地域ごとの医療費水準に応じた保険料設定ができるよう独立した保険制度を設ける方向で議論を詰めるべきとした。また、65歳からの前期高齢者については、「受療動向に質的な変化がみられない」として、従来の医療保険制度の枠組みに位置づけることを明記。これに対し、久保田泰雄委員(日本労働組合総連合会副事務局長)は、「新たな高齢者医療保険制度の対象を後期高齢者に限定するのは問題だ」と述べ、反論の意を唱えた。
さらに同案では、保険者の再編・統合について、都道府県単位を軸とした保険運営を目指す一方で、市町村国保に関しては、市町村ごとの医療費水準の格差が大きくないことなどから「当面は、都道府県の二次医療圏を基本に再編・統合を行う方向で、具体的に議論を深めるべき」としている。
■介護保険導入で1人あたり老人医療費が減少
なお、同日の部会で厚労省は、介護保険制度導入前後の1999年度から2001年度における老人医療費の推移を提示。老人医療費全体では、制度導入前の1999年度の11兆8,040億円から2000年度は11兆1,997億円にいったん下がったものの、2001年度に11兆6,560億円と再び増加のきざしを見せたことを明らかにした。
しかし1人あたりの医療費で比較すると、1999年度の値を100とした場合、2000年度は91.1、2001年度は90.9と減少していることがわかった。
《健康保険組合連合会》
2003年度健保組合決算 5年ぶり黒字転換
健康保険組合連合会がこのほどまとめた2003年度決算見込みによると、1998年度以来、5年ぶりに黒字に転換する見通しであることが分かった。被用者保険本人の3割負担、老人の定率1割負担、総報酬制の導入、高齢者医療制度の年齢引き上げ―などが要因で、決算見込み額は、経常収入が6兆40億円、経常支出が5兆8,654億円で差し引き1,386億円の黒字となっている。
《規制改革・民間開放推進会議》
「中医協改革」を盛り込む方針を決定
政府の規制改革・民間開放推進会議は26日、同会議の下部組織として設置している「主要官製市場改革WG」(主査・草刈隆郎日本郵船会長)など3つのワーキンググループのこれまでの議論の結果を踏まえ、中間とりまとめの作成に向けた調整を行った。
会合後、記者会見した草刈主査は、医療、教育、介護の3分野について、6、7項目を取り上げて成果を上げたいとの方針を重ねて強調。医療分野では、混合診療の解禁や医療法人での株式会社の議決権行使の問題に加え、厚労省の中央社会保険医療協議会の見直しも盛り込む方針を示した。
同会議では、8月3日の会合で最終的な中間とりまとめ案を公表する予定。
《MMPG定例研修会で森山弁護士》
「事故発生時はクレームに適切な対応を」
森山経営法律事務所の森山満弁護士は22日のMMPG定例研修会で「医療過誤訴訟の実態と経営対応」と題して講演し、「医療機関のクレーム対応がしっかりしていれば、現在の係争案件の3分の1くらいは訴訟に至らなかったかもしれない」と述べ、医療機関側に対し、事故が発生した際の適切な対応を求めた。
森山氏は医療過誤を「単純過失型」と「患者の自己決定権侵害型」の2つに分類。このうち「自己決定権侵害型」に関しては、「自己決定権の中で問題となるのは診療のあり方の決定権」と述べ、治療法など複数の選択肢がある場合には、すべて患者に提示した上で選択させることが必要と強調した。さらに、説明の際は同意書等の証拠文書を残すこともあわせて求めている。
また、森山氏は医療過誤訴訟における争点として、「医療行為における責任(過失・説明義務違反)」「因果関係」「損害(金銭的に客観的な補償の対象となりうる被害)」の3つが揃ってはじめて裁判の対象となると説明。損害賠償責任が問題となる説明義務違反については、病名の告知や検査、治療等に関する説明など患者の「知る権利」を侵害した場合があるとした。
さらに、事故が発生した場合の対応のポイントとして「事実関係の説明とともに、謝罪の気持ちを明確にすること」をあげ、実際の責任問題とは別に、患者らの気持ちに配慮して謝罪すべきと指摘。また、クレーム処理と示談交渉において、医師や看護師のミスによる損害賠償の責任が問われるような場合には、客観的な事実関係の説明をなるべく早期に行うなど、早急な対応の必要性を強調した。
MMPG提供
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