日本の会計人

上田 久之氏の写真
上田 久之氏

上田公認会計士税理士事務所所長
公認会計士・税理士

●1953年6月20日生まれ、兵庫県姫路市出身
●1975年:公認会計士第2次試験合格、1976年:神戸大学経営学部会計学科卒業、日新監査法人入所。 1982年:大阪市中央区にて上田公認会計士税理士事務所を開設。
●社団法人日本医業経営コンサルタント協会大阪府支部副支部長、MMPG全国会常任理事、 MMPG歯科診療所コンサルタント部会会長
●趣味 歌舞伎鑑賞 ●好きな言葉 「日々新たなり」
●年商 3億円
●事務所 大阪市中央区道修町1-7-10 
扶桑道修町ビル3F
     TEL 06-6946-1300
      FAX 06-6946-1050
      URL http://www.uedacpa.com/

「医院の新規開業ならお任せください。
200件以上の実績でお答えします」

 2001年3月に施行された第4次医療法の改正による病床区分の見直し期限が、 2003年8月末に迫っている。この改正は病医院のマンパワー不足の解消と医療費削減を目的としたものだが、 その影響は個々の医師にも及ぼうとしている。ある統計によれば、現在日本全国の約14万人の医師のうち1〜2万人が過剰というのだ。 そのため、現在、医師の独立開業が急増しているのである。そうした医師、医療機関の経営をサポートできるのは独自のノウハウを 持つ医業経営に特化した会計事務所である。今回ご登場いただく公認会計士・税理士の上田久之氏が率いる上田公認会計士税理士事務所も そうした事務所の一つとして、大阪で活躍している。 今回は、厳しさが増す医業経営と、それをサポートする上田氏の動きを追ってみたい。
 大学在学中に2次試験合格!
 2003年4月より厚生労働省・財務省は、民間病院のうち公益性の高さから法人税を軽くしている特定医療法人の基準を緩和した。 それまでは患者から追加料金を取る差額ベッドが全病床の2割以下、料金5000円以下の病院に制限されていたが、 4月以降は差額ベッドの割合を3割以下とし、料金規制も撤廃した。
 医療法人は、株式会社と同じ30%の税率で法人税がかかるが、特定医療法人として認可されると22%に軽減される。 これを利用して、一般の医療法人が、ある程度の基準を満たして特定医療法人の指定を受けようとするケースも少なくない。
 これは医療法人の改革例であるが、医療費の負担増は、患者の医療費3割負担だけではない。 医療機関や個人医は、度重なる制度改革による社会保険診療報酬の削減という荒波に揉まれている。 これに対処するために、医療と同時に介護保険施設を併設するなど、さまざまな生き残り策を考えていかなければならなくなっている。
 こうした医師、病医院、医療法人の経営相談には、専門的な知識を持った医療系会計事務所の支援が必要になってくる。 今回ご登場いただいた公認会計士・税理士の上田久之氏も、医業に特化した公認会計士として、医業とその周辺業務に フォーカスした鋭いアドバイスで多くの医業経営や医師開業支援、社会福祉関連法人に対するサポートを行っている。 特に、医療機関の開業にはその専門性を大いに発揮し、数多くのセミナーを精力的にこなしながら指導に尽力している。 まずは、上田氏が公認会計士として志を立て、医業経営に特化するまでを追ってみよう。
 上田氏は、兵庫県姫路市出身。公認会計士の資格取得をめざした発端について「高校の時に友人の父親を職場訪問しまして。 税理士の先生で、当時の私にすればなかなか自由で世の中の役に立てるんやなあと感心したものです」と、軽快な関西弁で話す。
 調べてみると、会計業界には税理士より幅広い業務を行える公認会計士という職業もあるとわかった。 そこで、公認会計士の資格取得者の多い神戸大学経営学部会計学科に進むことにしたのである。
 神戸大学は、当時の公認会計士第2次試験合格者約300名のうち、約30名(現役プラスOB)を輩出する学校である。 このレールに乗って公認会計士街道まっしぐらというのが、上田氏の考えた未来図だった。
 上田氏は、大学2年で日商簿記2級と税理士試験の簿記・財務諸表論を取得している。 その後、会計士に照準を合わせてゼミも「会計監査論」を取った。
 大学3年での公認会計士第2次試験の初めての挑戦は不合格に終わったが、4年では見事に合格を果たし、 大学現役合格者に名を連ねることができたのである。
 独立開業の環境を整備
  1975年に第2次試験に合格した上田氏は、日新監査法人(現:新日本監査法人)へ入所することになり、 卒業する年の1月からパート勤務として働き始めた。
 卒業後3年間は監査法人に勤務した上田氏であるが、第3次試験合格後、25歳から再びパート勤務に切り替えてもらい、 自宅で独立開業。現事務所の前身が誕生したわけである。厳密に言えば、25歳という大変若いスタートであった。
 そうは言っても、独立したての若い会計士に顧問先がすぐにできるわけではない。 開業当初の上田氏は、収入源を別に確保する必要があった。そこで自宅で開業する傍ら、監査法人でパート勤務するとともに、 税理士講座や公認会計士第2次試験・第3次試験の対策講座の講師をTAC等で引き受けている。まさに二足も三足も草鞋を履いての開業だった。
 1982年、初めて事務所を借り「上田公認会計士事務所」の看板を掲げた。上田氏29歳のことである。
 医療業務に特化
 現在、上田氏の業務の8割は医療関連である。医療機関を始め、特別養護老人ホームや障害者施設などの福祉関連と保育所、 ホームレスを支援している大阪市の福祉関係外郭団体を4カ所、さらに調剤薬局10数店舗がその内訳である。一般事業会社は 50社ほどで全体の2割に満たない。業種特化して集約された状況と言えるだろう。
 このように医療に特化するようになったのは、開業当初、積極的に営業を展開してきたひとつの結果である。 独立医開業後しばらく、飛び込み訪問等で、町工場や喫茶店などを中心に顧客を拡大してきたある日、初めて200床以上の 医療法人の経営顧問を頼まれたのである。
 「病院には詳しいでしょうねと聞かれたので、『監査法人でけっこうやってます』と答えました。 実際は経験ゼロだったんですが(笑)。受けてからはとにかく必死になって勉強しました。 2次試験の勉強さながらに頑張りましたよ。それがきっかけで、その後も治療に通っている歯医者さんから開業の相談を 持ち込まれたりして」
 何件かの医療機関を手がけるうちに、医療関係にコネクションのある人と知りあいになり、大変可愛がってもらえるようになった。 まだ20代で実務経験も余りないにも関わらず、紹介するリスクを省みずに実に多くの医療関係者に「この人医者に詳しいから」と 紹介してくれたのである。「ありがたかったです」と、しみじみと上田氏は言う。
 ここが出発点となって、上田氏の医業顧問先は飛躍的に増え、30歳の時点で30件の医療機関の顧問となっていった。
 「医療というのは特殊な世界です。接待すれば気に入られるわけでもない。 お医者様の気持ちを掴むことでは、人より長けていたのかもしれませんね」
 開業した時期が医療を手がけるのにタイムリーであったこともある。上田氏の開業前後に、1回目の医師の特例税制縮小化の 大きな改正が行われた。
 「これからは医業にも専門家による会計支援が必要となる」と、当時の上田氏は考えた。まだルートのない時期から市場的には 大変広がりがあると見込んでいたので、2件ほど受けた段階で我が意を得たりと猛勉強を開始。 まだ顧問数が少なかったので「暇があったんですわ」と、上田氏は当時を振り返る。
 医療業界に着眼したのは上田氏に先見の明があったからにほかならない。そして、それに向けて水面下の努力をする才能にも 恵まれていた。その結果、現在350件の顧問先のうち、300件が医療福祉関係という特化した事務所にまで成長した。 これは上田氏の才覚が現在の成功を裏付けている動かしがたい根拠である。
 医院新規開業支援業務への特化
 現在、上田氏が携わっている250の医療機関は、診療所が中心である。大阪地区には570の病院と7500の診療所があり、 上田氏の事務所を始めとした医業に特化した会計事務所がかなりのシェアを押さえている。
 では、どのような方法で顧客開拓をしていけるのだろうか。その鍵は、新規開業率の高い業界の動向が握っている。
 「我々の営業範囲内で年間300件の医科、歯科の新規開業があります」と、上田氏はいう。 そこに、医療業界の市場開拓スペースがあるというのだ。ちなみに、上田氏の事務所では年間30件の新規開業支援を一つの目標にしている。 つまり、阪神地区での新規開業の1割は上田氏の事務所のお客様ということになる。 これは、ひと月2件〜3件未満の新規開業支援をしていることになり、かなりの高成長率である。
 上田氏の事務所では医科歯科新規開業支援を進め、これまで創立以来の20年間で実に200件以上の顧問を請け負ってきた。 長年にわたり蓄積されたノウハウは、事務所の財産である。ノウハウを活かし、立地から金融機関や人事労務、広告、許認可、税務まで絡む トータルな業務で専門的な知識と経験がフルに活用できるということだ。
 上田氏の具体的な新規開業相談の内容は以下の通り。
・開業予定地における競合する診療所について
・開業地の予測患者数
・担保やローンなど資金調達について
・資金不足の相談業務
・従業員の募集の仕方・採用面接など
・開業前後の増収増患対策について
・開業時の広告の打ち方
・開業後の自分自身の保険や年金について
 このように、開業に関するあらゆる相談に一貫して応じているのである。
 無担保で開業準備費の調達も
 病医院を開業しようという医師であっても、誰もが豊富に資金を用意できるわけではない。 それだからこそ、開業時点からいかに節税を行うかが大切であり、それについて豊富なノウハウで事細かくアドバイスするのが、 上田氏の事務所の得意とする分野でもある。
 一例を挙げてみよう。開業準備費は、事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用である。 その内訳は、開業セミナーへの参加費から始まり、開業前の調査のための旅費、ガソリン代、通信費用、業者関係の打ち合わせ費、 工事期間中の諸経費、開業までの借入利子、開業広告費用等が含まれている。
 「開業時の重要な節税策として開業準備費の償却がありますが、これについては開業後5年以内で任意償却可能ですので、 何年か経過して累進税率が高くなり、税効果の高い時点での償却をおすすめします」と上田氏は語る。
 また所得税に関しては青色申告制度の利用を勧めるという。
 「何年間かに渡る売上と節税のシミュレーションを行い、開業時の税務として有効な節税策をご提案します」
 さらに資金調達面でも、上田氏の事務所はかゆい所に手が届くような支援対策を行っている。資金が乏しくても、政府系金融機関、 信用保証協会、医療機関への融資に積極的な銀行を紹介し、無担保で4000万円から5000万円の資金調達をサポートしているのである。
 この支援業務に関して上田氏は次のように話す。
 「40歳前後で開業する先生が多いのですが、典型的な例として、地価の下落により10年前に購入したマンションの価値より ローンの方が大きく、担保としては使えないといったケースが多いですね。自己資金も多くて1000万円というところでしょう。 開業資金は5000万円から6000万円必要です。つまり、資金不足で開業できず、資金の相談からというケースが多いのです。
 実はうちの事務所は金融機関や病院OBが新規開業の支援をしています。彼らが足しげく金融機関にお客様をお連れし、 その方の状況に応じて無担保で貸してくれる所を探すのです」
 こうした相談にまで応じられる会計事務所はなかなかない。これが口コミで広がり、 「上田さんのところに相談すれば資金調達を何とかしてくれる」と聞いてやってくる方もいるそうだ。顧客満足度の高い支援サービスこそ、 上田氏の事務所の特徴と言えそうだ。
 医療業界は開業ラッシュ
 ここで事務所の陣容をご紹介しよう。現在事務所のスタッフ数は25名。そのうち有資格者が14名と、かなりの高資格者率である。
 男女比率から言えば、男性5名、女性20名で女性の進出が目立っている。
 「資格試験を奨励しているわけではありません。ただ有資格者が多いので、環境的に資格取得に目が向くのかも知れませんね。 うちは極端な残業がないので、勉強する時間が確保しやすい面と女性でも勤務しやすいということもあるでしょう。仕事面で男女の差は まったく ありません。 入力担当と総務及び営業を除き、全員監査担当です。従って、給与体系も男女の差なく、職能給と業績給、年齢給を組みあわせた給与形態に なっています」
 残業が比較的少ないのは、医療に特化している利点でもあるらしい。
 「たとえば診療報酬の勉強をして『投薬を減らし指導を増やせば手取りが増えます』ということがあれば、それはすべての医療機関に 通用する内容です。このように医療の場合、アドバイスや業務処理の効率がいい。ここに専門事務所の効率の良さがありますね」
 また、医療分野のいい点は、決してなくならない商売であること。「自分の事務所の寄って立つ所が基盤として強いのは 大きなメリットですね」と、上田氏は話す。
 社会情勢の観点から見ても、これからますます伸びる分野とも言える。
 2002年の医療法改正では、2003年の8月を区切りに現在93万床あるベッドのうち、50万床を急性病床、残りを慢性病床としている。 急性病床なら医者は患者16人に対して1人必要だが、慢性病床なら患者48人に対して1人でよいという規定がある。 急性病床を減らす今回の改定では、慢性病床に人員を流し込み、医者の定員が三分の一ですむ計算をしている。 その結果どういう事が予想されるかというと、急性病床は大学病院や市民診療機関のような大きな所だけで、後は慢性病床になる。 そうなれば医療費を削減できるという行政側の意向なのである。
 「ここで何が起こるか。勤務医のポストレスです。現在、勤務医は全国約14万人いると言われていますが、 そのうち1〜2万人のポストレス現象が起きてしまう。だから、今ものすごい開業ラッシュです。
 こうしたこともあって、うちの事務所は医療特化率を上げています。医療、福祉という業界は厳しくなることはあっても、 日本から消滅するということはあり得ませんし、開業ラッシュは向こう5年ぐらい続くでしょう」
 現実的に開業数は増えつつあるのが現状であるし、収益性を考えても一般企業よりも比較的優良体質なのが医療業界の特徴。
 「私がこの業界を手がけて既に300件に及ぶお客様を20年以上手がけていますが、倒産したのはたったの一件」と、 非常に倒産率の低い業界であることも実証されている。ただ、収益性のよい業界には新規参入者の到来ラッシュが起こりやすい。 「一般事務所の参入が難しい業界でもあります。専門性が高い分野なので、急に入ろうと思っても使用する言葉からして違うので難しい」と、 この点にも上田氏は動じない。
 さらなる展開に向けISO9001を取得
 会計業界の業種特化において顕著なのが、医療分野と建設分野であるが、建設分野が落ち込む中、医療分野はさらに事業分野を広げている点も 見逃せないだろう。
 「医療に関して、福祉もまったく別分野ではないので展開しやすいですね。国の予算が医療から福祉へとウエイトが徐々に移ってきています。 医療と福祉の二本立てでやればリスクを減らしていくのによい方法だと考えて進めています。  また、動物病院に関しても業種は違いますがノウハウは一緒です。
 要するに、隣接している業界で展開していけば、まったく新しい分野を開拓するよりも楽に展開できるし、ノウハウの有効活用ができるのです」
 付け加えれば、上田氏が開拓する顧問先は、新規に限定されている。
 「新規開業だけで十分な量の顧問先が開拓できるから」というのが、最大の理由だ。「そのため、週一度は新規開業相談に動いていますね。 ホームページからの問い合わせもかなりあるので、ホームページの更新も必ず月一回は行っています。そうした意味で、 市場としてはまだまだよそのパイを食いつぶさなくても充分補える件数の新規があります」
 将来に対しても上田氏は鋭く先を見据えた展開を計っている。顧客数も、さらに広がっていく勢いだ。
 こうした展開を見据え、上田氏の事務所は2001年の12月に業界に先駆けて「ISO9001」を取得している。取得目的は、やはり業務の品質を 均質的に水準を上げて、職人芸的な仕事よりも全般的に水準の高い事務所を目指すためのようだ。また、医療・福祉業界もこれから、どんどんISOを 取得するところが出てくると見ており、そこから仕事を受ける会計事務所がISOを取得していないようではだめだと考えているようだ。
 社会福祉に重点を置いた展開
 2000年、社会福祉法が改正され、その4月から公的介護保険制度が導入された。また、50年ぶりの児童福祉法の改正により保育所の入所の仕組みや 保育料の制度も見直されている。さらに今年の4月には身体障害者施設や知的障害者利用施設にも利用制度(支援費制度)が導入された。 社会福祉は今、抜本的構造改革が行われている。
 上田氏は、ホームページの中で社会福祉との関わり方について次のように述べている。
 「わが国の社会福祉は、弱者救済から国民全てをあまねく対象とした福祉に切り替わり、社会福祉施設にとっては措置制度から利用制度への 移行に伴い、『経営の時代』に入ろうとしています。当事務所は、このような福祉経営の激変する環境下において、会計を中心として様々なニーズに 対応した経営支援業務を行っています」
 襟を正して社会福祉支援に臨もうとしている上田氏の気持ちが、たいへん良く表れている。
 社会福祉経営分析に関しては、兼ねてから国内最大級の医業経営コンサルティンググループMMPG(メディカル・マネジメント・プランニング・ グループ)福祉事業経営コンサルタント部会に所属しており、同部会で保有する多数の社会福祉施設の経営ノウハウに基づいて経営効率性の診断が できるというのも、上田氏の得意とする領域である。
 「医業をメインに据えて、福祉法人周辺にに展開していこうと考えいます。社会福祉法人は相当数あるのですが、手付かずの市場として 注目されています。私の事務所では、ホームレスを支援している大阪市の外郭団体も担当していますし、私は大阪府社会福祉協議会の 会計研修担当講師6名の1人として選ばれています。ここでは一昨年の介護保険制度の大幅な改正から、社会福祉法人が従来の官庁会計から 企業会計にシフトされたことにより、この新会計への移行の問題がものすごくフォーカスされています。そこで6名の公認会計士が持ち回りで 縦断的にセミナーを開くことになったのです」
 この社会保険福祉協議会で講師をしたことは、かなりのオーソリティになった。「どこでうちを知られたのですか」と聞くと 「社協で講師されていると聞きまして」という答えが返ってくると、上田氏は話す。「それは大きかったなと思います」
 また、2003年の4月にできた障害者施設の利用制度に関しても、企業会計に変わりいずれ課税対象となるため、 これにフォーカスした形で支援している。ここもかなり大きな市場が見込まれ、税理士・公認会計士がどんどん投入されるべき必要性が高まってくる。
 また、仕事の業務内容は違うが、旧診療所と新診療所の仲介業務も手がけている。
 「これは診療所のM&Aですね。廃業したい先生に新しい先生をご紹介して医業承継の手助けをします。今、医師の高齢化で医業承継して 譲りたがっている先生がたくさんいます。しかし、子供がいても継いでくれないし、たとえ子供が医者になっても継がないケースが増えてきています。
 一方、若手で開業したいのに一からやるにはコストがかかりすぎてできないという先生がいます。 この先生を紹介して医業承継すればコストは半分で済む上、既に患者の確保ができているわけで、お互いの希望をかなえることができるのです。 また、私たちも新しい顧問先が増える事にもなるので、既存業務を増やすことになります。ですからこれも事業目標として力を入れている分野ですね」
 営業として専担者2名を置くのも、事務所の戦略の一環である。「彼らに病院を回ってもらい、開業する医療機関を発掘してもらいます。 薬メーカーのOBに嘱託的にお願いしたり、医療機器メーカーの人にも頼みます」
 専担者をおくことやメーカーとの提携でどうやったら顧客が増えるかを常に模索する上田氏の事務所。 常に動きながら前進している事務所である。
 これから税理士・会計士になろうとしている人にも「その業界についてなら同業者に一目置かれるような人、 これについては一流と言える分野を持つ職業人になってほしいですね。 何かあったらこの人に頼もうと顔が真っ先に浮かぶような存在になってほしい」と、上田氏はアドバイスする。 そこには、ゼロからスタートして300件もの医療顧問先を引き受けてきた会計事務所の所長である上田氏自身の姿が投影されている。