「患者満足度」の本質とは
■患者満足度とは何か?
「質の高い治療を」や「いつも明るく丁寧に患者さんと接する」などをモットーに掲げ、患者様を第一に考えておられる歯科医院を多く見かけます。もちろん、満足度が向上すればするほど、患者様はその医院に定着し、またさらに口コミで増患につながるケースが多くみられます。おそらく、読者の院長先生方の中にはこのことを実感なさっていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
では、その「患者の満足度」とはいったい何なのでしょうか。私が担当させて頂いている歯科医院の院長先生の多くは、「患者満足度調査などで目にする資料は、患者さんが医院で体験した事全体に対しての評価であるため、サービスや従業員の対応が含まれている。もちろん、医院に対しての満足度の評価なのでそれらも大きな要素だが、やっぱり治療の正確さや治療継続のための患者さんの管理がより大切ではないか。」というご意見を持っていらっしゃいました。つまり、患者様からの要望等に対し、すべてに応えるのではなく、根本にある「診療行為や治療態度」に対する満足度を向上させることが、結果として患者の満足度向上や医院の評価につながると考えるべきではないか、ということです。
■患者満足度向上のためには?
患者満足度向上に直接的・間接的に結び付くものはいったい何でしょうか。日頃の業務から整理すると、以下の4点が挙がります。
@ (前述の通り)診療行為や治療態度
A 受付や従業員のサービス等
B 待ち時間のない、少ないシステム
C 従業員の満足度の向上
■具体的事例からみる方策
弊社で関与している歯科医院で、上の@からCに該当する取り組みをしていらっしゃる事例をご紹介します。@この歯科医院は自院で技工ができる機器を購入し、それを待合室に設置し、治療の方法や経過を患者様が目で見て確認できるように取り組んでいます。当初の購入目的は患者様に見せるためではありませんでしたが、患者様からは治療の経過や完了がイメージできると評判は良いそうです。
A医院の特色(先生の考え)として、美容室のような雰囲気作りを心がけています。受付・歯科衛生士・歯科助手の隔たりなく、患者様と積極的にお話しし、アットホームな医院作りに励んでおられます。患者様と従業員の関係が良好になることで、患者様が疑問や不安を表出しやすい環境となっています。
B完全予約制をとっており、患者様の待ち時間を極力少なくしています。こちらに関しては、キャンセル対策や来院患者数が制限されるなどの問題はあるようです。
C従業員に患者様の治療後のアフター担当(ご自宅でのケアの方法や、虫歯予防の指導等)をしてもらう制度を設けています。その結果、担当を持った従業員はやりがいを感じ、積極的に勉強に励んだり、コミュニケーションをとろうとする姿が見て取れるようになったそうです。それに加えて、担当患者様の今後の治療方針やアプローチの方法など、先生ともコミュニケーションをとる機会が増え、医院全体の雰囲気もよくなってきているとのことでした。何より、先生自身が苦手に思っていた従業員(先生に対し苦手意識を持っていた従業員もいたと思います)とも他の従業員と同じように接することになり、一層の信頼関係が構築されたともおっしゃっていました。
また、仕事柄夜遅くまで勤務が続く事があるため、シフトにより交代で週に何日か早く帰る日を設定し、プライベート時間の充実に向けた取り組みも行っているようです。食事会やプレゼントなどの福利厚生の充実を図るということではなく、こういった「しくみ」を作ることによって、コストをかけずに従業員のモチベーションを上げている点は、非常に参考になります。
■自院にとっての患者満足度とは?
最後に、歯科医院経営を取り巻く環境は非常に厳しい状況にあります。根本の部分である「診療行為や治療態度」をおろそかにしては結果は生まれませんし、それ以外のサービスや従業員の対応に重きを置くことによる満足度は一時的なものにしかならないのではないかと思います。本当の意味での「患者満足度」とは何なのか 。そして、できるだけコストをかけずに効果を得られる「しくみ」作りを改めて追及していく必要があるのかもしれません。
風神会計事務所
花光 甲斐