職員にとって一番いい職場とは??
■「いい職場」=いい人間関係が保たれている環境?
「隣の芝生は青く見える」とはよくいったもので、歯科衛生士同士が話していると、「いいよね〜、うちなんかさ…」と、必ずと言っていいほど聞こえてくる。本当に思っているのか、心の中では「うちの医院の方が断然いいわよ」と思っているかは定かでないが、他院と比べるとついついこのような言葉が出てしまう。ならば、どのような医院が100%で100点満点なのか?と言われると実際は万人受けする医院はない。しかし、相性のいい院長に巡り合えたスタッフは、自分の考えや思いを率直に伝え、イキイキと仕事をしている。また、いいメンバーに恵まれたスタッフは、困った時はいつも助け合い、愚痴を言い合い、悩みを聞いてもらいながら難を乗り越えている。このようにいい人間関係が保たれている環境、それを、「いい職場」と表現されているのであろうか。
■評価が気になり自分らしさがだせない
さて、私はケアマネージャーを兼務して1年半になるが、介護の世界は全く始めてだった私の最初のストレスは、電話に出ることだった。忙しい事務所で何度と鳴る電話のベル。しかし、新米の私への電話などはまずない。とりあえず出よう、と電話に出ても、仕事の内容を全くわからない。「相手様に失礼があってはどうしよう、周りに迷惑をかけたらどうしよう」、とマイナスの要素ばかりが頭によぎる。そんな状態で電話に出ると、面白いことになぜかよく聞き間違いをする。間違った事を伝え、厳しく注意を受ける。電話に出るたび、横でチェックされている気分になり、私はだんだん追い込まれた気分になった。それからは、無意識に電話のベルを避けるようになり、出遅れたふりをして誰かが出るのを待っている自分がいた。歯科医院での電話応対なら最大に自分を表現できる私が、患者様に合った言葉を選んで声かけてきた私が、この環境の中では自分らしさが出せない。結局私は、電話の相手に対する礼儀より、横で私を見ている事務所の先輩ばかりを気にし、「自分がよく評価されたい」ということに、意識し過ぎてしまっていたように思う。
■お互いがお互いを認め合える職場
実は先日、ある新人衛生士の指導に関わった際も同じ事を感じた。彼女はスケーリング前の問診で「どこか凍みるところないですか?」と聞いた。患者様は、「実は右下がよく凍みるのです。」と訴えた。その衛生士は「そうですか、ではこの部位は気をつけて行いますね。」と答えただけで施術に取り掛かろうとした。私は彼女の手を押さえ、「この患者様は、凍みるっておっしゃっているのに何の返答もなし?」と聞いた。彼女は焦った表情になり、慌てて診査し院長に状態を伝えた。そして、院長の指示に従い、その対処法についてのアドバイスを患者様にお話した。その夜、彼女からメールが来た。「私は今まで、時間との戦いで院長の目ばかりを気にして、スケーリングを終わらせるのが精一杯でした。今日のように本当に患者様のことを考えて、会話をしたのは初めてです。すごく嬉しかったです。」
ちなみに彼女は、「院長と相性が悪いスタッフ」の一人だ。院長はいつも彼女に厳しい言葉をかけ、彼女は重々しい表情で会話をする。それだけに、院長に何か言われるのが嫌で、型にはまった業務しかしなかった。しかし、その日は院長からの評価よりも、患者様への満足感を求めることが、自分への最大の評価へ繋がることに気づいた。結果、院長にも見直され、院長からの信頼をも得る事ができたわけである。
人の目を気にして自分の能力が発揮できないなど、こんな勿体無いことはない。自分を信じ、人を信じ、お互いがお互いを認め合える職場。それが、「一番いい医院」と言えるのだろうと私は思う。