大切なサービス、心を込めた情報提供を
■診療報酬改定によって増えた文書の提供
今年は大幅な診療報酬改定があり、歯科医院は思わぬ時間を費やさなければならなくなった。多くの検査、資料が含まれた歯科疾患総合指導料、その他各種指導の説明書、その上に自署による同意確認など、4月はこれらの事に振り回され、患者様に向かう時間が少なくなったのは日本中の歯科医院皆同じであろう。さすがにこれだけの説明書作成、情報提供が義務付けられると、歯科衛生士も事務仕事に追われ本来の業務に専念できない。もちろん院長はそれに加え、保険点数の変更で目の前の患者様をどんどん待たせる結果となっている。仕方なく揃えた文書に書かれたワンパターンの内容。ついつい作成の時間短縮ばかりを考え、アンケート式やパターン化になっていく。さて、このような書類を患者様が必要とするだろうか。今の医療に求められているエビデンス(患者に対し、医療情報の妥当性・信頼性を十分ふまえた上で、確実で明確な臨床判断を行なうこと)への架け橋になるのか、私にはどうしても理解できない。
と、愚痴を言いながら始めたものの、まさか「ほんとやっかいな診療報酬改定のおかげでね・・」と、医院側が患者様に対し言い訳をするようなみっともないことはできない。仕方なく、「重要な文書」であるかのように手渡すこととなる。今まで見たことのない文書を何度と手渡された患者様にとって、最初はとても新鮮であろう。しかし、よくよくその内容を見ると、あまりにも杜撰な事がバレてしまう。開始して数ヶ月が経った今、毎日の診療時間の中に、なんとか文書を作成し手渡す時間が組み込まれてきた。ならばそろそろ、それらの内容を見直す時期がきているのではないだろうか。
■文書の手渡し方・内容の見直しを
ではその文書をどのように手渡しているのかを考えてみる。院長からでなく、受付で診察券や薬と同じように手渡しているとすれば、患者様は「これ何?」と不思議な顔をされるであろう。そこで受付は、患者様のその表情を見て見ぬふりし、さっさと「おだいじに」という親切な言葉で追い出している。まるで、「深く聞かないでね」と行動でもって伝えている。こうならないように、文書の手渡しには「本日、行いました○○の説明書です。先ほどお話させていただきました内容をまとめさせて頂きました。それ以外のアドバイスも書かせていただきましたので、今後のご参考にしてください。」など、きちんと説明し価値をあげていくべきだと思う。そして、もちろんその前にそれだけの価値のある文書へと内容の再検討が必要になる。また、現在は治療費の領収書に明細が必要となり、患者様に行った処置、指導にいくらの治療費がかかっているかなどが明確になる。すると、患者様は受けた治療の内容と支払った治療費を比較し、それらに見合うものであったかどうか評価する。だからこそ、その評価が高くなるよう今できることから始めておかなければと思うのである。
患者様への文書の提供。これらを義務付けられた今、このまま業務が増えたことにイライラしても仕方ない。このような患者様への大切なサービスが、こんな形で価値を下げ、保険点数に含まれるのは残念でならない。患者様への情報提供という大切な業務は、診療報酬改定に惑わされず、今まで通りスタッフが心を込めて患者様へ伝えていって欲しいと思う。