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月刊歯科医院経営ワンポイントアドバイス



2006年05月号

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別れの場面でわかる院内のコミュニケーション評価

■スタッフの突然の退職
春といえば、別れの春、そして出会いの春。桜の花が咲くと、別れを惜しむ間もなくまた新たな出会いがやってくる。このような春を何度と経験してきたことであろう。しかし今では、季節を問わずに突然別れがやってくる。スタッフからの退職の申し出を受け、また新たな出会いに繋がる。いつも側にいたスタッフが居なくなると、診療室にぽっかり穴が開いたような寂しさを感じる。とはいえ、正直なところこのようにしみじみと別れを感じるのはそれから後々のことであって、実際スタッフから退職を言い渡されたときは、今後のことを考えやきもきしている。この気の焦りを隠しつつ、採用の準備にかかっているのが本心である。

■医院の問題を患者さんに見せないように
さて、この私もスタッフ教育で他院を訪れるようになってから、多くのスタッフとの別れを経験してきたが、いつも気持ちよく見送れるものばかりではなかった。「スタッフが急に全員辞めてしまったので、明日からスタッフが一人もいない。」こんな最悪の状態にも出くわすこともある。このような事態に陥った時、私は院長に、『医院の問題を患者様に見せないようにすることを考えましょう。』、と話している。患者様には何の罪も無いわけであり、自分の生活の中の大事な時間を費やし来院される患者様に対し、時間を無駄に遣わせることは大変失礼である。また、充分な診療の補助が得られない状況の中では、昨日までと全く同じ医療を提供できない。それならば、患者様にとって数日受診日を遅らせてでも、きちんとした診療を提供する方がいいのではとお話している。そしてその間に体勢を整えましょう、と伝えながらも、本来の一番の目的は先生の苛立ちを落ち着かせ、いつもの院長の表情に戻ってもらうことにある。

■人としての自分を振り返る機会
では、このような方法しか取れなかったスタッフ達は、今頃何を考えているのだろうか、私はいつもそこを考える。自分達の考えや思いをわかってもらえない、抑圧された気持ちの行き場を失い、皆で団結して業務を拒否しまうことでしか思いを訴えられなかったスタッフ達。その心の中は、勝ち誇った気持ちでいるだろうか。いや、そうではなく、院内のことが心配で、患者様がどうなったのだろうかと、気になって仕方ないはずである。スタッフ達が最後の手段として行ってしまった今回のような行動、それは今まで何度か行き詰まりを感じながらも、このような行動に歯止めをかけていたのは、「患者様を困らせるわけにいかない」という、患者様を大切する思いなのである。それだけに、きっと今頃彼女達は、自分のストレスを排除することで患者様のストレスを一気に高めてしまっていることに、心苦しく、そして申し訳ないと心を痛めていることであろう。ならば、このように誰もが辛く、そして傷ついてしまうような手段では無く、何かもっと方法は無かったのかと遺憾に堪えないところである。
スタッフの退職。心よく涙して見送れるときもあれば、残念ながら嫌な思いを残すこともある。しかし、最後の別れの場面において、どれだけ惜しむ気持ちを残せるか、どれだけ人を大切にできるか、それが双方におけるコミュニケーションに対する評価であると思う。人との別れに直面する時、院長としての自分、衛生士・アシスタントとしての自分、そして人としての自分を振り返ってみて欲しいと思う。




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