院内改造計画
■院内のマンネリ化の始まり
私は時折、院内に新しい風を吹かせなければと思うことがある。それが1年に1回であったり、2回であったり、これは私の思いつきである。私のおもいつきに付き合わされる院長も大変だろうな、と思いつつ「院内改造計画」と名づけて、院長、スタッフに協力を願っている。それは、診療のことであったり設備的なことであったり、サービス的なことであったり、ほんの些細なことであったりもするのだ。
さて、先日私の心がざわめいた。その日は患者様が順調に入らず、患者数が少なく感じた。患者様が少ないと経営者側としてはどうしても落ち着かない。近隣に若手の活気ある歯科医院が増えたせいで当院は古めかしく見えるのだろうか、患者様の視点に立ったつもりで、自分勝手な解釈をする。とはいえ、私の胸のざわめきは患者様が少ないことが大きな問題ではなかった。この私を不安にさせたのは、その現状ではなくその時のスタッフの一言だった。患者数が少ないと口に出した私に対し、あるスタッフが「でも、院長先生は、これくらいの患者数が一番機嫌いいですよ」と言った。決してネガティブな発言として言ったのではなく、「院長はこれくらいのテンポが合っているみたいですよ」と言ってくれたと察している。しかし私は、「これは暢気にしていられないぞ」、と思ったのである。
今回の私の焦りは、スタッフが院長に合わせようとする半面、マンネリしてしまっている院長に気づいていないことだ。いや、気づいているかもしれない。気づいていながらも現状の居心地の良さに浸ってしまい、気づかぬふりをしているのではないだろうか。私はそこに焦りを感じたのだ。パターン化した業務を守ろうとする院長、スタッフ。これが院内のマンネリ化の始まりなのだ。
人それぞれ物事に対する価値観は違い、立場が変わればまたその違いが出る。だが、その違いがあってこそ、異なった角度から物事を見ることができ、患者様の求めていることを知ることができるのだと思う。しかし、長く一緒に働いていると、同じような考え方に偏り緊張感が薄れ、共に働くことが楽に感じるようになる。この楽さに長く浸かってしまうと、ちょっとした刺激が億劫になり、新しいことに取り組むパワーが湧き出てこない。私は、このような無気力な状態になるのではと心配なのだ。
■マンネリ化防止のアプローチ
さてそんな思いの中、私の改造計画は始まる。私の意見に賛成してくれるだろうか。院長やスタッフに自分の考えを伝え、賛同してもらうことに一番の労力を費やす。何事も最初が肝心である。話の導入を間違え、その必要性を感じてもらえないと何も始められない。タイミングを間違えないよう、熱く語り過ぎぬよう、まずは今の問題点を挙げ危機感を持たせる。次に客観的にその状況を伝え、改善点を提案する。そして、何から始めていけばいいかを共に考えていく。具体的な対策がみえてきたら、後はスタッフに任せる。ここからは、院長とスタッフが患者様のためにできることを考えてこそ、継続されていくと思うからだ。
ちなみに今回の院内改造計画は受付の教育の強化であり、前回は待合室のトイレの改修だ。このように、患者様に「何か変わったぞ」と思わせることで、患者様が医院に対しマンネリしないようアプローチしていきたい。そして、そうすることで院内のマンネリ化の防止を仕掛けていこうと思う。