言葉の裏の満足度
「歯医者は高い。」患者さんはよくそういわれるが、歯科医院だけが特に高いように言われるのは納得がいかない。内科や耳鼻科などに来院しても結構な治療費を支払っている。それなのに歯科は高いと思われるのは、自費の治療のイメージが強いからがあるからだろうか。それとも、治療内容によってかなり差があり、100円の時もあれば8,000円、言われる事もあり、治療費がかなり流動的であるからであろうか。内科のように頂いて帰る薬が少ないからであろうか。とにかく治療費を支払う患者さんが「高い」と感じること自体、患者さんの想像を越えた治療費を言い渡されたことには違いない。いったい患者さんは何を基準に「高い」と感じているのであろうか。
例えば歯科医院で治療を受け、「痛みが取れた」「噛めるようになった」などと、満足のいく治療が受けれたときは、請求された治療費に何の疑問も感じない。しかし反対に「痛かった」「長く待たされた」「一方的」などと、心にストレスを感じた時は、いつも通りの治療費を請求されたとしても「高い」と感じてしまう。結局患者さんは、自分の心がどれだけ満たされたのか、どれだけの満足感が得られたのか、それを治療費の基準にしているのではないだろうか。「満足感」それは治療そのものだけではなく、先生の優しさであったり、説明の仕方であったり、またスタッフの心遣いであったり、と様々であろう。とにかく患者さんの心がどれだけ満たされたのか、そこが重要となる。だとすれば、私達スタッフにも患者さんの満たされない心を埋めることはできる。私たちは患者さんの痛みをとることも、治療費を安くすることもできない。しかし、そのように感じる患者さんの心のストレスを「感じさせない」ようにする事はできるのではないだろうか。
「感じさせないこと」。例えば、待合室で待たせてしまった患者さんに対し、きちんと目を見て「おまたせいたしました。」と言う。当たり前の事であるが、待たせたことに申し訳ないと感じ、目を見れない人やこの言葉を言えないスタッフは多い。しかし、患者さんは待っていたことをわかってもらえただけで気持ちが和らぐのである。それを忘れてはいけない。また、診療室で再度長く待たせる時には、患者さんの気に入りそうな雑誌や本などを手元に持っていってあげる。また、その患者さんが待合室で読んでいた本をチェックしておき、その本を持っていってあげる。そうすると、集中するものができるので患者さんは長く待っている事を感じなくてすむ。また、「高い」と感じないようにするためには窓口でのちょっとした言葉にも気遣ってみる。会計時「今日の治療費は3,200円です。」と言われると、そのぶっきらぼうな言い方に「3,200円?」と反対に高く感じる。しかし「今日はレントゲンとりましたのでいつもより少し高くなっています。今日の治療費、3,200円になります。」と言われると自然とその金額に納得する。また、あらかじめ高くなるとわかっている治療に際しては、前もって「次回は歯が入りますので、5,000円くらいかかります。ご用意ください。」と告げてあげる。そうすれば次回来院時、その金額に驚くことはないのではないだろうか。
今後の保険改正で患者さんの一部負担金がいつ増えるかわからない。患者さんが自分の財布から支払う治療費が増えれば、今まで通りの応対では患者さんはまた「高い、高い」と豪語するであろう。患者さんが「高い」、とそんな言葉をこぼしたら、それは医院のどこかに不満を感じているシグナルだと受け取り、院長を始めスタッフ一人一人の応対を確認しあう気持ちが、これからは必要なのではないだろうか。