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月刊歯科医院経営ワンポイントアドバイス



2005年02月号

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「わからないこと」からくる不安感

新年を迎え、お年玉を手にした我が子にせがまれ、いつも行く駄菓子やさんに足を運んだ。この駄菓子屋さんのご主人も奥様も、私の歯科医院の患者さんである。
「あけましておめでとうございます。」簡単な年始の挨拶をかわした後、その御主人はすかさず自分の口に手をやり「今年に入ってすぐ取れてしまってね…」と、口腔内からはずしたクラウンを手の上に乗せ私に見せてきた。慣れているとはいえ、診療室以外のところでこれをやられるといつもながらに驚く。
 毎年の事ながら新年早々、クラウン、インレーなど脱離の患者さんが目立つ。
「これつけてもらえるだけでいいんですが。」患者さんは外れた補綴物を手にし、よくこう言われる。医院側にすれば結構カチンとくる言葉である。私たちが口の中を診る前に、自分で先に診断し治療方法を決めている。「やり直しだと言われたら時間がかかるのでは?」「保険がきかなかったらどうしよう。」患者さんは先生を信頼していないわけではないが、頭の中は不安でいっぱいになる。
先日私の主人が体調を崩し病院で検査を受けた。検査結果を聞きにいく時間がないので、代わりに聞いてくるように言われた。同じ医療といえど、話の内容がわかるだろうか心配である。ドキドキしながら診療室に呼ばれ、レントゲンにエコーを見せて頂きながら説明を受ける。案の定、聞き慣れない病名や検査方法、また数値などが先生の口から飛び出すと、だんだん頭の中で整理しきれなくなってきた。一生懸命説明してくださる先生に見つめられ、より緊張感が増してくる。そんな中で一つわからない言葉にぶつかり、その後の説明は、理解しようにもその余裕すらなくなってくる。このように、聞けば聞くだけだんだんと頭の中は混乱していく。しかし私はなに食わぬ顔をし、うなずきながら聞いている。このように、一見成功しているようにみえても、成功したとは言い切れないインフォームドコンセント。「言った」「聞いてない」の誤解は、このようなところから生まれてくるのかもしれない。
歯科医院においても、先生が説明される内容をきちんと把握できてない患者さんは多い。患者さんは歯の治療についてはわからないことばかりである。それだけに、先生から話される内容を整理し、理解するのに時間がかかる。しかし、医院に足を運ぶと、専門的な話を短い時間で聞き入れていかなければならない。納得した事に対して、その様に治療が行われるのは構わない。しかし、わからないまま、納得しきれないまま決定され進められる治療には、「不安」が「不信」に変わる。患者さんはこのような小さな「不安」は表に出さず、心の中に積み重ねている。
 そこで、患者さんが不安な気持ちをため込まないように、インフォームドコンセントが行われるが、歯科の場合「危険を伴う治療」や「高額な治療費を要する治療」など、特別な場合の説明に時間が費やされがちである。しかし、本来はそうでなく根管治療や充填処置など、日常的に行われている処置からきちんとした説明を加え、患者さんの治療に対する知識を高める事が必要である。知識を得ることで、「わからないこと」が明らかになってくれば、患者さんの安心感は大きくなっていく。
「自分の体のことは自分が一番よくわかっている。」と言う人はいるが、「自分の歯のことは自分が一番よくわかっている。」という人はいない。それだけ、歯科の分野は患者さんには未知の分野なのかもしれない。




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