一身上の都合により・・・
「一身上の都合で退職したいのですが・・・」この言葉は、なんともドキッとさせる言葉である。一見安定したように見えた診療室。この診療室もこの言葉ひとつで嵐が吹き荒れる。
1. 求人募集
新しい人材に求めるものは、即戦力ばかりでなく「スタッフとの調和」である。年齢、性格、知識、経験、勤務態勢など、現在のスタッフの中に入って、「人とのコミュニケーションを積極的にとれる人材であることが望ましい。私も何度か新人スタッフを採用してきたが、大変よく気がつき本人の前向きな意志があるからと言って覚えが早いとは限らない。問題は、どれだけ積極的に先輩スタッフとのコミュニケーションが図れ、先輩に可愛がってもらえる存在になるかということである。可愛がってもらえる存在は、たくさんの知識をわかりやすく教えてもらえる。また、診療中困っていると、周りのスタッフがすかさずホローに入る体制ができていく。
2.引き継ぎ
引き継ぎの内容は、おおまかに受付業務、診療補助業務、院内管理業務の3つに分けられる。まず、受付に関しては、受付事務、患者応対、電話応対。診療補助業務においては、器具器材の取り扱い、管理に始まり、セメント練和など手技的なもの、そしてフォーハンドシステムといった院長との連携操作までかなり細部にわたる。次に院内管理業務に対しては、院内清掃と院内環境管理にわかれ、院内の掃除から照明空調などの設備管理にいたるまで様々である。しかし、これらの業務は各スタッフで分担されていることが多く、その担当者にしかわからないというのが現実である。このように、引き継ぎは診療の補助ばかりではないため、後になって「聞き忘れた」などと引き継ぎミスは起こってくる。そこで、「引き継ぎリスト」を作成し、その項目の中で退職する者だけが行っている内容に対してマニュアルの作成、更新を行ってもらう。診療の補助に関しては、院長との連携作業がほとんどであり、その内容に関しては院長の頭の中にそのマニュアルはある。しかし、消毒システム、レントゲンの管理や院内清掃など、管理業務については、院長が理解し得てない部分が多いので注意が必要である。
3. 新人採用時のオリエンテーション
新人を採用した場合は、新人教育のほとんどが先輩であるスタッフに任せられる。それがゆえ、院長と新人スタッフとの間には、一対一で会話を持つ機会がほとんど無くなる。信頼しているスタッフといえ、院長とは立場が違う。院長として、経営者として話しておかなければいけないことは採用した時点で院長の口から伝えておく。たとえ10分でも20分でもいい。まず、医院において心がけている事、守って欲しい事、院長の診療に対する意志などを前もって伝えておく。このように、早い時期に院長から直接話された内容は、長く勤務した後でも、しっかりと心に残っているのである。
スタッフの交代時における様々な心の揺れ動き。急に仕事量が増えストレスを感じているスタッフ、連鎖反応で退職したくなるスタッフもいる。また、新人は新しい職場における緊張感に負けそうにもなる。そんな中、院長はそれらスタッフの悩みを一手に引き受け、人事面での悩みも抱えながら大きなストレスを感じている。このような時こそ大切なのは「コミュニケーション」である。お互いが積極的に会話を持ち、報告、連絡、相談を行う。誰かに任せてしまうのでなく、お互いを労る気持ちを忘れずに新しいスタッフでのスタートに積極的に取り組んで欲しいと思う。