介護保険に関する論点を集約
〜第6回介護保険料のあり方に関する検討会
「第6回介護保険料のあり方に関する検討会」が4月15日に開催され、これまでの議論のとりまとめを行った。焦点となったのは、国、自治体、被保険者それぞれの負担比率や財源の確保、低所得者への加重負担への配慮など。今後は、今回の議論とこれまでに検討を重ねたシミュレーションやアンケート結果を事務局がとりまとめて自治体へ提示し、その反応を元に議論を進める方向性を確認した。
同会では、負担のあり方として、「定率制」と「定額制」のどちらが適しているのかが議論の主題となった。「定率制」は高額所得者の負担が重くなり、事務手続きが煩雑になるなどのデメリットがあり、「定額制」は低額所得者の負担が重くなるという問題があることを再確認し、大筋の意見としては、「定額プラス定率」との方向性が示された。
又、現行の問題として賦課を個人単位で行うか世帯単位で行うかについても提示された。個人単位での保険料賦課にもかかわらず、世帯概念を導入していることについても説明しにくい上、2008年から始まった高齢者医療制度と世帯概念にずれがあるため、市民から理解されにくいなどといった問題がある。これに対しては、将来を見据えた場合には、個人単位で考えていくというのが適切との方向性も示された。
さらに、資産評価を収入でみるか、資産でみるかという観点(現在は、土地等に係る事業所得や株式等に係る譲渡所得等を除いて、資産は対象外としている)では、南方順一委員(仙台市健康福祉局保健高齢部長)から「都市部では試算の把握が進んでいるが、地方ではあまりデータ化されていないのが現実。特に土地代を含めると都市部では資産が膨らむため、被保険者の負担が重くなる」との指摘があった。
後期高齢者医療制度と介護保険制度との連携・整備を
〜日看協が声明 看取りまで切れ目なく 安心した医療を
日本看護協会は4月15日、「高齢者の尊厳を守り、暮らしの中での総合的な療養支援を強力に推進する立場」から後期高齢者医療制度(長寿医療制度)に対して協会ホームページ上で声明を発表した。
発表された声明では、▼慢性疾患やターミナルなどの高齢者が必要な医療を外来から在宅での看取りまで、医療を切れ目なく安心して受けられる基盤整備の第一歩と評価する、▼在宅医療の支援については、住み慣れた地域で身近な人に囲まれて最期を迎えたいという希望を実現できる24時間365日のスムーズな他職種連携による支援体制が求められている、▼訪問看護の拡充策を確実に進めることによって、介護保険制度との連携を含めた後期高齢者医療制度の更なる整備に参画する、▼訪問看護事業の強化により国民が望む「健やかに老い、安らかに眠る」ことができる社会作りに貢献する――という4つの項目が組み込まれたものであった。
社会福祉士・介護福祉士の養成制度改定へ
〜2008年4月実施 1年間の移行措置も盛り込む
厚生労働省は4月1日から施行された「社会福祉士養成施設及び介護福祉士養成施設の設置及び運営に係る指針」を都道府県、指定都市などに通知した。新しい指針では、設備基準や運営、施設・設備基準、カリキュラムなどの要領が網羅されており、特にカリキュラム名は大幅な変更が行われた。新設備基準への移行にあたっては、経過措置として、現存する社会福祉士・介護福祉士養成施設は2008年10月1日までに変更届を出し、2009年4月1日からの運用でも運用できるとしている。
新指針は、1987年に制定された「社会福祉士及び介護福祉士法」と「社会福祉士介護福祉士養成施設指定規則」の運用規定を変更したもの。これを受けて既存の▼社会福祉士養成施設等指導要領及び介護福祉士養成施設等指導要領、▼社会福祉士養成施設等における授業科目の目標及び内容及び介護福祉士養成施設等における授業科目の目標及び内容、▼社会福祉士養成施設等及び介護福祉士養成施設等の実施施設に関する意見書――の3制度は廃止となる。
介護事業などに42提案のシルバー人材センター活用
〜厚生労働省 自治体と連携 企画提案支援事業を展開
厚生労働省は4月16日、介護、子育て、教育、環境の4つを重点分野に、シルバー人材センターと自治体が連携する企画提案事業を支援する2008年度の対象事業を発表した。企画提案方式を導入した事業展開で、介護分野は、42件の実施を行う。内容は、▼生活援助などの介護保険事業及び周辺事業、▼介護予防事業、▼自治体事業の補完、▼福祉施設の後方支援――が主な対象事業。厚生労働省は、2008年度からシルバー人材センター事業の新たな取り組みとして、政策要請の高い分野で地方公共団体の協力・支援を得て、地域ニーズに合った事業を支援する「企画提案方式による事業」の実施に踏み切った。国は企画審査で、一定の事業効果が見込まれると認められた企画に対し、事業運営を支援する。190件に上る応募の中から181件が採用された。
介護分野で創出された事業の一つに、福井県大野市の「高齢者福祉サービス補完事業」が例示されている。財政的な事情などに伴い、職員不足によるサービスの低下が懸念される大野市が、市のシルバー人材センターを活用した福祉サービスの向上を図る企画提案で、人材センター登録者の中から、ホームヘルパー等の有資格者を高齢者介護に関わる福祉施設などの専門分野で、技能活用する構想だ。
療養病床 2006年2月から減少傾向
〜2008年1月医療施設動態調査 厚生労働省
厚生労働省は4月11日、2008年1月末の医療施設動態調査を発表した。前月に比べ病院は2施設、病床数では575床、一般診療所は78施設、489床数の減少であった。
歯科診療所は、39施設の減少で病床数は9床増となっている。一般病院の療養病床が34万2,823件で154床減少し、また、療養病床を有する一般診療所でも、1万8,693床で80床減少となっている。
この病院、療養病床における病床数の減少傾向は、ともに2006年2月から続いているものであり、医療制度改革による療養病床再編により、ますますこの減少傾向に拍車がかかることが推測されている。
介護事業運営適正化へ事業者規制を見直し
〜2007年度総合評価書で厚生労働省が方針
2007年4月に発覚したコムスンの不正事案を受けて、介護保険事業運営の問題を検討していた厚生労働省は4月4日、▼介護サービス事業者の本部などに立ち入り調査・報告徴収をすることができなかった、▼当該事業者は処分逃れとして、指定取り消し処分の対象となる事業所を処分前に廃止したため、処分ができなかった――などとする総合評価の結果を公表した。その中で今後、介護サービス事業者の不正事案の再発を防止し、介護保険事業運営の適正化を図るため、▼法令遵守などの業務管理体制整備の義務づけ、▼事業所本部などへの立ち入り調査権の創設、▼処分逃れ対策に必要な法改正――などが必要であるとし、検討を求めた。
介護施設での高齢者の安心安全を確保する見守り空間創生も
SCOPE新規採択課題 医療・介護関係が5件
総務省は、4月4日、2008年度「戦略的情報通信開発推進制度(SCOPE)」の新規採択研究開発課題54件を公表した。課題の公募には、大学、民間企業、公的研究機関などに所属する研究者から300件の応募があった。その中から、医療・介護関係では、「がん健診」「看護」「眼科遠隔診療」「医療多言語対話支援」「高齢者見守り空間創生」の分野で5件が選定された。
評価委員会による評価結果を踏まえ、医療関係で新規採択研究開発課題に選ばれたのは以下のとおり。
代 表 研 究 者 |
氏名 |
1.地域情報ネットワークを活用した地域医療連携支援 がん診断拠点センターシステムの研究開発 |
弘前大学大学院
野坂 大喜 氏 |
2.音声主導型看護医療システムに関する研究開発 |
秋田県産業技術総合研究センター
佐々木 信也 氏 |
3.甲府盆地を中心とした中山間地を支援する眼科 遠隔診断システムの研究開発 |
山梨大学大学院
郷 健太郎 氏 |
4.多言語共生社会における医療対話支援のための 多言語対話用例プラットホームの構築 |
和歌山大学
吉野 孝 氏 |
5.ユビキタスネットワークを活用した介護施設等に おける高齢者等の安心安全を確保する見守り空間 創生に関する研究開発 |
兵庫県立工業技術センター
松本 哲也 氏 |
机上の空論は、何を生み出すのか
― 介護業界を読む ―
国立社会保障・人口問題研究所の「人口統計資料集2008年版」によると、我が国の高齢者(65歳以上)人口は、2025年には全国民の30%を超えると推測されている。更に、2055年には40%を超えると推測され、75歳以上の後期高齢者が国民の4人に一人という深刻な状態になると推測される。このことは、医療・福祉に携わる者であれば、周知の事実である。
このような中で、厚生労働省は医療制度改革を図り、各都道府県に「地域保健計画」「地域ケア整備構想」「健康増進計画」を、更にはそこから算出される医療費の動向を適正なものとするよう「医療費適正化計画」を策定させている。その中には、今改革の目玉の一つである療養病床の削減(医療療養型医療施設の削減、介護療養型医療施設の全廃)を推進するために数値目標が記されている。
しかしながら、各都道府県がはじき出した数字は当初、厚生労働省が仮定したものを大幅に超えるものとなっている。つまり、裏を返せば、机上でははじき出せない数の高齢者が医療・福祉サービスを求めているということだ。平成20年度から実施されるはずであった医療制度改革の諸計画が平成20年4月22日現在、各都道府県全てで出揃わないのは、このことにも一因があるのではないだろうか。私は、昨年度末に開催された介護給付費分科会を数度に亘り傍聴した。毎回の会議の中で行われているのは、委員が厚生労働省の提案に反対し、メリットの異なるそれぞれの立場の人間がそれぞれの立場を守るための発言を繰り返すことであった。その結果、導き出されたのは「机上の空論」である「介護療養型老人保健施設」というわけだ。
一方、それだけの高齢者を治療、看護、介護するスタッフの確保が困難であるということは、今更言うまでもない。現場を離れていく者の多くは、過酷な労働を余儀なくされ、それに見合った報酬を受けることが出来ないことを要因の一つに挙げている。医療・福祉サービスのメインとなる収入源が各報酬であり大幅な増収が望めない上に、毎回の報酬改定がマイナス改定であれば、毎年一定の伸びを見せていく人件費を十分に満たすことが出来ないのは当然のことである。単純な論理である。
財源を中心とした論理で、現場が無視された形で政策が決定され、現場を守る人間にばかり負担がかかる。これでは、この国の医療・福祉制度は崩壊するであろう。その結果は、医療や介護を必要とする高齢者にとっては死活問題に直結する。
衆参ねじれ現象により、日銀総裁人事が難航し、総裁に対する誹謗中傷が毎日のようにニュースとなる等、医療・福祉のみならず、我が国が大きな転換期、過渡期にきていることは間違いない。そのような中で、国はどんな政策をとるのか。国民を守ることが出来る「机上の空論」が生み出されるのであろうか。いや、生み出されなくてはいけない現実が目の前に広がっている。
平成20年4月22日
鰍lMPG総研 原田 武昌
MMPG提供

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