労働者処遇改善に介護報酬引き上げを
〜ワーキングチームが報告書提出 介護給付費分化会
社会保障審議会介護給付費分科会の介護サービス事業の実態把握のためのワーキングチーム(座長・田中滋慶應義塾大学教授)は10日、同分科会に対して、介護労働者の処遇改善のためには、▼介護報酬の引き上げ、▼キャリアアップの仕組みの構築、▼書類作成の事務負担軽減――などが必要であるという報告書を提出した。同書の中では、具体的検討を課題として、具体的な数字での介護報酬引き上げのシミュレーションや、キャリアアップの仕組みについて基準や評価設定などが列挙されている。これに対し、厚生労働省は「具体的な数字の設定には今後の議論が必要なため、2009年度では介護労働者の処遇を改善させる形の介護報酬改定は考えていない。」と述べ、示された検討課題をどのような形で議論していくかについては、未定との見解を示している。
報告書は、現状の介護報酬における問題点を介護労働者、事業者双方の見地に立って作成された。介護労働者が業務内容の割に賃金や社会的評価が低く、生計を支えていけない等の不安があるため、離職率が高い。また、職員数が不足した際の求人への応募も少ない現状を指摘した。事業者については、現在の介護報酬水準では経営が苦しく、職員への処遇確保や人材育成などが困難だと訴えた。
さらに、事業運営や介護労働者の処遇に影響を与える要因のうち、▼介護報酬水準や事業に係る基準や規制の在り方、▼書類作成などの事務負担軽減――などについては国が改善を努力できる部分だとした。一方で、事業者が努力すべき部分としては、適切に賃金を配分できるようなマネジメントや人事労務管理の在り方を挙げると共に、利用者も考える部分として、適切なサービスの範囲など介護保険サービスの在り方を指摘した。
介護保険給付額は4.5%増
〜国保中央会まとめ
国民健康保険中央会がまとめた8月の介護給付費は、保険給付費が5,116億円で前年同月から4.5%増加した。地域密着型介護サービスは前年同月から17.2%と大きな伸びを示したが、居宅サービス5.1%増、施設サービス2.0%増にとどまった。施設サービスでは、介護療養型医療サービスの落ち込みが大きかった。
8月の保険給付額は居宅サービスが2,406億円で、地域密着型サービス375億円、施設サービス2,334億円だった。伸びが著しかったのは地域密着型介護サービスだが、その多くは認知症対応型共同生活介護305億円(前年同月比9.8%増)が占めた。伸びが大きい夜間対応型訪問介護は0.2億円(同534.1%増)、小規模多機能型居宅介護は19億円(同693.2%増)だけだった。
一方、施設サービス費では介護療養型医療施設が前年同月から5.5%減の411億円となった。介護療養型医療施設の1件当たり日数は29.9日となっていたが、件数が7.3%減、日数6.6%減などとなっており、介護療養型医療施設自体が減少していることを裏付けた。介護特養の保険給付額は1,104億円(同4.3%増)、介護老人保健施設は818億円(同3.1%増)となっていた。
独居高齢者把握や緊急対応の仕組みづくりを
〜孤独死防止で 厚生労働省の検討会
厚生労働省は11日、高齢者等が1人でも安心して暮らせるコミュニティ作り推進会議(議長・高橋絋士立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科教授)に対し、年度内にまとめる報告書の大筋となる今後の議論のポイントを示した。高齢者の孤独死を防ぐために、独居高齢者の所在の把握や、病気や災害等緊急時対応の仕組みづくり、日常的な相談の在り方などが主な項目になる。次回会議に論点の整理案を示すなどして報告書をまとめる。
報告書は、自治体や社会福祉協議会、民生委員や自治会などが高齢者の孤独死防止に取り組む際に参考となる内容を目指す。具体的な内容としては、▼独居高齢者の数、▼住居環境などの把握方法、▼病気や災害などの緊急時に高齢者自ら発信して助けを求めるものか、他者が発見するか――などの仕組み作りを示す。 普段から高齢者の悩みを聞ける相談体制や、具体的な取り組みの担い手や関係機関のネットワークづくりの在り方、都市部や過疎地域など、取り組む際に留意すべき地域特性についても触れる。高橋議長は「取り組みを考える際にこれを見ながらヒントにできるよう、今後のこの会議で議論していきたい」と述べた。
生活福祉資金の活用は減少傾向
〜厚労省が報告 地域福祉のあり方研究会
厚生労働省は14日、これからの地域福祉のあり方に関する研究会(座長・大橋謙策日本社会福祉事業大学学長)の中で、生活資金に苦しむ低所得者や高齢者などに社会福祉協議会を通して資金を貸し付ける生活福祉資金貸付制度の貸付金額が、4年前と比べて約100億円減り、貸付件数も減少傾向であることを報告した。手続きの煩雑さや手軽な消費者金融の利用が増えていることが要因だとしている。厚生労働省社会援護局地域福祉課の中村信太郎企画官は、「今後は資金の種類の簡素化や、多重債務の予防になるような事前相談や事後モニタリングの充実、専門職による自立生活プランの策定が必要だ。」と訴えた。
生活福祉資金貸付制度は、1955年に設立した世帯更生資金貸付制度が源流だ。当初は戦後の低所得者世帯の更生が目的だったが、近年のニーズの変化とともに、高齢者や障害者など貸付対象の範囲を広げ、療養・介護資金や離職者資金を創設するなど種類も増やした。2006年3月末時点で、2,100億円の貸付原資に対して978億円を貸し付けているという。実施主体は都道府県社会福祉協議会で、窓口は市町村社協だ。民生委員などが資金を必要としている人を窓口に結びつけ、社協が事務を担う流れになる。
指定管理者制度はサービスの質がおろそかに
〜全社協が報告書
全国社会福祉協議会(全社協)の指定管理者に関する検討会はこのほど、指定管理者制度を採用している社会福祉施設では、コスト削減に重点が置かれたことにより、サービスの質に影響が出ているとする報告書をまとめた。
制度の現状を調査・分析した上で、国に対して、社会福祉施設には制度がなじまない場合もあるとして、導入を再検討すべきと提言している。 S
指定管理者制度は、公的施設の管理を民間事業者やNPO法人に委託する制度で、2003年9月に始まった。「社会福祉施設などにおける指定管理者制度をめぐる現状と課題」と題した報告書では、制度の問題点として、指定管理者への応募の審査と決定に当たって、経費削減が最優先されてサービス面の内容がおろそかになっていると指摘している。業務委託後も事業の実施に対する行政からの制約が多く、新規事業をしようとしても費用や職員体制に制限があってやりにくいことも挙げている。指定管理者の清算についても、不足分を自治体に請求する場合や法人が負担する場合があることを指摘した。
JA農業協同組合連合会が特養の開設が可能に
〜改正老人福祉法の成立
「老人福祉法の一部を改正する法律」が19日に公布され、同日から施行となった。今改正の趣旨と内容は下記の通り。
| 趣旨 |
医療法第31条に規定する公的医療機関に該当する病院又は診療所を設置する「農業協同組合連合会」が、特養(特養)を設置できるものとすること |
| 内容 |
医療法第31条に規定する公的医療機関に該当する病院又は診療所を設置する農業協同組合連合会(以下、「厚生連」という。)を老人福祉法第15条第4項、第16条第3項及び第4項並びに同法附則第7条の規定(各条中特別養護老人ホームにかかわる部分に限る)の適用については、社会福祉法人とみなすこと |
居住が点在している農山部では1箇所での集中した介護サービスの提供が必要であるが、民間企業の参入も少なく、自治体の財源も厳しいことから要介護者の受入先が少ないのが現状である。厚生連の特養設置が可能になることで、財源負担面からも自治体主導の運営より軽減化が可能となるばかりではなく、さらには同一法人の医療機関との連携により、医療サービスの提供も受けられることとなる。
MMPG提供

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