転換型老健の床面積経過措置を延長
2012年4月以降も継続へ 介護給付費分科会
厚生労働省は12日、社会保障審議会介護給付分科会(座長・大森彌東京大学名誉教授)に対し、療養病床が介護老人保健施設(老健)に移行する際に認めている2012年3月末までの床面積の経過措置を、2012年4月以降も延長する方針を提示した。分科会は大筋で承認したが、経過措置をいつまで講じるかなどの具体的なスケジュールが未定のため、厚生労働省が次回以降の分科会に再度具体案を示す。2012年3月末時点でも老健の床面積基準を満たせない療養病床が残ることに配慮する結果となった。
療養病床が老健に転換する際、療養病床で6.4uとなっている入院患者1人当たりの面積基準を、老健の面積基準である8.0uまで広げる必要がある。厚生労働省は、転換する療養病床に対し、2012年3月までは6.4uのままでよいとする経過措置を認めていた。しかし、医療機関は平均して建築後20年目に大規模改修をしており、介護保険制度開始時の2000年前後の建築が多い療養病床を持つ医療機関では、2012年3月末では改修時期を迎えておらず、新たに改修する場合には費用負担が大きく経営難に陥る可能性もある。
このため、厚生労働省は、2000年の医療法改正前の療養型病床群が老健に転換する際に談話室の面積を療養室の面積に含めて良いとする経過措置を今回も適用するなどにより、面積要件をクリアできるようにする考えだ。
ただ、この経過措置などを適用したとしても「面積が8.0uを超えない療養病床が介護療養病床で10%、医療療養病床で5%残る」との試算を示し、2012年4月以降も床面積8.0uを満たせない療養病床について経過措置を延長するとした。
■医療法人の特養参入方針を撤回
また、同分科会の中で、医療法人の特別養護老人ホーム(特養)設立を認める方針を撤回することも明らかとなった。療養病床削減に伴い、特養を転換先の一つとして考えていたが、社会福祉法人などの関係団体からの反対が強く、断念する形となった。これにより、来年の通常国会にて提出する予定であった老人福祉法改正案を見送ることとなる。
現在、特養を設置できるのは、自治体や社会福祉法人などに限定される。厚生労働省は6月の介護施設等の在り方に関する委員会で、医療法人などの非営利団体による設置を認める方針を打ち出していた。これに対し、全国社会福祉施設経営者協議会が8月、「特養の設置主体の拡大は、公益性の確保という観点から社会福祉法人の根幹に関わる制度改正であり、十分な議論や根拠もなく決定することは重大な問題だ」とする反対意見を発表していた。全国老人福祉施設協議会も、「療養病床の受け皿としての特養・老健の在り方の議論が十分に尽くされないまま安易に医療法人の特養参入は認められない」とする意見書を厚生労働省に提出するなど、主に福祉施設団体からの反発が強まっていた。
■転換型老健の施設要件を提示
さらに、同分科会の中では、厚生労働省より療養病床から転換する新しい介護老人保健施設について、医療機関からの入所者が家庭からの入所者の一定倍以上とするなど2点の施設要件が提示された。
厚生労働省が示した直近のデータによると、老健入所者の入所前の所在に▼家庭が46.9%、▼医療機関が43.6%、▼その他が9.5%――と家庭と医療機関の両者が均衡していた。これに対し、新型老健を試算した場合、医療機関にいた人の割合が60.9%で、家庭にいた人の21.9%の3.2倍に上ることになる。また、転換型老健で想定される様々な医療処置の実施率は、既存老健と比べ経管栄養と喀痰吸引で3倍以上になる。
こうしたデータを踏まえ、厚生労働省は施設要件として、1年以内の新規入所者に占める医療機関からの入所者と家庭からの入所者の割合に比率や既存老健で実施頻度が高い医療処置を3ヶ月以内受けた人の割合とする考えを示した。
また、医療ニーズに対応するための看護職員の配置の試算も示された。提示された試算方法によると、▼夜間看護業務量から勘案した必要看護職員数、▼夜勤シフトから勘案した必要看護職員数――などの複数の要素を加味した上での算出することが必要となる。
介護報酬の具体的な算定要件などは未定のため、来月中旬に開く次回会合であらためて提示することとなった。
要介護1と要支援2の分類は見送り
〜データ収集は困難 要介護認定調査会省
厚生労働省の要介護認定調査検討会は9日、現行の要介護認定で、一次判定ソフトで要介護1相当と判断された中から要支援2と要介護1に分ける現行の方法について、見直すことを断念した。見直しの基準となるデータなどがなく、実施困難と判断した。同検討会では当初、要支援2と要介護1を論理的に振り分ける予定だったが、実際には両者の状態像がほぼ同じでデータとして集積することも困難として先送りした。
要介護認定は一次判定で要支援と要介護1相当、要介護2、3、4、5に分け、二次判定で「要介護1相当」の中から認知症高齢者の日常生活自立度などで要支援2と要介護1に分類する仕組みを取っている。軽度要介護者が増加していることから介護給付費の削減を目的に、2006年度介護報酬改定では要支援を1、2に分け、要介護1の大半を要支援2にするように改めている。一次判定の評価項目自体は2003年に作成されたものでこの改正に対応できなくなっているため、厚生労働省は同検討会に対し、要介護1相当の判定方法の見直しの検討を求めていた。
介護サービス実態把握の報告書取りまとめへ
〜ワーキングチーム最終回 12月に介護給付費分化会へ
社会保障審議会介護給付費分科会の介護サービス事業の実態把握のためのワーキングチーム(座長・田中滋慶応義塾大学教授)は13日、これまで3回にわたって開いてきた介護事業所団体などからのヒアリングを終え、報告書の取りまとめに入った。質が高く効率的なサービスを提供するための介護労働者の雇用形態や年齢構成のバランス、賃金水準やキャリアアップの仕組みなどの内容を盛り込む。近く詳細をまとめ、12月中旬に開く介護給付費分科会に提出する。
同日は全国訪問看護事業協会と全国老人福祉施設協議会、全国老人保健施設協会からヒアリングし、前回までに実施した6団体のヒアリング内容を整理した。各事業所団体に共通する論点として、▼介護労働者の構成、▼業務量、▼賃金水準、▼キャリアアップ、▼労働環境――を提示し、報告所に詳細を盛り込むとした。
常勤職員と非常勤職員のバランスや年齢構成、事業所の適正規模など、適切にサービスを提供できる体制の考え方を示す。各団体共通の要望事項だった「生活が成り立つ」賃金水準を保証するため、現行の介護保険報酬やサービス提供システムが現行の賃金水準にどの程度影響しているかも触れる。ヒアリングでは、「難しい」という意見が多かった小規模事業所でのキャリアップの仕組みの構築や、書類作成など事務負担の増加に対応できる方法も考える。
要介護認定の是正を提言
〜財制審が建議
財政制度等審議会(会長・西室泰三東京証券取引所取締役会長兼代表執行役)は19日、2008年度予算編成に係る建議(意見書)をまとめ、額賀nl郎財務相に提出した。介護保険の介護給付費が急速に増加していることについて、「放置すれば、介護給付費のための保険料・税負担を継続的かつ大幅に引き上げていかざるを得ない」と危機感を示し、▼軽度者の要支援・要介護認定率、▼二次判定における重度変更率、▼施設利用率の地域格差――の是正を図っていく必要性を挙げている。。
策定済み市町村地域福祉計画は3割
〜町村分に遅れ 厚生労働省が報告
厚生労働省は19日、これからの地域福祉の在り方に関する研究会(座長・大橋謙策日本社会事業大学学長)に対し、都道府県や市町村が行政計画として策定する地域福祉計画が策定済みの市町村は2006年度末時点で3割にとどまるなど、策定が進んでいない状況を報告した。
地域福祉計画は、2000年の社会福祉事業法改正に伴い、自治体の努力義務として策定が位置付けられた。地域福祉の推進がねらいで、計画策定時の住民参加を求め、地域福祉推進の基本方針や福祉サービスの基盤整備、福祉職の人材確保を盛り込むよう規定しており、市町村計画と都道府県計画からなる。
厚生労働省は8月、災害時に高齢者や障害者などの要支援者を適切に把握できるよう、市町村福祉計画に要支援の情報の把握や共有、安否確認方法などを盛り込むよう都道府県知事に通達していたが、市町村合併との兼ね合いなどにより、2006年度末時点で策定済みの市町村は全体の33.8%にとどまった。
MMPG提供

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