有老ホーム 高齢化するも入居短期化の傾向
〜厚労省の「2005年社会福祉施設等調査結果の概況」
厚生労働省が13日に公表した「2005年社会福祉施設等調査結果の概況」によると、有料老人ホームの入居者の平均年齢は82.5歳で、1999年の前回調査から3歳増えて高齢化している。一方、平均入居期間は「3年未満」が58.4%と前回調査の倍近く増え、短期化していることが明らかになった。
同調査は昨年10月、社会福祉施設等(89種類)と支援費制度の居宅支援事業所を対象に実施。有料老人ホームについては、全国から無作為抽出した620施設の入居者のうち、出生日が奇数の者(1万7,098人)を客体とし、591施設の入居者(1万3,315人)から回答を得た(有効回答率は96.9%)。
同調査結果によると、2005年10月1日現在における全国の社会福祉施設等の総数は94,612施設で、前年に比べ4,514施設、5.0%増加。(このうち前年に比べ増加した施設は、「老人福祉施設」(対前年3,810施設、9.7%)、「知的障害者援護施設」(同204施設、4.7%)、「精神障害者社会復帰施設」(同157施設 10.3%)等)。定員数は、3,204,584人で、前年に比べ90,042人、2.9%増加している。
また、同調査結果では、有料老人ホームの入居者の年齢構成が、「80歳以上」の者が63.1%となっており、前回の1999年調査に比べて17.3ポイント増加。さらに、「90歳以上」の者が17.3%となっており、8.5ポイント増加していることがわかった。
さらに、「ホームでの設備、運営等で困っていることがある者」は29.6%となっており、内容としては、「食事内容が自分に適さない」が最も多く、34.1%となり、次いで「他の入居者との関係」20.1%、「運営についての意見交換の場や要望を伝える機会が少ない」20.0%となった。
このほか、入居の際に、契約内容について、「文書を受け取り、説明を受けた」者は約半数となっており、これを説明内容別に見ると、下表の結果となった。
入居契約に際しての文書での説明状況
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文書を受け取り、
説明も受けた |
文書は受け取ったが 説明を受けていない、
又は文書は受け取ら ず、説明は受けた |
説明を受けたか
どうか覚えて
いない |
不詳 |
入居一時金に含まれる サービス内容 |
53.9% |
4.9% |
10.8% |
30.4% |
毎月の利用料に含まれる サービス内容 |
53.4% |
5.5% |
11.1% |
30.1% |
介護が必要になった場合 の取り決め |
48.9% |
5.8% |
12.7% |
32.6% |
解約時の返還金 |
51.4% |
4.9% |
10.6% |
33.1% |
2008年度には新たな介護保険給付適正化システムを運用
〜厚労省 情報化グランドデザイン(案)
厚生労働省は13日、『医療・健康・介護・福祉分野の情報化グランドデザイン(案)』をまとめた。同案は、2006年1月に、IT戦略本部において「IT新改革戦略」が決定され、医療・健康・介護・福祉分野横断的な情報化方針、具体的なアクションプラン等を示す情報化のグランドデザインを2006年度末までに策定することとされていることを受けてのもの。
同案では、情報化の推進にあたっての基本的視点として、(1)総合的施策の着実な実施、(2)利用者の視点の重視、(3)真に必要なIT化の推進、(4)個人情報の保護と国民の選択の尊重――などを挙げている。
このうえで、介護分野における情報化の具体的取り組みとして、
(1) 2006度中に、現行の介護給付適正化システムの検証・見直し項目の検討を開始。2007年度には、検討結果を反映させる介護給付適正化システムの改修を行い、2008度には新たな介護給付適正化システムの運用を開始する。
(2) 平成2006年度中に、介護給付実績を全国的規模で分析するための具体的方策について検討を開始する。。
(3) 2007年度末までに、福祉・介護サービスにおける手続きや業務記録の電子化について結論を得る。
――などを挙げている。
また、障害福祉分野では、
(1) 2007度に、障害者自立支援給付支払等システムを稼働させ、障害福祉サービス費の電子請求を実現する。
(2) ITの活用による障害者の自立・就労を支援する観点から、▼「重度障害者在宅就労促進特別事業(バーチャル工房支援事業)」を実施する都道府県等に対する財政支援、▼パソコンボランティア指導者の養成、▼障害者ITサポートセンターの設置・運営やパソコンボランティアの養成・派遣等を行う障害者IT総合推進事業を実施する都道府県等に対する支援――継続して取り組む――としている。
軽度者への福祉用具貸与でパーキンソン病患者らも対象に
〜厚労省
厚生労働省は19日、2006年4月介護報酬改定で設けられた要支援者や要介護1の軽度者に対する電動ベッドなどの福祉用具貸与の利用制限について、パーキンソン病などの患者に対しても給付を認める緩和措置を講じることを決めた。軽度者への電動ベッドなどの貸与は昨年4月から原則保険給付対象外となり、当時貸与を受けていた人に対する経過措置も9月末で終了していた。しかし、医師が医学的に判断し、サービス担当者会議等を経た適切なケアマネジメントの結果を踏まえ、市町村長が確認しているというプロセスを踏まえているものであれば、例外給付を認める仕組みとなる。パブリックコメントなどを経て4月から見直した制度を運用する。
2000〜2001年度の登録ケアマネは2008年度に更新
〜厚労省
介護保険法改正で介護支援専門員に資格更新制が導入されたことで、厚生労働省は19日の課長会議で、都道府県担当者に対し、介護支援専門員に対する周知と更新研修の計画的な実施を要請した。これによると、2000〜2001年度の登録者は2008年度中に更新研修を受けることが必要になる。介護支援専門員は5年ごとの更新制が導入されたが、2006年3月31日までの登録者は経過的に2008年から順次更新することになっている。更新時期は、2000〜2001年度の登録者は2008年度、2102〜2003年度登録者は2009年度、2004〜2005年度登録者は2010年度に更新研修を受ける。
社会福祉事業剰余金等の充当対象となる公益事業の範囲を拡大
〜社会福祉法人審査基準等の見直し(案)
厚生労働省は、社会福祉法人審査基準等の見直しについて検討を行い、「社会福祉法人の認可について」、「社会福祉法人が経営する社会福祉施設における運営費の運用及び指導について」など9つの通知等の改正案を9日明らかにした。
改正案の柱は、(1)社会福祉事業剰余金等の充当対象となる「公益事業」の見直し、(2)収益事業の借入金1/2規制の撤廃、(3)資産運用の弾力化、(4)公益事業の実施について法人財産の有効活用を図る、(5)定款準則記載方法の簡素化、監事構成の見直し――となっている。
具体的には、(1)については、現在、社会福祉事業剰余金の充当対象となる公益事業の範囲は限定的で、介護報酬、障害者自立支援給付、保育所運営費、措置費ごとに縦割りになっている。改正案では、介護報酬と障害者自立支援給付の充当対象を限定せず、拡大。さらに、収益事業の収益を充当できる公益事業の範囲を拡大する。また通知で例示してきた公益事業の内容も改正。▼必要な者に対し、相談、情報提供・助言、行政や福祉・保健・医療サービス事業者等との連絡調整を行う等の事業、▼子育て支援に関する事業、▼ボランティアの育成に関する事業――などが新たに加えられた。
同案は3月12日まで、意見募集を行い、年度内に関連通知などを改正する。
療養通所対象者の拡大
〜厚労省 平成18年4月関係Q&Aの改訂
厚生労働省が9日付けで都道府県介護保険主管部局宛てに「2006年4月改訂関係Q&A問58の改訂について」の事務連絡をした。「2006年4月改定関係Q&A」のうち問58とは、2006年4月の介護報酬改定で新設されたサービスである療養通所介護について。同問では、療養通所介護については、指定基準の趣旨が徹底されるまでは、その対象者を重度要介護者であって、難病又はがん末期患者に限定することとしていた。しかしながら、制度施行後一定期間が経過したことから、重度要介護者であれば、難病又はがん末期患者でなくても対象とすることができる取扱いとなった。具体的には、利用者の疾患が「難病等」に当たるか否かについては、療養通所介護において提供しているサービスの内容等を踏まえ、利用者に対する療養通所介護の提供の適否の観点から主治医を含めたサービス担当者会議において検討の上、適切に判断するよう明示した。
アロマの力で高齢者の精神安定や脳の活性化
〜先駆的福祉経営事例
鹿児島県鹿児島市にある医療法人明輝会の通所リハビリテーション「かがやき」では、高齢者の精神安定や脳の活性化、認知症予防にアロマの力を生かそうという試みを進めている。高齢になると、嗅覚神経が衰えて脳への刺激が減少すると言われている。このため、アロマで嗅覚神経や感情・記憶を司る大脳縁系を刺激することで、脳の活性化や自律神経のバランス維持などの効果が期待される。
所長の福満百合子さんは、自宅でアロマを利用していた職員の徳田紀子さんのアドバイスを受けて2004年2月にアロマを導入した。燃焼型芳香器を受付やホールなど3ヶ所に設置。香りは10数種類で、気候や利用者の状態を見て、徳田さんら女性スタッフが決める。
アロマを導入した当初は香りに気づかない利用者が多かったが、2ヵ月後ぐらいから、「今日はいい香りがする」、「昨日と違う」といった反応が返ってくるようになった。「衰えていた嗅覚神経が次第に蘇ってきたようです。いい香りをかぐことで利用者の表情も生き生きと豊かになった。」と福満所長は話す。
■利用者だけでなく職員のストレスも解消
アロマを取り入れた目的は、香りで、脳を活性化させ、認知症の予防等をすることで、明るく心豊かな自立した生活を支援すること。この目的に沿い、個室でアロマをたきながら脳活性プログラムを行っている。取り組み後の成果については、数字では劇的な変化はないものの、以前よりも楽しみながら、意欲的に体操・リハビリに参加する人が増えたという。「香りが脳に刺激を与え、精神面でも落ち着きをもたらし、アロマを取り入れた脳活性化プログラムによる認知症悪化は認められず、レベルアップにつながった」と福満所長は分析する。
また、アロマの心地よい環境は、介護に携わる職員のストレスを解消する効果ももたらし、心のこもったケアにつながっている。介護職3年目の白坂和代さんは、「偏頭痛やかぜをひきやすかったのに、自宅でも施設でも同じものを愛用することで、最近は元気になった。アロマの効果は私が一番実感しているのでは」と語る。「介護におけるアロマの効果についてデータを蓄積し、他の施設にも普及させたい」と意欲的な福満所長。高齢者・職員ともにプラスの効果をもたらしているアロマの力への期待が今後高まりそうだ。
本頁の記事に関する詳しい内容は日本医療企画社が発行する介護経営月刊誌
「介護ビジョン3月号」で。(詳しくは本紙各送信元にお問合せください)
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