手数料平均54,900円 格差は2万円超
〜厚労省 「介護サービス情報の公表」制度施行状況を調査
厚生労働省は10日の『第2回全国「介護サービス情報の公表」制度担当者会議』で、「介護サービス情報の公表」制度施行状況等アンケート調査結果を提示した。これによると、各都道府県が条例で定め、事業者が負担することになっている同制度の手数料平均額は、調査員の養成費や人件費などの調査事務手数料が42,041円、情報入力費や公表システム維持管理費などの情報公表事務手数料が12,860円で、計54,901円となることが明らかになった。手数料合計額は最高で鹿児島県の67,000円だった一方で、三重県では最も安い45,600円と、その格差は2万円を超えている。
同制度は、介護保険の事業所や施設に対して事業者情報の公表を義務付け、その情報をインターネット上に公開し利用者の適切な事業者選びに役立てようというもの。原則として、事業者は提供しているサービスの種類ごとに年1回、提供時間や利用料金などの「基本情報」と、記録管理や職員研修の実績の有無といった「調査情報」を県に報告することが義務づけられる。調査情報は指定調査機関の調査員が訪問して調査。4月から訪問介護、訪問看護、訪問入浴、通所介護、福祉用具貸与、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、特定施設入居者生活介護、居宅介護支援の9サービスで始まっており、来年度からは通所・訪問リハと介護療養型医療施設の3サービスも対象に加わる。都道府県は調査費用やホームページ上での公表にかかる費用を事業者から手数料として徴収できるようになっており、同会議でこの手数料が明らかとなった。
また、調査事務手数料は、調査の対象となる介護サービスの種類を問わず均一である自治体が大多数だが、秋田、埼玉、東京などの7都県は種類別に金額を設定。7都県すべてで、特養と老健は高く設定されている。
■情報公表サービスは事業所の評価ではない
同会議のなかで、厚生労働省は介護サービス情報公表制度は利用者の介護サービス事業所選択を支援することが目的であるとして、事業所の評価・格付け・画一化などは行わないことを強調した。また、事業者が公表情報の調査事務と情報公表事務の手数料を負担することについては、「全国の事業者から不満の声が挙がっている。都道府県は条例で適正な手数料額を検証・設定してほしい」とした。また、手数料は、今年3月に厚労省が示した「介護サービス情報の公表制度における手数料に関する指針」に沿って都道府県が条例で決定することになっている。しかし厚労省では、同一所在地にある複数の事業所を1人の調査員が同日内に調査する場合などで、手数料単価の減額・免除を行えるよう、同指針を近く改訂する考えも説明した。
さらに、情報の公表は都道府県などから「具体的な内容が分からない調査に意味があるのか」などの批判がある。これについて、厚労省担当官は「介護保険サービスの質の確保には第三者評価、指導監査、情報の公表の3種類がある。第三者評価は運営内容などの良否を、指導監査は最低基準の遵守状況を確認・指導している」として、「情報の公表は事実を確認しありのままを開示するものだ」と理解を求めた。
グループホームが大幅増加
〜平成17年介護サービス施設・事業所調査結果
厚生労働省がまとめた2005年10月1日現在の介護サービス施設・事業所調査結果によると、特定施設入所者生活介護や認知症対応型共同生活介護が前年から大幅に増加している一方、介護療養型医療施設は減少していることがわかった。
2005年の介護サービス施設・事業所数で最も多いのは訪問介護の20,618事業所、次いで通所介護の17,652事業所、認知症対応型共同生活介護の7,084事業所。他方、前年からの伸び率で見ると、特定施設入所者生活介護が52.1%も伸びているほか、認知症対応型共同生活介護30.0%増と、グループホームの伸びが顕著で、そのほかの居宅サービス事業所も軒並み増加していた。一方、介護療養型医療施設は8.5%減り、それに伴い医療施設の短期入所療養介護も15.7%減と、介護事業から撤退している状況にあった。
また、利用者数につても、グループホームで大幅に増えており、特定施設入所者生活介護が47.2%増の49,927人、認知症対応型共同生活介護が35.3%増の94,907人で、介護療養型医療施設は6.7%減の12,448人だった。
これら利用者のうち訪問介護利用者の要介護度を見ると、要介護1が40.9%、要支援が19.2%と60%強を軽度者が占め、他のサービスと比べて軽度者の割合が高かった。4月の介護報酬改定では、それまでの要支援は要支援1に、要介護1の大半は要支援2となったが、要支援者に対する訪問介護は時間別の評価から月単位の定額報酬となったことから、4月以降も従前通りの算定をしていれば大幅な収入減となりそうだ。
さらに、開設主体は営利法人(株式会社)が全体の33.5%を占め、構成割合としては最も大きく、とくに福祉用具貸与(構成割合88.6%)、特定施設入所者生活介護(同79.5%)では大多数を占めていた。
■介護老人福祉施設のユニット内個室は123.9%増
各施設における定員別室数をみると、介護老人福祉施設及び介護老人保健施設の個室が前年に比べ増加しており、その中でもユニットの中の居室(療養室)の割合が増えた。とりわけ、介護老人福祉施設では、ユニット内における個室は、39,271室(前年17,539室)と前年より123.9%も増加。介護老人保健施設においても、11,130室(同7524室)と47.9%も増加した。
一方、ユニットケアを実施する介護老人福祉施設は、全施設(5,535施設)のうち、771施設で、そのうち「小規模生活単位型」が468施設、「一部小規模生活単位型」が303施設となっており、平均ユニット数はそれぞれ6.9、3.0だった。一方、介護老人保健施設では、全施設(3,278施設)のうち、238施設となっており、平均ユニット数は5.1だった。また、介護老人保健施設における認知症専門棟の状況をみると、認知症専門棟のある施設、定員及び在所者数のいずれも年々増加しており、全施設に占める割合も33.2%となった。
特定高齢者施策で異論続出
〜介護保険サミット
厚生労働省老健局は17日、介護保険に関する市町村長意見交換会(介護保険サミット)を東京都内で開催、参加した市区町村長からは地域支援事業の介護予防特定高齢者施策について、運用方法の見直しを求める意見が相次いだ。要支援・要介護状態にならないよう介護予防を進める観点から4月に創設された地域支援事業では、スクリーニングで浮かび上がったハイリスク者に対し、運動器の機能向上などの特定高齢者施策を実施する。スクリーニングでは25項目からなる基本チェックリストと医師の生活機能評価で判定する。
厚労省の担当者が、旭川市の事例として基本健康診査で基本チェックリストを使用したうち2.2%が特定高齢者(ハイリスク者)候補として抽出されたと紹介し、効率的・効果的な把握を行うよう要請した。
これに対し、煙山力東京都文京区長は「東京23区でスクリーニングを実施したところ、特定高齢者は0.1%に過ぎなかった。運動器や栄養、口腔などすべての項目に該当しなければ特定高齢者とならないため、要支援者でも該当するのは難しい」と十分に対象者を絞り込めないと指摘した。その上で、「特定高齢者を早期に発見し対応するためには、(基本チェックリストは)問題がありすぎる」と切り捨て、市区町村によって柔軟に運用できるように見直しを迫った。他の市区町村からも、特定高齢者施策制度が運用しにくいため高齢者の実態に合ったものに見直すべきとする声が挙がった。
しかし、厚労省側は「将来的に基本チェックリストはバージョンアップしたいが、今どうするかは申し上げる状況にない」と、当面見直しは考えていない意向を示した。
介護福祉士のカリキュラム案 基本路線で合意
〜通信制も新設
社会保障審議会福祉部会が20日に開催され、厚生労働省は、介護福祉施設の見直しの方向性をまとめた資料、介護福祉士の養成課程カリキュラム案等を提示した。同部会では介護福祉士の資格取得に当たり国家試験の受験・合格を義務づける方向で議論している。
介護福祉士の養成施設での養成時間については、現行の2年制1,650時間から、2年制1,800時間に授業時間数を増やし、内容を充実させる。一方、福祉系大学・社会福祉士養成施設等卒業ルート、保育士養成施設等卒業ルートについては、両施設での教育を評価し、現行の1年程度での履修が可能となるよう配慮し、それぞれ、900時間から1080時間、930時間から1155時間とする。また3年間の実務経験者が取得するルートでは新たに通信制を設ける。
さらに、カリキュラム案では、現行のものが時代の変化に対応しきれていないことから大幅に見直し、「基礎科目」「専門科目」の2つの構成を、「人間と社会」「介護」「こころとからだのしくみ」の3つに再編。「人間と社会」は240時間、「介護」は、介護技術810時間、実習450時間、「こころとからだのしくみ」は、300時間で計1,800時間の構成となっている。
同部会ではカリキュラムの方向性については異論が挙がらなかったことから、最終報告に向けて基本路線は変えずに詳細を詰めていくとみられる。
生きがいづくりとして、入所者が喫茶店を運営
〜先駆的福祉経営事例
和歌山県橋本市にある養護老人ホーム「国城寮」は、敷地内の別棟を改装し、1998年に喫茶店「紀の川」をオープンさせた。同施設が着目しているのは、高齢者の生きがいづくり。足腰が弱り外出がおっくうになると、高齢者は閉じこもりがちとなる。そこで、同施設では入所者が外に楽しみを見出し、自然と足を運べるよう、皆で喫茶店を運営しようとの発案に至った。
喫茶店を切盛りするのは、入所者で、営業は、1日4時間の週2回。揃いのエプロン姿の入居者が交代でシフトにつき、4〜5人で調理・給仕・洗い場・会計を分担している。さらに、店内の売店では、養護老人ホームの職員1人が販売員を兼ね、店の様子を見守っている。
敷地内には、介護老人保健施設も併設しており、両施設の入所者が「紀の川」を訪れる。入店する客数は時に30人を超え、大忙しとなるが、「忙しいからこそ、張合いになる」と皆口を揃える。寮長の稲本博氏は、「誰かのために何かをしているという実感が何よりの介護予防です」と、取組の効果を強調する。
■刺激と休息のバランスが運営を長続きさせる秘訣
「紀の川」の運営にあたっては、月に一度開かれる養護老人ホームの会合で、職員と入所者による協議が行われる。営業時間や価格が議題となるほか、特にメニュー内容について、白熱した意見が交わされるという。「希望を主張するのは大切な自己表現の機会。火の使用や食中毒対策など制約も多いが、できるだけ入所者さんの希望を叶えたい」と稲本氏は語る。調理器具は電子レンジと電気ポットのみで、安全性に配慮したほか、養護老人ホームの栄養士が食材の調達と管理を担当しており、食中毒予防に特に気を配っている。
価格はできるだけ原価に近づけることを基本とし、150円の寿司以外はすべて100円という格安設定だ。売上は年間約200万円。このうち粗利は80〜90万円程度で、雑収入として養護老人ホームの一般会計に計上し、施設の修繕費や光熱費として使われる。店員には年3回3,000円程度のボーナスが支給され、働く喜びに結びついているという。稲本氏は、「営業日が週2回なのが、ポイント。適度な刺激と休息のバランスが長続きのコツです。」と8周年を迎えた秘訣を明かす。同施設を通じて、入所者が生きがいをもって活動できる環境作りこそが、介護予防・介護サービスの提供の前提条件ではないだろうか。
本頁の記事に関する詳しい内容は日本医療企画社が発行する介護経営月刊誌
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