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月刊福祉経営情報



2006年09月号

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厚労省、社会福祉法人経営の現状と課題を整理

〜社会福祉法人経営研究会、報告書

厚生労働省社会・援護局と全国社会福祉施設経営者が合同で設置した社会福祉法人経営研究会は11日、「社会福祉法人経営の現状と課題」についての報告書を取りまとめ、90年代以降の福祉経営環境の変化の中において、社会福祉経営は「施設管理」に代わり、「法人単位の経営」へと転換するよう提言した。
同報告書では、従来の福祉施設経営は、地方自治体において「一法人一施設」の指導が行われてきたこともあり、零細な規模の法人が多数を占め、法人数は増加の一途をたどり、90年以降だけで見ても約1.4倍となっていることを示した。さらに、全国一律の基準に沿った施設・設備整備と職員配置が前提であり、画一的なサービスを産みやすいものとなっていると分析し、従来の社会福祉法人経営の従来の経営モデルは(1)施設管理中心、法人経営の不在、(2)事業規模零細、(3)再生産・拡大生産費用は補助金と寄附が前提、(4)画一的サービス、(5)同族的経営――であると指摘。一方、90年代以降、▼福祉分野の給付総額の急速な拡大、▼介護保険制度の確立、▼民間企業の参入、▼医療と福祉のサービスの競合――といった状況が発生するなかで、介護報酬のマイナス改定が続くなど、経営環境が厳しくなっており、新たな福祉経営の確立は急を要する課題であると明示している。
そのため、報告書では、今後の基本的方向性としては、90年代以降の大きな経営環境の変化に対応する社会福祉法人経営は、これまでのような「施設管理」に代わり、「自立・自律」と「責任」が伴う「法人単位の経営」に転換するように提言。この「法人単位の経営」の実現のための主要なポイントとして、▼規模の拡大、新たな参入と退出ルール▼長期資金の調達、▼ガバナンスの確立、経営能力の向上、▼人材育成と確保――をあげている。
また、行政のあり方として、法人一施設を無条件に前提とした法人認可のあり方の見直しや、法人認可などにおいて、透明なプロセスのもとでのケアの質や経営能力を反映した決定を行うべきであると指摘。また、国は、法令・基準の見直しや全国的な福祉に関するデータの収集・整理・提供など、都道府県は、法人認可等における質の重視、制度濫用に対する厳しい指導監督など、市町村は地域ニーズを把握・分析し、住民の参画を得て地域ケアの確立を目指していくべきであるとしている。さらに、不必要に些細で、合理性に欠ける指導監督の見直しや行政職員の意識の改革と質の向上を求めている。


特定高齢者の候補者には必ず反復唾液嚥下テストの実施を

〜厚労省が老人保健事業等のQ&A

厚生労働省老健局老人保健課は3日付けで、老人保健事業及び介護予防事業等に関するQ&Aの追加・修正を都道府県に送付した。これは6月9日に開いた地域包括支援センター・介護予防に関する意見交換会を踏まえたもの。老人保健事業における生活機能評価では、「要支援」「要介護」になる可能性のある「特定高齢者」の候補者に該当する者に対して、反復唾液嚥下テストを実施することとしていることから、健診担当医に十分説明し、該当者には必ず検査を実施することを徹底するよう求めた。 また、生活機能評価のうち基本チェックリストを高齢者本人が記入する際の低めに自己評価するケースの扱いについては、「基本チェックリストは『できる』『できない』という能力をチェックすることを目的としているのではなく、高齢者本人の主観に基づいて『している』『していない』という活動・参加の状況をチェックすることを目的としている」として、面接者などがその評価を補正する必要はないとした。


軽度者への福祉用具貸与 経過措置後は円滑に新制度へ移行を

〜厚労省が各都道府県に事務連絡

厚生労働省老健局振興課は14日付けで、福祉用具貸与費及び介護予防福祉用具貸与費の取り扱いについて各都道府県介護保険担当課宛に事務連絡した。
4月からの介護報酬改定によって、要支援者と要介護1のいわゆる「軽度者」が、その状態像からは想定しにくい種類の福祉用具を利用する場合、一定の条件に該当する人を除いて保険給付の対象外とされることとなった。ただし、すでにサービスを利用している者については、今年9月30日まで保険給付の対象とされる経過措置がとられている。事務連絡では、今回の制度改正の趣旨と概要などを示した上で、利用者に制度改正内容を十分理解してもらった上で、経過措置終了後に支障なく新制度への円滑な移行が図れるよう求めている。
とくに、今般の制度改正によって保険給付の対象外となった利用者については、保険給付の対象外であることを前提に、当該利用者の選択によって引き続き指定福祉用具貸与事業者との契約によって、自ら費用を支払うことでサービス利用ができることに留意すべきとし、福祉用具貸与事業者は、機械的・一律に貸与していた福祉用具を回収するのではなく、利用者に対してサービス利用の継続の意思の有無を確認することが望ましいとしている。
また、指定福祉用具貸与事業者の指導にあたっては、▼保険給付対象外サービスに係る配慮、▼介護保険対象サービスと対象外サービスの価格差、▼販売を行う場合の配慮――といった点で留意することと明示した。
このうち、販売を行う場合については、利用者の希望に応じて、従前、福祉用具貸与の対象とされていた福祉用具をあらためて当該利用者に販売する際には、不当な価格とならないよう配慮するとともに、福祉用具としての衛生面や安全性の確保等に留意するほか、電気用品安全法に基づく経過措置が平成18年3月31日をもって終了していることにかんがみ、PSEマークを付する等同法に基づく必要な措置を講ずることとした。


重度対応要件の算定方法、利用回数も換算して計算

〜訪問看護の特定事業加算について

厚生労働省老健局振興課は、14日付けで、訪問介護の特定事業所加算における「重度対応要件」と「人材要件」に係るQ&Aを都道府県宛に送付した。
このうち、重度対応要件に関しては、利用実人員の総数に占める要介護4又は要介護5の者の数の割合が20%以上の具体的な算定方法について、重度者に対し頻回に対応しているか否か等の実態についても踏まえる観点から、利用回数も勘案して計算することとした。
また、20%以上の基準については、3ヶ月平均の利用実績により計算することとし、仮に特定の月について2割を下回ったとしても、3ヶ月平均で計算して2割を超えていれば差し支えないとした。なお、この要件については、申請に係る月の直前3ヶ月についてだけではなく、加算を取得している期間中は常に3月平均で2割以上を維持することが必要となると提示した。
一方、人材要件のうち「すべてのサービス提供責任者について、5年以上の実務経験を有する介護福祉士であること」との要件について、介護福祉士資格を取得する前の介護の経験については、在宅や施設を問わず「介護業務に従事した期間」を意味するものであり、介護福祉士資格を取得した後の実務経験年数を求めているものではないため、介護福祉士資格を取得する前の介護の経験を含むものとして差し支えないとした。

[お知らせ]日本介護福祉士会 「介護福祉士と自立支援」をテーマに研究会

社団法人日本介護福祉士会と神奈川県介護福祉士会は9月1日(金)〜2日(土)の2日間、神奈川県横浜市で、第13回関東・甲信越ブロック研修会を開く。「介護福祉士と自立支援」〜ともに創り、ともにほほえむケアをめざして〜」をテーマに、利用者の自己決定を支え“ともに創り、ともにほほえむ”ことの出来るケアの実現にむけて思索・研究し介護福祉の専門職として質の高い介護サービスを提供することを目的に本研修会を開催する。詳細は以下の通り。

▼日程:2006年9月1日(金)〜2日(土)
▼会場:パンパシフィックホテル横浜(横浜市西区みなとみらい)
▼参加者:*社団法人 日本介護福祉士会 会員
       *社会福祉事務所・社会福祉協議会・行政機関等の職員
       *介護福祉士養成学校学生・福祉関係学生
       *福祉・保健・医療関係者 *介護に関心のある一般の方
▼参加費:会員3,000円、一般5,000円、学生1,500円
▼内容:《基調講演》厚生労働省老健局 総務課長 山崎 史郎 氏
      《記念講演》「ともに創るケアをめざして」
                (神奈川県立保健福祉大学 学長 阿部 志郎 氏)
      《リフレッシュ講座》「運動でいつも元気をお手伝い」
                (ウェルネス・マネージャー 里山 樹 氏)――など
▼問合せ:神奈川県介護福祉士会 TEL045-311-8776、FAX045-317-5930、
       URL http://www.kanagawa-accw.org/news/index.htm)


食べる喜びを生きる喜びへ 食を通じ高齢者の生きる力を培う

〜先駆的福祉経営事例

大分県速見郡の別府湾を見渡す高台の住宅地にあるデイサービスセンター「ぷらすわん」は、「食べること」を中心としたトータルケアを展開している。
同センターは、同法人理事長で摂食カウンセラーの中島知夏子氏が自宅を開放し、2003年12月に開設。中島氏は、所長の作田恵子氏のほか、常勤6人、パート2人、ケアマネ1人の計9人のスタッフとともに、食べることに困難を抱える高齢者のケアに尽力している。
「介護とは、生活そのもの。なかでも食べることは生活の中心であり、喜び。何も話さなくても、『美味しいね』と笑顔を交わすことが、和やかで最高のコミュニケーション」と語る中島氏は、食事にあたっての留意点として、▼食べる環境、▼個人にあった摂食具、▼食べる物の形態――などの6点をあげる。箸の太さは1人ひとりの握力や手の機能に合わせて変え、食事の前には舌や唇を動かして緊張をほぐし、動きをよくするための口の体操を行うなど、スタッフの技術と気配りに裏打ちされた丁寧なケアが実践されている。

■口は“心の入り口”
同センターでは、食事とともに、口腔ケアにも力を注いでいる。食後、スタッフが利用者1人ずつに声をかけて洗面所に誘導し、口の手入れを行うが、当初、スタッフに口の中をみせるのに抵抗があったという。思案の末、中島氏らは足浴サービスに目をつけ、足を洗いながら、「お口も手入れすると、さっぱりしますよ」と声をかけた。これが奏功し、今では、全員が口中の手入れをしている。「口というのはデリケートな器官で、いわば“心の入り口”」と語る中島氏はスタッフに対して、無理強いするのではなく、自ら進んで行いたくなる雰囲気をつくるよう指導している。
「介護保険法改正により、介護予防が重視されるようになったが、本当にお年寄りの生きるちからにつながっているかは疑問。お年寄りが『もうひと花咲かせたい』と思えるようなケアを実践し続けるとともに、それを担う人材を育てていきたい」と中島氏は熱く語る。口コミで利用者が徐々に増えつつあるという同施設。“生きる喜び”を伝えるサービスこそが利用者にとって最高のサービスであるのだろう。


本頁の記事に関する詳しい内容は日本医療企画社が発行する介護経営月刊誌
「介護ビジョン9月号」で。(詳しくは本紙各送信元にお問合せください)

MMPG提供


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