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月刊福祉経営情報



2005年12月号

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介護保険における特定疾患に「がん末期」を追加

〜厚生労働省

厚生労働省は16日の社会保障審議会介護給付費分科会に対して、「『がん末期』を特定疾病に追加することについて(案)」を提示した。現行の介護保険では▼筋萎縮性側索硬化症、▼後縦鞭帯骨化症、――などといった15の疾病を特定疾病と定めているが、「がん」については一般的に介護を必要とする期間が6ヶ月以上継続することが想定されていないため、同法における特定疾病の中に「がん」は定められていない。
しかし、一部の関係者からは、がん患者の中には適切な在宅医療と介護サービスがある場合、住み慣れた自宅で最期を迎えることが可能であることや、患者や家族の中には在宅での療養に対するニーズを持っている者もいることから、40歳以上の末期がんの患者で介護を必要とする者については介護保険による給付を受けられるようにするべきとの指摘がなされていた。これらを踏まえ、同省は、介護保険における特定疾病の中にがんの種類を限定せずに「がん末期」を追加することを示した。また、「末期」についても、「治癒を目指した治療に反応せず、進行性かつ治癒困難又は治癒不能と考えられる状態と医師が総合的に判断した場合」と定義することとし、2006年4月に施行を目指していく。


インフルエンザ総合対策をスタート

〜厚労省

厚生労働省はインフルエンザの流行に備え、「今冬のインフルエンザ総合対策等について」と題する専用サイトを設けて、本格的なインフルエンザの予防対策に乗り出した。
同省のホームページでは、予防啓発のポスター原画を電子媒体形式の画像ファイルで提供しているほか、毎年インフルエンザの流行シーズンに寄せられる質問と回答を整理した「インフルエンザQ&A」や、高齢者施設などへのウイルスの侵入・まん延の防止を目的とした「インフルエンザ施設内感染予防の手引き」などを掲載している。詳しくは、厚労省ホームページ「今冬のインフルエンザ総合対策について」http://www.mhlw.go.jp/houdou/0111/h1112-1.htmlまで。


ショートステイ間の調整窓口を設けた事業者に加算

〜厚生労働省

厚生労働省は2日、社会保障審議会介護給付費分科会の中で、「短期入所生活介護、短期入所療養介護の報酬・基準について」を提示した。短期入所系サービスについては、介護者の急病時などに対する緊急的なニーズや、難病等により医療と介護ニーズを併せ持つ在宅の中重度者等への対応が課題となっている。このことから同省は、これらのニーズを持つ利用者の短期入所施設等の利用を促進するために、報酬や基準等を見直すこととした。
このうち、緊急的なニーズを持つ利用者への対応としては、ショートステイ事業者間で緊急利用に対応するため、事業者間の調整を実施するための窓口を設けた事業者や、24時間受付可能な体制を確保した事業者等に介護報酬を加算していく。一方、医療と介護ニーズを併せ持つ在宅の中重度者への支援については、短期入所療養介護施設を活用した日帰りのショートステイを実施していく場合や、短期入所生活介護施設で夜間帯に看護職員を配置するなどの看護体制を整備した場合は新たに評価していく方向性を示した。


福祉用具貸与の範囲を見直し

〜介護給付費分科会

厚生労働省は2日、社会保障審議会介護給付費分科会の中で、福祉用具貸与及び福祉用具販売における福祉用具の対象品目や事業者の基準に対する考えを示した。福祉用具貸与の中には、入浴や排せつに関連したものなど、心理的抵抗感が伴い、貸与になじまない性質の福祉用具が保険給付の対象となっているものがある。このことから、同省は、福祉用具貸与における福祉用具の対象品目の見直しを検討していくこととした。
また、福祉用具貸与の導入時においては、ケアマネジャーがサービス担当者会議の結果を踏まえて、ケアプラン及びサービス利用票に福祉用具の導入理由を明記していくことや、自立支援の観点から、ケアマネジャーが、利用者の状態の変化等を踏まえ、定期的に導入理由を検証していく方向だ。
一方、福祉用具販売について同省は、要介護者に対して福祉用具の適合性等を専門的な立場から選定等していく観点から、福祉用具販売事業者の事業者基準に福祉用具専門相談員を位置づけていくことや、福祉用具購入の必要性の判断について介護支援専門員等が関与していくこととした。


生活保護被保護世帯の中で高齢者世帯が46.6%

〜厚生労働省

厚生労働省は14日、「平成16年度社会福祉行政報告書」を公表した。同調査は、社会福祉関係諸法規等の施行に伴う各都道府県や指定都市等の実態を数量的に把握して、社会福祉行政運営のための基礎資料を得ることを目的とし、▼生活保護の被保護世帯数や保護開始理由、▼老人ホームの施設数や老人クラブ数、▼保育所数や児童相談所の相談の種類、▼療育手帳交付台帳搭載数――等に関する設問項目を設定している。
このうち、生活保護の被保護者世帯数については、1ヶ月平均で99万8,887世帯(前年度比5万7,617世帯増加)となり、過去最高となった。そのうち、高齢者世帯は46万5,680世帯で全世帯の46.6%だった。また、障害者・疾病世帯は34万9,844世帯(35%)、母子世帯は8万7,478世帯(8.7%)だった。さらに、2004年9月度の生活保護開始世帯数は17,050世帯で、これらの世帯のうち、生活保護開始の理由の内訳は、「疾病による」が6,833世帯(40.1%)と最も多く、「働きによる収入の減少・喪失」が3,484世帯(20.4%)、「急迫保護で医療扶助単給」が2,647世帯(15.5%)だった。
一方、2005年3月末日における老人ホーム(有料老人ホームは除く)の施設数は、8,305施設(前年度比314施設増加、増減率3.9%)で、このうち、特別養護老人ホームが5,397施設(前年度比241施設増加、増減率4.7%)で最も多く、次いで軽費老人ホームが1,679施設(前年度比72施設増加、増減率4.5%)、養護老人ホームが961施設(前年度比3施設増加、増減率0.3%)だった。また、2005年3月末日における老人クラブは128,783ヶ所(前年度比▲1,290ヶ所減少、増減率▲9.9%)で、会員数は8,273,271人(前年度比▲157,849人減少、増減率▲1.9%)となり、1997年度を境に減少傾向となっている。

■児童相談所における虐待相談数が25.0%増加
保育所については2005年3月末日現在22,521施設(前年度比119施設増加、増減率5.3%)、在籍数2,126,708人(前年度比44,286人増加、増減率2.1%)で、保育所は2000年度以降増加傾向となっている。また、2004年度の児童相談所における虐待相談の処理件数は33,408件(前年度比6,839件、増減率25.0%)だった。このうち、身体的虐待の相談件数が14,881件で全体の44.5%、次いで保護の怠慢・拒否が12,263件(36.7%)、心理的虐待が5,216件(15.6%)、性的虐待が1,048件(3.1%)だった。


高齢者虐待防止法が成立

〜2006年4月1日施行へ

超党派の議員立法による「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(高齢者虐待防止法)」が1日、参議院本会議で可決、成立し、2006年4月1日に施行されることになった。 同法では、高齢者を「65歳以上」と定義し、「高齢者虐待」を▼暴行等による身体的外傷を生じさせるなどの身体的虐待、▼著しい減食や長時間の放置する等のネグレクト、▼心理的外傷を与える言動を行うなどの心理的虐待、▼わいせつな行為をする等の性的虐待、▼養護者又は親族が当該高齢者の財産を不当に処分をするなどの経済的虐待――と類型化している。
また同法は、介護施設や病院、保健所などの高齢者関係施設の医師や保健師、介護施設従事者等が、養護者及び要介護施設従事者等により虐待を受けたと思われる高齢者を発見した場合、市町村への通報を義務づけ、通報を受けた市町村は高齢者を一時的に保護するために、老人短期入所施設等へに入所させる措置を講じ、老人介護支援センターや地域包括支援センターなどの「高齢者虐待対応協力者」と、高齢者が受けている虐待への対応を協議していくものだ。さらに、同法では、通報を受けた市町村は都道府県にその旨を報告し、報告を受けた都道府県は虐待の状況を毎年公表することや、通報した介護従事者等が不当な扱いを受けないこと等が明記されている。


ニーズの把握と報告を徹底して信頼関係を築いて苦情を防ぐ

〜先駆的福祉経営事例

東京都府中市にある医療法人珠泉会介護老人保健施設『ウイング』は、1999年に開設し、2003年にはISOを取得した。同施設では、ISOの取得をきっかけに、事故記録を明記する「アクシデントレポート」と、利用者や家族から得た“ちょっとした一言”を記入する「顧客の生の声」といった2種類のシートを考案し、実践の中に取り入れている。このことから、同施設のスタッフは、日々の業務の中で、利用者の異変や利用者・家族からの声などといったささいなことでも、このシートに記録するようにしており、苦情となる前の段階での対応を重視して実践している。

■アクシデントよりもインシデントを重視
同施設では、実際の介護スタッフ等からの報告は月に1,000件以上にもなり、部署内で解決できるような問題は部署内で対応し、職員全体で共有すべき重要な内容については各部署のリーダーがピックアップして事業支援部へ報告している。また、事業支援部は、各部署からの報告の内容を法人内の各事業所に連絡し、同様の事故やクレーム等の発生の防止を促進している。こうした意識付けによる結果、スタッフはアクシデントよりもインシデントを重視するようになり、同施設では、スタッフの目が利用者へ届きやすくするため、事故が多い時間帯にレクリエーションを開催する等、事故を起こさないようにするために工夫して実践している。

■ささいな出来事でも家族に報告し、施設との信頼度を高める
 同施設では、やむを得ず起こってしまったアクシデントに対しても逐一家族に報告し、苦情となる前に誠意のある対応を実践している。この理由について、支援事業部総務課主任である平井俊哉氏は「家族からの苦情はアクシデントそのものに対する苦情よりも報告しないことに対する指摘が多く、さらに苦情が寄せられてからの対処では手一杯になり対応が遅くなってしまうから」と語る。さらに、このような迅速な報告体制が、家族との信頼関係の構築に役立っているという。同施設のように、利用者や家族との信頼関係を構築していく方法を実践していくことは、福祉経営で最も必要なことではないだろうか。


本頁の記事に関する詳しい内容は日本医療企画社が発行する介護経営月刊誌
「介護ビジョン12月号」で。(詳しくは本紙各送信元にお問合せください)

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