介護予防訪問介護の報酬は月単位や行為ごとの定額払いに
〜厚労省が介護予防ワーキングチームに提示
社会保障審議会介護給付費分科会介護予防ワーキングチームの第3回会合が16日に開催され、その中で厚生労働省は、介護予防訪問介護における、▼サービスの内容、▼報酬設計、▼基準作成――などに係る検討課題を示した「介護予防訪問介護サービスの基本的な考え方(案)」と題する資料を提出した。
そのうち、介護予防訪問介護におけるサービスの内容についての基本的な考え方として同省は、介護予防を目的とし、居宅において必要なホームヘルプサービスを提供することを基本的なサービスの形態とすることを示した。さらに、ホームヘルプサービスを実施する場合の留意点としては、ホームヘルプサービスは利用者に対して1対1で提供するサービスであるため、利用者のホームヘルパーに対する依存度合いが大きくなることが懸念されることから「本人のできることはできるだけ本人が行うことを基本にサービスを提供する」ことの必要性を強調した。また、具体的に提供されるサービスの内容については、「新予防給付のケアプランにおいて、個別に「するようになる生活行為」として位置付けられた生活行為について、介護保険のサービスや介護保険以外の公的サービス等を利用しながら、生活機能の改善を図りつつ、利用者ができる行為は利用者が行うことを基本に提供されるホームヘルプサービスである」こととした。
また、介護予防訪問介護の報酬設計については、介護報酬の評価方法とサービス区分に対する考え方を明示している。そのうち介護報酬の評価方法については、現行の時間単位での報酬設定ではサービス提供者側による長時間のサービス提供を誘引しやすく、自立支援の観点から適切でないサービスが提供されていること等を指摘し、具体的な評価方法に対する案として以下の3点を提示した。
同省は、(1)月単位での定額払いの報酬設定、(2)掃除、洗濯等の行為ごとの定額払い、(3)一定期間の月数を超えた場合に介護報酬を逓減、をあげ、さらにそれぞれの考え方に対しての効果と課題も示している。例えば、(1)月単位で定額払いとした場合の効果としては、利用者の状態に応じて、柔軟にサービスを提供することが可能になることや、すべての利用者に対して月ごとの同一の定額報酬となるため、介護報酬の請求事務が容易になるなどといったことを示唆している。一方、課題としては、利用者及びサービス従事者の双方が馴染んでいないため、現場において定着するまでの時間が必要であることや、事業者がサービスの提供をする場合に時間(手間)がかかる利用者とは契約を結ばないことが推察されることを指摘している。
また、(2)掃除、洗濯等の行為ごとの定額払いとした場合の効果としては、1回のサービスごとの介護報酬の評価が明確であることや、短い時間でサービスを提供した場合、報酬が適切に評価されることを示唆している。一方、課題としては、利用者による乱用を防止することから、月ごとに提供する回数の上限を定める必要性を指摘している。
■サービス提供事業者が最低限満たすべき支援の方法を提示
一方、介護予防訪問介護の基準作成について同省は、▼人員・設備・運営基準、▼介護予防のための効果的な支援の方法――を明示している。そのうち、介護予防のための効果的な支援の方法に対する案として、事業者が最低限満たすべき基準と位置付けたうえで、利用者の個別性を踏まえたサービスを提供することや通所系サービス等の介護保険サービス及び地域との連携を確保すること、利用者と同居している家族が一般的に行う家事をホームヘルパーが行わないなどといったことを示している。
アセスメントから給付管理までの業務委託が可能に
〜厚労省
厚生労働省は5日全国介護保険担当課長会議を開催し、「新予防給付におけるケアマネジメント業務の流れと委託」に関する資料を提示した。その中で同省は、新予防給付におけるケアマネジメントの業務を委託する事業者を、指定居宅介護支援事業者と定め、地域包括支援センターが一部の業務を委託することを可能とすることとした。このことを踏まえて、同省では新予防給付におけるケアマネジメントの業務委託に関する要件や範囲等について明示、そのうち、業務委託に関する要件として同省は、基本的には中立・公正性が担保され受託する業務を円滑に遂行する能力がある事業者であるべきとした。ただし、事業者の選定については地域包括支援センター運営協議会の中で、業務を委託させることの妥当性を検討することなどの必要性を指摘している。
また、地域包括支援センターが指定居宅介護支援事業者に委託できる業務範囲については、▼アセスメントの実施、▼介護予防サービス計画原案の作成、▼サービス担当者会議の開催、▼介護予防サービス計画原案の説明、▼介護予防サービス計画書の交付、▼利用者宅を訪問して計画の実施状況を把握するモニタリング、▼計画の達成状況についての評価――が示されている。ただし、利用申込みの受付や契約の締結、介護報酬の請求については、指定居宅介護支援事業者に業務委託を認めず、地域包括支援センターが実施することとしている。
10月施行分の介護保険パンフレットを作成
〜厚労省
厚生労働省は、今年10月から施設給付の一部が介護保険給付外に移行することに伴い、「みんなで支えよう介護保険―平成17年10月から介護保険施設などの利用料が変わります―」と題するパンフットを作成し、5日に開催された介護報酬担当者会議の中で提示した。このパンフレットは、▼制度改正の背景、▼居住費(滞在費)に関する見直しのポイント、▼食費に関する見直しの主なポイント、▼利用者と施設の契約に関するガイドライン、▼居住費・食費の見直しに関するQ&A、▼利用者負担額の変化の早わかり表――などで構成されており、改正点のポイントや自己負担額の具体例等が明記されている。
このうち、「制度改正の背景」では、介護保険を持続可能な制度とするためには保険給付を効率化・重点化する必要性があることや、施設と在宅における給付と負担を公平となる仕組みにすることを明示している。一方、「制度改正の主なポイント」では、居住費及び食費が介護保険の給付対象外になることや所得が低い利用者に対する施策等を示している。また、「居住費・食費の見直しに関するQ&A」では、利用者と施設とにおける契約変更の必要性や、居住費及び食費における負担軽減の申請方法などを明記。さらに、居住環境や収入額、介護度や生活環境などいった具体例をあげ、実際に負担することになる利用者負担額のシュミレーションも提示している。
またこのパンフレットについて同省は、各都道府県には電子媒体で配布し、各市町村には介護保険3施設数に応じて配布することとしている。
障害者自立支援法は次の臨時国会で成立を
〜尾辻厚労相
8月8日の衆議院解散により、今国会で審議されていた障害者自立支援法案が審議未了で廃案となった。尾辻秀久厚生労働相は10日の閣議後の記者会見で、同法案が廃案になったことについて「極めて残念」とした上で、「ここで障害者施策を頓挫させるわけにはいかない。次の臨時国会でも早急に成立させてもらうよう、引き続き全力を挙げて努力をしたい」と述べた。
また同法案では、障害者に1割の自己負担を求めることなどを盛り込んでいたが、当事者などの一部の関係者からは、1割負担に対する批判が指摘されていたことから、自己負担を見直すべきなどといった意見が出されていた。このことについて尾辻厚労相は、「他の制度(介護保険制度等)との整合性などを考えると、建前として1割負担を言わざるを得ない」とし、当事者や関係者らに対しては「もう一度実質の部分をよく説明すれば理解してもらえると思っている」と述べた。
[お知らせ]平成17年度日社大福祉従事者専門講座開催 〜日本社会事業大学
学校法人日本社会事業大と日社大をかこむ地域福祉連絡会は、9月17日(土)10:00から日本社会事業大学にて「新介護保険制度への取り組み−地域から展開と従事者の課題−」と題するテーマで、日社大福祉従事者専門講座を開催する。この講座は、現場従事者の関心が高い事項について、制度改正の正確な情報提供などを行うとともに、今後の取り組みの指針を提起することを目的としている。申込み方法は事前に申込書を郵送またはFAXで申込む。詳細は以下の通り。
▼日程:平成17年9月17日(土)10:00〜17:00
▼場所:日本社会事業大学 教学B棟401教室(東京都清瀬市竹丘)
▼内容:基調講演「新介護保険制度の展開−地域包括支援センターと介護予防マネジメントを中心に−」
厚生労働省老健局振興課課長/香取照幸氏
報告「介護職員研修体系の新たな展開」
日本社会事業大学社会福祉学部長/中島健一氏
他
▼参加費:3,000円/▼定員:200名(先着順)/▼参加対象者:社会福祉の現場に従事している方
▼問合せ:日本社会事業大学社会事業研究所 公開講座担当
(TEL:0424-96-3050/FAX:0424-96-3051/http://www.jcsw.ac.jp/)まで |
担当上限30件までの原則を貫き、きめ細かいケアプランを作成する
〜先駆的福祉経営事例
神奈川県藤沢市にあるNPO法人 居宅介護事業所「藤の実」は、1999年に法人格を取得し、居宅介護支援や訪問介護支援を提供することを目的に開設した。その後、居宅介護支援におけるケアマネジメントのみを専門とする組織が必要とされていることから、現在では居宅介護支援事業におけるケアマネジメントのみを提供する独立型事業所としてサービスを提供している。同事業所が独立型事業所となった経緯について、理事長である宮田安子氏は、「ケアプランを作成する場合、ケアマネジャーは所属している組織とのしがらみが発生してしまう。このため、公正・中立性を確保する観点から独立した居宅介護支援専門員がケアマネジメトを実施しなければならないと思った」と語る。
■利用者の特性を考慮して、担当者を決定
同事業所では、きめ細かいケアプランを作成する観点から、各ケアマネジャーが担当する担当利用件数を原則30件までとする方針を掲げている。その理由としては、現場での経験的な知見から、状態の変化が激しい方などといったような利用者が約2割存在しているため、そのような利用者に対する対応が集中した場合、的確なケアマネジメントが実施できないことをあげている。さらに、同事業所では、利用者の環境や特性を考慮して、各ケアマネジャーの経験に応じて担当を振り分けている。
■地域福祉の向上を目指し、定期的に学習会を開催
同事業所では、利用者及びその家族や地域住民、介護従事者らを対象にして、地域福祉の向上に向けた学習会や研修会なども開催している。今までの主な活動としては、医師による在宅介護や脳疾患などをテーマとした講演を実施している。また、同法人の理事には、医師や看護師、学識経験者らが名を連ねていることや、同市では居宅介護支援事業所や介護保険事業所のネットワークが開業医を巻き込んで活発に活動していることから、同事業所では医療機関との連携もスムーズに実践されている。同事業所のように、ケアマネジメントを実施する場合は、ケアマネジャーの経験を考慮して実践することが、利用者のニーズを的確に反映する打開策であり、最も重要なことでははないだろうか。
本頁の記事に関する詳しい内容は日本医療企画社が発行する介護経営月刊誌
「介護ビジョン8月号」で。(詳しくは本紙各送信元にお問合せください)
MMPG提供

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