改正介護保険法が参議院で可決し、成立
改正介護保険法が22日、参議院で可決し、成立した。介護保険法の見直しは2000年の制度発足以来初めてであり、介護予防システムの導入や施設での居住費と食費の自己負担化等が盛り込まれた。また、認定区分については、現行6段階だが、新たな認定区分では、本人の心身の機能に応じるため、「要支援」と「要介護1」を「要支援1」「要支援2」「要介護1」に分け、合計で7段階に細分化した。施設入居者の食費・居住費の自己負担化については2005年10月から、そのほかについては、原則として2006年4月から実施される。
同法の主な改正点としては、▼予防重視型システムへの転換、▼施設給付の見直し、▼新たなサービス体系の確立、▼サービスの質の確保・向上、▼負担の在り方・制度運営の見直し――等があげられている。このうち、予防重視型システムへの転換については、軽度の要介護者を対象に、筋力トレーニングや栄養改善等を実施する「新予防給付」と、要介護リスクの高い高齢者を対象に転落骨折予防教室や閉じこもり予防等を実施する「地域支援事業」を創設する。
施設給付の見直しについては、介護老人福祉施設や介護療養型医療施設等の介護保険3施設における居住費と食費について保険給付の対象外にする。また、新たなサービス体系の確立については、地域の特性に応じて多様で柔軟なサービスの提供が可能となるように「地域密着型サービス」を創設することや、保健師や社会福祉士らを中心に、介護予防マネジメントや包括的・継続的マネジメント支援等を実施する「地域包括支援センター」を創設する。
一方、被保険者の拡大に関しては、今回結論が得られておらず、2006年度末までに結論を出すこととなっており、そのために、厚生労働省内に検討組織を設置し、2006年の夏までに中間報告をまとめる予定だ。また、介護予防の効果についても、国会内で賛否両論があったため、3年後の2008年を目途に効果を検証することとしている。
62.4%が附帯業務を実施
〜厚労省 特定医療法人・特別医療法人に係る状況
厚生労働省は10日、第8回医業経営の非営利性等に関する検討会の中で「特定医療法人・特別医療法人に係る状況(アンケート)集計結果」を提示した。同調査は、2006年に検討されている医療法人制度改革にあたり、特定医療法人と特別医療法人に関する客観的な状況を把握し、公益性の高い医療を積極的に担う「認定医療法人(仮称)」について求められる要件を検討することを目的としたもの。また、同調査の対象については、2004年3月31日時点に存在していた全ての特定医療法人と特別医療法人の合計378法人とし、2005年1月に郵送によるアンケート調査を実施した。回収数は、285法人(回収率75.4%)で、その内訳は、特定医療法人財団が44法人、特定医療法人社団が200法人、特別医療法人財団が4法人、特別医療法人社団が9法人、特定・特別医療法人財団が4法人、特定・特別医療法人社団が24法人だった。
同集計結果によると、附帯事業の実施状況については、実施しているとした医療法人が183法人(64.2%)、実施していないとした医療機関が98法人(34.3%)、無回答が4法人(1.4%)だった。その中で実施している主な附帯業務の種類(複数回答)については、老人居宅介護等事業や老人デイサービス事業等といった老人福祉施設が175法人、訪問看護ステーションが132法人、居宅介護支援事業が89法人、精神障害者社会復帰施設及び精神障害者居宅生活支援事業が56法人、などだった。
一方、収益業務の実施状況(特別医療法人に限定)については、実施している医療法人が19法人で、実施していない医療法人は22法人。そのうち収益業務の実施内容(複数回答)については、医療用具や介護用品販売が8法人、配食サービスが6法人、駐車場経営が3法人など。また今後実施したい収益事業としては、医薬品や医療用具などの卸売、小売業が19法人、アパート・マンション・ケア住宅が15法人などだった。
医療観察法の入院対象者に対する処遇基準案を大筋で了承
〜障害者部会
社会保障審議会障害者部会(部会長・京極高宣国立社会保障・人口問題研究所長)は10日、厚生労働省が諮問していた医療観察法の入院対象者に対する処遇基準案を大筋で了承し、答申書の取りまとめを部会長に一任した。
医療観察法は、重大な罪を犯した精神障害者に治療を受けさせ、再犯を防ぐことを目的としたもので、今年の夏に施行される予定だ。同法では、医療機関の管理者は医療や保護の観点から入院者の行動を制限できると規定しているが、処遇基準案では、閉鎖病棟に治療中であっても人権に配慮することや社会復帰を促す必要があることから、家族との電話や面会などを原則自由としている。
障害者自立支援法案の考え方を公表
〜厚労省 障害保健福祉関係主管課長会議
厚生労働省は9日、障害保健福祉関係主管課長会議の中で、各地方自治体から提出された障害者自立支援法案についての質問に対する、現段階での考え方を整理し提示した。提示した資料では、各地方自治体からの質問を、▼新支給決定手続き、▼利用者負担、▼不服審査、▼事業体系・サービス内容、▼費用負担、▼地域生活支援事業――等に分類し、それぞれに対応する質問事項を整理し、同省の考え方を明示している。
そのうち、利用者負担の中では、個別減免の基準となる収入についての質問に対して、同省は、施設等の入所者における定率負担の個別減免は住民基本台帳を基に分けることを前提とした負担額を設定し、入所者を単独の世帯として捉え、障害者本人の収入に応じて行うことを想定しているといった考え方を示している。また、デイサービスやショートスティにおける食費の自己負担は通所施設における食費負担軽減措置の対象となるかとの質問に対しては、通所施設の食費軽減措置と同様に低所得者を対象としており、利用者は食材料費のみの負担とすることとしている。
[お知らせ]
高齢者・障害者制度改革に関するセミナーを開催 〜全国社会福祉協議会主催
全国社会福祉協議会は、高齢者・障害者制度改革セミナーを7月28日(木)11:00〜16:30分まで、東京都千代田区にあるシェ―ンバッハ・サポーで開催する。同セミナーでは、「社会保障の総合化と高齢者、障害者制度改革」(国立社会保障・人口問題研究所所長/京極高宣氏)・「介護保険法等の一部改正の内容」(厚生労働省老健局介護制度改革本部事務局長/大島一博氏)・「障害者自立支援法案の内容」(厚生労働大臣官房企画官/伊原和人氏)らが講演を行う予定。対象は高齢者・障害者福祉サービス従事者等、定員は500人、参加費8,000円。申し込みは、名鉄観光サービス新霞が関ビル支店(TEL:03-3591-1122/FAX:03-3595-1119)まで。内容についての問い合せは、全国社会福祉協議会高年福祉部(TEL:03-3581-6501/FAX:03-3581-6505)まで。 |
医療費抑制策を医療制度改正案で検討
〜尾辻厚労相
尾辻秀久厚生労働相は14日、閣議後の記者会見の中で、経済財政諮問会議がまとめている「骨太の方針2005」で議論されているマクロ指標に連動した医療費の抑制策について、医療には経済成長率と連動しないという特性があるため、マクロ指標を用いない抑制策を検討し、改正案に盛り込む考えを明らかにした。
さらに、診療報酬の改定をするにあたり、医療費と経済・財政とのバランスを踏まえて行うということが明示されていることについて同相は、医療費と経済を連動させることは受け入れられないと指摘し、経済・財政の指標を医療に持ち込むことに対しては反対することを表明した。
一方、風邪等の軽度・低額医療を保険対象から削除することについては、軽度だから保険対象外とするのは国民皆保険を壊すことになるといった観点から、疾病の重度や軽度にかかわらず保険給付を行っていく方針を明らかにした。
介護保険制度改革の着実な実施で給付費抑制を
〜財政制度審議会
財政制度等審議会は6日、2006年度予算編成の基本方針を示した「平成18(2006)年度予算編成の基本的考え方」をまとめ、谷垣禎一財務相に建議した。
この中で、社会保障については、現状の公費負担は多額であり、給付を抑制しなければならず、高齢者一人当たり医療費の適正化や各制度における合理化等の促進の必要性を指摘している。さらに、持続可能で安定的な制度を構築することが最重要課題であるとの観点から、医療や介護などを総合的に捉え、負担の総量抑制について明確な社会保障給付費を管理する目標と時間軸を国民に示して改革に取り組むべきとしている。
具体的な方策として、医療の領域については、次期制度改正で食費やホテルコスト等といった公的保険がカバーする範囲の抜本的見直しや高齢者の自己負担の見直し等を実施することをあげている。介護の領域については、軽度者に対する予防給付の創設等を着実に実施することや2006年度の介護報酬改定においても社会保障の一体的見直しを実施することをあげている。さらに次世代育成支援については、「子ども・子育て支援プラン」に盛り込まれた施策の推進や育児と仕事等を両立できるような労働慣行や雇用制度等の見直しなどを実施することをあげている。
震災から学んだ独自のサービスで高齢者の介護予防を促進
〜先駆的福祉経営事例
神戸市・伊川谷駅構内にあるNPO法人 阪神高齢者・障害者支援ネットワーク「伊川谷工房あじさいの家」は、高齢者の自立支援を行うことを目的に1999年に開設した。同施設を開設した経緯について、同法人理事長である黒田氏は「震災直後、高齢者などの孤独死が社会的な問題となり高齢者の自立支援を行う場の必要性を感じた」と語っている。また同施設では、地域住民も利用できる喫茶コーナーや神戸市からの委託事業として週4日「生きがい型デイサービス」等を提供している。同サービスは年齢や要介護度等の利用制限がないため、利用者の中には末期のがん患者や認知症高齢者等も参加している。同施設の利用者は、習字や運動を兼ねたリクリエーション等のプログラムに参加することや喫茶コーナーの利用者と談笑すること等、それぞれの時間を過ごしている。
■働く場と働く喜びを提供する
黒田氏は、震災直後、喪失感を失いながらも仮設住宅で暮らす高齢者に対して、雑巾やブックカバーの作成等といった内職の仕事を斡旋していた。その結果、高齢者の気持ちの中では、労働に対する喜びと目的意識が明確になったという。このことから、現在でも同施設では、利用者が働ける場を継続して提供し、さらに利用者が仕事場で作成したものを買取り、施設内で販売している。同施設で働いている利用者の様子について黒田氏は、「お金儲だけが目的ではなく仕事そのものを楽しんでいる方が大半です」と語っている。
■新たなコミュニティが形成され介護予防にも効果を発揮する
同施設では、レクリエーションや仕事場を通じて利用者同士の交流が深まり、利用者同士の新たなコミュニティが形成されている。このような状況について黒田氏は、「施設に行きたいと思えるようなきっかけを提供することが、利用者の閉じこもり予防にも効果を発揮し、介護予防の役割を果たしている」という。今後の目標について同氏は、「今後は他の場所で病院を退院した患者のターミナルの場となる看取りの家の開設を予定しており、人間らしく生活できる場の提供を考えている」と語る。同施設のように、目的意識が明確になるような場を提供することも介護予防の実践の一つではないだろうか。
本頁の記事に関する詳しい内容は日本医療企画社が発行する介護経営月刊誌
「介護ビジョン6月号」で。(詳しくは本紙各送信元にお問合せください)
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