参議院で介護保険法等の一部を改正する法律案の審議が開始
〜小泉首相、「国民の暮らしの安心を支える制度」と位置付け
衆議院本会議において介護保険法等の一部を改正する法律案が自民、公明、民主の賛成多数で可決されたことを受けて、参議院本会議では11日、小泉首相や尾辻厚生労働大臣らが出席し、介護保険法等の一部を改正する法律案についての趣旨説明と質疑を行った。その中で尾辻厚労相は、同法案における主な改正点について、▼新予防給付や地域支援事業の創設による予防重視型システムへの転換、▼介護保険3施設などのホテルコストの保険給付対象外化、▼地域密着型サービスや地域包括支援センターの創設など新たなサービス体系の確立、▼社会福祉施設職員等退職手当共済制度の見直し、▼「痴呆」を「認知症」に変更する――などを説明した。そのうち、「痴呆」の「認知症」への名称見直しについては、すでに「痴呆」に替わる用語に関する検討会が変更を決めており、今国会で法案が成立すれば介護保険法など法律上の用語が「認知症」に改正される。さらに、法案が成立した場合、介護保険3施設における居住費と食費の保険給付対象外化は、今年10月から、地域密着型サービスや地域支援包括支援センターの設置等は、2006年4月から実施される予定。
一方、同本会議の中で、民主党・小林正夫議員は小泉首相に対して、介護保険制度の見直しにおける趣旨やポイント等についての説明を求めた。これに対して小泉首相は、介護予防を導入する等、軽度の要介護者などに対しても効果が期待されるような制度にするために、給付の効率化と重点化を図っていくとし、さらに、同制度の位置付けについては、今後の高齢化が進んだ社会においても、将来にわたり国民の暮らしと安心を支える制度とすることを示した。
なお、今後の参議院での審議は、予防給付の効果や被保険者と受給者の範囲、障害者施策との関係等についての質疑が行われる予定となっている。
介護サービス情報の公表における調査機関は営利法人でも可能
〜厚生労働省・山本専門官
厚生労働省の山本亨介護サービス評価推進専門官は、13日に開催された介護サービス情報の公表担当課長会議の中で、新年度から実施予定となっている「『介護サービス情報の公表』制度推進事業」(仮称)についての説明を行った。その中で同推進事業について山本専門官は、利用者が介護サービス事業者を選択する場合、判断材料となる介護サービスの情報を円滑にかつ容易に取得できる環境整備を図るために、介護サービスに関するモデル調査を実施した上で、調査内容等の検証を行い、「介護サービス情報の公表」制度において、円滑で適切な施行準備を推進することを目的としていると説明。また、同専門官は同事業の実施主体について、原則都道府県や事業の全部又は一部を指定情報公表センターとなる予定の法人が実施することとなっているが、ある一定の要件を満たせばそれ以外の営利法人でも実施が可能であるとの見解を示した。
介護サービス情報における公表の仕組みについては、まず介護サービス事業者に、事業所の職員体制や利用料金等の「基本情報」(仮称)と、介護サービスに関するマニュアル等の有無や介護サービスの提供内容に関する記録管理の有無等の「調査情報」(仮称)の報告を年に1回程度義務づけ、そのうち、「基本情報」(仮称)については、直接介護サービス事業所から都道府県知事又は指定情報公表センターへ報告、「調査情報」については、事業所から出された情報を一度、都道府県知事又は指定調査機関が事実確認をするための調査を実施する。その後、都道府県知事又は指定調査機関が調査した「調査情報」の結果と「基本情報」を都道府県知事または指定情報公表センターが介護サービス情報として公表する。その情報を基に各利用者は、介護サービス事業者の比較検討が容易になり、様々な角度から選択が可能になる。
一方、同会議の中で山本専門官は都道府県に対し、都道府県直営の体制を構築するか指定調査機関と指定情報公表センターを指定するかを早急に検討するよう要請。また、都道府県が指定する機関については、中立・公平性が確保され、かつ法人格を所有していることが条件であると指摘し、その上で、要件さえ満たせば調査機関と情報公表センターは、1つの機関で兼務することも可能であるとことを示した。さらに同専門官は指定情報公表センターについて、原則都道府県社協が業務を請け負うことは可能だが、都道府県社協は市町村社協で構成されているため介護サービス提供者といった側面もあることから、基本的には、独立している法人機関が業務を請け負うべきとした。
身体・知的障害者においては、現行の要介護認定基準における適用の有効性を示唆
〜厚労省・社会保障審議会障害者部会
厚生労働省は、先月26日に開催された社会保障審議会障害者部会の中で、身体・知的・精神障害者における介護ニーズを判定する指標として、現行の要介護認定基準の有効性を検討した「障害者に対する要介護認定基準の有効性」と題する調査報告書を提示した。
同調査の方法は、まず厚生労働科学研究費・長寿科学総合研究事業(主任研究者・遠藤英俊氏)「要介護状態の評価における精神、知的及び多様な身体障害の状況の適切な反映手法の開発に関する研究」と、老人保健・健康増進等事業(財団法人日本公衆衛生協会:分担事業者・高橋紘士氏)「介護ニーズ評価に関する調査研究事業」の調査結果を同省が分析。その結果を基に同省が福祉サービスを受けている障害者2,468人(身体障害737人、知的障害841人、精神障害890人)に対し、介護保険の要介護認定で使われている認定基準調査や、支援費制度の施設給付で用いられている障害程度区分調査、IADLや介護支援専門員等から見た要介護度の評価指標についての調査を実施した。
この調査結果として、まず身体障害者については、身体障害者に対する要介護の一次判定結果は要介護5が10.6%、同4が7.6%、同3が8.8%、同2が8.8%、同1が38.4%、要支援が17.5%、非該当が11.6%だった。この結果と障害程度区分(生活関連動作支援項目)、介護支援専門員からみた要介護度はともに高い相関関係が示された。さらに、「障害保健福祉施策改革のグランドデザイン」において「介護給付」と位置付けられるホームヘルプと身体障害者療護施設の利用者119人のうち117人が、要介護認定基準において要介護状態か要支援と判定されていた。また、知的障害者においても身体障害者とほぼ同様の結果であった。一方、精神障害者については、要介護認定の一次判定結果とその他の指標において、それほど高い相関関係はなかった。また、要介護度別に障害程度区分やIADLなどの指標の得点分布をみると、要介護度が重度であるほど他の指標も重度になっていたが、要介護度別の分散が大きく、群間の分布の重なりも認められていた。
このような結果から同報告書では、現行の介護保険制度における要介護認定基準が身体・知的障害者の身体介護を中心とした介護サービスの必要度を測定するうえで有効であると分析している。しかし一方で、障害者に対する支援においては、自立を目的とした生活訓練や就労支援等も重要な位置付けであることから、このような支援の必要度を判定するには、「介護給付」に相当するサービスの判定に用いられるロジックとは別のロジックが必要であるとしている。
補足給付の額は「基準費用額−負担限度額」
〜特定入所者介護サービス費
介護保険法等の一部を改正する法律案が成立すれば、今年10月から介護保険3施設を利用している利用者は、新たに居住費と食費を負担することとなっているが、そのうち低所得者に対しては、「特定入所者介護サービス費」という補足給付が支給される。この「特定入所者介護サービス費」は、今年10月から適用され、▼介護老人福祉施設、▼老人保健施設、▼介護療養型医療施設、▼短期入所生活介護、▼短期入所療養介護――の5つのサービスを利用している低所得者を対象とし、「特定入所者認定」を受けた利用者が支給対象となる。さらに、2006年4月施行分からは、上記の施設以外に▼地域密着型介護老人福祉施設、▼介護予防短期入所生活介護、▼介護予防短期入所療養介護――が追加される。
一方、同サービス費の給付額については、施設における居住費・食費の平均的な費用を勘案して定める額(基準費用額)から低所得者の所得状況等を勘案して定める額(負担限度額)を引いた金額とされている。しかし、施設が設定している居住費・食費が基準費用額を下回る場合は、当該額と負担限度額の差額となる。さらに、施設が負担限度額を超えて、低所得者から負担を徴収した場合は、補足給付の対象とはしない。
被保険者(利用者)は、給付を受けるにあたり保険者より「特定入所者認定証」の交付を受けなければならない。事業者は利用者から提示された認定証を確認し、負担限度額の範囲内において利用者が負担すべき費用の支払いを受ける。またこの認定証には、、交付年月日、被保険者の番号・住所・氏名・適用年月日、有効期限、負担限度額(居住費・食費)、保険者の番号・名称・印等の項目が記載される予定となっている。認定証の有効期限は、1年間とし、保険者が被保険者から申請を受け付けるのは、毎年4〜5月頃になる見通しだ。
[お知らせ]発達障害児者・家族への支援に向けたシンポジウムを開催 〜NHKハートフォーラム第4回シンポジウム
全国LD(学習障害)親の会が主催しているNHKハートフォーラムが第4回公開シンポジウムを6月26日(日)10:00〜大阪市内にあるNHK大阪ホールにて「発達障害のある本人・家族への支援に向けて〜特別支援教育と発達障害支援法をめぐって」と題するテーマで開催する。このシンポジウムでは、LD・ADHD・自閉症などの発達障害における教育の問題や障害に対する理解と対応等に関する講演や、支援団体や行政担当者らが支援の在り方を語る。定員は1,400人で、参加費は無料。
問合せは、NHK分化事業団近畿支局ハートフォーラム係(TEL:06-6937-3412/FAX:06-6941-0830)まで。 |
空き店舗が介護予防拠点に変身商店街にも元気を呼ぶ起爆剤に
〜先駆的福祉経営事例
東京都板橋区にあるNPO法人ワーカーズコープ・パル板橋「桜川デイサービス」は、パワーリハビリと趣味活動を取り入れた介護予防型デイサービス施設として2004年9月に開設。同施設は、「高齢者の自立支援と介護予防」の実施、さらに、商店街の空き店舗を利用していることから「商店街の活性化」を目的とし、地域住民も気軽に立ち寄れる場所を目指している。また、同施設が商店街の空き店舗を利用している理由については、同区で「商店街活性化事業」が施策され、同区商工振興課から提案されたのがきっかけだ。同施設の所長である高野栄実子氏は、商店街でデイサービスを開設しているメリットについて「場所が駅から近いため、利用者の友人が遊びに来ることもあり、利用者は気軽な気持ちで来られる」と語っている。
■利用者が率先して趣味活動の企画を立案する
同施設では毎日、午前中はパワーリハビリ研究会の「高齢者向け筋力トレーニングプログラム」に基づきトレーニングを実施し、さらに各利用者のデータを3ヶ月ごとに比較している。その効果について管理者の田原氏は「改善度を数字で確認できることで、利用者は喜び、励みになっている」と語る。また、家族にも比較表を提示することで、そのデータを見た家族は利用者に対する意識が変化することもあるという。一方、午後は趣味活動の時間となっている。例えば、春先にはお花見に行く企画が立案され、各利用者がお花見に関する情報を入手し、それらの情報を基にお花見に行く場所等を決定するなど、趣味活動の時間では、利用者達が率先して様々な企画を立案し、実践している。
■商店街の中で、“元気のある一店舗”を目指して
今後の目標として高野氏は、「商店街の行事に積極的に参加し、地域の方々が気軽に立ち寄れる場所『元気ある一店舗』を目指している」と語る。さらに、利用者側から施設のことを地域に発信していく機会も必要だと捉え、利用者が中心となって広報誌の作成を検討しているという。同施設が取り組んでいるように、利用者が率先して活動に取り組めるような環境を作ることは、利用者の立場に立った場合、最も重要なことではないだろうか。
本頁の記事に関する詳しい内容は日本医療企画社が発行する介護経営月刊誌
「介護ビジョン5月号」で。(詳しくは本紙各送信元にお問合せください)
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