老健等の利用定員の市町村コントロールは2006年度早期に措置
〜規制改革・民間開放推進会議追加答申
政府の規制改革・民間開放推進会議(議長・宮内義彦オリックス会長・グループCEO)は23日、「規制改革・民間開放の推進に関する第1次答申(追加答申)」をまとめた。その中で介護関連については、▼介護職の業務範囲の明確化、▼介護支援専門員の質の向上、▼介護療養型医療施設(療養病床)等の整備のコントロール――について明示されている。そのうち、介護療養型医療施設(療養病床)等の整備のコントロールについては、介護保険の保険者である市町村には施設定数をコントロールできる権限がなく、過剰な整備が行われている地域では保険料の高騰に歯止めをかけられないという事態が発生すると推察されている。このため、介護療養型医療施設や介護老人保健施設の利用定員を市町村がコントロールできる仕組みを構築すべきとした。
また介護職の業務範囲の明確化については、爪切りや服薬介助、血圧測定等、医行為にあたるか否かの解釈が明確に示されていないことから、ホームヘルパー等による実施が妨げられているケースもある。そのため現場の介護者は、利用者のニーズに対応できるかどうかといった困惑や、また今後このようなニーズが顕在化してくることが予想される。このような状況から医行為にあたらない行為を明確にし、周知徹底すべきであるとしている。また、厚生労働省が筋萎縮性側索硬化症(ALS)以外の患者に対するたんの吸引についての取り扱いや、民間開放推進3ヵ年計画においても、医師法上の取り扱いについて検討し、明確化することを明示していることから、ALS以外の在宅患者に対するたん吸引については法律的整理を進めているが、その結論を早急に得ることとしている。さらに、必要に応じてその他の医行為についてもALSと同様の検討をし、結論を出すべきとした。
介護支援専門員の質の向上については、ケアプラン作成や調整業務等に関する専門性を高めるための実務経験等を織り込んだキャリアパスを導入する等により、介護支援専門員の能力向上を図り、更新制の導入や公正中立な活動を確保する支援策について検討し、所要の措置を講じるべきとしている。
「介護の『普遍化』についての議論も改めてしてほしい」
〜尾辻厚労相
尾辻秀久厚生労働相は22日、閣議後の記者会見の中で介護保険法改正案について「定期点検ではなく、再度介護保険を見直してみようという議論をしてほしい」と期待感を示すとともに、とくに厚労省が表現している「普遍化」についての議論も改めてしてほしいことを強調した。
同改正法案は衆院本会議で審議されているが、その内容は介護3施設の居住費・食費のホテルコストの自己負担等、国民にとっては負担増につながるもので、地域での介護予防の活動にも大きな変化が生じることと予想されている。
尾辻厚労相はこうした状況を踏まえ、「介護保険制度施行から5年間の経験を踏まえ、検証して見直しをやると決めてあったが、これは定期点検ではないと言ってきたつもりであり、もう1回介護保険というものを見直すような議論をして欲しい」と改めて要望した。また介護予防については、「そもそも介護保険は予防という目的であるが、今回とくにそれを強く打ち出した」と説明した。さらに今後は、介護を必要としない人が必要とするような状況へ変わらないようにする予防と、ある程度の介護が必要な人の介護度が重度化しないようにする予防の2つを重視して改正したいと強調した。
新予防給付は地域包括支援センター設置が前提
〜厚労省老健局・香取課長
厚生労働省老健局の香取振興課長は、18日に開催された社会保障審議会介護給付費分科会の中で、新予防給付の在り方について「新予防給付の前提は各市町村において地域包括支援センターを設置することで、地域包括支援センターを設置した時点から新予防給付が始まる」と述べ、新予防給付は各市町村がセンターを設置するか否かによって、取り組む市町村と取り組まない市町村とに分かれるとという認識を改めて示した。
また同課長は、「地域包括支援センターは各市町村が設置することとされているが、各市町村で体制が整わないまま設置されれば、サービスは措置的で統制的なものになってしまう」として、2年間の措置期間のうちに十分な体制を整備した上で設置するよう要請した。
■医療と介護との連携強化も検討
一方、同分科会の中では、医療と介護の機能分担と連携強化における主な課題として、(1)地域における医療と介護の包括的・継続的マネジメント、(2)重度者に対応した医療型多機能サービス、(3)施設や居住系サービスにおける医療と介護の機能分担と連携――の3点が提示された。これらのうち具体的な検討内容について(1)地域における医療と介護の包括的・継続的マネジメントでは、地域における主治医とケアマネジャーなどの連携強化、介護予防における医療との連携、(2)
重度者に対応した医療型多機能サービスでは、医療ニーズの高い重度者の在宅生活を支援するサービスのあり方、(3)施設や居住系サービスにおける医療と介護の機能分担と連携では、日常的な健康管理や緊急時の対応の在り方、ターミナルケアの在り方、外部の専門医療機関や訪問看護などを利用する場合の報酬等が明示されていた。
■介護事業経営調査の回収率を向上し調査の制度を向上する
また一部関係者からは介護事業経営実態調査の回収率について、前回2002年における同調査の回収率は38.8%にとどまるなど非常に低く、データの精度に疑問を呈する声があった。そこで同分科会の中では、今回実施する調査から電子調査を利用し記入者負担の軽減を図ったり、福祉系の調査票では会計処理に合わせた調査票の設計したりする等、有効回答率の向上策をいくつか採り入れていくことが提示されている。
[お知らせ]
日本ソーシャルワーカー協会2005年度総会・記念セミナー 〜徳島市郷土文化会館
日本ソーシャルワーカー協会は、「福祉改革の時代におけるソーシャルワーカーの役割」と題して5月20日(土)21日(日)に徳島県郷土文化会館で総会・記念セミナーを開催する。
▼会場:徳島県徳島市・徳島県郷土文化会館
▼内容:「コミュティケアとソーシャルワーカーの専門性」日本社会事業大学教授/大橋謙策氏
「福祉文化の形成に向けて」神奈川県立保健福祉大学長/阿部志郎氏
▼参加費:2,000円(学生1,000円)
▼問合せ:日本ソーシャルワーカー協会(TEL:03-3221-1877/FAX:03-3221-6523) |
筋トレマシン、購入費は4倍超す格差
〜市町村介護予防モデル事業で、厚労省が報告
厚生労働省老健局は17日、民主党の高齢者虐待防止PTと障害者政策・介護保険ワーキンググループ合同会議の中で、平成16年度の介護予防市町村モデル事業(筋力向上分)における実施状況を明らかにした。これは、同党の山井和則氏が11日の衆院厚生労働委員会で筋力トレーニングのモデル事業に要する経費を明確にするよう求めていたことを受け同省老健局が報告したもの。この報告書は、介護予防(筋力向上)モデル事業を実施する51市町村の現段階における実施状況を聴取し、把握できる範囲内でまとめたものであり、▼筋力向上事業の実施状況、▼使用設備に等に係る費用、▼1市町村当りの実施者(3月14日時点までのモデル事業における実施者数)、▼事業に従事している職種――等に関する状況が掲載されている。
そのうち使用設備等に係る費用の中では、トレーニングマシンやセラバンドの購入やリース・レンタル、等に関する状況が掲載されている。その中で、介護予防市町村モデル事業において筋力向上トレーニングマシンを購入した市町村の費用については一台につき平均75万9,000円で、購入額が最も高かった市町村(174万円)と最も低かった市町村(40万円)では4倍以上の開きがあった。一方トレーニングマシンのリース・レンタルの費用については、一台につき平均1万8,000円で、最高3万3,000円、最低4,000円。また市町村におけるトレーニング用ゴムチューブなどの購入費用の平均については37万6,000円(最高80万円、最低2万8,000円)で、リース費用の平均は15万7,000円(30万円、1万3,000円)だった。
一方、同事業の実施方法については、トレーニングマシンのみを使用している市町村が31カ所と最も多く、トレーニングマシンとトレーニング用ゴムチューブなどを併用しているのは11カ所、トレーニングマシン以外の器具を使用しているのは9カ所だった。
痴呆対策推進室が「認知症対策推進室」へ名称変更
〜厚労省老健局
厚生労働省は昨年12月「痴呆に替わる用語に関する検討会」が痴呆に替わる言葉として「認知症」を決めたことから、老健局の痴呆対策推進室の名称を「認知症対策推進室」に変更し、同室の痴呆対策係も「認知症対策係」とした。
脳を刺激し認知症改善重度者にも効果実感
〜先駆的福祉経営事例
東京・豊島区にある医療法人日成会 介護老人保健施設「池えびす郷」は2004年4月に開設し、同年9月より東北大学未来科学技術共同研究センター・川島隆太教授や豊島区らが共同で研究している「学習療法」を取り入れている。学習療法とは、文章を音読したり簡単な計算をしたりすることで脳を活性化させ、認知機能やコミュニケーション機能、身辺自立機能などの維持・改善を図るものとされている。同施設の副施設長である米沢定男氏は、学習療法を取り入れた経緯について「この施設は、特養の待機者のための施設ではなく、在宅復帰ができる施設を目指している。そのためリハビリテーション効果があるものはなんでも取り入れる方針とし、好転する利用者が一人でもいれば、同施設が目指す老健の役割を果たすことにつながると考えた」と語っている。
■発話量が増え表情が豊かになり、目に見える変化が表れる
同施設が実践している「学習療法」では、重度認知症の入居者10人を対象に週5回、一人約30分程実施し、主に作業療法士と言語聴覚士らを中心としてケアスタッフが交代で指導にあたっている。学習療法の効果について作業療法士の伊藤理恵氏は、「利用者とのコミュニケーション量が増加するようになりました。今まで「はい」や「いいえ」しか返答がなかった方とも会話が続くようになり、表情が豊かになって明るくなってきた」と語っている。
■利用者と1対1の時間は、職員のスキル向上にも効果
学習療法を実施している同施設では、職員のスキルアップにもつながっているという。伊藤氏は「各職種が学習療法にかかわることで、お互いの専門性の視点を学び合っている。またケアスタッフは利用者とゆっくりかかわれる時間が少ないが、学習療法では1対1で進めていくので利用者の生活背景等が垣間見えることからコミュニケーションがスムーズに進み、それが日常業務に生かされるようになってきた」と語っている。また今後は、軽度者や地域の高齢者にも対象範囲を広げ、積極的に取り組んでいきたいと考えているという。
学習療法は利用者の自立機能が回復することや表情が豊かになる等の観点から有効なツールの一つとなるのではないだろか。
本頁の記事に関する詳しい内容は日本医療企画社が発行する介護経営月刊誌
「介護ビジョン4月号」で。(詳しくは本紙各送信元にお問合せください)
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