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月刊福祉経営情報



2004年11月号

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2号被保険者を20歳まで拡大で保険料は最少3,900円に

〜厚労省が介護保険部会に試算示す

厚生労働省は10月29日に開かれた社会保障審議会介護保険部会に対し、被保険者・受給者の範囲の拡大に伴う保険料の見通しの試算を示した。給付の効率化・重点化を図った「介護予防対策が相当進んだケース」で、給付の範囲を在宅・施設サービスとした場合の給付費は全体で9.7兆円と試算。被保険者などの範囲を拡大しない場合より1兆円増加するとした。また、1人あたりの保険料は、2号被保険者の範囲を20歳まで拡大した場合、第5期(2012〜2014年度)は3,900円と被保険者が増えることで負担が大幅に少なくなると試算。しかしこれに対して、委員からは「信頼できる数字なのか」「障害者を介護保険に入れたいから出した試算としか思えない」など、試算が障害者を含めた数字であることに反発する委員が相次いだ。
厚労省はまず、介護予防対策が相当進んだケースで被保険者と受給者の範囲を拡大した場合の給付費の見通しを提示。これによると第5期の給付範囲を在宅サービスのみとした場合は9.3兆円、在宅・施設の双方を対象とした場合は9.7兆円で、それぞれ範囲を拡大しない場合から0.6兆円、1兆円増加していた。

■16通りの試算を提示
保険料については、保険料負担年齢と負担割合、給付サービスの範囲で区分し、計16通りのケースを想定して試算した。負担年齢は(1)20歳以上、(2)25歳以上、(3)30歳以上、(4)35歳以上――とし、それぞれ40歳未満の保険料の負担割合を40歳以上と同水準にした場合と40歳以上の2分の1にした場合とに分けている。保険給付費の範囲は原則0歳以上とし、いずれも介護予防が相当進んだケースを前提とした。
第5期の保険料は現行制度のままで推移した場合は6,000円、介護予防対策が相当進んだケースでも4,900円だったのに対し、対象年齢「20歳以上」の場合は1号、2号被保険者(20〜64歳以下)ともに3,900円となった。40歳未満を半額とした場合は1号、2号(40〜64歳以下)4,600円になり、20〜39歳以下の「第3号被保険者(仮)」は2,300円となる。同様に「25歳以上」は1、2号被保険者4,200円、40歳未満半額では1、2号4,700円、3号2,400円、「30歳以上」は1、2号4,500円、40歳未満半額で1、2号4,900円、3号2,500円、「35歳以上」は1、2号4,900円、40歳未満半額で1、2号5,200円、3号2,600円――となっていた(いずれも給付サービスは在宅・施設を対象とした場合)。

■退席する委員も
厚労省側の説明を受け、まず野中博委員(日本医師会常任理事)が「これ以上患者らの負担を増やすことは我慢ならない。日医としてこの話には乗ることができない」と述べるなり退席した。田近栄治委員(一橋大学大学院教授・経済学研究科長)も「このデータはどれだけ信頼できるのか。シミュレーションが足りないのでは」と試算の信頼性に対して疑問を投げかけた。
さらに田近委員は「あなた方は『相当進んだケース』でこれだけ保険料が減るのだから、障害者が介護保険に入っても大したことはない、1〜2兆円のお金を使えば大丈夫だと言っている。しかし、障害者が入った場合に実際どのくらい給付費が伸びるかは分からない。無責任だ」と述べ、障害者と介護保険の統合ありきの議論に抗議した。これに喜多洋三委員(全国市長会介護対策特別委員会委員長)も「そもそも(現行制度のまま推移した場合の)6,000円が高いのならば、それをどうするのかという議論をすべきではないか。いきなり障害者を入れるという手法は荒い。障害者を入れたいから3号被保険者を作るとしか思えない」と応じた。対馬忠明委員(健康保険組合連合会専務理事)も「まずは現行制度のまま推移した場合について、どうなるか論じることが大切」と述べ、厚労省に対し被保険者が増加した場合の公費の在り方や事業者の負担がどうなるかなどについてデータを示すよう求めた。


1号被保険者の保険料6段階に

〜低所得者対策の対象範囲拡大へ

厚生労働省は2006年の介護保険制度見直しで、現行の1号被保険者の介護保険料のうち第1段階及び第2段階を見直し、第1段階〜新第3段階として低所得者対策の対象範囲とする方針を固めた。
現行の保険料段階は生活保護受給者等を対象とする第1段階から市町村民税・本人課税で本人の合計所得金額が一定額以上の第5段階までとなっている。5段階のうち市町村民税・世帯非課税の第2段階をさらに2分し、第1段階から第6段階とする。新第2段階は、公的年金等控除の最低保障額を140万円から80万円に変更し計算した、地方税法上の合計所得合計が0円以下の者が対象となる。これまでは負担軽減の対象となる第2段階が、市町村民税・世帯非課税で生活保護の基準に満たない収入の人から年金受給額が年約260万円の人までと幅広いことから、低所得世帯ほど負担感が重いことが指摘されていた。


障害者施策見直し、各論めぐって慎重論続出

〜障害者部会

厚生労働省の社会保障審議会障害者部会は10月25日、前回の会合で示した「今後の障害保健福祉施策について」(改革のグランドデザイン案)について、あらためて厚労省から説明を受けた。障害保健福祉を統合し、サービスの利用決定プロセスの透明化などを盛り込んだ内容に対し、各委員は大筋で合意する一方、新たに打ち出された応益負担の在り方など各論で慎重な意見が続出した。
利用者が急増した支援費制度の財政的なひっ迫が直接的な原因となったグランドデザイン案には、制度を維持する観点や客観的な基準、手続きに基づく運営を盛り込んだ。障害者の状態を判断するケアマネジメントを導入して利用決定プロセスの透明化を図るほか、利用料は基本的にこれまでの「応能負担」から受けたサービスの量に応じて支払う「応益負担」に切り替える。
障害者の自立を促す新たなサービス給付体系では、市町村が実施主体となった(1)障害者介護給付(訪問介護・通所介護・重度障害者包括サービスなど)、(2)障害者自立支援給付(自立訓練・就労移行支援・要支援障害者雇用)、(3)地域生活支援事業(地域相談支援事業・移動支援事業・介護型事業など)の3種類に整理され、都道府県が人材育成事業などを支援する。
これに対し、徳川輝尚委員(全国身体障害者施設協議会会長)はグランドデザイン案に基本的に賛同しながらも、「ケアマネジメントはどのようにするのか。結婚、育児の問題も考えてほしい」などと注文をつけた。福島智委員(東京大学先端科学技術研究センター助教授)は応益負担について「障害をもっているだけで、日常的な入浴や排泄といった行動にもサービス料を支払わなければならないのは理不尽」などと訴えた。
同部会では、11月に予定されている次回会合で引き続きグランドデザイン案について議論をする予定だ。



都道府県などと「介護給付適正化推進運動」実施へ

〜給付費の1%程度抑制目指す

厚生労働省は、介護給付費の適正化のため、介護給付費の1%程度の抑制を目標とした「介護給付適正化推進運動」に取り組むことを決めた。具体的には、「効果的な適正化事業実施例を踏まえた取り組み」「不正請求、不適切な請求への対応」を柱に行う。
「効果的な適正化事業実施例を踏まえた取り組み」では、介護給付費の適正化に積極的に取り組んでいる保険者の事例を紹介し、その事例を参考に全ての保険者が適正化に取り組む。「不正請求、不適切な請求への対応」では、不正請求や事業所の指定取消事例が増えていることを受け、国保連合会の適正化システムで特異的な傾向を示している事業所に照会を行うなど、サービス提供事業者の保険給付について調査を行う。
厚労省は「介護サービスが本当に期待された効果をあげているのか、また不適切・不正な介護サービスはないかなどの観点で改善の余地がある」と指摘。今後は、保険者である国・都道府県・市町村が連携して介護給付適正化推進運動を実施するとしている。


トピックス

東電ライフサポートが杉並区に2つ目の有料老人ホーム

東京電力の子会社、東電ライフサポート株式会社は、2002年4月に開設した練馬区の有料老人ホームに次いで2つ目となる有料老人ホームを杉並区内の変電所跡地(3.650u)を活用して建設することを発表した。同社では電気事業に次ぐ収益源の確保を目指し、東電の遊休地を活用して地域密着型の介護関連事業を展開している。
同社は2000年10月に設立、東電本体が95%を出資、高齢者向け住宅の企画、運営、管理を総合的に事業展開する。遊休地を多く所有する東電グループの強みをいかし、有料老人ホーム、訪問介護事業、介護用品販売、レンタル事業で福祉業界に進出を図る。
問い合わせは、東電ライフサポート株式会社(〒105-0013東京都港区浜松町2-7-15日本工築2号館5F/TEL:03-4436-4165/FAX:03-4436-8888)まで。



逆デイサービスを通じ、地域住民と密接な関係を築く

〜先駆的福祉事例

社会福祉法人永寿福祉会「永寿特別養護老人ホーム」は昨年10月、「逆デイサービス」を開始した。同サービスにより、痴呆改善の効果が期待されると聞き、導入に着手した経緯を副施設長の牧野香織氏は次のように振り返る。「痴呆を有する方は、施設の中で自ら進んで活動する機会が少ないので、本来持っている家事などの生活能力が失われてしまう。当施設では、利用者に在宅での生活感覚を取り戻してもらおうと思い、この取り組みを始めました」サービスの実施にあたっては、同施設から車で10分程度の住宅地にある民家を賃借することになった。改修の際には危険度の高い浴室とトイレにのみスロープを設置したが、あえて段差を残し、利用者には階段を使っての移動を促している。「利用者が普段の生活を取り戻す」という当初の目標を意識したものだ。

■自由なスケジュールで利用者の持つ生活能力を引き出す
同施設は1回につき3〜4人が利用する。施設では1日の生活は基本的にスケジュール管理されているが、同サービスでは日程や時間、当日の予定に至るまで、一切、入所者を強制していない。このような逆デイサービスに対する利用者の反応について神園裕己在宅支援係長は、「民家には施設にはない生活感や雰囲気があるため、利用者も違和感なく溶け込み、落ち着いた時間を過ごしています」と好感触を得ている。包丁を使い、うまく味付けをする利用者に料理を教えてもらう若いスタッフの姿も見られるという。

■積極的なアプローチで地域住民との協力体制を確立
同施設では周辺住民に施設側の考えや意図を理解してもらい、連携を図るため、サービス開始当初から逆デイサービスの体験など、積極的なアプローチを行った。その甲斐あって、現在では地域住民がボランティアとして積極的に参加・協力しているという。牧野氏は、同サービスの費用対効果を考慮しても、地域住民との協力体制を確立するきっかけになったことは、大きな財産だと語る。また今後は、痴呆性高齢者だけではなく地域住民が集う拠点として活用したいと考えている。地域住民の協力を得て実現したサービスを地域に還元する。同施設のような本当の意味での地域密着型経営が本流となる日は近い。



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