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月刊福祉経営情報



2004年08月号

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介護と給付の範囲見直し 継続議論に

〜厚労省・介護保険部会

社会保障審議会介護保険部会は7月30日の会合で、厚労省から提出された報告書「介護保険制度の見直しに関する意見(案)」を大筋で了承した。同報告書には「新・予防給付」や「地域密着型サービス」等の新設が盛り込まれている。
同報告書では、「新・予防給付」は「要支援」「要介護1」の高齢者の状態改善につなげることを目的とし、「地域密着型サービス」については、既存の全国共通のサービスに加えて、市町村が介護報酬等を独自に設定できるとしている。
「新・予防給付」のマネジメントを担う中核施設として市町村に新設する「地域包括支援センター(仮称)」に関しては、機能が分かりにくいとの指摘を受け、「市町村を基本に、その対象とする圏域や具備すべき機能、配置のあり方などについて検討する必要がある」との説明を追記、あわせて在宅介護支援センターの機能も見直すとした。
一方、懸案となっていた給付と負担の見直しについて、保険料負担の観点からは「被保険者の年齢引き下げは、財政的な安定性を向上させる」「若年層には新たな負担となり、未納や滞納が増える」、支援費制度との統合については「障害者福祉サービスの安定的な財源が確保される」「時期尚早」など賛否を対比させる形で両論を併記。これらの問題については当初、新たに検討の場を設けて結論を見出すとの選択肢も示されていたが、中村秀一老健局長は「介護保険部会での議論が足りない。引き続き審議をお願いする」と述べ、同部会に対し11月いっぱいをめどに検討の継続を求めた。また、支援費制度との関係については、近く開催する社会保障審議会で、障害者部会との連携をどのように保っていくか対応を検討する。
同部会では9月以降も審議を継続することを決定、年内には結論を出し、年明けの通常国会に提出する介護保険法などの改正案に盛り込む方針だ。


■市町村は2006年度までにサービス圏域を設定
なお、市町村は2006年度に始まる第3期介護保険事業計画から、地域の実情や利用者の日常生活圏域を踏まえた「サービス圏域」の設定が求められており、このほかにも従来の介護サービスの需給見通しや、介護予防、「地域包括支援センター」についての内容が盛り込まれる予定だ。



 

サテライト型特養 特区での対応「可」

〜厚労省・第5次特区提案で回答

厚生労働省はこのほど「構造改革特区の第5次提案」及び「地域再生(非予算)の第2次提案」に対する回答を公表した。その中で、宮城県や東京都稲城市などが求めていたサテライト型特別養護老人ホームの整備にかかる基準緩和については、「特区として対応する」と回答している。
サテライト型特養整備は、既存特養がユニットケア導入のための改修を行う場合、その1ユニット分をサテライト型特養として町の中に整備し、本体施設のバックアップを受けながら、これに通所介護、訪問介護などの機能を付加するというもの。これにより、施設の一部を小規模・多機能サービス拠点とすることが狙いだ。現行の特養基準省令では、サテライト型の入所施設を特養として整備することはできないため、稲城市などはその規制を緩和した特区を提案している。
こうした提案について厚労省は、特養の最低基準を満たさない施設は、入所者の処遇に問題があると考えられ、認めることはできないと説明。しかし、特養の一部を町の中に移し、母体施設のバックアップを受けて運営される小規模な特養は、(1)施設機能を高齢者の住み慣れた地域に展開することができる、(2)母体施設の改修が容易になり、母体施設の個室・ユニット化を進めることができる――などといった大きなメリットがあるとして、既存特養が定員を1〜2ユニット分(10〜20人程度)減らし、その定員分をサテライト型特養とする場合については、施設入所者の処遇が低下しないことを担保しつつ、一定の基準緩和を認めることとした。
ただし、既存施設の一部を町の中に展開するのではなく、新たに10人定員×5拠点の施設を作る場合にも基準緩和を求める内容の提案については、「痴呆性高齢者グループホームとして整備することで、現行制度の枠内での事業展開が可能」などの例をあげ、特区要望として認める必要はないと回答している。


■外国からの介護労働者受け入れ「現状では対応不可」
一方、外国からの介護労働者の受け入れについては、現状では「対応不可」と回答。ただし、現在進められているFTA交渉で、タイやフィリピンから要望されている議題でもあるため、規制改革・民間開放推進3カ年計画に基づき、受け入れを検討していると説明した。具体的な受け入れの条件については、今後の交渉の状況を踏まえて検討していきたいと前向きな姿勢を示している。


 

 

精神障害者の地域生活支援は市町村中心にサービス体系整備を

〜厚労省・精神障害者の地域生活支援の在り方に関する検討会

 

精神障害者の地域生活支援の在り方に関する検討会は7月29日、精神障害者における市町村を中心とした計画的なサービス体制の整備などを提案する最終報告をまとめた。
同報告書では、退院後の地域生活を継続する態勢づくりについて、住・生活・活動などの支援体系、重層的な相談支援体制、市町村を中心とした計画的なサービス提供体制整備を求めている。
また、現行の支援策については、「施設サービス機能が弱く、全体として統一的な体系になっていない」として、施設サービスを地域生活支援の観点から再編することを要請。具体的には、▼複数の機能を小規模な単位で組み合わせること、▼地域の障害者への開放を可能とすること、▼ショートステイに関する人数制限の撤廃――などの検討を提案した。
長期入院患者の社会復帰意欲を促す仕組みについては、グループホーム等で短期間生活することが認められれば、社会復帰に向けた自信を高められるのではないかと提言。病院における社会復帰の活動として、精神保健福祉士等による相談支援体制と、それに対する診療報酬での評価などをあげた。
さらに市町村の役割については、現在利用が決定している居宅生活支援事業や、ほかの障害サービスと同様に、社会復帰施設の利用に関しても市町村が決定できる仕組みの検討を求めている。
これらの報告を受け、厚生労働省では「精神病床等に関する検討会」などの関係検討会がまとめた報告などとあわせ、8月中にも精神保健福祉対策本部で今後の方針を検討する。秋には社会保障審議会障害者部会で具体案の議論を行い、法改正が必要になる部分については、来年の通常国会に精神保健福祉法の改正案を提出する運びだ。




「生活援助」の介護予防プログラムへの位置づけを要望

〜日本生活協同組合連合など5団体が要望書

日本生活協同組合連合会は7月28日、介護保険制度見直しの中で「生活援助」の位置づけを重視し、介護予防プログラムに位置づけることなどを求める要望書を、厚生労働省の中村秀一老健局長に提出した。要望書は日本生協連ほか全国農業協同組合中央会、全国漁業協同組合連合会、日本労働者協同組合連合会、日本高齢者生活協同組合連合会の5団体によるもの。
同要望書では「生活援助」を、利用者の生活の継続性・連続性を保障し、暮らしの安心を支える重要なサービスとして位置付けることが必要との認識を示した。その上で、訪問介護員が週1〜2回高齢者宅を訪問し、コミュニケーションを図ることは、高齢者が地域から孤立することを防ぎ、社会とのつながりを持たせ、閉じこもりを防ぐことにつながると強調。「新・予防給付」に移行する際には、生活援助を重要な選択肢の一つ、あるいは生活を支える基本的なサービスとしてメニューに盛り込むことを求めている。
また、提案されている「地域包括支援センター(仮称)」創設にあたっては、協同組合も地域福祉の担い手として積極的に参加したいとした。


 


お知らせ

    「福祉関連事業の今後」をテーマにセミナー
                      株)日本アルマック

 

(株)日本アルマックは8月11日(水)、「福祉関連事業の今後」をテーマに、第8回全国リスクマネジメント研究会セミナーを開く。詳細は以下の通り。

▼日程

2004年8月11日(水)18:30〜20:30

▼会場 日本アルマック5F会議室
(東京都千代田区麹町4-5)
▼講師 (株)川原経営総合センター
福祉経営指導部コンサルタント 成田 勝氏
▼内容 社会福祉事業と介護保険事業、介護事故の実態を含めたリスクマネジメント ほか
▼参加費 一般参加(非会員)1万円(税込)、会員は無料
▼問合せ 日本アルマック全国リスクマネジメント研究会事務局
TEL:03-3288-2755
FAX:03-3288-2757
URL:http://www.almac.co.jp

 

 

 

ユニットごとの権限で"待ち"の姿勢を改善

〜先駆的福祉事例
                         

医療法人明輝会は2002年11月、鹿児島市吉野町に県下初となるユニットケア対応型の介護老人保健施設「ろうけん青空」を開設した。定員70人、5ユニットで構成される同施設では、昨年4月から、ユニットごとに月額1万円から1万5千円の予算を配分するという形で権限の移譲を行っている。各ユニットはこの中から必要な備品などを購入し、入居者が生活しやすい環境を整備。最近では、それぞれのユニットで行事を行うなど、ユニットごとに独自色が出てきたという。この取り組みを始めた経緯について、施設課長の後藤裕基氏は次のように語る。「指示がないと動けない、動かないという職員の待ちの姿勢を改善するために、各主任にも権限を与えたいと考えていた」ユニットに権限を与えてから約1年。各職員にコスト意識が生まれ、ケアの質だけでなく、組織全体のスキルアップにつながるなど職員の意識にも変化が現れてきた。

■「考える習慣」を身につけ、職員の意識改革を図る
しかし、職員の"待ち"の姿勢を改善するための取り組みは、予算を与えることだけではない。同施設で一番気をつけているのは、「初めから答えを言わない」ことだという。職員に考える習慣を身につけさせるためだ。その上で、後藤氏は「職員には常に、やりたいことがあればよく考え、(1)利用者が得をすること、(2)家族が得をすること、(3)自分たちが得をすること、(4)施設が得をすること――の順に4者が得をすることであれば、即実行して良いと伝えています」と職員の自主的な取り組みを見守り、バックアップしている。

■「安心感」求める利用者に新たな住まいを提案
また同施設においては、在宅復帰に確かな手応えを感じているが、「一人での生活が不安」などの理由から、在宅復帰が困難なケースも少なくない。そこで今年5月、同施設の近くに平屋を借り、サポートを受けながら生活を送れる「安心ハウス」を開設。後藤氏はこの住まいを「施設と在宅の中間施設」と位置づけ、安心感を備えた生活空間を提供している。利用者のニーズを的確に把握し、在宅生活の新たな形態を生み出す一方で、職員の意識改革を通じて施設の活性化を図る。現状に満足せず、常に進化し続けようとするその歩みの先に、施設経営における無限の可能性が広がっている。

MMPG提供


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