ケアマネ体制の確立など精神障害者の地域生活を支援
〜厚労省
厚生労働省は5月18日、「第8回精神障害者の地域生活支援の在り方に関する検討会」を開催、中間まとめを公表した。
同検討会では将来ビジョンとして、▼退院後等における地域生活を継続する体制づくり、▼新たな体制を支える基盤――を掲げ、議論を進めてきた。まず「退院後等における地域生活を継続する体制づくり」に関しては、身体、知的、精神の3障害それぞれの特性を踏まえつつも、3障害に共通した問題については障害の枠を超えた支援を行っていくべきとする基本的考え方を示した上で、施策として、(1)ライフステージに応じた住・生活・活動等の支援体系の再編、(2)ケアマネジメント体制の確立、(3)国・都道府県・市町村の役割分担――の3項目を提示している。
このうち「ライフステージに応じた住・生活・活動等の支援体系の再編」に関しては、精神障害者が地域で生活できるような支援体制を確立するための「住居支援」のほか、授産や福祉的就労から一般就労へと結びつけるための雇用・就業機会の確保を含めた「就労・活動支援」などを具体的施策としてあげた。また、「ケアマネジメント体制の確立」では、体制の制度化を訴えた上で、障害程度に応じた標準的なケアモデル開発の必要性を示唆。さらに、市町村や地域生活支援センター等相談機能を有する既存の社会資源を活用しつつ、地域性や専門性の高い案件等についても調整機能が発揮されるよう、重層的なものにするべきとの見解を盛り込んだ。
一方、「新たな体制を支える基盤」については、(1)評価・チェック体制、(2)新たな仕組みを支える人材の育成・確保、(3)財源配分の在り方――を検討項目に掲げ、サービス評価による質の担保や、資質の高い人材育成の方策について議論する必要があることなどを明示した。
医療と福祉の連携強化で目黒区などがモデル事業実施
〜東京都
東京都福祉局は5月13日、「平成15年度東京都介護支援専門員支援会議報告書」を公表した。ケアマネジャーの資質に関わる課題のほか、業務範囲が不明確なことや孤立しがちな立場など、9つの課題を指摘、これらを克服するための13項目の対応策を提示したほか、全国に先駆けて介護保険施設におけるケアマネジャー業務の手引きを作成したことを報告している。
手引きには、対象施設として、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設などをあげており、主な内容としては、▼施設経営者に、ケアマネジャーが機能を発揮できる環境作りを提案、▼施設のケアマネジャーに、その業務手順を解説、▼施設で役立つ法令知識を掲載――などを盛り込んだ。
同報告書を受けて、東京都では早急に必要な支援策を実施。具体的には、▼評価基準システムを活用したケアプラン評価の普及拡大、▼ケアマネジメントにおける医療と福祉の連携モデル事業――をあげた。このうち「ケアマネジメントにおける医療と福祉の連携モデル事業」に関しては、2004年度に都内3区市(目黒区、国立市、西東京市)で試験的に運用、来年度以降、都内全域での展開を目指す予定だ。医師がケアマネジャーと相談を行う時間帯(ケアマネタイム)を設定するほか、医師とケアマネジャーとの日常的な情報の共有化を促進するため、「入退院時の情報提供様式」や「在宅介護連絡ノート」を開発するなどの対応策を盛り込んでいる。
「通所看護」制度化を提案
〜厚労省・未来志向研究PJ推進委員会
厚生労働省の未来志向研究プロジェクト推進委員会(委員長=井形昭弘・名古屋学芸大学長)は5月27日、自治体や民間法人による介護・自立支援システム構築のための報告会を開いた。
このなかで日本訪問看護振興財団の佐藤美穂子氏は、医療ニーズの高い在宅療養者には通所看護が非常に有効であると指摘、訪問看護ステーションを多機能化した「通所看護」の制度化を提案した。療養者自身の在宅療養生活の質向上などにつながるほか、医療ニーズの高い人でも在宅療養を可能とするため、入院期間の短縮や社会的入院の抑制を図ることができるとしている。
■筋力トレーニングの効果を報告 〜広島県御調町
また同報告会では、広島県御調町が「介護予防に関する事業」の実施について報告した。同町では介護予防の効果的な事業開発を探る試みとして、昨年12月から軽度の介助を必要とする平均年齢80.4歳の計29人(男性7人・女性22人)を対象に、筋力トレーニングなどを実施。基礎体力の測定やウォームアップ(ストレッチや軽運動)、マシントレーニング、休憩後のクールダウン(ストレッチ)などを約3ヶ月にわたって行った。
説明にあたった同町の担当者は、「初めてマシンに接する参加者も多かったが、最終的には『手が少し上がるようになった』などの声が聞かれた」と述べ、一定の成果がみられたことを報告した。
日本作業療法学会 6月に長野市で開催
〜福祉改造車両の展示も
社団法人日本作業療法士協会は、6月24日(木)〜27日(日)、「第38回日本作業療法学会」(学会長=冨岡詔子・信州大学医学部保健学科教授)を、長野市のビッグハットにて開催する。急性期からターミナル期のQOL支援まで、近年の作業療法士が関与するリハビリテーションの広がりを反映して演題数は590題にのぼり、3,000人の参加を見込んでいる。
同学会は、市民公開プログラムを豊富に用意したのが特徴。色平哲郎氏(南相木村国保直営診療所医師)の教育講演のほか、鎌田實氏(諏訪中央病院管理者)と原田泰治氏(画家)による特別講演(対談)など、8題を無料で市民に公開する。一般(非会員)でも、参加費5,000円ですべてのプログラムに参加できる。また、同じく市民公開の「医療・福祉機器展示」には、全国から多数の企業が出展。日ごろ目に触れる機会の少ない、身体障害者自身による福祉改造車両の展示も目玉のひとつだ。
冨岡学会長は、「作業療法は、暮らしに直結した実践的な内容が多い。ケアマネジャーや現場の介護職の方々にも足を運んでほしい」と参加を呼びかけている。プログラムの詳細は、学会ホームページ(http://www.jotc38.com/)まで。
65歳以上の者がいる世帯は全体の約4割
〜2003年国民生活基礎調査
厚生労働省は5月28日、「2003年国民生活基礎調査」の結果を発表した。同調査は昨年6、7月に、世帯(4万5,126世帯)、所得(7,219世帯)の状況を調べたもの。それによると、2003年6月5日現在における世帯総数は4,580万世帯。このうち65歳以上の者のいる世帯は、1,727万3千世帯で全体の37.7%を占めていることがわかった。世帯構造別にみると、「夫婦のみの世帯」が484万5千世帯(65歳以上の者のいる世帯の28.1%)と最も多く、次いで「三世代世帯」416万9千世帯(同24.1%)、「単独世帯」341万1千世帯(同19.7%)の順となっている。
また、65歳以上の者を家族形態別にみると「子と同居」が47.8%(前々年比0.6ポイント減)、「夫婦のみの世帯」が34.3%(同0.5ポイント増)だった。さらに、単独世帯の者について性別にみると、女性が77.3%を占めたほか、年齢階級別にみると、後期高齢者(75歳以上の高齢者)が多かった。
一方、2002年1年間の1世帯あたり所得は、前年比2.1%減の平均589万3,000円で、6年連続の減少となっている。高齢者世帯は304万6,000円と昨年と変わらなかったが、所得の種類別金額の構成割合をみると、「公的年金や恩給」が所得の67.0%を占め、このうち「公的年金や恩給」のみで暮らす高齢者世帯は61.2%にのぼった。「生活意識の状況」については、高齢者世帯の47.6%が「苦しい」と回答している。
「福祉産業経営」
〜同文舘出版
渡辺孝雄・服部治・小島理市 編著
海外・国内の福祉産業の動向を捉え、わが国における福祉産業経営の現状と方向性について考察した一冊。経営戦略・社会保障・NPO、また新たな動向など多面的に解説し、対応方法を示唆した上で、規制改革の中、あらゆる産業が参入しつつある福祉産業経営の21世紀のあり方を、"効率経営"、"高生産性経営"の問題を解説しながら提示している。
経営理念を明確にし、良質なサービスを保証することで利用者満足度及び付加価値生産性が向上すれば、職員のモラルは高揚し、組織は活性化する。ひいてはそれが、ケアチームの技能水準・能力開発を推し進める。さらに、生産性を向上させる第一歩は、目標管理や成果配分などの「働く環境の改善」にあると指摘している。A5判256頁。価格は2,625円(税込)。
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同文舘出版
TEL:03-3294-1803
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フットケアなど介護保険外サービスで、憩いのひとときを提供
〜先駆的福祉経営事例
神奈川県の社会福祉法人伸こう福祉会特別養護老人ホーム「クロスハート栄・横浜」ではリフレクソロジストを雇用、介護保険外のサービスとして利用者にフットケアの提供を行っている。リフレクソロジーとは、足裏の反射区(各器官や内臓につながる神経が集中しているゾーン)をくまなく刺激することで体調を整える健康法のこと。老化に伴う足のトラブルが多発する中、身体的な効果だけでなく、利用者に精神的な癒しを与える場としても好評を博している。
■体調確認のほか、タッチセラピーの効果も期待
フットケアの利用者数は、現在1日当たり7〜8人。クラシック音楽が流れる個室空間でマッサージが行われる。同施設のリフレクソロジストはマッサージの際、あえて手袋はしない。足に直に触れることで、利用者の体調が確認できるとともに、タッチセラピーの一貫になると考えているからだ。1人当たり最低30分は時間をかけるが、反射区を刺激される気持ちの良さに眠ってしまう人もいれば、日常の悩みを打ち明ける人もいるという。また、毎回のサービス内容は個人別カルテに書き込んでおり、スタッフが介護状況を記録したり、利用者家族がメッセージを記す「ケアノート」の一部として共有化されている。まさに心身ともに癒してくれる憩いの場として確立された形だ。
■サービス業として最高の環境を整える
フットケアのほかにも、音楽レクリエーション専任のスタッフなど介護職以外のスタッフが充実している同施設では、こうした介護保険外のサービスについて、利用者1人につき700円を徴収している。これには同業者の間で賛否両論があるが、施設長の片山聖子氏は「施設側で利用者の活動を支える最高の環境を準備したかった。サービスの品質を維持するためのコストなので、利用者のご家族からも賛同されている」と説明する。サービス業としての介護施設――。これが一般企業勤務を経て介護業界に飛び込んだ片山氏が常に掲げてきた理念だ。従来の介護サービスの質向上が当然とされる現在、他施設との差別化を図るには、こうした保険外サービスのニーズをつかむこともひとつの方策といえるのかもしれない。
MMPG提供

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