新たなサービス体系と負担見直しを提案
〜厚労省・介護保険部会
厚生労働省は24日、社会保障審議会介護保険部会に、介護保険の制度改正に関する「これまでの議論の整理(案)」を示した。同案は、高齢化がピークとなる2025年を見据えた制度とすることを基本的な視点とした上で、「給付」、「負担」、「制度運営」――のそれぞれのあり方についてとりまとめたもの。
このうち「給付」のあり方については、高齢化の進展、痴呆性高齢者や独居世帯の増加をふまえ、これらを従来の介護モデル、身体ケアモデル、家族同居モデルに組み合わせた上で、(1)給付の重点化・効率化、(2)新たなサービス体系の確立、(3)サービスの質の確保・向上、(4)公正・効率的な要介護認定――の4点を柱に見直しを行っていくとした。このうち「給付の重点化・効率化」では、要支援・軽度の要介護者への給付について、「現行の内容を見直し、新たな予防給付へ再編していくことが重要ではないか」として、予防給付の新たな枠組みの構築を行うとの方針を示した。また、「新たなサービス体系の確立」では、サービス利用が在宅よりも施設に偏重していることをふまえ、重度者に力点を置いた在宅ケア体制の確立を図るとともに、施設入所に関しては「対象者の重点化を図ることが必要ではないか」との見解を示している。さらに痴呆ケアにおいても新たなサービス体系を設けることとし、早期発見・診断、相談体制整備や、主治医の役割も含めた総合的な支援体制整備の必要性をあげた。
一方、「負担」のあり方については、利用者負担について、在宅と施設の負担の公平性を念頭に見直しを図ることを盛り込んだ。具体的には、施設におけるホテルコストや食事負担の見直しをあげている。
さらに「制度運営」のあり方では、保険者について、その機能を強化する意見が出ており、市町村長に対する事業所への立ち入り権限の付与、事業所の指定・指導監督、指定拒否権限の付与――をあげた。
「国民の保険料負担には限界がある」
〜坂口厚労相
坂口力厚生労働大臣は24日開かれた参議院厚生労働委員会で、介護保険制度における第2号被保険者の対象年齢引き下げといった被保険者の対象拡大について、「高齢者を含め国民の保険料負担には限界があり、すでにその限界に近づきつつある」との認識を示した上で、今回の介護保険制度見直しの中で、障害者施策との統合の含め、「結論」を出したいとの意向を明らかにした。
また、医療、年金、介護のそれぞれの負担については、「職域の連帯としてお願いする部分と、幅広く国民に負担をお願いする部分とで、問題を峻別しながら考えることが必要だ」との考えを改めて示している。
2006年度までの規制改革計画を閣議決定
〜政府・「規制改革・民間開放推進3か年計画」
政府は19日、2004年度から2006年度までの3か年にわたる「規制改革・民間開放推進3か年計画」を閣議決定した。同計画は、昨年12月に総合規制改革会議が策定した「規制改革の推進に関する第3次答申」に示された具体的施策を中心に構成されている。福祉・保育関係の重点計画事項としては、「幼稚園・保育所の一元化」や「株式会社等による特別養護老人ホーム経営の解禁」などをあげた。
このうち「幼稚園・保育所の一元化」については、就学前の教育・保育を一体として捉えた総合施設の設置について、2004年度中に基本的な考え方をとりまとめた上で、2005年度に試行事業を実施、2006年度から本格実施を行うとした。また、「株式会社等による特養経営の解禁」については、構造改革特区における状況や施設体系の見直し状況を見ながら検討を進め、問題がないと判断されたものについては、速やかに全国規模での規制改革につなげるとした。
計画では、このほかに介護関連の措置事項として、「痴呆性高齢者に対する介護」、「在宅サービスと施設サービスとの間の負担の均衡」、「利用者保護のための監視体制の構築」、「PFI法を活用した公設民営方式の推進」、「介護事業者の情報公開、利用者や第三者による評価の推進等」、「保険者による介護保険施設定数の調整」、「有料老人ホームにおける一時金の保全措置に関する取組み」、「高齢者介護の新しい仕組みのあり方」――などをあげている。
そのほか社会福祉法人に関する見直し案も提示、「社会福祉法人のあり方の見直し」、「社会福祉法人に関するインターネット上の情報公開の促進」、「社会福祉協議会の役割の見直し」――などをあげている。このうち「社会福祉法人のあり方の見直し」では、依然として制約が大きい余剰金の使途について、社会福祉法人と公益事業との資金移動や、同一の法人が経営する複数施設・事業間での運営費の繰入れなどについて早急に検討するとしている。
また、保育に関する措置事項としては、「保育サービスに関する情報の一体的提供の推進」、「保育所等に関する情報公開、第三者評価の推進」、さらに障害者施策に関しては「障害者福祉制度の改革」――などを明示した。
■総合規制改革会議の後継組織設置も了承
また同日の閣議では、総合規制改革会議の後継組織として、民間人で構成する「規制改革・民間開放推進会議」を設置することも了承した。関係閣僚で組織する「規制改革・民間開放推進本部(仮)」と連携して、規制改革を着実に推進していく方針だ。
介護含む生活福祉関連特区は37件に
〜第4回・構造改革特区認定
第4回構造改革特区に対する認定式が24日行われた。同日の発表では、申請のあった計画102件(うち新規申請95件)のうち認定されたのは95件(うち新規認定88件)。このうち生活福祉関連特区として7件、幼保連携・一体化推進関連特区として13件が認定された。これによってこれまでに認定された特区は324件で、うち生活福祉関連と幼保連携等はともに37件となった。
今回新たに生活福祉関連特区として認定された中には、北海道仁木町の「児童福祉施設調理特区」がある。これは児童養護施設の給食を民間調理業者に委託することで、給食の質を一層向上させるとともに、節減された経費によって非常勤職員を雇用するなど福祉職員の質・量を充実させ、サービスのさらなる向上を図るというもの。同町の試算によると、この計画によって、給食関係の人件費や食材費など、年間360万円が縮減できるという。
このほか、北海道小樽市や東京都葛飾区による、肢体不自由児施設等における調理業務の外部委託に関する特区、福井県、兵庫県香住町、島根県五箇村、長崎県長崎市の指定介護事業所等における障害児等のデイサービス実施などが認定された。
ホームヘルプサービス国庫補助金に係る緊急要求を提出
〜東京都
東京都福祉局はこのほど、厚生労働省社会・援護局に対し、2003年度ホームヘルプサービス国庫補助金予定額に係る緊急要求を提出した。厚労省が23日に全国の自治体に示した2003年度ホームヘルプサービス国庫補助金の予定額は、実際のサービス提供実績に基づく所要額より約12億円の不足になると指摘、その見直しを要求している。
【緊急要求の趣旨】
- 厚生労働省は、昨年3月に示した国庫補助基準に基づいて交付予定額を示しているが、この基準は国庫補助金の上限を定めたものであり、基準を超えて提供したサービスまで反映されていない。
- 国は、身体障害者福祉法に基づいて事業費の2分の1を補助することになっているにも係らず、必要な補助金を交付しないと地方自治体がその分の負担を負うことになる。
- 支援費の財源が保証されなければ、市区町村が決定するサービス量の抑制にもつながりかねない
【東京都の状況】(参考)
| ○サービス提供実績に基づく所要額 |
81億円 |
| ○今回の交付予定額 |
69億円 |
| ○不足額 |
12億円 |
|
|
「訪問介護事業者のための感染症ハンドブック」
〜中央法規出版
中央法規出版ではこのほど、介護現場のための感染症に関する書籍を発刊した。「感染とは一体何か」「どういった場合が危険で、どういう配慮が必要なのか」など、現場の悩みに答えるべく生の声を集約し、「Q&A方式」に整理した一冊。価格は2,100円(税込)。
| ▼内容 |
(1)総論
(2)Q&A
「基本的な疑問」「訪問入浴」「消毒」
「個々の疾患」「環境衛生」
「事業所としての対応」
|
| ▼著者 |
鈴木幹三氏(監修・編集)
|
| ▼申込 |
中央法規出版
TEL:0120-778791 FAX:03-3379-3820
URL http://www.chuohoki.co.jp
|
|
企業出身リーダー雇用で、新たな視点からサービスを向上
〜先駆的福祉経営事例
措置制度から介護保険制度への移行に伴い、介護福祉施設にも経営力が問われる中、民間企業出身の人材を雇用し、成功している事例がある。
愛知県稲沢市の社会福祉法人薫風会「第二大和の里」の施設長代理で、ケアハウスの施設長を兼務する吉峰敏行氏は4年前、大手電機メーカーを定年退職し、心機一転、福祉の世界に飛び込んだ。きっかけは、企業時代の顔見知りで同じく退職後に介護事業をはじめた佐藤和夫氏(現同法人理事長)から声をかけられたこと。「定年後、関連会社に出向してもできる仕事は限られる。これからは高齢者の時代」と決断した吉峰氏は、現場で役立つようにと59歳で車の免許を取得、退職から5ヵ月後、第二の人生の舞台として同施設を選んだ。その後、通信教育で施設長の資格を取得、現在のポストに至る。
■職員満足度向上で人材流出防止、良質なサービスを提供
当初はとまどいもあったという吉峰氏だが、入職後すぐに介護保険制度が施行され、競争社会を生き抜いてきた彼の本領が発揮されるところとなった。「従来の措置制度と違い、今後は『経営・契約』が必要。安定した経営がなければ質の高いサービスを提供できない」と語る吉峰氏は、彼独自の視点から様々な改善を行った。例えば、多施設よりも廊下を広くし、各居室前にトイレを設置するなど従来ではあまり見られない設備を整備。こうすることで車イス同士が容易にすれ違えたり、利用者が自分で排泄を行うようになったという。しかしこれらの発想には、吉峰氏だけでなくスタッフの意見も多く反映されている。「重要なのは施設内でのコミュニケーション。事業者はCS(顧客満足)に注力しがちだが、本当に重要なのはES(職員満足)。楽しみながら仕事をするスタッフを擁している施設こそ、利用者に選ばれる施設であり、そこには必ずCSがついてくる」と語る。こうした考えのもう一方には「人材流出の防止」という狙いもあり、給料はもちろんのこと、常にやりがいを与えられる職場づくりを目指しているという。そうした姿勢が、スタッフが利用者を、上司が現場スタッフを理解する風土となり、結果としてサービス向上につながっていく。
競争が激化する福祉の世界において、民間企業で培った視点を持つ企業戦士の雇用を視野に入れることも、一つの策といえるのではないだろうか。
MMPG提供

|