第三者評価の本格導入などが論点に
〜厚労省
厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会は2月23日、介護保険におけるサービスの質と要介護認定について包括的な審議を行った。委員からは、第三者評価の本格導入・特養施設長の要件強化を求める声や、要介護認定の代行申請を問題視する意見が上がった。
厚労省老健局はサービスの質について、ケアマネジメント、第三者評価・権利擁護、人材育成、事業者指導・監査等――の4分野について論点を提示。このうちケアマネジメントに関しては、ケアマネジャーの4人に1人は50人以上の利用者を受け持っている実態を踏まえ、ケアマネジャー1人あたりの担当件数を30人に減らして余裕を持たせるべきと指摘した。軽度のケアプランについては、いわゆる単品プランが多いことや、さらには要介護度が悪化傾向にあることを問題視している。また第三者評価・権利擁護の論点としては、グループホームのみに義務付けられている第三者評価について、それ以外のサービスに対しても導入する必要性を指摘したほか、高齢者への虐待が顕在化していることから権利擁護の強化を訴えた。さらに人材育成に関しては、介護職員の教育や研修の体系化、技術向上の仕組みの導入、従業者としての資格の要件化を進めるべきとの意見が出たほか、痴呆ケアの専門資格化を図る必要性や、特養などの施設長に対する研修の充実・強化が論点としてあがっている。事業者指導・監督については、劣悪なサービスの排除、不正行為に対する抑止力の強化、保険者による指導・監督の強化を求める意見が出た。
同部会では、次回3月9日に負担の在り方、保険料や財政調整について審議、同24日からはこれまでの議論整理に入る。4月には障害者部会の議論がまとまることから、これと併せて被保険者の範囲を議論し、6月までに方向性を取りまとめる予定だ。
2002年度介護保険事業報告を公表
〜厚労省
厚生労働省は2月25日、2002年度の介護保険事業状況報告(年報)をまとめ、公表した。事業報告の対象は、2002年3月から2003年2月のサービス分。それによると、2003年3月末時点での第1号被保険者数は1年前より3.3%(77万人)増の2,393万人だった。要介護認定者も前年より15.5%(46万人)増の345万人に膨れ上がっている。また、第1号被保険者に占める要介護認定者の割合は13.9%(対前年度比1.5%増)で、都道府県別には、鹿児島県(17.9%)、徳島県(17.6%)など九州・四国地方が高く、一方、茨城県(10.3%)、埼玉県(10.7%)など関東地方が低かった。
介護給付の支給額は、対前年度比13.2%(5,376億円)増の4兆6,261億円。第1号被保険者1人あたりの支給額も19万3,000円と前年度から9.7%(1万7,000円)増えた。最高の沖縄県(29万円)と最低の埼玉県(14万6,000円)では、約2倍の地域格差がみられる。
また、居宅介護(支援)サービス受給者数は2002年度累計で総数2,208万人。うち第1号被保険者数は2,127万人、第2号被保険者数は81万人となっている。1ヶ月あたり平均でみると184万人で、前年度に比べ32万人増だった。
一方、施設介護サービス受給者数は、総数840万人。1ヶ月あたり平均は70万人(前年度比4.4万人増)で、内訳が、介護老人福祉施設32万人(同1.7万人増)、介護老人保健施設25万人(同1.1万人増)、介護療養型医療施設13万人(同1.6万人増)となっている。
福祉用具、住宅改修の適正利用に情報検索システムを稼動
〜厚労省
厚生労働省は、利用者個々の身体状況に合った福祉用具の適正利用や、福祉用具や住宅改修の選択などに関する情報提供を進めるため、インターネット上で情報検索できるシステムを4月から稼動させる。福祉用具・住宅改修に関する様々な利用事例を基にデータベース化されており、介護支援専門員や利用者が、要介護度や福祉用具の寸法、機能等の条件を指定して入力するだけで、商品の検索や検索した商品の利用事例を確認することができる。
情報検索システムは、▼福祉用具の寸法・機能の指定による「商品検索機能」、▼福祉用具の各種寸法や機能に関する「解説表示機能」、▼利用者の身体状況等に関する情報を入力することによる「福祉用具・住宅改修利用事例検索機能」――を持つ。このうち「商品検索機能」では、例えば自走用標準型車いすの場合、シート幅・シート奥行き・前座高・後座高等の寸法、リクライニング機能の有無等を指定すると該当商品が表示される仕組み。また「事例検索機能」では、利用者の性別、要介護度、要介護認定調査項目の状況などを指定して利用事例を検索することや、特定の商品を指定した検索も可能だ。写真表示のほか、事例で活用されている福祉用具の各種寸法・機能などの情報も表示される。また、車いすや特殊寝台の選定マニュアルも備えられ、介護支援専門員等が適切な福祉用具・住宅改修を選定できるようになっている。
介護保険施行後、福祉用具・住宅改修に関しては、介護支援専門員の知識不足や、軽度要介護者の安易なサービス利用が自立支援の妨げとなっていることが指摘されているほか、サービスの浸透に伴う悪質事業者の急増なども問題としてあげられている。厚労省は、システムの活用を図ることで、利用者への適正なサービス提供、情報提供につなげることはもちろん、サービス全体の質向上や介護給付の適正化も図りたい考えだ。
情報検索システムの閲覧は、下記の財団法人テクノエイド協会のホームページ(http://www.techno-aids.or.jp/)まで。
「身体拘束のない介護をめざして」
〜東京都福祉局
東京都では、利用者本位の新しい福祉の実現に向けて、身体拘束廃止に取り組む各施設・事業所への様々な支援策を「身体拘束ゼロ運動」として展開しており、このほど、2002年6月に発行した小冊子「身体拘束廃止に向けての実践事例」の続編として、「身体拘束のない介護をめざして」を発行した。施設・事業所における体制づくり、身体拘束廃止のためのケアの工夫や、身体拘束廃止の実践事例を掲載しているほか、2002年度東京都身体拘束廃止推進員研修に参加した施設・事業所から寄せられた事例を中心に、研修における講義や、先進的な取組を行っている施設等から寄せられた意見等を内容として作成している。
入手方法、問い合せ等については、下記の東京都福祉局まで。同局のホームページからも内容をダウンロードできる。
利用数は増加も収支は悪化
〜日看協の訪問看護ST実態調査
日本看護協会はこのほど、「2003年訪問看護ステーション及び併設居宅介護支援事業所に関する実態調査」を実施、その結果を公表した。同調査は、2003年10月、会員が勤務する全国の訪問看護ステーション2,003ヶ所と併設する居宅介護支援事業所に対して実施し、926ヶ所から回答を得た(回収率46.2%)。
それによると、訪問看護ステーションの2003年9月1ヶ月間の平均利用者は、介護保険で51.3人・延べ人数270.9件(前年同月比10.1%増・10.6%増)で、全体では62.2人・350.4件(同8.3%増・12.3%増)と利用者自体は増加していた。しかし一方で、9月1ヶ月間の1ステーションあたりの平均総収入は318万4,978円で、前年を5万7,257円下回っている上、収支状況を尋ねたところ、「減収した」とするステーションの割合が57.0%(256施設中146施設)にものぼっていることが明らかになった。2003年4月の介護報酬改定では、「緊急時訪問看護加算」が「1,370単位/月」から「540単位/月」(訪問看護ステーションの場合)へと半減していることから、これらの影響が経営に色濃く表れた結果といえる。
また、1ステーションあたりの平均所定労働時間は38.7時間/週、平均超過勤務時間は14.3時間/週だった。「99年病院看護基礎調査」では、平均所定労働時間が39.2時間/週、超過勤務時間が6.8時間/週となっており、所定労働時間では病棟看護職員と同程度であったものの、超過勤務時間は2倍以上となった。一方、離職率は18.9%で、病院看護職員の11.6%(2002年病院看護職員の需給状況調査)と診療所看護職員の14.6%(2003年診療所看護職員の需給状況調査)を大きく上回っている。
そのほか、利用者の状態について、要介護度別の利用者の平均は、要介護5が最も多く27.1%、次いで要介護1(19.2%)、要介護4(17.9%)だった。また、医療処置を必要とする利用者については、8〜9割のステーションで「いる」と回答。「酸素療法(気管切開)の管理」や「人工呼吸器装着の管理」など高度な処置を必要とする利用者の割合も高いことがわかっている。
■居宅介護支援事業所でも収支は減少
一方、居宅介護支援事業所の2002年9月と2003年9月の月平均収支の差を比較すると、前年度よりも減少57ヶ所(28.6%)、増加142ヶ所(71.4%)となり、全体平均では25,529円の減少、介護報酬改定がプラスであったにもかかわらず利益減となっていることがわかった。
既存型から新型への建替で生じる不安と問題点
〜先駆的福祉経営事例
東京都青梅市にある社会福祉法人聖明福祉協会は、特別養護老人ホーム「富士見荘」、特別養護盲老人ホーム「寿荘」、盲養護老人ホーム「曙荘」の3施設を運営している。現在、同法人では、建物の老朽化に伴って「富士見荘」と「寿荘」の2施設を合築、全室個室ユニットケアに建て替えることを検討しているが、その一方では大きな問題点と不安をかかえている。
■既に入居している利用者からのホテルコスト徴収は困難
同法人理事長の本間昭雄氏は、「入居者の多くは個室を希望すると思うが、ホテルコストを払えない人が少なくないのも事実」と語る。現在「富士見荘」入居者の平均年齢は83歳で、100歳以上の入居者も4人いる。仮に要介護3で月額5万円の利用費を払っているとすると、新型特養ではホテルコストとあわせて約2倍の費用を負担しなければならなくなる。「新規の入居募集であれば事前説明できるが、すでに入居している利用者からの徴収は難しい。『払えないなら出て行ってください』というわけにはいかない」と本間氏は苦悩を語る。
■全室個室化に偏らず、利用者に合った施設形態を探る
本間氏が危惧しているのはこれだけではない。個室化にすることで入居者の生活環境が向上することは間違いないが、問題なのは入居者全員が個室を希望しているわけではないという点だ。「『個室は寂しいから嫌だ』という声も実は多い」と本間氏は語る。さらに、以前、別の施設を全室個室に改装したところ、自室に閉じこもってしまう入居者が増加したというケースもみられた。「個室で気兼ねなく過ごすことは利用者本位のケアという面では非常に良いことだが、その一方で、人と人との触れ合いが減ることにより痴呆が進む恐れもある」と本間氏は説明する。そこで、個室のほかに2人部屋も用意し、利用者が選択できるような形態での建て替えも検討中だ。
現在、「富士見荘」入居者の平均要介護度は3.7。今後さらに高まることも予想され、個室化による職員のケアの質なども課題となる。安易に、建て替えるから個室にするという考えでは成り立たない現場の状況が浮き彫りになった形だ。それぞれの利用者にあった最良の形態を模索し、その実現を図ること、それが今後の介護サービス施設における重要課題といえるのではないだろうか。
MMPG提供

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