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月刊福祉経営情報



2003年12月号

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介護保険の利用者負担率引き上げや、保険者機能強化等を提案

〜財務省・財政制度等審議会

財務省の財政制度等審議会は11月26日、「2004年度予算の編成等に関する建議」をまとめ、谷垣禎一財務相に提出した。建議では、急速な少子高齢化の進展で社会保障給付と負担の伸びが著しく、2025年には国民負担率が60%を超える見込みであると指摘。このままでは国民の将来不安を起こし、我が国の経済社会に重大な影響を及ぼしかねないと懸念を示した。特に、給付の伸びは高齢者において著しく、これを支える現役・将来世代の負担が過重になっており、給付と負担をめぐる世代間の不公平は社会保障制度への不信につながるとした上で、高齢者の給付と負担の在り方を見直す必要性を訴えた。
このうち介護については、2025年までに給付費が現行の4倍(現5兆円→20兆円)に増加する見込みであることを提示。現行制度の存続は持続困難であることを踏まえ、今後の改革の方向性として、給付の増大を抑制し、国民経済・財政と均衡のとれたものとするため、個々のニーズに応えつつも公的保険としての限られた資源を効率的に使うよう提案した。具体的には、▼医療保険よりも負担率が低い介護保険の利用者自己負担率を2〜3割に引き上げること、▼施設におけるホテルコスト、食費等を公的保険の給付対象から除外するほか、一定額までの保険免責制度を導入すること、▼低所得者範囲について、年金収入や資産を考慮していない住民税のみの判断基準を見直し、負担軽減措置対象者を限定すること、▼保険者機能を強化するとともに、保険者責任を徹底すること――などをあげた。
その上で、介護保険事業計画の策定時においては、公的保険の給付対象について、全国的に標準的な給付量あるいは給付の伸び率を設定する総額管理、又は伸び率管理方式を導入するべきとも提案している。

介護保険事務費交付金305億円など削減可能

〜厚労省

小泉首相の2004年度予算での補助金1兆円削減方針を受け、2,500億円程度の削減目標額を示されていた厚生労働省は11月28日、所管する国庫補助金のうち2004年度は介護保険事務費交付金や生活保護費負担金など約2,455億円の削減を可能とする回答をまとめ、内閣府、財務省等に提出した。
これによると、2004年度予算で一般財源化が可能とされたのは、介護保険事務費交付金約305億円、生活保護費負担金約1,681億円、児童扶養手当給付費負担金約284億円など2,455億2,500万円。
一方、これに先立つ11月25日、坂口力厚生労働相は閣議後の記者会見において、国と地方の税財政の三位一体改革に関係した厚生労働省補助金の削減について意見を述べている。このうち介護保険事務費交付金の一般財源化については、都道府県知事会、全国市長会など地方自治体からの反対の声が大きいとし、「決着することは困難」との認識を示していた。その上で、「(介護保険事務費交付金の一般財源化には)法律改正を伴うものもある。しかし来年は年金改革や参議院の選挙も控えているため、国会審議は非常に難しい。したがって次の介護保険制度見直しと一体にして考えてはどうか」と提案。「もし来年からということであれば、一括して改正できる法律を作ってもらわなければ進まない」との見解を示していた。
28日の削減案提出において厚労省は、「あくまでも事務的な回答。税源移譲と財政措置が前提」として、一般財源化だけが先行しないよう強く申し入れたと説明している。

■全国知事会等は削減案を批判

一方、全国知事会(会長・梶原拓岐阜県知事)と全国市長会(会長・山出保金沢市長)は同日、厚労省の補助率引き下げ方針について、「住民生活に悪影響を及ぼすものであり、到底受け入れられない」とする緊急意見を発表した。保険者側である全国知事会等は、11月20日の社会保障審議会介護保険部会で、市町村別という狭い地域ごとに設定した保険料では「近隣住民の不公平感につながる」と指摘、保険者の広域化を要望していた。その上で、調整交付金の仕組みについて「他の地域のために保険料が高くなっている地域があることを認識するべき」と訴えていた(175号で既報)。

 

障害者ケアマネジメントの制度化等求める

〜厚労省検討会で全国市長会など

全国市長会らは、11月26日に開かれた厚生労働省の「障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会」において意見書を提出した。意見書は、▼支援費制度に係る国庫補助金、▼サービス基盤の整備、▼サービス利用に係る仕組みの整備等――の3つについて整理したもの。このうち、国庫補助金については、従来の措置制度と異なり支援費制度の下では市町村が支給量をコントロールできないことから、国庫補助が全国単純平均で制限されている現状で適正に機能しているのか問題視した。さらに、必要なサービスを提供するためには、国が当該財源の2分の1を確実に補助することが必須であると訴えた。
ケアマネジメントについては、専門性を有する分野であることからその制度化が必要とし、支給における透明性と公平性を図るため、支給決定についての「ガイドライン」を策定するよう国に提案している。

■施設入所者も地域支援サービス利用を可能に

同日の検討会で、太田修平政策委員長(日本障害者協議会理事)は、施設に入所している障害者も地域支援サービスを使えるようにすべきと提案した。施設本体から受ける介護量を自己選択に基づいて徐々に減らし、地域生活支援からのサービスを受けられるようにすることで、施設から地域中心の生活への移行につながると説明した。

 

 


新刊

「支援費制度」サービス利用と事業運営の実務
              〜全社協

全国社会福祉協議会が障害者福祉分野の支援費制度について、基本的仕組みと運用の実際を体系的に解説した書籍を発刊。詳細な最新通知を盛り込み、利用者本位の視点で編集している。B5判266ページ。

▼内容 第1部「社会福祉基礎構造改革と支援費制度」
第2部「支援費制度を利用する」
第3部「事業者・施設による事業経営と支援費制度」
▼価格 1,680円(税込)
▼問合せ 全社協出版部
〒100-8980
東京都千代田区霞が関3-3-2
新霞が関ビル
TEL:03-3581-9511
URL http://www.fukushinohon.gr.jp/

 

福祉サービス第三者評価制度への意見・提案を募集

〜東京都

東京都では、半年前から全国に先駆け実施している独自の「福祉サービス第三者評価制度」について、このほど、既に評価を実施または今後実施する予定の事業者及び利用者から意見・提案を募集することになった。利用者のサービス選択及び事業の透明性を確保するための情報提供や、事業者サービスの質向上を図ることがねらいで、あくまでも「利用者本位の福祉の実現」を目指すものであり、事業者を順位付け・格付けをするものではないとしている。
評価方法は、利用者調査と事業者評価の2つの手法を用いて総合的な評価を実施。事業評価では、「組織の経営やマネジメント」と「サービスの内容や質」を問う。事業所の自己評価結果と利用者調査結果を評価機関が事前に分析し、訪問調査を行うという手順だ。評価項目は、福祉サービスとして重要な項目や共通の尺度となる項目を設定している。詳細は、東京都福祉局総務部福祉改革推進課(TEL03-5320-4008)まで。

 


お知らせ

第20回 全国社会就労センター長研修会
              〜全社協・セルプ協

全国社会福祉協議会と全国社会就労センター協議会(セルプ協)はこのほど、社会就労センター(授産施設)の機能と役割について、センター長による共通の認識を醸成するための議論の場として研修会を開催する。今後の社会就労センターの経営及び在り方を検討するとともに、具体的な手法についても協議を行う。定員は400名。

▼日時 2004年2月26日(木)10:00〜17:30(18:30から懇親会)
2004年2月27日(金) 9:00〜15:10
▼会場 ホテルグランコート名古屋
(愛知県名古屋市中区 TEL:052-683-4111)
▼参加費 社協及びセルプ協会員:18,000円
非会員:45,000円
▼内容 26日:
  「支援費制度と社会就労センター」
    (厚労省社会・援護局障害保健福祉部)
 「21世紀に求められる社会就労センターの活動」
    (齋藤公生氏:セルプ協会長)
 「障害児者施設の今後の施設体系を考える」
   (加藤正仁氏:日本知的障害者福祉協会会長)ほか

27日:
  施設種別部会
    (1)生保・社会事業
    (2)身体障害者
    (3)知的障害者
    (4)精神障害者、
    (5)福祉工場 ほか
▼申込 申込用紙に必要事項を記入の上、株式会社JTB団体旅行新宿支店まで。
TEL:03-3346-0161 
FAX:03-3346-2921
(2004年1月16日締切)
▼問合せ 全社協内 セルプ協
TEL:03-3581-6502
FAX:03-3581-2428

 

施設内にサロンを設置、地域との絆を深める

〜先駆的福祉経営事例

社会福祉法人ルストホフ志木は、埼玉県志木市にある介護老人福祉施設「ブロン」・ケアハウス「リヒト」の複合型施設内において、今年7月からサロン「風車」をオープンさせた。現在では入所者がおしゃべりを楽しむくつろぎの場として定着、毎日20〜30人の入所者が訪れる。飲み物だけでなく、市内の障害者施設で作ってもらっているお菓子などが、すべて100円で提供されている。
以前から入居者と地域とのコミュニケーションの重要性を考えていた同施設長の寺内弘子氏は、空いているスペースを何か有効に活用できないかと考えていたという。その考えに賛同したのがサロン運営責任者の塩野谷高司氏。「以前、接客業をしていた経験から喫茶店にすることを思いつきました」と話す。「我々が考えている以上に、高齢者にとって自分の財布で買い物ができる楽しみは大きいようです。土・日に訪れるご家族も増えました」と寺内氏は語る。

■ボランティアはなくてはならない施設の要

「風車」の運営はボランティアに任せている。そのボランティアと同施設との橋渡しをしているのが「ボランティア活動対策推進部」だ。外部との接点の少ない入所者にとって、ボランティアとの交流は地域の人と触れ合える数少ない場。それだけに、ボランティアへの待遇には気を配る。「我々のような限られた職員数の事業者はボランティアさんなしでは維持できない部分があります。そこで少しでもボランティアさんに気持ちよく働いてもらえるよう、ロッカーやシャワー室のある専用の休憩所を用意しました」と寺内氏。その思いが届いたのか、昨年度の同法人での活動ボランティア数は3,038人に達した。

■利用者の笑顔と地域貢献を重んじる

サロンを始めてから入所者と地域との間には着実に新たな関係が育ち始めている。寺内氏は「施設は高齢者の生活の場。介護を必要とする高齢者が自立に向けて『施設イコール家庭』と感じられるよう、職員がいかに『当たり前のことを当たり前にケアできるか』が重要です。金銭的に潤うことより、入所者や地域の人の心を潤したい」と抱負を語る。利用者と地域の笑顔を一番に考え、地域との絆を深める同法人。その姿勢は、結果的に安定的・効率的な施設経営への近道になるはずだ。

 

MMPG提供


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