歯科医院の増収対策の傾向
はじめに
昨今、デフレ傾向が非常に顕著になってきており、スーパーマーケットの販売価額が、対前年比で、2%減といった記事が新聞の経済面によく掲載されています。このように消費意欲が全般的に減退している傾向の中で、健康保険法の改正が行われ、老人の一部負担金アップの影響も大きく、各歯科医院とも収入状況は思わしくありません。
ただし、厳しい逆風の下でも、順調に収入を伸ばしている診療所もかなりありまして、当事務所のお客様をみても、6000万円以上の診療報酬をあげている診療所が、全体の2割あります。逆に開業後丸3年経過しても、年間診療報酬が3000万円に満たないところも1割あります。今回は盛業中の診療所で行われている増収増患対策について、類型化しながら、その特色についてコメントをしました。
増収対策の類型
増収対策をうって出ていく分野としては
[1] 自費比率をアップし効率を追求していく
[2] 予防目的でくる患者のウェイトを高め、患者の固定化を図る
[3] 女性をターゲットに、審美性を強く打ち出した治療に特化する
[4] 在宅訪問診療部門を強化する
上記の[1] 〜[4] の分野がよく検討されています。
また出ていく分野の区分にかかわらず、採用されている対策としては、
[5] ドクターやスタッフの患者さんに対する親切、丁寧な接遇の強化
[6] 減菌、消毒、デスポ用品の使用などの「清潔」のアピール
[7] 口腔内カメラなどのツールを利用したビジュアルを取り入れた説明
[8] 「痛み」をできるかぎり和らげる
[9] IT社会に対応して、電子カルテ、インターネットによる広報、自動予約システム
[5] 〜[9] の対策をとられている医院が多いのではないでしょうか。
上記のうち、今回は、自費比率アップと予防の強化についてふれてみたいと思います。
自費比率アップについて
保険収入がジリ貧傾向にある中で、自費だけ伸ばすといったことは、かなり難しいことかもしれません。しかし、例えば、保険のデンチャーを1ヶ月に30床扱っている場合に、その1割でも、金属床に転化できると、年間収益は、相当な改善が見込めます。しかし、その為には、治療技術の水準確保はいうまでもありませんが、自費の技工物を見せたり、実際に触らせたり、パンフレット、値段表、患者さんとの標準的な応酬話法の習得などの経営努力が必要となります。このような自費収入を確保するための環境をつくるのに、自費技工の大手業者を診療所に呼び、研修を受け、ツール類の充実を図って、相当の成果をあげている診療所がかなりあります。研修費用等は無償ときいていますので、興味のある先生は、利用されるとよいでしょう。
また、保険収入が、年間5000万円をわずかに上回るような医院の場合、保険治療を抑制し、その分を自費に振り向けると、保険収入の医師特別措置法の活用により、診療効率アップのメリットと、税制メリットをダブルで享受できることがあります。
予防患者の確保について
急速な高齢化が進むなかで、生活習慣病を予防し積極的に健康づくりを推進するため、厚生労働省を中心に、「健康日本21」という国家的事業がすすめられています。歯科の分野においての具体的な目標値は、8020は20%以上、6024で50%以上、歯石除去など定期メンテナンスを受けている者の割合30%以上、3才児カリエスフリー80%以上というように設定されています。上記目標は現状に比して、例えば検診受診率は倍以上の数値となるので、単なる啓蒙活動による達成は難しく、予防への保険の導入による経済的なインセンティブが必要になるのではないでしょうか。予防の充実は、地域によっては難しい場合もあるでしょうが、きちんとしたリコールシステム、患者教育の徹底、衛生士の活用、広報の強化活動が必要となります。実際に来院患者のうち、予防で来る人の割合が、5割を超えている医院もでてきています。このように予防を伸ばしていく為の、理念・ノウハウを習得するには、日本ヘルスケア歯科協会のような、従来の修復・補綴に重きをおいた歯科医療から、歯列を守り育てていく歯科医療への転換を目指す団体に加入するのも有効ではないかと考えます。

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