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「開業時の税務について」

上田公認会計士事務所
所長上田久之
  1. 開業準備費の取扱い

  2. 開業準備費とは、事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用であり、開業セミナーの参加費用、開業地の調査のための旅費、ガソリン代、連絡通信費用、業者関係の打ち合わせ費用、関係先への手土産代、工事期間中の諸経費、開業に関する情報入手のための費用、開業までの借入利子、開業広告費用等が挙げられます。
    対象期間については、必要な支出であれば特に制限はありませんが、常識的には開業の半年ないし1年ぐらい前迄のものが中心になります。
    税務上の処理方法としては、開業後5年以内での任意償却が可能ですので、開業後何年か経過して所得が大きくなり、税率が最も高くなった時点(最高税率は50%)で経費化されるのが最も効率的ではないでしょうか。最高税率では、1万円の領収書があれば、五千円の税金が節約できることになります。
    経費と認められるためのポイントとしては、領収書またはノートに支出日、相手先、支出目的を記入し、領収書をスクラップブックに貼り付けて保存することが必要です。(たとえば、××工務店の××氏と設計の打合せ等と記入します。)

  3. 開業資金の出所の明確化

  4. 開業の総資金は、自己資金・金融機関からの借入等で調達されるわけですが、開業総投資額(支出額)と資金調達額は必ずバランス(同一金額)することになります。これを総資金の貸借バランスといい、バランスがとれていない場合には、支出または調達のいずれかに漏れているものがあり、開業資金の流れを明確に説明できませんので、再度見直しが必要です。
    また、大口の支払については、次のように各件ごとに資金の種類を明らかにし、資金の流れを把握しておくことが必要です。そして資金の支払については、事業用の通帳を通すことにより記録を残すことができます。

    (例)保証金の支払××銀行定期解約

    内装工事代の支払××銀行借入3,000万円より

    医療機械の支払国金借入1,000万円より

    また、自己資金については、その資金が本当に自己資金であることを証明する必要があります。個人の預金・有価証券等の解約書類、不動産の売買契約書等のそめい資料を保存しておきます。自己資金は、一旦、事業用通帳に入金し、それから以後は個人と事業の資金を区別するようにします。
    自己資金の額が過去の給与等からしてアンバランスな場合にはその資金の出所について問いただされ、贈与を疑われる恐れもあるので注意が必要です。
    さて、次に親族借入のポイントについてご説明致します。親族借り入れは、金融機関からの調達と異なり、自己資金に近い性格のものですので有効活用すべきものと考えます。但し、そのやり方により、贈与とみなされる恐れがありますので注意が必要です。
    要件としては、次の3点が挙げられます。

    1. 金銭消費貸借契約書を交わします。
    2. 常識的な借入・返済条件(金利・借入期間・返済方法等)を設定します。
      「出世払」「催促無しのある時払い」等にならないようにします。
    3. 返済実績が必要です。
      返済金を振込む口座は給与振込み・公共料金等を取り扱う生活口座がベターです。


    ここで更に注意を要するのが、ご親族の資金の出所です。親族借入の場合、開業される先生ご本人だけではなく、資金提供されるご親族の資金の出所についても調査されますので注意が必要です。
    資金の出所はどのように追及されるかといいますと

    T.テナント開業の場合と
    U.戸建て開業の場合とで異なります。

    Tの場合は開業して4〜5年後の第1回目の税務調査の時であり、Uの場合は建物を取得してから数ヶ月後に「取得資金のお尋」という文書が郵送されます。また、ご親族等から資金拠出があった場合には、不動産登記名義にも注意が必要です。資金の持分と登記持分は比例配分させる必要があり、そうでなければ、贈与とみなされます。この場合、借入処理をすることによる対応も可能ですが、詳しくは専門家にお尋ねになったほうがよいでしょう。

  5. 上手な初年度申告

  6. 得税は、給与所得者以外は、申告納税制度をとっており、なかでも青色申告を利用すれば、様々なメリットがあります。
    青色申告のメリットとしては、

    • 青色専従者の必要経費算入
    • 引当金・準備金の必要経費算入
    • 純損失の繰越控除
    • 青色申告特別控除等


    があり、その申請方法としては、開業の日から2ヶ月以内に「所得税の青色申告承認申請書」を納税地を所轄する税務署長に提出し、その承認を受けなければなりません。
    まず、開院時期と税金についてお話致します。よく何時頃の時期に開業するのが一番有利かという質問を受けますが、所得税と開院時期についていえば、初年度の赤字と勤務医給与の通算による源泉所得税の還付が考えられます。

    @ 月収が100万円以上のケース高い給与所得の税率に対し、赤字を通し還付が期待できるため、12月開業が有利であると思われます。
    A 月収が40万円以下のケース年末開業で赤字を出しても給与所得の税率が低いため、通算の効果が少なくなり、年初めの開業が有利であると思われます。年初めに開業し事業が赤字であれば、翌年に繰り越せますし、黒字となっても初年度なので多額にはならないでしょうから、給与所得と合算しても累進課税の影響が少ないと思われます。


    ところで、開業時の重要な節税策として開業準備費の償却がありますが、これについては、先述したとおり、開業後5年以内で任意償却ができますので、開業後何年か経過して累進税率の高くなり、税効果の高い時点での償却をおすすめ致します

    次に減価償却方法の選択についてお話致します。一定の資産について、その資産の使用可能期間に応じて、その資産の取得価額を各年の必要経費に配分する方法を減価償却といいますが、償却の方法には定額法と定率法の2通りがあります。開業初年度の所得が予想以上に大幅に見込まれる場合には、償却額の多い定率法を採用すれば節税効果が高くなります。
    以上これまで述べてきましたことを総括し、なるべく長期に亘り税金を支払わないパターンとしては次のような展開が考えられるのではないでしょうか。

    <1年目>開業初年度のため、赤字に陥りやすいと思われます。
    <2年目>青色申告により、1年目の赤字の繰越ができます。
    <3年目>開業準備日の償却をします。
    <4年目>減価償却の方法を定額法から定率法へ変更します。
    <5年目>医療法人を設立することにより、節税をします。


    このように、開業時の税務として有効な節税策をご説明してまいりましたが、これはあくまでも概略であり、実際の実務にあたっては解決しなければならない問題点が噴出してくるものと予想されます。外部の医療系会計事務所を活用して自院の税務対策を策定されることが安心かと思われます


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