厚生労働省保険局は9日、後期高齢者医療制度(長寿医療制度)の実施に際し、医療現場における誤解を解消する「長寿医療制度の診療報酬について」と題した行政情報を出した。副題に「第一線でご尽力されている医療関係者のご心配に向けて」と明記したように、医療現場が懸念する「フリーアクセスが阻害される」といった心配事を解消するのが狙い。
内容は、疑問の声の中から主な3点に絞って問答形式で説明。
Q1「患者が75歳以上になると、それまで受けていた医療が受けられなくなるか」
A1 75歳以上であっても74歳以下で受けてきた医療は変わらない。長寿医療制度の基本は、75歳を迎えた患者ができるだけ自立した生活を送れるよう「生活を支える医療」を提供することにある。
Q2「「後期高齢者診療料」では、必要な医療や「フリーアクセス」が制限されるか」
A2 必要な医療やフリーアクセスが制限されることはない。そもそも後期高齢者診療料とは患者自ら選んだ「高齢者担当医」が病気だけでなく、心と体の全体を診て、外来から入院先の紹介、在宅医療まで継続して関わる仕組みであり、後期高齢者診療料の算定に係わる届け出を行った医療機関において、その医療機関を選んだ患者の同意があった場合にのみ適用される。届け出を行っていない医療機関は、従来通り出来高等で算定。患者は「高齢者担当医」や医療機関の変更もでき、紹介がなくても複数の医療機関や他の専門医療機関にかかることもできる。
Q3「長寿医療制度では、入院中の患者をそのまま“追い出し”していくのか」
A3 入院中の患者の多くが、可能であれば、住み慣れた住宅での療養を希望していると考えている。今回の制度の診療報酬においては、患者の在宅復帰に向けた退院前からの計画的な支援とともに訪問看護等の在宅医療の充実を図っている。
■従来の一部負担のみでの受診を認める
厚生労働省は10日、後期高齢者医療制度(長寿医療制度)への移行に伴い、自治体により新被保険者証の切り替えが遅れていることを受け、75歳以上であっても、従来の保険証で対応するよう都道府県などに通知した。事務手続きや転居先への転送禁止措置などにより、加入者の手元に被保険者証の交付が遅れている場合などに対して配慮を求めた。
また、患者が誤って従来の被保険者証で受診する場合も想定されるため、医療機関などの窓口で被保険者資格の確認を徹底することも盛り込まれた。従来の被保険者証や運転免許証などで確認し、75歳以上だけでなく、65歳から74歳までの人でも障害認定を受けている場合は長寿医療制度の被保険者となり市町村の窓口へ加入手続きをするよう勧奨する。
資格喪失後の効力のない被保険者証での受診をできるだけ発生させないように、実施関係者に周知を呼びかけた。