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月刊歯科医院経営ワンポイントアドバイス 2014年4月号

2014/4/11

「医科歯科連携の今後について」

医科歯科連携の現状と周術期口腔機能管理加算

高齢者の健康管理や疾患の治療において、歯科医療の適切な介入が、病気の予後を良くしたり疾病の予防につながる等の様々な効果を上げていることはすでに知られていることと思います。
大分県の湯布院厚生年金病院においては、数年前から病院の要請で大鶴歯科医師会の登録医が訪問診療をおこなっており、脳疾患からのリハビリなどをおこなっている高齢患者の口腔内の機能回復に努めており、それは結果としてリハビリに大きく貢献しています。
また、静岡県の県立静岡がんセンターでは、2006年から地域の歯科開業医と連携を始めています。患者様ががん治療の手術や抗がん剤・放射線治療を受ける前に、連携している歯科医で口腔内ケアを受療することで、細菌感染による肺炎等の術後合併症や治療の副作用による口内炎を未然に予防することができ、それまでの合併症例数が4分の1に減少した効果もあったそうです。
こうした流れを受けて、厚生労働省は2013年度より病院での通常治療に歯周病などの歯科治療を組み合わせ、がんや糖尿病の治療効果を高める「医科歯科連携」の普及に乗り出しています。具体的には、まず、地方自治体を対象に医科歯科連携の取り組みを募り、自治体に運営経費を助成します。各自治体は医科や歯科の関係者からなる連携協議会を創り、地元の歯科医師会などに業務を委託するといった形で、全国数十か所のモデル事業を設置。その後、全国展開につなげていくことになっています。医科歯科連携は2012年度に策定された国の「がん対策推進基本計画」などに盛り込まれており、12年度の診療報酬改定では、がんなどの手術前後に歯科医が行う口腔内ケア(周術期口腔機能管理)に関する加算が新設されました。

加算への評価と今後の課題

このたび行われた中央社会保険医療協議会(中医協)の検証調査結果によると、周術期口腔機能管理を行うことは、多くの医療機関で「術後の感染予防」、「口腔機能管理の重要性についての認識」などに効果が高いと評価されています。また周術期口腔機能管理を受けた患者のうち、「とても満足している」「満足している」と回答した人の割合は実に9割を超え、「口の中の管理の重要性を認識できた」「自分で口の中のケアを行うようになった」といった患者自身の意識や行動の変化も見られるそうです。
しかしながら、このように実施機関および患者からも高い評価を受けつつも、歯科を標榜していない医科の病院が地域の歯科医師と連携して周術期口腔機能管理を実施しているケースは約7%と非常に少ない状況です。その理由として、「連携を行う際の歯科医師の受入れ体制が確保できない」、「周術期口腔機能管理料や実施している歯科医療機関を知らない」という回答があげられています。
一方で、前述の同調査では歯科医療機関(医科歯科併設の病院を含む)に対し、ほかの医療機関と連携するうえでの課題についても質問しています。その回答には、「連携できる医療機関の情報がない」「どのように連携してよいかわからない」が多くあげられています。また、周術期口腔機能管理を実施していない理由については、「歯科医師、歯科衛生士を確保することが難しい」などといった運営上の課題と並んで、「医科医療機関からの依頼がない」という回答が多くなっています。歯科診療所に限定すると、これが最も多い回答割合で、64%になっています。
この加算は、がん患者に対して手術をおこなう比較的大規模な急性期病院と、医科歯科併設の病院や歯科診療所といった様々な形態の歯科との連携についての評価であるため、全ての歯科医療機関が対象になるとは言えない面もあります。しかし、今次改定の中医協における議論から、医科歯科連携はがん患者に限定されるものではなく、今後は糖尿病などのその他の疾病についても同様に加算等が検討される可能性は高いと思われます。
現在は、一部の地域で医科歯科連携に向けた取り組みが始まったばかりという段階ですが、近い将来、全国的に連携の仕組みが整備され、広まっていくことが予想されます。その時に地域の病院等から連携を依頼されるような歯科診療所になっているためには、地域医療計画や供給体制(病院機能や病床数、訪問診療や在宅ケアの基盤整備など)の現状を把握し、歯科医師会等から何らかの働きかけがあればすぐに動くことができる体制になっておくことが重要になるでしょう。

税理士法人多田羅会計事務所
堀内 献

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