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介護経営情報(2019年8月30日号)

◆2020年度予算の概算要求基準、閣議了解 社会保障費の自然増は5,300億円まで

政府は7月31日の臨時閣議で、2020年度の予算編成で各省庁が要求する際のルールとなる概算要求基準を了解した。社会保障費は、高齢化などに伴う自然増を5,300億円と設定。今後、来年度の診療報酬改定や介護保険制度改正に向けた議論を経て、自然増分がどの程度絞り込まれていくかが焦点となる。

社会保障費の自然増分は、今年度(2019年度)予算の概算要求では6,000億円、昨年度(2018年度)予算の概算要求では6,300億円を上限としていた。2020年度の自然増分を5,300億円と見込んだのは、2020年度、2021年度に75歳以上の後期高齢者となるのが、第二次大戦終戦前後に生まれた世代で、出生数自体が少ないからだ。

しかし、今までの例で見ていくと概算要求どおりに自然増が落ち着くことはない。今年度は4,800億円、昨年度は4,997億円まで絞り込まれている。閣議了解された「令和2年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について」にも、「合理化・効率化に最大限取り組み、高齢化による増加分に相当する伸びにおさめることを目指す」と記され、閣議後に開催された経済財政諮問会議でも、民間議員からそれを後押しする発言が相次いだ。たとえば竹森俊平慶應義塾大学経済学部教授は「自然増分を自動的に歳出枠に組み込むのでなく、できるだけ通常経費を抑えて将来の医療効率化につながるような投資のための費用を確保する方針を目指すべき」と述べており、柳川範之東京大学大学院経済学研究科教授は「増えていくことは致し方ないが、去年が4,700億円(同会議の議事要旨ママ)だったというところからすると、もう少しここを頑張って、節約できることは節約していただく」とし、少なくとも今年度より自然増分を圧縮したい意向を政府が持っていることは間違いない。

同じく経済財政諮問会議で、茂木敏充内閣府特命担当大臣(経済財政政策)兼経済再生担当大臣は「社会保障の自然増は、今年と令和2年度はまだ4,000億、5,000億円台だが、それ以降は圧倒的に増えていくので、今の段階からどう歳出改革するかといった議論を本格化させる必要がある」と発言しており、この2年間以上の圧縮がなされる可能性もある。社会保障給付範囲の見直しも、今後本格的に議論が進められる見通しのため、厚労省と財務省がどのような駆け引きを行い、落としどころを探っていくのか注視していく必要があるだろう。

◆介護保険部会で介護人材の確保に向けた議論がスタート 厚労省は「長く働き続けられる職場環境の整備」が必要との認識示す

――厚生労働省
社会保障審議会介護保険部会
厚生労働省は、7月26日の社会保障審議会介護保険部会で「介護人材の確保・介護現場の革新」を議論のテーマに掲げ、介護人材確保には「長く働き続けられる職場環境の整備」が必要との考えを示した。部会に出席した委員からはさらなる賃上げの必要性を訴える声が多くあがり、10月に実施される新たな特定処遇改善加算では不十分と業界内で認識されていることが浮き彫りとなった。

介護業界が深刻な人手不足にあえいでいることは周知の事実。しかも、今後高齢者が加速度的に増加することを踏まえて割り出した推計によれば、介護人材は来年度末までに約216万人、2025年度末までに約245万人必要とされている。2016年度時点で介護人材は約190万人だったため、年間6万人程度確保し続けなければならない計算だ。

しかし、介護関係職種の有効求人倍率は昨年度時点で3.95倍(全職業は1.46倍)。多少の地域差はあるものの、厚労省によれば、今年4月時点では全都道府県で2倍を超えているという。その要因のひとつが、介護職員の処遇にあることは明らかだ。全産業平均の給与は36.6万円だが、介護職員は27.4万円。実に9.2万円の格差があり、新たに介護職を選ぼうとする人にとって魅力に感じるはずもない。10月から「介護職員等特定処遇改善加算」が創設されるが、豊富なキャリアを持つ介護福祉士などが対象であり、これから働こうとする人や、キャリアの浅い人は恩恵を受けることができない。冒頭で触れた委員からの声は、これらの課題を痛いほど理解しているからこそ出たものだろう。介護保険部会では、今後本格的に対応策を協議していくことになるが、次に介護報酬改定が行われる2021年度まで待つのか、それまでの間にさらなる賃上げを実施するのかが直近の焦点になってきそうだ。

◆厚労省、福祉用具のレンタル上限価格を公表   来年1月から適用される新商品77点分

――厚生労働省
老健局
 厚生労働省老健局は、7月26日に「介護保険最新情報Vol.735」を発出。来年1月から新たに適用される福祉用具77点のレンタル上限価格を公表した。価格には、10月に予定されている消費税率引き上げ分が反映されている。なお、昨年10月に上限価格が設定された福祉用具については、10月貸与分から今年4月に公表された上限価格が適用されることになる旨も改めて明記された。

福祉用具のレンタルをめぐっては、一般的な水準よりも極端に高額な価格でレンタルしているケースが頻発したことから、厚労省が対策に乗り出した。レンタル価格の適正価格を定期的に示すことで、介護給付費を抑制する効果が期待できるのも、国が積極的に取り組む理由のひとつだ。具体的には、まず適切な価格を割り出すため各用具のレンタル価格を把握。そののち、上限価格を「全国平均レンタル価格+1標準偏差」で計算して公表した。適用が開始されたのは昨年10月1日からで、上限以上の価格でレンタルされた場合は、保険が適用されなくなった。

また、昨年10月以降は、福祉用具専門相談員が利用者に全国平均レンタル価格を説明することが義務付けられた。利用者が適正価格を把握しやすくするための措置であり、悪質なレンタル業者を排除する狙いもある。なお、レンタル価格が経済情勢などによって変動することを踏まえ、上限価格は年1回のペースで公表することになっている。今年度分に関しては、新商品についてのみ公表すると4月に事務連絡で明らかにしていた。

福祉用具には、要介護者の日常生活の便宜を図るものと、機能訓練のためのものがある。自立した日常生活を営むことができるようにサポートする用具であるため、介護保険給付の対象となっている。レンタル・販売に際しては、福祉用具専門相談員が利用者ごとに福祉用具サービス計画書を作成したうえで、利用者・家族への説明と同意を得なければならない。福祉用具サービス計画書には「利用目標」「利用目標を達成するための具体的なサービス内容」「福祉用具の機種と当該機種を選定した理由」「使用時の注意事項」などを記載する必要がある。

◆平均寿命、男女とも過去最高を7年連続で更新   男性は81.25年、女性は87.32年 三大疾病の死亡率が改善

――厚生労働省
 厚生労働省は7月30日、「平成30年簡易生命表の概況」を公表。日本人の平均寿命が7年連続で過去最高を更新したことを明らかにした。男性は81.25年で前年比0.16年増、女性は87.32年で前年比0.05年増だった。

 厚労省は、平均寿命が伸びた要因として、三大疾病(がん、心疾患、脳血管疾患)の死亡率改善を挙げている。年齢別の死因別死亡確率を見ると、男女ともがん、心疾患、脳血管疾患、肺炎の4死因以外の「その他」がもっとも高い。また、4死因の死亡確率の推移を見ると、心疾患以外の死因はどの年代も年々下がっている。

 このデータが示すのは、医療の著しい進化だ。心疾患は、心筋梗塞など突然死の割合が高いことから年によってばらつきがあると推測されるが、がんや脳血管疾患に関しては、先端機器や新薬の開発などが死亡率を大幅に引き下げていると考えられる。実際、6月に発表された2018年の人口動態統計月報年計によれば、死因の1位、2位は従来と同様にがん、心疾患だったものの、3位はそれまで定位置を占めていた脳血管疾患ではなく老衰が浮上。今後、その順位を上げていく可能性も十分にある。

 そうなると、介護サービスの役割がさらに重要度を増してくる。老衰による死亡が増えるということは、自宅や介護施設で人生の最終段階を迎える人が増えることを意味しているからだ。少なくとも、自らの意思に沿った療養を受けるために家族や医療・介護関係者としっかり話し合う「アドバンス・ケア・プランニング」(ACP、厚労省は昨年11月に「人生会議」と愛称を決定)を積極的に進めていく必要があるだろう。なお、今年2月に厚労省が発表した調査結果によれば、ACPについて「よく知っている」と回答した介護職員はわずか7.6%、「知らない」は51.7%だった。それを踏まえれば、事業所の付加価値を向上させるうえでも有効な取り組みになるのではないだろうか。

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