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介護経営情報(2019年7月18日号)

◆「通いの場」への参加率を高めるためポイント付与を推進する方針 現在の実施自治体は約25% 有償ボランティアの拡大も検討

――厚生労働省
一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会
厚生労働省は、7月18日の「一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会」で、「通いの場」への参加率を高めるため、参加者へのポイント付与を推進する方針を明らかにした。有償ボランティアも拡大することで、介護予防への取り組みを活性化させ、膨らみ続ける社会保障費の抑制を図るのが狙いだ。

介護予防は、これまで機能回復訓練に偏っていた。しかし、福祉ニーズが多様化・複雑化していることや、超高齢社会の到来を見据えると、住み慣れた地域で可能な限り自立した生活ができるように支援することが重要となる。要介護状態になるのを防ぐことで、介護費の大幅な抑制が期待できることもあり、地方自治体が助成して住民主体で運営する「通いの場」が重視されるようになってきた。

そもそも「通いの場」は、茶話会や趣味活動など高齢者がコミュニケーションを図ることのできる場所として設置されてきた。その機能を拡充し、フレイル(虚弱)対策のための場とすることで、介護予防を進めようというのが政府の方針だ。実際、設置箇所は右肩上がりに増えており、2013年度には全国に4万3,154箇所だったが、2017年度には倍増以上となる9万1,059箇所となっている。

しかし、“ハコ”は整えたものの参加率が低いのがネック。2013年度は2.7%で、2017年度になっても4.9%にとどまっており、高齢者がつながる場としても機能としているとは言い難い。そのため、厚労省は昨年5月に「地域支援事業実施要項」を改正し、従来は「介護予防に資する介護支援ボランティア活動を行った場合に、当該活動実績を評価した上で、ポイントを付与する」としていたのを「介護予防に資する取組への参加やボランティア等へのポイント付与」と変更。ポイントというインセンティブを柔軟に運用できるようにした。

とはいえ、2017年度調査によれば、地域支援事業のうち「地域介護予防活動支援事業」を実施している市区町村は1,456と全体の83.2%あるものの、ポイント付与を行っているのは25.6%の446市区町村にとどまっている。そこで、ポイント付与をさらに推進することで市区町村の実施率を伸ばし、政府が「認知症施策推進大綱」にも盛り込んだ「通いの場への参加率を8%に」という目標を達成したい意向だ。

また、「通いの場」に集まる高齢者が介護支援ボランティアをした場合に、ポイントを付与する仕組みも推進する。厚労省は、年間最大5,000円相当のポイントを付与している東京・稲城市の「介護支援ボランティア制度」の実施スキームを提示。事実上、介護保険料の軽減に充てられるとして、他の自治体にも横展開していく方針だ。

◆重層的なセーフティネット構築のため新制度創設へ 「断らない相談支援」体制を整え地域共生社会の実現を目指す

――厚生労働省
地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会
厚生労働省は、7月16日の「地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会」で、これまで4回実施してきた同検討会の議論の中間とりまとめ案を提示。地域共生社会の実現には重層的なセーフティネットの構築が必要として、「断らない相談支援」の体制を整えるため、既存の制度の縦割りを再整理する新制度の創設を検討すべきだとしている。同検討会は内容を了承し、7月19日に中間とりまとめとして公表された。

中間とりまとめでは、これまでの福祉政策について「経済的な意味での生活保障やセーフティネットの確保は大きく進展した」と総括。その一方で、高齢や障害など対象者別の制度の専門性は高まったものの「個別制度の適用要件に該当しない者は支援の対象とならない」、「(長期的な引きこもりによる)8050問題のような複合的なニーズに柔軟に対応できない」「人生を通じた一貫した支援が受けられない」といった課題を指摘。相談支援の現場でも、対応に苦慮しているとし、現行の現金・現物給付の制度と専門職による伴走型支援などを組み合わせて地域における重層的なセーフティネットを構築するに必要があるとした。

では、具体的にどのようなアプローチが必要なのか。中間とりまとめが挙げたのは「断らない相談支援」「参加支援(社会とのつながりや参加の支援)」「地域やコミュニティにおけるケア・支え合う関係性の育成支援」。このうち、一見わかりにくい「断らない相談支援」については、同検討会で「断らず受け止めるという入口とともに、受け止めた後、継続的に関わる支援も併せて重要」と意見があがったことに触れたうえで、「多機関協働の中核を担う機能」「属性にかかわらず、地域の様々な相談を受け止め、自ら対応又はつなぐ機能」「継続的な関わりを可能とする機能」の確保が必要としている。

現行の縦割り制度で、これらの機能を実現するのは難しい。地域包括支援センターがあるものの、包括業務にのみ交付金が支給されている都合上、子育てや生活困窮といった相談には対応できないからだ。そこで、新たな制度を創設して縦割りを解消し、横断的かつ包括的な支援体制を築こうというわけである。そうなれば、支援に携わる専門職の役割はますます重要となる。とりわけ、養成カリキュラムに地域共生社会に関する科目を創設することが決まった社会福祉士や、各家庭と介護施設をつなぐケアマネジャー、見守り業務を行う訪問介護事業所のヘルパーの活躍の場が広がることが予想されるため、介護事業者にとっては新たな事業展開につながる可能性があるのではないか。
これらを踏まえると、従来の社会福祉士の役割は個別支援が中心だったが、地域支援を含め幅広く活躍できる人材を要請していく狙いがわかる。一方、社会福祉士試験の受験者数は過去5年間ほぼ横ばいの状態。厚労省の統計によれば平均月給は26~35万円と比較的収入が安定している職種ではあるが、果たして改定効果は表れるのか、注目したいところだ。

◆在留資格「特定技能」、介護の試験開催地がアジア5カ国に    フィリピンのほかカンボジア、ネパール、ミャンマー、モンゴルでも

――厚生労働省
 厚生労働省は7月19日、今年新設された在留資格「特定技能」の介護試験の日程を発表。これまでのフィリピンに加え、カンボジア、ネパール、ミャンマー、モンゴルでも開催することが明らかになった。いずれも10月、11月に実施される。

これまで7回実施してきた試験はいずれもフィリピン・マニラで開催されてきたが、フィリピンでも新たにセブ、ダバオで開催される。他の4国は、カンボジアがプノンペン、ネパールがカトマンズ、ミャンマーがヤンゴン、モンゴルはウランバートルで開催する。

 在留資格「特定技能」は、人手不足が顕著な業種に外国人労働者を受け入れるために新設された。対象となっているのは介護のほか建設、宿泊、農業、外食業など14業種。今年度からの5年間で最大34万5,000人の受け入れを見込んでおり、介護分野は14業種のうち最多となる5~6万人の受け入れを目指している。初年度となる今年度は5,000人を目標としており、4月中旬にフィリピン・マニラで開催された第1回試験の受験者数は113人。介護技能評価試験に合格したのはそのうち94人、介護日本語評価試験に合格したのは97人だった。同じくフィリピン・マニラで5月に開催された第2回試験の受験者数は336人。介護技能評価試験に合格したのは140人で、介護日本語評価試験に合格したのは121人だった。第1回試験ではいずれの試験も合格率80%以上だったが、第2回試験では介護技能評価試験の合格率が41.7%、介護日本語評価試験の合格率は36.0%と一転して低調に終わっている。

 なお、介護技能評価試験、介護日本語評価試験とも紙に筆記するのではなくコンピュータ上で回答するCBT(コンピューター・ベースド・テスティング)方式。介護技能評価試験は60分で全45問が出題される。うち学科試験は40問で、内訳は「介護の基本」(10問)、「こころとからだのしくみ」(6問)、「コミュニケーション技術」(4問)、「生活支援技術」(20問)。実技試験は5問となっている。介護日本語評価試験は30分で全15問が出題され、内訳は「介護のことば」(5問)、「介護の会話・声かけ」(5問)、「介護の文書」(5問)。

◆「介護事業経営概況調査」の回答期限を延長    有効回答率向上のため オンラインでの回答も可能

――厚生労働省
老健局
 厚生労働省老健局は7月16日、「介護保険最新情報Vol.732」を発出。6月末を回答期限としていた介護サービス施設・事業所の経営状況を把握することを目的に行われる「介護事業経営概況調査」の提出を引き続き受け付けるとして、調査への協力を呼びかけた。前回および前々回調査で50%以下だった有効回答率を引き上げるのが目的。「介護事業経営概況調査」の結果は、2020年度に実施される介護報酬改定のための議論において、基礎資料として活用されることから、“民意”を尊重する姿勢を見せた格好だ。なお、調査票の配布自体は5月末に行われている。

「介護事業経営概況調査」は、3年周期で実施している。なぜ介護報酬改定の検討材料になるのかといえば、介護保険法で「介護報酬は各々のサービスの平均費用の額を勘案して設定する」とされているからだ。そのため、サービス提供や居室・設備、職員配置・給与などから収入・支出の状況まで設問が設けられている。

ただ、前述したように有効回答率は思わしくない。前々回の2013年度調査では41.7%、前回の2016年度調査では47.2%だった。より現実に即した介護報酬の設計を行ううえで、有効回答率の高さが求められるのは言うまでもないため、向上のための施策をいくつか実行している。たとえば、記入・提出の負担を軽減するため、専用ホームページを利用してオンライン回答を可能としているほか、「回答にあたって困難に感じている点等を把握することや督促時に調査票未回答理由を把握すること」を目的に、調査票発送時にアンケートを同封している。しかし、オンライン回答は前回調査で2割程度。介護業界のIT化が遅れていることもあり、即効性があるとは言い難い。アンケートはあくまでも事後の策に過ぎず、回答率向上に有効ではないだろう。

そこで今回の調査では、回答したことに対してある種のインセンティブを用意。所定の項目を入力すると、人件費比率や収支差率、経費率など経営分析の参考となる指標が得られる計算式を組み込んだ。詳細な経営分析を行っていない事業所にとってはもちろん、国の基準において自社がどの程度の位置にあるかを知ることができるため、一定の意味はある。ただ、今回の調査協力を呼びかける文書においては、単なる「お願い」に終始しておりこのインセンティブについての言及はない。

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