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医療経営情報(2019年7月5日号)

◆2018年度診療報酬、入院・入院外とも前年比増        重症患者受け入れと高額抗がん剤が影響か

――厚生労働省
厚生労働省は6月27日、「平成30年社会医療診療行為別統計」の結果を発表。入院、入院外とも前年比増で、入院では「放射線治療」「病理診断」「手術」「医学管理等」「診断群分類による包括評価等(DPC)」の増加率が高く、入院外では「放射線治療」「注射」の伸びが目立った。DPC病院での重症患者受け入れが増えたことや、高額抗がん剤の登場によりがん治療にかかるコストが増したことが要因とみられる。

入院の1件あたり点数は53,074.3点で、前年比2.1%増。1日あたり点数は3,490.4点で前年比27%増加している。1件あたり点数を診療行為別に見ると、もっとも多いのが全体の35.0%を占める入院料。ついでDPCが30.9%、手術が17.8%。ただし、入院料は前年よりも1.4ポイント減っており、従来の7対1、10対1を中心に構成されていた急性期一般入院料を統合・再編した効果が多少なりとも表れているとみえる。一方で、DPCは0.8ポイント増、手術は0.6ポイント増となっており、積極的に重症患者を受け入れることで収益維持を図る病院の姿が透けて見える(1日あたり単価でも、同様に入院料は減りDPCおよび手術は増えている)。

増加率に着目すると、入院でもっとも高かったのは、前年比20.8%増の放射線治療。次いで9.0%増の病理診断となっており、がんの確定診断および治療が増えていることがわかる。一方で、入院外は増加率トップが1件あたり薬価13.7%増の放射線治療であることは変わらないものの、次いで多いのは9.0%増の注射。病理診断は2.8%増にとどまった。高額抗がん剤として薬価収載時に100mg729,849円の値がつき、その後3回にわたって薬価引き下げの対象となったものの現在でも100mg173,768円となっているオプジーボの影響が大きいと推測される。ちなみに2番目に増加率が高かったのは6.1%のリハビリテーション、次いで4.8%の在宅医療となっており、「入院から外来」の動きが加速していることがわかる。

なお、入院を病院種類別に見ると特定機能病院がもっとも増加率が高く、1件あたり72,607.6点(前年比1.3%増)、1日あたり7,115.1点(同3.4%増)。入院外も特定木農業員がもっとも増加率が高く、1件あたりが2,334.4点(3.4%増)、1日あたり1,515.7点(同3.7%増)。重症者の診療という役割を果たしているといえる。後発医薬品(ジェネリック)の使用状況も、薬剤点数全体の17.5%と前年比1.5ポイント増となっており、厚労省にしてみればひとまず当初の設計どおりの結果が出たというところではないか。

◆医療広告のネットパトロール、審査対象が1年で2.6倍以上に
歯科が5倍以上と急増 医療広告違反事例の解説書を今年度中に作成

――厚生労働省
医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会資料
厚生労働省は、6月27日の「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会資料」で、医療広告のネットパトロールの審査対象サイトが1年で2.6倍以上となったことを明らかにした。とりわけ歯科は5倍以上と急増していることもわかった。より監視体制を強化するべく、今年度中に医療広告違反事例の解説書を作成する方針も示されている。

医療広告をめぐっては、従来ウェブサイトは対象とされていなかった。しかし、主に美容医療のトラブルが頻発したことから消費者庁が動き、結果として2017年6月に医療法改正に至った。ウェブサイトも広告の対象となり、虚偽や誇大表現が禁止されたのである。改正医療法の施行に合わせて、2018年6月には医療広告ガイドラインが10年ぶりに大幅改正された。

同時に、厚労省が力を入れてきたのがネットパトロール事業だ。2017年8月から実施しており、2017年度には678件のサイトが審査対象となった。そして、2018年度には審査対象サイトが2.6倍以上の1,801件にのぼったのである。1年目の2017年度は、美容関係が237件と一番多く、歯科が178件、がん関係が144件、その他(眼科、内科、整形外科、産婦人科など)が119件だったが、昨年度は歯科が最多の972件以上と5倍以上に増えた。美容関係は368件、がん関係は184件、その他(眼科、内科、整形外科、産婦人科など)は277件。

歯科が増えているのは、医療広告ガイドラインにおいて「審美」表現が禁止との認識が示された影響が大きいと思われる。少し前まで、歯科の自由診療はインプラントが主流だったが、死亡事故が起きるなどトラブルが急増したことを受け、前面に打ち出す歯科医院は目立たなくなってきている。代わって増えてきたのが、セラミックなどの審美治療だ。最短1日で修復作業が完了できる機器が普及し始めていることや、人工歯を貼るといった技法が登場していることも影響している。しかし、費用が高額になる傾向があるのに対し、思ったより効果を実感できなかったり、歯は白くなっても歯茎が腫れたり噛むことができなかったりといったトラブルに発展するケースもあるのが、通報件数の急増につながっている。

こうしたトラブルに対し、自治体から適切な指導が行われているとはいえない。むしろ、個別判断が求められることが多いため、医療広告に関する共通理解の醸成を目的として、厚労省および自治体、医療関係団体、インターネット広告業界団体などで構成する「医療広告協議会」が設置される予定となっている。設置後、取り組むこととして挙げられているのが、冒頭で触れた医療広告規制に関する解説書というわけだ。

また、厚労省から広告規制に違反した医療機関への通知もブラッシュアップする方針。これまでは「医療広告ガイドラインに抵触する疑いがある」としていたが、違反内容を明確に記したうえで「抵触する内容が発見された」と通知するという。こちらも今年度中に対応をスタートさせる予定となっている。美容外科および美容皮膚科クリニックはもちろんのこと、審美系の自由診療を手がける歯科医院は警戒しておく必要があるだろう。

◆オンライン診療指針改定で、寄せられたパブコメは1,652件 昨年策定時の30倍以上 9割以上が緊急避妊薬処方についての意見

――厚生労働省
オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会
 厚生労働省は、6月28日の「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」で、オンライン診療指針の改定についてのパブリックコメントが1,652件寄せられたと明らかにした。昨年指針が策定されたときのパブコメは48件だったため、30倍以上となる。9割以上となる1,528件は緊急避妊薬処方に関する意見であり、この問題に対する意識が高まっていることが裏付けられる結果となった。

 パブリックコメントを募集したのは、6月13日から24日の12日間。単純計算で1日に137件以上の意見が寄せられたこととなる。緊急避妊薬についての意見は、ほとんどがオンライン診療を推奨するもので、「特段の条件を設けず処方すべき」「手続きを簡略化すべき」のほか、他国の取り組みを踏まえ「市販化すべき」との意見も多かった。

 この日の検討会で指針は了承された。オンライン診療は初診の直接対面診療が原則だが、これまでになかった「以下の診療については、それぞれに記載する例外的な対応が許容され得る」との文言が加わり、禁煙外来と緊急避妊薬処方が明記された。少し長いが、緊急避妊薬についての文言を以下に引用する。

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緊急避妊に係る診療については、緊急避妊を要するが対面診療が可能な医療機関等に係る適切な情報を有さない女性に対し、女性の健康に関する相談窓口等(女性健康支援センター、婦人相談所、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターを含む。)において、対面診療が可能な医療機関のリスト等を用いて受診可能な医療機関を紹介することとし、その上で直接の対面診療を受診することとする。例外として、地理的要因がある場合、女性の健康に関する相談窓口等に所属する又はこうした相談窓口等と連携している医師が女性の心理的な状態にかんがみて対面診療が困難であると判断した場合においては、産婦人科医又は厚生労働省が指定する研修を受講した医師が、初診からオンライン診療を行うことは許容され得る。ただし、初診からオンラインで、診療録記載を含む十分な引継ぎを行っていれば、実施することとして差し支えない。

診療を行う医師は一錠のみの院外処方を行うこととし、受診した女性は薬局において研修を受けた薬剤師による調剤を受け、薬剤師の面前で内服することとする。その際、医師と薬剤師はより確実な避妊法について適切に説明を行うこと。加えて、内服した女性が避妊の成否等を確認できるよう、産婦人科医による直接の対面診療を約三週間後に受診することを確実に担保することにより、初診からオンライン診療を行う医師は確実なフォローアップを行うこととする。
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◆大学病院の「無給医」、少なくとも2000人以上  「適切な雇用・労務管理を」と文科省が大学に通知

――文部科学省
 文部科学省は6月28日、大学病院において給与なしで働く「無給医」が少なくとも2,000人以上いるとの調査結果を公表。同日、附属病院を置く全国の国公立私立大学の学長あてに「大学付属病院の医師等の適正な雇用・労務管理について」と題した通知を高等教育局長名で発出し、「事務体制の強化や労務管理手続きの見直し等を行うなど、これまで以上に労働基準法等の労働関係法令及び社会保険関係法令に基づいた医師等の適切な雇用・労務管理等」に取り組むことを要請した。

 文部科学省の調査は、全国すべての国公立・私立大学の附属病院(99大学108大学病院)を対象に実施した。調査対象者は教員以外の医師・歯科医師31,808人。「給与の支給状況や今後の改善方策」について回答を求める形で、出勤簿の確認だけでなく、該当者への直接ヒアリングも実施。また、大学当局の判断だけでなく、学内外の労務管理の専門家(弁護士・社会保険労務士など)に十分な相談・確認を行うことを要件とした。

 その結果は前述のとおりだが、文科省はなぜこのタイミングで調査を行ったのか。最大の理由は、2018年10月のNHKのニュース番組で「無給医」問題を取り上げたことだ。大学病院を所管する文科省は、この番組で「無給医は存在しない」とコメントしているが、実際はかなりの数が存在したということになる。働き方改革を推進している途上でもあり、NHKの報道を無視しきれなかった格好だ。

 報酬なしで働く「無給医」がなぜ存在してしまうのだろうか。臨床研修制度が開始する前から長年続いてきた悪しき慣習とともに、大学病院が地域医療の頂点にあるという構造的な問題も大きい。大学病院の医局は、地域の関連病院への人材供給元でもあるため、医師が逆らうのは限界がある。そして、大学病院側に雇用関係を維持できる余裕がないとの声も根強い。国家資格を取得したばかりの医師にとっては、臨床経験を積むことのできるメリットもあるため、医局から声がかかったら断れないとの現実もあるだろう。

 しかし、今は各種ハラスメントに敏感な時代だ。「無給で働かせる」ことが許される時代は過ぎ去ったといっても過言ではない。医師偏在化が問題となっていることや、少子化が加速する現状も踏まえ、医師が安心して働ける環境づくりを優先するべきとの文科省判断があったのではないか。医療界の中でも大学病院は、ある種の徒弟制度が活きている縦社会だが、今回の文科省の動きは、その終焉を告げる役割を果たす可能性があるかもしれない。

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