新着情報

ホーム > 新着情報 > 介護経営情報(2019年6月21日号)

介護経営情報(2019年6月21日号)

◆来年度「介護インセンティブ交付金」を抜本的強化 政府・成長戦略 民間サービスと連携した「通いの場」の介護予防を手厚く評価

――未来投資会議
政府は、6月5日の未来投資会議で新たな成長戦略の素案を提示。来年度、保険者である自治体に交付する「介護インセンティブ交付金(保険者機能強化推進交付金)」の抜本的強化を図る方針を明らかにした。年末までの予算編成で、今年度予算からどの程度積み増しされるか注目される。

「介護インセンティブ交付金」は、高齢者の自立支援・重度化防止に向けた市町村の取り組みや、都道府県による市町村支援のため、2017年の介護保険制度改正で創設された。昨年度、今年度は200億円の予算が組まれている。とりわけ市町村を後押しする意図が込められており、200億円のうち都道府県に振り分けられるのは1割に満たない10億円。残り190億円は市町村分となっている。

この交付金の活用法は「地域支援事業、市町村特別給付、保険福祉事業を充実し、高齢者の自立支援、重度化防止、介護予防等に必要な取組を進めていくことが重要」と規定されている。しかし、今回の未来投資会議で提示された成長戦略フォローアップ案には「自治体による先進的な介護予防の取組が横展開され、健康寿命の地域間格差の縮小にも資するよう」と明記。しかも、評価指標や配点について「配分基準のめりはりを強化」して見直すとしており、介護予防により一層の力を注ぎたい意向が込められている。

具体的には、厚生労働省が参加率を伸ばす方針を固めている「通いの場」の拡充に力点が置かれることとなる。注目したいのは、これまで“検討レベル”の言及にとどまっていた民間サービスとの連携について、「活用する」と表現していることだ。「運動など高齢者の心身の活性化につながる民間サービス」としており、フィットネスクラブを指すことは間違いない。つまり、フィットネスクラブを「通いの場」と連携させ、フレイル対策を含めた高齢者のヘルスケア拠点にしたいということだ。

フィットネス業界は成長産業のひとつだ。公益財団法人日本生産性本部の「レジャー白書2018」によれば、2017年のフィットネスクラブ市場は4,610億円。前年比2.9%増で、4年連続で過去最高を更新している。シニア層に向けた取り組みも活発化しており、女性専用の「30分健康体操教室」を全国に1,900店舗以上展開するカーブスは、50~70代女性が会員の約8割を占めている。また、業界大手のコナミスポーツクラブは60歳からの運動スクール「Oyz」を展開。利用者の8割が「身体的、精神的に変化があった」と回答しており、フレイル対策に効果的であることが実証されているといえる。少子高齢化が進む中で、これらのフィットネス企業がより本格的に介護予防事業へ参入することも予想できよう。既存の介護事業者は、いかに有機的なアライアンスを組んでいくか検討するべきではないか。

◆「ローカルルール」解消に向け、実地指導の標準化・効率化を推進 初の運用指針を策定 訪問介護、通所介護など7サービスが対象

――厚生労働省老健局
厚生労働省老健局は、5月30日に「介護保険最新情報Vol.730」を発出。自治体ごとに異なる「ローカルルール」解消に向けて、介護サービス事業所に対する確認項目・確認文書の標準化・効率化を進めるため、初めて運用指針を策定し、公表した。対象となる介護サービスは、「訪問介護」「通所介護(デイサービス)」「特別養護老人ホーム(特養)」「居宅介護支援事業所」「グループホーム」「介護老人保健施設」「訪問看護」の7つ。

行政からの確認項目・確認文書を含めた介護サービス事業所の事務負担軽減は、政府が掲げる成長戦略のひとつ。背景には深刻化する人手不足問題がある。2月には自由民主党厚生労働部会の小泉進次郎会長が「ローカルルールがはびこっている」と発言。同部会の社会保障制度に関する行政手続きの改善を図る「国民起点プロジェクトチーム」が、厚労省に対して改善を要求していた。

今回策定した運用指針では、「標準確認項目」と「標準確認文書」が盛り込まれた。この運用指針はガイドライン的な位置づけであり強制力はないが、厚労省は自治体に対し、この運用指針を踏まえて介護サービス事業所に実地指導を行うよう要請している。逆に考えれば、介護サービス事業所は、この運用指針をもとに書類を用意しなければならないため、今回の通知は念のためチェックしておく必要があるだろう。なお、実地指導は6年間の指定有効期間内に1回の実施が基本。「過去の実地指導等において問題がないと認められる事業所は集団指導のみとすることも可能とする」としており、事実上実地指導が行われない事業所も出てきそうだ。同一所在地や近隣の事業所、また老人福祉法など関連法に基づく指導・監査の合同実施は同日または連続した日程での実施を「一層推進」ともしており、行政側の関与が効率化する流れにあることは間違いない。

なお、「担当者に主観に基づく指導は行わない」「高圧的でない言動による事業者との共通認識に基づく適切な助言」「事業所管理者以外の同席は可能」ともしており、仮にこれらに反する指導が行われた場合は、自治体もしくは管轄の厚生局に報告するなどして不利益を被ることを避けることもできそうだ。

◆農福連携、2024年までに3,000カ所創出 政府目標    短期間の「お試しノウフク」など取組機会の拡大を図る

―農福連携等推進会議
 規制改革推進会議は2月26日、今期取り組む重点事項を決定。「働き方改革に資する規制・制度の改革」の一環として「各種国家資格における旧姓使用の範囲拡大」を挙げた。具体的な資格として介護福祉士や保育士が挙げられており、「女性の仕事の継続性の観点から」旧姓使用を認めるように働きかける方針だ。順調に審議が進めば、6月にまとめられる答申に盛り込まれる。

 現在、介護福祉士および社会福祉士は、登録証の記載内容に変更が生じた場合、社会福祉振興・試験センターへ速やかに書き換え交付の申請を行わなくてはならない。結婚や離婚で姓が変わったあと、旧姓を名乗るかどうか決める以前に、通常ならしなくても済む手続きを行わなければならないわけだ。「現場では旧姓のまま活動したい」と考える人はもちろん、「別にどちらでもいい」と考えている人も、同じように申請が義務付けられている。忙しい日常業務をこなす中で“余計な仕事”となることは間違いない。また、新姓に変わることで周辺や関係者にいちいち説明をしなければならない煩わしさもある。

実は、すでに旧姓使用を認めている国家資格は少なくない。医師や看護師、薬剤師のほか、弁護士や公認会計士、税理士などもそうだ。その中で、介護福祉士や社会福祉士、保育士といった女性が多い資格で未だに新姓への切り替えが義務付けられているのはおかしいとの見方もある。実際、同日の会合に出席した片山さつき内閣府特命大臣(地方創生、規制改革、男女共同参画担当)は、各種国家資格で旧姓使用が認められていない現状に対し「今どきと感じもする」と発言している。

とはいえ、規制改革推進会議としては、国家資格すべてで新姓書き換えの義務化を緩和させようという考えはないようだ。大田弘子議長(政策研究大学院大学教授)は会議後の記者会見で、「資格をとった後に、結婚する、あるいは離婚するといったことの中で、ビジネスネームとして継続して使えるようにしたいということですので、全部を統一で旧姓使用を義務づけるとか、そういうことは考えておりません」と明言。すべて統一化することによって生じる事務負担を慮ってのものと推察される。今後、個々の資格を精査して、適用していきたいとの考えも示しており、答申では介護福祉士、保育士のほか社会福祉士など具体的な資格名も盛り込まれることとなりそうだ。

◆認知症予防の数値目標取り下げ 厚労相明言    新オレンジプランに代わる「大綱」で

 根本匠厚生労働相は、6月4日の閣議後記者会見で、認知症施策の「大綱」に掲げるとしていた認知症予防の数値目標を取り下げると明言した。認知症の当事者や家族団体から反発を受けたことに対する配慮。「大綱」は修正したうえで6月中の閣議決定を目指し調整していく予定だ。

「大綱」は、2012年9月に公表された「認知症施策推進5か年計画」(オレンジプラン)を改定し2015年1月に策定された「認知症施策推進総合戦略」(新オレンジプラン)に代わるもの。5月16日に公表された素案に「70代の発症を10年間で1歳遅らせる」との数値目標を明記していた。70代の認知症患者を約1割減らすのが狙いで、直近6年間で70代人口に占める認知症の割合を6%低下させることを目指すとしていた。

しかし、そもそも科学的根拠に基づいた認知症予防法は今のところないとされている。にもかかわらず、数値目標だけを打ち出した大綱案には、「エビデンスがないのにどうやって目標を立てるのか」「発症者が予防の努力を怠ったとの誤解を呼ぶ」などと、自由民主党や公明党など与党内からも反発が出ていた。

事前に十分想定可能だったと思われる反発を遮り、数値目標を政府が掲げたのは、社会保障費を抑制したいとの思いが強いからにほかならない。認知症に関しては、昨年10月の経済財政諮問会議で、2030年までに社会的コストが21兆円を超えるとの推計も取り上げている。今回問題となった大綱案が出されたのは、こうした政府の焦りがにじみ出たからだといえよう。

しかし、与党内から反発が出たことで、7月に行われることが有力な参院選への影響を考慮。火消しのため素案を修正したというところだろう。根本厚労相は、「予防の取り組みを行った、その結果として発症を遅らせることを目指す旨に表現を修正する」と言及。そのうえで、認知症予防の定義として「認知症にならないという意味ではなく、認知症になるのを遅らせる、認知症になっても進行を緩やかにするという意味である」と大綱案に明記していることを強調。「あくまでも認知症の人や家族の視点を重視しながら『共生』と『予防』を車の両輪として推進していきたい」としている。

お問い合わせ・ご相談はこちら

お問い合わせ・ご相談はこちら