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介護経営情報(2018年9月14日号)

◆「処遇改善加算(I)」を算定している事業所は全体の67.9%  1年で3.1%ポイント増 サービス種別ごとの格差も

――厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会
 厚生労働省は、9月5日の社会保障審議会介護給付費分科会で、介護職員処遇改善加算の請求状況を公表。今年3月サービス提供分で、もっとも加算率が高い「処遇改善加算(I)」を算定している介護サービス事業所は全体の67.9%であることが明らかとなった。昨年4月サービス提供分では64.8%だったため、約1年で3.1ポイント増加した計算となる。

 「処遇改善加算(I)」を算定している事業所の介護職員の平均給与額は、昨年9月算定分で29万7,450円。その他の加算の平均給与は29万3,450円で、その差は3,000円。一昨年9月の給与と比較すると、「処遇改善加算(I)」は1万3,660円増、その他の加算は1万2,200円増となっている。

 「処遇改善加算(I)」の算定事業所が増えた分、他の加算での算定は減っている。「処遇改善加算(II)」は昨年4月サービス提供分で13.8%だったのが12.5%に、「処遇改善加算(III)」は9.6%が8.7%となっており、介護業界内で上位加算を目指す流れがあることは明白だ。一方で、マイナス加算となる「処遇改善加算(IV)」と「処遇改善加算(V)」は、いずれも0.8%ずつで昨年4月から変わっていない。処遇改善加算を受けるには、賃金体系の整備やキャリアアップ機会の確保、定期昇給などを実施することが必要だが、そのいずれも実施しようとする意思のない事業所が一定数存在しているということだろう。

 また、サービス種別ごとに算定状況を見ていくと、大きな格差があることもわかった。
「処遇改善加算(I)」の算定率がもっとも高いのは、定期巡回・随時対応型訪問介護看護で85.3%。次いで特定施設入居者生活介護(84.7%)、夜間対応型訪問介護(84.7%)となっている(そのほか、80%以上の事業所が算定しているのは短期入所生活介護、小規模多機能型居宅介護、地域密着型介護老人福祉施設、複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護)、介護老人福祉施設)。一方、6割以下の事業所しか算定していないサービスは、訪問介護(58.6%)、通所リハビリテーション(53.9%)、地域密着型通所介護(52.1%)、介護療養型医療施設(35.9%)の4種となっている。

 なお、厚生労働省の「介護従事者処遇状況等調査」によれば、加算の届出をしない理由としてもっとも多かったのは「事務作業が複雑」だった。「処遇改善加算(I)」の届出が困難な理由としては、「職種間・事業所間の賃金バランスがとれなくなることが懸念される」がもっとも多く、複数のサービスを展開する事業者が適切にマネジメントできていないケースが少なくないものと予想される。

◆消費税増税への対応、関係団体からヒアリングを実施 消費税負担の現状について 来年10月の臨時改定を見据え

――厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会
 厚生労働省は、9月5日の社会保障審議会介護給付費分科会で、消費税負担の現状について関係団体からヒアリングを実施する方針を明らかにした。来年10月に予定されている消費税率引き上げに伴い、臨時の介護報酬改定を行うためで、11月までに同分科会で実施される。

 関係団体は全国有料老人ホーム協会、全国社会福祉法人経営者協議会、全日本病院協会など30団体。事前に意見陳述要旨資料の提出を求め、その内容に沿ってヒアリングをしていく。必要に応じて同分科会の委員から質問がなされるが、意見陳述内容についての議論は行わないとしている。

 介護保険のサービスは非課税。そのため、必要な物品や設備などの仕入れには消費税がかかるものの、仕入れに伴う消費税を控除する「仕入税額控除」を行うことができない。そこで、今まで消費税率がアップされた際には、介護報酬を引き上げることで対処してきた。2014年に5%から8%へと増税されたときには、0.63%の引き上げが行われている。今回も、臨時の介護報酬改定を行うことで税率アップに対処する方針だ。

 前回の税率アップ時は、ヒアリングだけでなく調査も実施された。しかし、消費税が発生する仕入れのほとんどが建物に関するもので、年度によって変動が大きいことも判明したため、今回はヒアリングを実施するだけにとどまった。同分科会の委員からは、「建て替え時期に差し掛かっている施設が多いことも考慮すべき」との意見もあったが、前回は施設の食費・居住費の基準費用額は据え置かれたため、高額な設備投資に対してどの程度考慮されるかは未知数だ。とはいえ、臨時改定の引き上げ率に、ヒアリングの内容が影響することは間違いないため、各団体の提出資料とそれに対する委員からの質問内容に注目する必要があるだろう。

◆介護福祉士国家試験の受験申込受付、10月5日まで延長 台風21号および北海道胆振東部地震を踏まえての対応

――厚生労働省
 厚生労働省は9月6日、介護福祉士国家試験の受験申込受付を10月5日まで延長すると発表した。当初9月7日までの受付だったのを、約1カ月延ばした形となる。大規模な災害が相次いで起きていることを踏まえ、被災地に対してだけでなく全体的な適用とすることを決めた。

 介護福祉士国家試験は、2016年度の試験で受験者数が激減。最大450時間の受講が必要な「実務者研修」の修了が受験資格として義務付けられ、その受講費用を負担に考える人が受験を回避したことが主な要因とされている。昨年度の試験では約1万6,000人受験者数が増加し、合格者も約1万人増えたことから、受験者のレベルが向上したとも考えられるため、その流れを止めたくないというのが政府の本音だろう。

 それでなくとも、介護業界の人材不足は深刻化を極めている。昨年12月、厚労省が発表した介護の有効求人倍率は4.22倍。全産業の有効求人倍率も非常に高くなっているが1.32倍であり、他業界よりも約3倍採用しにくい状況となっている。一方で、高齢化が進むことにより介護ニーズが高まることは確実で、2025年度末までに55万人を確保する必要があるとの推計もある。人数の底上げを図るためにも、介護職の中でもエキスパートである介護福祉士を少しでも多く輩出することが重要であり、災害によって受験機会を失わせたくないとの思惑もあるのではないか。

 また、同じく9月6日、大規模災害を踏まえて、介護サービスを円滑に提供するため柔軟な対応を求めた事務連絡も発出。避難所など自宅以外の場所で生活を余儀なくされている場合でも居宅サービスが受けられるように配慮することや、定員超過状態で介護サービスを提供した場合も特例的に所定単位数の原産を行わないことも通知している。

◆デイサービスなどの利用者に「結核定期検診」の受診を呼びかけ 新規の結核患者の7割が60歳以上という現状を受けて

――厚生労働省
 厚生労働省は9月3日、都道府県および指定都市・中核市の衛生主管部あてに通知を発出。通所介護(デイサービス)などの事業所に対し、サービス利用者へ「結核定期健康診断」の受診を呼びかけるほか、結核に関する検診案内や啓発資料の掲示をするよう呼びかけた。

 日本の結核患者数は年々減少している。2016年、新たに登録された患者数は1万7,625人で、罹患率は13.9と過去最低をマークした。一方で、かつて結核が国民病だった時代に罹患した人が、潜伏期間を経て、高齢化による免疫力の低下に伴い発症するケースが増えている。厚労省によれば、前述した2016年の新規登録患者数の約7割が60歳以上。約4割は80歳以上で、罹患率は60を超えている状況だという。

 結核の蔓延防止には早期発見が重要。高齢者に対しては定期検診を促しているが、市町村が行う定期検診での発見率が低いため、さらなる対策が必要だとしている。デイサービスなどの介護サービスを利用している人が市町村の検診対象者に多いことから、2月に開催された厚生科学審議会結核部会で対策を強化することが決定しており、今回の通知に至った次第だ。

 デイサービス事業所に向けては、利用者への啓発も促している。初めて介護サービスを受ける人への初回説明の際に、厚労省が作成した啓発資料を活用して情報提供をするよう依頼するなど、具体的な方法も指示。デイサービスをはじめとする介護事業所側としても、利用者に結核患者が出ればその対応が必要となるため、利用者への説明や定期検診受診を促すべきではないか。

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