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介護経営情報(2018年8月3日号)

2018/8/13

◆介護保険料滞納での差し押さえ、過去最多の1万6000人超 約1万3000人に対して保険給付制限を実施

――厚生労働省老健局介護保険計画課
  厚生労働省老健局介護保険計画課は、7月25日に「平成29年度介護保険事務調査」の結果を公表。介護保険料を滞納したことで差し押さえ処分が決定した人数が1万6161人だった。2015年度に初めて差し押さえ処分1万人を突破したが、それから右肩上がりに増え続けており、3年連続で過去最多を更新している。

65歳以上の場合、年間18万円以上の年金が支給される対象者であれば、原則として介護保険料が特別徴収される。つまり天引きという形のため、大半は滞納まで至らない。しかし、年金が年18万円未満の人はその対象外のため、自分で納めなければならず、滞納してしまうケースが少なくない。介護保険料を滞納すると、当初は市区町村から書面で支払いを求められる。それでも支払いが行われない場合は、預貯金や生命保険などの財産が差し押さえられることとなる。

滞納期間の長さによって、ペナルティの重さも変わる。介護保険料を2年以上滞納したうえ、さらに1年以上支払いがない場合は介護サービス利用時の自己負担額にペナルティが課される。1年以上の場合は一時的に全額自己負担となるが、滞納金額を全額支払えば償還払いが受けられる。1年半以上の場合はこの償還払いが差し止められ、2年以上の場合は一定期間保険給付が減額され、自己負担割合が1割から3割に引き上げられてしまう。今回の調査結果によると、一時的に減額負担となったのは2559人。償還払いの差止めは57人で、自己負担割合の引き上げ措置を受けたのは1万3331人だった。

今後、保険料はさらに上がっていく見通しのため、滞納者も比例的に増えていくとみられる。介護保険制度がスタートした2000年度は全国平均で月額2,911円だったが、現在は月額5,869円。すでに8000円以上の高額ゾーンに突入している自治体もある。そうなると、介護サービスを受けたくても受けられない高齢者が増え、大きな痛手を被る介護施設が出てくる可能性もあるだろう。介護保険自体を持続させるのに精一杯な現状では望みにくいが、行政側の思い切った施策が必要なフェーズに入りつつあるのではないだろうか。

◆来年4月の新在留資格運用開始を目指し、関係閣僚会議を開催 日本語能力判定テストを改訂、在留資格のオンライン申請を解禁へ

――外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議
 7月24日、政府は「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」を開催。新たな在留資格制度創設に向け、受け入れ・共生のための対応策の検討がスタートした。日本語教育の充実や、オンライン申請の解禁といった具体案も出され、早急に本腰を入れて取り組んでいく姿勢を明らかにしている。

介護分野に外国人材を受け入れていくことは、会議の冒頭で加藤勝信厚生労働相が改めて明言。「足下の有効求人倍率が高止まりする中で、2025年度までに年間6万人程度の介護人材を追加で確保することが必要な状況であり、新たな外国人材の受入れに向けては、介護業界を所管する立場として、具体的な制度設計の議論に積極的に参加していきたい」と発言し、危機感の強さを露わにした。

しかし、介護分野で従事するには、専門のスキルは当然だが日本語能力も欠かせない。そうした点を踏まえ、日本語教育の充実は今回の対応策の大きな柱となるようだ。日本語教室の空白地帯の解消を図るとともに、インターネットなどを活用したICT教材の開発・提供も計画。また、海外での日本語教育を充実させるため、日本語能力テストの改訂や、日本語ネイティブ教師の養成・現地派遣といった新たな日本語教育事業の展開も遡上に載せられた。

 外国人材が安心して生活できる環境を整えるため、医療・保健・福祉サービスの提供も行っていく。医療通訳者の配置や電話通訳サービスの利用支援、社会保険への加入促進、そして外国人材の子弟向けの教育環境提供まで、多岐にわたるサポート体制を拡充させていく意向だ。

 そして、何よりも受け入れ先が気になるのが在留資格手続きだが、オンライン申請手続の一部を今年度から開始すると明示。外国人雇用状況届出を履行しているといった一定の要件を満たす所属機関が対象となる。

 いかに政府が本腰を入れているかは、すでにベトナム政府と介護人材の大幅受け入れで合意していることからもうかがえる。一部報道によれば、来年度中に3000人、2020年夏までに1万人の数値目標を掲げているという。今後、どの国からの受け入れを進めていくのか、政府の動きから目が離せない状況が続きそうだ。

◆“通いの場”を拡大し、フレイルチェックまで一体的に実施 参加者が継続的に増えていく地域づくりの推進で介護予防を後押し

――厚生労働省 社会保障審議会介護保険部会
 厚生労働省は、7月26日の社会保障審議会介護保険部会で、「保健事業と介護予防の一体的な実施」を実現するために「通いの場」を拡大してフレイルチェックまで一体的に実施していく方針を明らかにした。参加者が継続的に増えていくような地域づくりの推進を市町村に求め、「人と人とのつながり」を通じて高齢者と介護の担い手にともに社会的役割を与え、介護予防を後押しするのが目的だ。

 介護予防事業は、要支援・要介護1の軽度な認定者が大幅に増えたことがきっかけで2006年度に創設された。しかし、軽度者の約半数は体を動かさないことによる心身の機能低下が原因だったため、どうしても機能回復訓練に偏りがちだった。また、無事に機能回復訓練を終えても、その状態を維持するための場所を創出できないなど、その後の「活動」にフォーカスを当ててこなかった。

 そこで、地域の中で「生きがい」「役割」を持って生活できる居場所をつくるため、「通いの場」を介護予防に活用する動きがはじまる。2013年度には約4万3000カ所だった「通いの場」は年々数を増やし、2016年度には7万6492カ所となった。参加者数も140万人を超え、高齢者人口の4.2%が参加するまでに至っている。体操や茶話会、趣味活動に使われることがまだ圧倒的に多いが、この利用内容に口腔管理を含めたフレイルチェックを盛り込み、行われているアクティビティとうまく噛み合わせることで、介護予防の相乗効果を期待しているというわけだ。

 会合では、東京都多摩市が実施している「TAMAフレイル予防プロジェクト」の内容も紹介。「あらゆる健康レベルの人を活躍できるところへ」を合言葉にかかりつけ医、介護保険サービスのほか、地域包括支援センターや大学、栄養士などが連携。フレイル対策できる通所サービス、民間スポーツクラブでの運動も組み合わせて介護予防を推進しているのである。厚労省は8月に立ち上げる有識者会議を通じ、その取り組み内容をさらに精査。年内をメドに方向性を固め、必要に応じて法改正にもアプローチしていくとのこと。地域発の取り組みがどのような効果を発揮するか、次回の審議会での報告が気になるところだ。

◆高齢者世帯、「単独世帯」「夫婦のみ」が96.1%を占める 「単独世帯」の約7割が女性で、そのうち約4割は80歳以上

――厚生労働省
 厚生労働省政策統括官付参事官付世帯統計室は、7月20日に「平成29年 国民生活基礎調査の概況」を発表。高齢者世帯を見ていくと、「単独世帯」と「夫婦のみ世帯」が96.1%とほとんどを占めることがわかった。

65歳以上のみで構成される、もしくはそれに18歳未満の未婚の者が加わった高齢者世帯は前年よりも少し減少した1322万3000世帯。そのうち48.7%を占める「夫婦のみ世帯」は643万5000世帯で、前年よりも23万9000世帯増えた。47.4%を占める「単独世帯」は627万4000世帯で、こちらは前年よりも28万5000世帯減少している。

「単独世帯」は男性が32.6%、女性が67.4%と約7割を占めている。女性の4割以上が80歳以上で、75~79歳が21.8%ともっとも多い。男性でもっとも多いのは65~69歳で36.2%となっている。

もう少し緩やかに「65歳以上」で見てみると、全体で3519万5000人いるうち、どちらかが65歳以上である「夫婦のみ世帯」は1416万6000人と多く、ついで多いのが「子と同居」の1324万3000人となっている。年齢が高くなるに従って男性は「子夫婦との同居」する割合が増えており、女性は「単独世帯」と「子夫婦と同居」の割合が同じように高まっていく(単独世帯のほうが多い)。

 「単独世帯」の場合、急に要介護状態となったとき、要介護認定やその後のケアなど、備えるべき問題が山積している。早めに本人の意思を確認したうえで、要介護状態や認知症を発症したときの対処法を準備しておく体制をとっておかなければならない。「夫婦のみ世帯」は、老老介護で対応する可能性が高いだけに、なおさら地域包括支援センターとの連携が重要になってくる。そもそも介護人材が絶対的に不足している状況の中で、どこまで効率的にケアしていけるのかが、すでに直近の課題として迫ってきているといえる。

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