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医療経営情報(2018年7月19日号)

◆オンライン服薬指導、特区に限り「薬剤服用歴管理指導料」が算定可能に       
「かかりつけ薬剤師指導料」「かかりつけ薬剤師包括管理料」は対象外 

―厚生労働省 中央社会保険医療協議会総会
厚生労働省は7月18日の中央社会保険医療協議会総会で、国家戦略特別区域(特区)で「遠隔服薬指導」(オンライン服薬指導)を実施した場合、「薬剤服用歴管理指導料」を算定可能とする方針を示し、了承された。「かかりつけ薬剤師指導料」「かかりつけ薬剤師包括管理料」は対象外となった。

今年度の診療報酬改定で、スマートフォンなどを使ったテレビ通話などによるオンライン診療が初めて保険適用され、遠隔診療へのハードルは一気に下がった。しかし、診療は在宅で受けることが可能となっても、処方された薬剤は在宅で受け取るのが難しいのが現状だ。服薬指導および調剤が、制度上対面を原則としているのが理由で、「一気通貫の在宅医療」の実現を妨げている。

そこで、「一気通貫の在宅医療」を今期の最重要課題と位置づけている規制改革推進会議は、特区での実証実験を迫り、6月に開催された国家戦略特別区域諮問会議で愛知、兵庫、福岡(※)での実施が決定した。そのため、診療報酬上の扱いを決める必要があり、急ぎ対応した形となる。

「薬剤服用歴管理指導料」は、患者が安全に薬を使用できるように薬剤師が必要な情報を収集・分析・管理・記録し、薬を渡す際に説明することで与えられる報酬。対面ではないオンラインの服薬指導でも、同様のことができるとの判断から、算定が認められた。本来、患者が「お薬手帳」を持参した場合は41点、持参しない場合は53点が算定されるが、今回の特例は「お薬手帳の活用」を前提とする方針となっている。

「かかりつけ薬剤師指導料」「かかりつけ薬剤師包括管理料」が対象外となったのは、これらが「一元的・継続的な薬学的管理を評価したもの」だからと説明。「薬剤師に患者の居住地を訪問させることが容易ではない場合に行われる特区での遠隔服薬指導では、事実上算定要件を満たさない」との考えを示している。

※遠隔服薬指導が実施される国家戦略特別区域は以下のとおり。

[愛知県]
西尾市一色町佐久島、新城市、知多郡南知多町日間賀島、知多郡南知多町篠島、北設楽郡設楽町、北設楽郡東栄町、北設楽郡豊根村

[福岡県]
福岡市全域

[兵庫県]
養父市全域

◆高齢者の「保健事業」と「介護予防」の一体的実施を推進
有識者会議を立ち上げ、近日中に第1回会合の開催へ

―厚生労働省 社会保障審議会医療保険部会
厚生労働省は、7月19日の社会保障審議会医療保険部会で、高齢者の「保健事業」と「介護予防」を一体的に実施するため、有識者会議を立ち上げる方針を明らかにした。人生100年時代を見据えて健康寿命を延伸するのが目的で、有識者会議で効果的な支援のあり方や、事業スキームなどを検討していく。近日中に第1回会合を開催し、以後月1回程度の開催を経て年内に検討結果を取りまとめる方針だ。

6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2018」(骨太方針2018)では、社会保障の項目で「予防・健康づくりの推進」として、以下の方針を掲げている。

「高齢者の通いの場を中心とした介護予防・フレイル対策や生活習慣病等の疾病予防・重症化予防、就労・社会参加支援を都道府県等と連携しつつ市町村が一体的に実施する仕組みを検討するとともに、インセンティブを活用することにより、健康寿命の地域間格差を解消することを目指す」

これらの具体的な数値目標として、4月の経済財政諮問会議で加藤勝信厚生労働相が打ち出したのが、「2040年までに健康寿命を3年以上延伸」というものだ。また、健康寿命には地域間格差が存在しているとしており、全都道府県が健康寿命のもっとも高い山梨県の水準に到達すれば、「男性で+1.07年」「女性で+1.43年」の延伸が可能だとしている。その目標達成のための重点取組分野として、次世代の健やかな生活習慣形成を促す「健やか親子施策」、個別・最適化されたがん検診やゲノム医療の開発・推進などを進めることで疾病予防や重症化予防へつなげる「がん対策・生活習慣病対策」、そして介護・フレイル(虚弱)予防のための「保健事業と介護予防の一体的実施」の3つを挙げている。

あえて「保健事業と介護予防の一体的実施」を掲げた背景には、生活習慣病やフレイル対策が医療保険で対応するのに対し、介護予防は介護保険で対応と、別々に展開されている実状がある。生活習慣病対策は健保・国保が、フレイル対策は後期高齢者医療のため広域連合が、そして介護予防は市町村が実施主体となっているため、自治体や関係機関、そしてかかりつけの医療機関や介護施設などが連携する必要がある。また、高齢者の保健事業は「高齢者の低栄養防止・重症化予防等の推進」として国庫補助金により助成されているが、フレイル対策を実施している地域は限られている。

これらの実状を踏まえたうえで、「一体的実施」の支援内容を明らかにし、市町村と広域連合、健保・国保など保険者の役割分担を明確化し、効果的な事業スキームを構築していくのが、新たに立ち上げられる有識者会議の役割となる。構成員として現在決まっているのは、東京大学高齢社会総合研究機構教授の飯島勝矢氏、国立社会保障・人口問題研究所所長の遠藤久夫氏など。日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会、全国老人クラブ連合会などからも人材が選出される予定となっている。

◆NDBと介護DBの連結解析に向け、関連法の改正へ         他の保健医療分野の公的データベースとの連結も検討

―厚生労働省 社会保障審議会医療保険部会
 7月19日の厚生労働省社会保障審議会医療保険部会で、「医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議」における検討状況が報告された。同会議は、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)と介護保険総合データベース(介護DB)を連結解析するうえで、データの収集・利用目的に関する法律を整備すべきだとし、了承された。今後、関連法の改正に向けて、議論が深められていくことになる。

 NDBと介護DBをめぐっては、2016年5月の経済財政諮問会議で安倍晋三首相が「医療や介護のレセプトデータを全国的に連結し、社会保障給付費を効率化していくための具体案を諮問会議に報告していただきたい」と当時の塩崎恭久厚生労働相に指示。昨年の「骨太方針」では、「健康・医療・介護のビッグデータを連結」し、「国民の健康管理にも役立てる『保健医療データプラットフォーム』や自立支援等の効果が科学的に裏付けられた介護を実現するため」、必要なデータを収集・分析するためのデータベースを構築する方針を明らかにしている。

この「健康・医療・介護のビッグデータを連結」したデータベースの本格運用は2020年度の開始を目指しており、そのための基盤構築やセキュリティおよび実施体制確保のための課題を抽出するため、立ち上げられたのが「医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議」。今年5月に第1回会合が開かれ、7月12日までに5回の会合を重ねてきた。この日の医療保険部会では、その中間とりまとめが報告された形だ。

関連法の改正が必要なのは、NDBと介護DBが異なる法によって規定されているからだ。NDBは、2008年から施行されている「高齢者の医療の確保に関する法律」(高齢者医療確保法)に基づいており、介護DBは介護保険法に基づいている。それぞれ異なるガイドラインが策定され、法定目的も異なるため、連結解析のための法規定を整備すべきというわけだ。また、「保健医療データプラットフォーム」が運用開始すれば、第三者への提供も行われるため、利用目的や利用内容に応じた審査や、それによって得られる成果の公表、目的外利用の禁止といった仕組みを含め、法整備を行うべきだとしている。

技術的な課題については、NDBと介護DB双方の匿名化に用いている情報項目や識別子の生成方法が異なる点を指摘。現状では連結解析ができないとして、共通の識別子を生成して連結キーとして活用する案を提示している。そのうえで必要なセキュリティの確保や、解析ニーズの多様化・高度化に対応できる機能の確保などについては、今後さらに検討していくとしている。

また、保健医療分野の公的データベースとしては、NDBや介護DBのほかDPCデータベースや全国がん登録データベース、指定難病・小児慢性特定疾病データベース、MID-NETなどがあるが、それらとの連結解析も検討。関係法の改正を行う際には、これらの連結も視野に入れた形になることが想定される。
 これらの実状を踏まえたうえで、「一体的実施」の支援内容を明らかにし、市町村と広域連合、健保・国保など保険者の役割分担を明確化し、効果的な事業スキームを構築していくのが、新たに立ち上げられる有識者会議の役割となる。構成員として現在決まっているのは、東京大学高齢社会総合研究機構教授の飯島勝矢氏、国立社会保障・人口問題研究所所長の遠藤久夫氏など。日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会、全国老人クラブ連合会などからも人材が選出される予定となっている。

◆「西日本豪雨」における医療保険制度の主な対応を報告 住居が全半壊・床上浸水した人は10月末まで窓口負担なし

――厚生労働省 中央社会保険医療協議会総会
 厚生労働省は7月18日の中央社会保険医療協議会総会で、「平成30年台風7号及び前線等に伴う大雨による被災」(西日本豪雨。気象庁命名は「平成30年7月豪雨」)における医療保険制度の主な対応状況について報告した。被災者支援に関しては、被保険者証を紛失して提示できなくても「氏名・生年月日」を申し出れば保険で受診できるほか、住居が全半壊、床上浸水した人は、今年10月末まで窓口負担なしで医療機関での受診ができることを改めて示している。

 被災地および、被災地以外の医療機関にも幅広く配慮された。まず被災地の医療機関に対しては、診療録やレセプトコンピュータなどを汚損・棄損した場合、6月診療分は概算による請求が可能としているほか、診療報酬請求書の提出期限は7月14日まで延長された。

患者の急激な増加に対応できるよう、診療報酬の算定についても柔軟な取扱いを行っており、許可病床を超過しても減額措置をとらないほか、看護職員の比率に変更があっても当面は変更の届け出が不要となっている。平均在院日数や重症度、医療・看護ひつようど、在宅復帰率といった入院基本料の施設基準を満たさなくなった場合も、被災前に届け出ていた入院基本料が算定できる。DPC病院が提出を義務付けられている退院患者のデータも、4月分、5月分の提出期限は当面の間延長された。被災地以外の医療機関についても、被災地から患者を受け入れている場合は、同様の措置がとられる。

 西日本豪雨とは、6月28日から7月8日頃にかけ、西日本を中心に広い範囲で記録された集中豪雨のこと。河川の氾濫や洪水、土砂災害などの被害が多く発生し、7月22日現在総務省消防庁による集計では、死者219人、行方不明者10人、負傷者361人となっている。住宅被としては2,989棟が全壊、半壊・一部損壊は2,538棟、床上浸水15,049棟、床下浸水は20,133棟。発生から1カ月近く経った現在でも被害は増え続けており、未だ避難生活を送っている人も多い。

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