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医療経営情報(2018年7月5日号)

◆「健康サポート薬局」実現のため薬剤師の在宅対応を推進        オンライン服薬指導はあくまでも副次的な業務に

―厚生科学審議会 医薬品医療機器制度部会
厚生労働省は、7月5日の厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会で、薬局・薬剤師のあり方について指針を提示。「健康サポート薬局」を実現するため、薬剤師の在宅対応を充実させるほか、薬局の組織ガバナンスを強化することが重要だとした。オンライン服薬指導については、あくまでも対面指導を前提とした副次的な業務として位置づけている。

現在、薬局は「門前薬局」として機能しているケースがほとんど。患者は医療機関から処方箋を受け取り、薬局に足を運んで薬を入手している。そのため、調剤技術料も増え続けており、2016年度は約1.8兆円に到達。財務省の財政制度等審議会などで問題視され、抑制すべき対象となっているのが現状だ。

この流れが生まれたきっかけは、1974年の診療報酬改定。処方せん料が10点から50点と5倍も引き上げられたことにより、その後、右肩上がりに院外処方箋発行枚数は増加。処方せん料はその後も引き上げが続き、1992年の診療報酬改定では74点に、1998年の改定では81店まで引き上げられた。現在、院外処方箋発行枚数は800万枚を突破。2017年度の処方せん受取率は72.8%となっている。

院外処方せんがここまで定着している現状を踏まえれば、調剤技術料の無理に抑え込むのは容易ではない。そこで厚労省が取り組んでいるのが、薬局および薬剤師の機能強化だ。その中心となるのが、在宅対応など対人業務の充実。患者が通う「かかりつけ薬局」から一歩進めて、より積極的に患者と関わる「健康サポート薬局」を実現させることを目指している。これは、超高齢社会を迎えることとも無関係ではない。複数の疾患を抱える患者が増えればポリファーマシー(多剤併用)や残薬増加などの問題がより深刻化することは明白。「健康サポート薬局」となることで、薬物療法の安全性・有効性の向上と医療費の適正化を同時に成し遂げられるというわけだ。

単に調剤技術料を抑制するだけならば、オンライン服薬指導を推進してより効率的な調剤業務へと誘導するほうが有効だろう。しかし、オンラインでのやりとりだけでポリファーマシーの防止や残薬解消が可能かどうかは未知数。それよりも、薬剤師の在宅訪問回数を増やし、患者とのコミュニケーション機会を確保するほうが安全性の推進につながるのは確かだ。薬局としても、オンライン化へシフトすることは大幅な減収につながるおそれがあるため、諸手を挙げて賛同するわけにはいかないというのが本音ではないか。いずれにしても、医療機関側は、薬局・薬剤師との連携をより強化していかなければ今後の医療シーンで生き残れないことだけは間違いなさそうだ。

◆データ提出加算が要件の入院料 算定継続は11月20日までに要届出
今年度から新たに対象となった回復期リハや療養病棟は要注意

―厚生労働省保険局医療課
厚生労働省保険局医療課は、7月5日に「平成30年度中にデータ提出加算の届出(様式40の7)を行うために必要な手続きについて(協力依頼)」と題した事務連絡を発出。データ提出加算の届出を要件とする入院料を来年度も算定するには、11月20日までに届出をする必要があるとした。届出を行わなかった場合、現在届け出ている入院基本料を算定できなくなるため、「病院運営に影響を及ぼすおそれ」があると警告している。今年度の診療報酬改定で新たに対象となった回復期リハビリテーション病棟入院料や、療養病棟入院基本料を算定している医療機関は特に注意する必要がある。

「データ提出加算」とは、DPCデータが正確に作成され、継続して提出されていることを評価するもの。集められたデータは、入院医療を担う医療機関の機能や役割を分析・評価するために活用されるほか、厚労省経由で研究者などにも提供されている。

また、DPCデータは、医療ビッグデータの重要な要素ともなるため、より多くの医療機関から収集することを目的に、今年度の診療報酬改定で対象範囲が拡大された。昨年度までは「7対1入院基本料」「10対1入院基本料」「地域包括ケア病棟入院料」を算定している医療機関が対象だったが、今年度の改定により「回復期リハビリテーション病棟入院料」や「療養病棟入院基本料」も対象となった。

評価も従来に比べて手厚くなり、入院データのみ提出する「データ提出加算1」で200床未満の場合は170点から200点に、200床以上の場合は120点から150点に、入院データと外来データを提出する「データ提出加算2」で200床未満の場合は180点から210点に、200床以上の場合は130点から160点にそれぞれ引き上げられている。さらに、作成されたデータの質を評価する「提出データ評価加算」(20点)も新設され、未コード化傷病名の割合が10%未満の場合は算定することが可能となった(データ提出加算2の届出を行っている医療機関が対象)。

◆医師臨床研修、2020年度から7科必修に           基幹型臨床研修病院での研修期間も1年以上に延長

―厚生労働省医政局
 厚生労働省は、医政局長名義で7月3日に各都道府県知事あての事務連絡を発出。同日より施行された医師臨床研修に関する改正省令の内容について、医療機関や関係団体に周知するよう促した。

省令の改正により、医師臨床研修の必修科は従来の3科から7科に拡大されることとなっている。7科必修となるのは2009年度以来のこと。従来は「内科」「救急」「地域医療研修」の3科のみが必修で、そのほか2科を選択必修する形となっていた。選択必修の対象となっていたのは「外科」「麻酔科」「小児科」「産婦人科」「精神科」の5科。今回の改正により、麻酔科以外の4科も必修化されたこととなる。

2009年度から「3科必修+2科選択必修」のスタイルが取り入れられたのは、短期間に多くの科を必修することで専門医の育成を妨げているとの判断からだった。しかし、今年からスタートした新専門医制度で「総合診療専門医」が設けられたことからもわかるように、高齢化が進む現在、地域のニーズに合わせた医療を柔軟に提供できる医師の育成が急務となっている。専門医資格を取得するかどうかにかかわらず、より幅広い知識とスキルを持つ医師を育成するため、必修科を増やしたというわけだ。

各科の研修期間についても、わずかながら変更されている。これまでは内科6カ月以上、救急3カ月以上、地域医療1カ月以上となっていたが、改正省令では内科が24週以上、救急12週以上、外科・小児科・産婦人科・精神科・地域医療は各4週以上(8週以上が望ましいとの補足あり)となっている。週単位よりも月単位のほうが実際の研修期間が短くなる可能性があることから、日数をしっかりこなすべきとの意向が働いているものと思われる。

基幹型臨床研修病院での研修期間が8カ月以上から1年以上に延長されたのも変更点のひとつだ。従来は「1年以上が望ましい」としていたものを義務化したことで、基幹型臨床研修病院に課せられた責任はより重くなったといえる。さらに、「インターネットを用いた評価システム」の活用を明記したのも大きな変化。評価者のみならず研修医の負担軽減につながるほか、今後の制度見直しにデータを活用することも可能となり、評価の平準化が期待できるのではないだろうか。

◆医療・介護サービス提供は「圏域」単位で 総務省有識者会議が提言 人口減少社会の到来を踏まえ、都市機能を維持するのが目的

――総務省 自治体戦略2040構想研究会
 総務省は、7月3日に「自治体戦略2040構想研究会」が取りまとめた第二次報告を公表。医療・介護サービスの提供を「圏域」単位にするべきと提言した。人口減少社会の到来を踏まえ、都市機能を維持し、医療・介護の担い手を確保するのが目的だ。

 「自治体戦略2040構想研究会」は、65歳以上人口が最大となる2040年頃の自治体が抱える行政課題を整理し、今後の自治体行政の在り方を展望して対応策を検討することを目的とした総務大臣主催の研究会。座長は慶應義塾大学商学部教授の清家篤氏が務めている。

 「2040」とは、高齢者人口がピークを迎える2040年頃を指す。同研究会では、約20年先となる2040年頃に直面するであろう自治体行政の課題を俯瞰し、「内政上の危機とその対応」について整理。「若者を吸収しながら老いていく東京圏と支え手を失う地方圏」「標準的な人生設計の消滅による雇用・教育の機能不全」「スポンジ化する都市と朽ち果てるインフラ」の3つの柱を掲げて検討すべきとしている。

 まず自治体行政については、AIやロボティクス、ブロックチェーンなどの技術を積極的に活用して自動化・省力化を進め、より少ない職員で効率的に事務処理できる「スマート自治体」へと転換すべきだとした。そのうえで、従来の方法や水準で公共サービスを維持することが困難だとして、公・共・私が相互に協力関係を構築するべきだとしている。

 これらを踏まえるまでもなく、人口減少によって小規模な自治体が体制を維持していくことが困難なのは明白。そこで同研究会が低減するのが「圏域マネジメント」だ。地域の中心都市はもちろん、指定都市や中核都市も例外なく人口減少していくとして、都市機能を維持するには自治体が連携して役割分担し、整備・利用できるようにしていくべきだとしている。

医療に関しては、都道府県が設定している「二次医療圏」に着目。救急医療や在宅医療なども連携中枢都市圏で調整して対応することで、圏域の医療・介護サービス供給体制を維持できるのではないかとしている。これらの提言が合理的であることは疑いようがないが、問題は「圏域マネジメント」をどのような体制で推進していくかだ。従来のような市町村と都道府県の連携にとどまらず、場所によっては他県との連携が必要になるケースや、同じ市町村でも別圏域にならざるを得ないケースも出てくる可能性がある。少なくとも、標準化された運用方針を定める必要があり、国や都道府県が適切な指針を示せるかどうかが問われることになるだろう。

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