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医療経営情報(2018年6月28日号)

◆医療広告ガイドラインのQ&A、34項目の追加が決定         「体験談」についての項目は継続審議の対象に

―厚生労働省 医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会
厚生労働省は、6月28日に開かれた「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」で医療広告ガイドラインのQ&A案を提示した。従来のQ&Aに加えて新たに35項目を追加する案だったが、「体験談」に関する項目のみ継続審議となった。残りの34項目は了承が得られたため、追加されることが事実上決定している。

昨年10月の医療法改正で、医療広告の規制対象がウェブサイトまで広がった。それに伴って医療広告ガイドラインも改訂され、6月1日に施行されたばかりだ。ただし、医療広告ガイドラインのみだと解釈が難しい部分が多いのも事実。そのため、従来もQ&Aが公開されており、それをベースとして医療広告が制作されていた一面があった。今回は初めてウェブサイトまで対象が広がったこともあって、35項目と多数の項目追加になった次第だ。

 その中で「体験談」に関する1項目だけが継続審議となったのは、構成員から「口コミには有用性もある」と指摘があったからだ。危険な治療を提供している医療機関を口コミで知ることで、患者にとって利益になるだけでなく、医療機関への抑止力にもなるという主張だ(当該Q&Aは当記事の末尾に転載)。体験談が記載できれば医療広告の幅が広がるため、継続審議でどのような結論となるか、今後が注目される。

ちなみに、医療機関のウェブサイトに口コミ情報を掲載するのは医療広告規制の対象となるほか、口コミ情報のランキングサイトも規制対象としている。仮に、口コミの掲載に関する規制が多少緩和されたとしても、何らかの条件が課せられるものと思われるため、検討会がどのような議論を展開するか細部まで注視していく必要があるだろう。

その他、追加されることが決まった34項目の中には、最近の医療事情を踏まえたQ&Aも多い。たとえばQ1-3では「『最新がん○○療法』、『○○治療最前線』といった書籍や冊子」が広告規制の対象となるかという質問に対し、たとえ治療法を紹介する書籍や冊子の携帯をとっていても、特定の医療機関への誘引性が認められる場合は広告とみなされるとの解釈を示している。また、Q1-9~11では「複数の医療機関を検索できるスマホアプリ」や「特定の人のみが閲覧可能なウェブサイト」「患者向けに配布するメールマガジン」も規制対象とするとしており、医療機関の情報発信には相当な注意を払う必要があることがわかる。

広告表現に対しても踏み込んだ内容を盛り込んでおり、Q2-2~3では「最先端」「最適」「最良」「最上」を不適当としているほか、Q2-4では「美容医療の自由診療において、『プチ~』といった短時間で行える、身体への負担が比較的少ない、費用も手軽である、といったような印象を与える表現」に対して「事実を不当に誇張した表現や、誤認させるおそれがある表現は、誇大広告に該当する可能性があります」と警告。美容医療で健康被害や契約トラブルが続出している状況に歯止めをかけたい厚労省の意向が透けて見える。

未承認の医薬品や医療機器を用いた治療についても、Q&A項目が設けられた。広告自体は可能とされたが、「国内で薬機法上の承認を得ていないものであることを明示」しなければならない。また、医師の個人輸入による未承認医薬品等を用いる場合は、入手経路も含めてその旨を明記し、厚労省のホームページにある「個人輸入において注意すべき医薬品等について」のページをリンクする必要があるなど、細かい条件が付されている。

いずれにせよ、医療広告を展開するなら事前に必ずチェックしておくべき内容であることは確か。医療機関および関係の広告代理店や制作会社は熟読して把握しておくべきだろう。

●「体験談」に関するQ&A案
Q1-18
医療機関の検索が可能なウェブサイトに掲載された、治療等の内容又は効果に関する体験談は広告規制の対象でしょうか。

A1-18
一般に、医療機関の検索が可能なウェブサイトのトップページには、特定性・誘引性がないと考えられるため、広告には該当しません。他方、検索後等に表示される検索結果のページは、特定性・誘引性がある場合には、広告に該当します。
ここで言う特定性は、病院若しくは診療所の名称が特定可能であることをいいます。また、医療機関の検索が可能なウェブサイトに対し、医療機関側に広告料という名目ではなかったとしても登録料が発生している場合や、例えば、医療機関情報ページ、予約システム、医療相談などが一体化したウェブサイトの予約システムのみに医療機関側の費用負担が発生している場合であっても、一体化したウェブサイト全体に誘引性があると考えられます。
なお、医療機関の検索が可能なウェブサイトは、患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトに該当するため、広告可能事項の限定解除要件を満たした場合には、広告可能事項の限定が解除可能となります。
ただし、体験談については、個々の患者の状態等により当然にその感想は異なるものであり、それらの体験談に基づきランキングを付したり、体験談を取捨選択しその一部を掲載すること等によって、患者に誤認を与える蓋然性が極めて高いこと等を踏まえ、当該ウェブサイトに治療等の内容又は効果に関する体験談を掲載することはできません。

◆「医療情報ネット」の改善に向け、検討会でヤフーが助言
「自治体ごとに使い勝手が異なる」などの問題点を指摘

―厚生労働省 医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会
6月28日に開かれた「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」には、ヤフー株式会社制作企画本部の畠良氏が参考人として出席。各都道府県が運営している「医療情報ネット」の見直しに向けて助言を行った。

畠氏は、「医療情報ネット」の課題について、「信頼性ある機関による医療情報発信は極めて有益なものだが、『情報発信者と利用者との間の乖離』により機会損失が生じ得る」と言及。価値ある情報提供を行っているにも関わらず、一般に届いていない現状を言い当てた。次いで現状を分析。自治体ごとにサイトの仕様やユーザーインタフェースが異なることを踏まえ、「共通のサービスや検索体験が提供できていないため、自治体ごとに使い勝手が異なり利用できない機能も存在」しているとした。

さらに、スマートフォンからの利用が想定されていないページもあるとして、「利用デバイスに応じた表示の最適化」が必要だと説明。例示したページのひとつが厚生労働省の「医療機能情報提供制度(医療情報ネット)について」であることは、いかに行政全体が現状に即したウェブ運用をできていないかを表している。

それらを踏まえて畠氏が提示したのは「ウェブ検索×医療情報ネットの観点」。インターネットを利用する重要な起点のひとつがウェブ検索であるため、「医療情報ネット単体の観点」から脱却すべきだとした。現在、行政側がいかに「医療情報ネット単体の観点」にとどまっているかについて、畠氏は東京都の医療情報ネットが利用ごとにページを生成する仕組みであることを例に挙げ、「都度生成されどこからもリンクされないページ」「URLから遷移できないページ」が検索エンジンの収集・表示対象にならないと指摘。たとえ情報が存在していても、そこにウェブ検索から直接たどり着けないため、有益なサイトとして機能していないことが問題だとしている。

最後に畠氏は、よりアクセスしやすい医療情報ネットにするため、「疾病などの情報を、正確かつ一般的に使用される用語で積極的に発信」「医療情報サイトで閲覧してもらうことにこだわらず、見やすさやUI(ユーザーインタフェース)、UX(ユーザーエクスペリエンス)の向上は民間の創意工夫に委ねるべき」「医療機関に関する最新情報は、機械判読可能な全国的に標準化された形式で公開する」の3点について対応すべきと提言。日本でもっともアクセスを集めるYahoo JAPAN!を運営するだけに、畠氏の言葉には説得力があった。この提言をどこまで受け止め、実行ベースに乗せられるかが今後問われることになるだろう。

◆日看協、今年度の重点政策・事業を公表            看護師基礎教育の4年制化や訪問看護師倍増対策を推進

―公益財団法人 日本看護協会
 日本看護協会(日看協)は、6月26日に記者会見を開き、今年度の重点政策・重点事業を公表。看護師基礎教育の4年制化を推進していくことや、地域包括ケアシステムにおける看護提供体制を構築するため、訪問看護師を倍増させる対策を進めていく方針を示した。また、新たな認定看護師制度を2020年度からスタートさせる意向も明らかにしている。

 日看協が看護師基礎教育の4年制化を訴えている背景には、科目数が年々増えている現状がある。約30年間にわたって総教育時間数が増加していないのにもかかわらず、科目数が増えているため、1科目あたりの教育時間数は必然的に減少しており、「最低限の看護を安全に提供するのに不十分」だという。今後は在宅領域の教育が増えていくことも考えられるが、従来の3年間の教育に追加するのは不可能だとして、4年制化の実現を進めていきたいとしている。

 訪問看護師を倍増させる計画も、在宅医療のニーズ増加に応えるためのもの。日看協は独自に特別委員会を設置し、制度面での対策を検討して国に提言していく方針だ。人材拡充のための事例集や研修支援コンテンツを作成して、関連団体のサポートも行っていく。

 また、看護職の役割を拡大していくため、特定行為研修受講者を増加させる取り組みも積極的に行っていく意向を示した。公式ウェブサイトなどからの情報発信を行って受講者を呼び込むほか、指定研修機関への支援も推進。また、研修修了者のネットワークを構築することで、その後の活動のサポートも実施する。さらに、上級看護職を設置するため「ナース・プラクティショナー(仮称)」制度の構築をすすめるほか、「看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)」を活用した認証制度の設置も検討していくという。地域包括ケアシステム構築に向けて、看護師の果たすべき役割がより重くなっていくのは間違いないところであり、この日発表された日看協の計画がどのように進められていくかは、医療機関側の体制整備にも大きく関わってくるため、今後の動きにも注目していく必要があるだろう。

◆難都の受動喫煙防止条例、政府より一足先に成立 医療機関は「敷地内禁煙」で屋外喫煙所の設置は可能に

――東京都
 東京都の受動喫煙防止条例が、6月27日の都議会本会議で成立した。現在、国会で審議入りしている健康増進法改正案よりも規制対象が広く、従業員を雇用している飲食店は面積に関係なく「原則屋内禁煙」の対象となる。医療機関は「敷地内禁煙」となったが、当初案にはなかった屋外喫煙所の設置を認める形となった。

 政府や都が受動喫煙防止に関するルールを制定しようとしているのは、2020年に東京オリンピック・パラリンピックが開催されるからだ。国際オリンピック委員会(IOC)と世界保健機関(WHO)が開催都市にスモークフリー(たばこの煙がない環境)を求めており、2008年の北京オリンピック開催以降、すべての開催都市で罰則付きの受動喫煙防止対策が実施されている。

 しかし、都の条例は政府案よりも厳しいとはいえ、世界基準と比べると“緩め”の規制となる。たとえば、イギリスやカナダのバンクーバー、ブラジルといったオリンピック開催都市では、教育機関をはじめ医療機関や官公庁、ホテル、飲食店、バス、タクシー、鉄道、船舶まですべて屋内禁煙を実施。喫煙専用室も設置していない。飲食店やたばこ生産者、たばこ販売業者などからの反発を受け、自民党が厚生労働省に緩和案を飲ませた形だが、健康を担保すべき医療機関で、当初案から後退して屋外とはいえ喫煙所の設置を認めた理由について、検証していく必要があるのではないか。少なくとも、外来患者に受動喫煙のリスクを負わせる屋外喫煙所の設置は、医療機関の信頼度を下げかねない。自院の価値向上を目指すうえで、足かせとならないよう運用には慎重な判断が求められよう。

 なお、都の罰則は5万円以下。7月初旬に成立予定の健康増進法改正案も、医療機関に対する扱いは都条例と同様の「敷地内禁煙・屋外喫煙所設置可」で、罰則は喫煙者が30万円以下、施設管理者が50万円以下となっている。

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